"次代へ挑む" ファーストコールカンパニーの取組み

株式会社フレアス

株式会社フレアス

  • 代表取締役社長 澤登 拓 氏
  • 取締役 事業支援部統括部長 飯野 由利 氏

株式会社タナベ経営

  • 専務取締役 長尾 吉邦
  • 取締役 東京本部長 仲宗根 政則
  • 東京本部 経営コンサルティング部 小池 一嘉

プライドの持てる仕事を提供して急成長

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長尾 タナベ経営のコンサルティングをご活用いただき、ありがとうございます。フレアスは2000 年の創業で、在宅医療サービスを事業の中核に据え、訪問マッサージを中心に成長しておられます。まず、創業の経緯を聞かせてください。

澤登 私は語学を学ぶため、中国へ留学していました。ある日、原因不明の激しい腹痛に襲われ、漢方医に診てもらいました。処方された漢方薬を飲むと、手足が軽く感じて体の芯から温かくなり、あっという間に回復してしまったのです。漢方医は「人の心と体はつながっている。そして自然界ともつながっている。あなたの体が本来のエネルギーを出しただけで、特別に何かを加えたわけではない」とおっしゃいました。その日以来、東洋医学に魅せられて、北京の大学で中医学を学び、帰国して鍼灸マッサージ師の国家資格を取得しました。
 しかし、中国では医師として敬われた職業が、日本では「あん摩さん」と呼ばれ、収入もよいわけでなく、医療業界の中での立ち位置は低いというのが現状でした。ですが、医療保険を適用する訪問マッサージは当時珍しく、高齢者が増える社会においては、ほかの介護サービスも供給が追いついていなかったため、患者様やケアマネジャーに歓迎されました。これほど地域に喜んでいただける分野なら、従業員がプライドを持って仕事ができると感じ、2000 年に「ふれあい在宅マッサージ」として山梨県で起業し、福岡、金沢と事業所を出して順調に事業を広げていきました。

長尾 事業の原点は、絶えず世の中の人々のお役に立つことですから、ニーズが高ければ高いほど成長するわけです。澤登社長はご自分の健康回復の経験を得て、高齢者には健康を、マッサージ師にはプライドの持てる仕事を提供して高い価値を生み出されたのですね。それによって、現代社会の課題解決に貢献したいと思う人材が集まってきたことも、業績好調の要因と言えるでしょう。

澤登 マッサージ業界は典型的な3K(きつい、汚い、危険)の職場と言われますが、健康保険を使うとある程度の収入を確保できます。当社の給与は、一般的にはごく普通の収入レベルですが、在宅事情を明るくしていこうという理念に賛同してくれる仲間たちが、全国各地で集まってくれました。

長尾 お客さまと社員、双方に役立つ事業と言えますね。現在の店舗数と社員数、顧客数、業績について教えてください。

澤登 店舗は約50 店、社員数は約550 名、顧客数は8000 名を超えました。売上高は2014 年実績で25 億円(グループ計)。今期の売上目標は30 億円です。

【会社理念】
人と人とのふれあいを大切にし社会貢献すると共に、社員の物心の幸せを追求する

【経営ビジョン】
全国津々浦々に、一人でも多くの方に速やかにフレアスのサービスを提供し、日本の在宅事情を明るくする。

重度の病気は保険治療軽度の場合は実費治療へ

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長尾 これからの在宅医療サービスは、どのように動くと予測されますか?

澤登 医療費が拡大するピークは2025 年で、それ以降、高齢者は増えますが若者は減るので、全体的なボリュームは縮小。ただ、高齢者は増え続けるため、介護費は30 年くらいまで増加すると言われています。あと20年くらいはマーケットの拡大が続き、業界全体はさらなる成長が予測されます。
 ただし、健康保険、介護保険といった公費には限度があります。予防や軽度の病気など「命から遠い分野」から、徐々に削減の対象になるでしょう。介護予防やデイサービスなどはすでに削減する動きがあります。例えば、ドイツは「要介護3」以上のクラスしか、社会保障の対象にしていません。将来的には、日本の介護保険も同じようになるのではないでしょうか。
 では、介護保険の対象から外れてしまう高齢者が、健康に不安を持った場合はどうすればよいか。これは東洋医学の得意な分野です。東洋医学の力を活用し、実費でケアする事業に着手するつもりです。そして、重度の病気の人は保険で、軽度の人は実費で治療するシステムを定着させ、総合的に日本の健康を後押ししたいと考えています。

長尾 ヘルスケア・健康というドメイン(事業領域)として捉え、「健康に貢献するには?」との事業開発発想が大事であると思います。もうかるのは何かではなく、何に貢献できるかが発想の起点にならなければいけません。そうなると、人材というファクターが大きなポイントになります。人材育成に関して、独自に取り組んでおられることは何ですか?

澤登 全国に拠点があるので、e- ラーニングを使って人材育成に取り組んでいます。14 年6月には全社員にタブレット端末『iPad』を配布しました。個人利用もOK にして、e- ラーニングを促進するのが狙いです。
 また、「フレアスアカデミー」の開設を進めています。ここは、研修の場であるとともに、学術の場という側面を持ちます。在宅医療の現場は歴史が浅いので、「マッサージって効くの?」「訪問看護って必要なの?」といった質問に、的確に答えられるエビデンス(根拠)が確立していません。そこで、三つの大学と共同して論文作成に着手しており、15 年には発表できる予定です。このような活動を通して、まだ"市民権"を得ていない在宅医療の現場をしっかりと築いていこうと思います。

長尾 タナベ経営は、「体系的に人材を育成せよ」と提言しています。人が品質であり、品質が顧客を創るのですが、その顧客は専門的価値を求めているからです。専門的価値を磨くことを怠る企業に品質はないとも言えます。

ITを駆使して生産性の向上を目指す

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仲宗根 組織上ならびに事業上のマネジメントで、気を付けていることは何ですか?

澤登 われわれの業界ポジションは、非常にユニークです。株式会社ではあるけれど、取り扱うサービスは社会保険を使った医療。本来は医療法人にしか扱えない領域ですが、マッサージや看護の分野には株式会社も参入できます。つまり、医療と一般企業の間にあるような存在なのです。
 このような立ち位置が大事だと思うのは、数字に固執して利益偏重に走ると顧客や現場の支持を得られませんし、ボランティア精神ばかりでは会社がつぶれてしまうからです。私は現場上がりなので、ついつい理念に走りがちですが、経営に携わる上では当然、売上げや利益も大切だと心掛けています。そのバランス感覚が重要なのです。

仲宗根 法人の同業他社はどのくらいあるのですか?

澤登 全国展開している会社は、10 社ほどだと思います。当社のように全て直営の企業は少なく、フランチャイズ展開で業界に参入する企業が増えています。今後はその中でますます寡占化が進むでしょう。

長尾 勝負を決するポイントは何だとお考えですか?

澤登 やはり人材ですね。どれだけ強い営業チームをつくれるか、また生産性の高い組織にできるかと同時に、離職率が低く、定着率の高い会社になるよう力を入れています。

飯野 そうした会社になるには、経営者の思いを共有し、細かいところに気付ける現場のマネジャーを育成することも大切だと思います。

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澤登 iPad を配布したのも、組織づくりの一環です。訪問と訪問の合間の移動時間や空き時間を使い、利用者の過去の状態を把握し、今日の状態や訪問記録を入力します。これまでは事務所に戻ってパソコンの空きを待って行っていた仕事をタブレット上で進めることができるので、作業効率が飛躍的に上がります。また、必要な技術情報をニュースレターで配信したり、動画で確認したりすることも可能です。ブログやチャットなどを利用して、離れた拠点にいる従業員が一斉に日々の感動や励ましを情報共有することにも活用できます。
 今後、日本の医療・介護は、地域包括ケア(医療・介護・介護予防・生活支援・住まいのサービスを、一体的に受けられる支援体制)になるので、今からタブレットによる情報の入力や整理に慣れ、より発展した形に仕上げてほかのサービスと情報共有をすることが、ますます必須になっていくと思います。

長尾 教育研修を促進したり、生産性の高いサービスを生み出したりすることによって、独自化と差別化を図っていただきたいと思います。
 もう一つのポイントは成長性です。同業他社との"決勝戦"に進むまでに、企業規模の差が大きく開いてしまうと、打つ手は限られます。決勝戦までにいかに早く成長するかが大切です。そのためには、何が必要だと思われますか?

澤登 当然のことではありますが、戦略的な営業ですね。立ち上げまでのスピードをいかに上げるかです。また、それに対するリソース確保や人員強化にも力を入れます。

長尾 システム的差別化ですね。それを常にブラッシュアップしていくことが他社にまねのできない仕組みとなり、高い成長性と収益性を支えるでしょう。

ターゲットは首都圏、そして「命に近い分野」

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仲宗根 出店する基準はどのようなものですか?

澤登 今まではどちらかというと地方が得意でした。しかし、これから最も成長するのは首都圏。今後は、東京・埼玉・千葉・神奈川を中心に攻めていきます。同時に、関西の大都市での展開にも力を入れる考えです。

仲宗根 各拠点のサービス開発による付加価値創造と生産性向上が、より効率的な事業展開を可能にするでしょう。

長尾 全国に50 の拠点があり、トップの思い(理念)やビジョンを伝えて浸透させていくのは容易ではないと思われます。どのように取り組んでおられますか?

飯野 競争の激しいエリアで事業を展開するには、自分たちの努力で付加価値を生み出しながら、サービスを提供していく姿勢が求められます。
 そのため、会社理念や経営ビジョンの共有には力を入れています。会社理念をもとに17 の行動規範があります。一つ一つの文字の後ろに隠れている意味を、具体的な内容や事象に落として浸透させています。事業所が各地に点在しているので、ビデオメッセージを送ったり、全国の所長を本部に集めて共有した内容を、各事業所のミーティングでメンバーとさらに共有したり、朝礼で理念に絡めて発表し合ったりしています。また、お茶を飲みながら話をして模造紙に理念について書き合う、朝礼で理念について感じたことを発表するといった工夫もし、それをたゆみなく繰り返しています。

小池 今後は在宅マッサージのリーディングカンパニーから、総合医療分野へとかじを切ることになると思います。力を入れるポイントはどこでしょうか?

澤登 先述したように、社会保障は次第に絞られるでしょう。ならば、より「命に近い分野」を徹底的にやりたい。私が最もやりたいのは、自宅での「看取り」です。特別養護老人ホームの待機者が増える中、当社が医療を整えて看取りまで完結できるような在宅サービスを行いたいと考えます。現在の事業の延長線上に位置し、ビジョンである「日本の在宅事情を明るくする」にも適合しますから。高齢者が住み慣れた場所で、安心して人生を終えることができるような事業を起こしたいですね。
 その一方で、元気な老人をもっと増やしたい。そのために、健康保険に頼らず、実費を使って自分の健康は自分で守るという環境を、漢方や鍼灸、食事の力で実現させたいと思います。
 この2本柱で、「お金のかからない医療」への第一歩を踏み出したいと考えています。

長尾 常に健康というキーワードから事業を発想し、社会価値の高い事業を生み出して成長するフレアスと澤登社長の姿勢に感銘を受けました。在宅医療分野のファーストコールカンパニーを目指し、ますます躍進されることを期待しています。

PROFILE

  • 所在地(東京本部):〒108-0073 東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル22F TEL:03-6435-3248
  • 資本金:1000万円 創業:2000 年 売上高:25 億円(2014 年度グループ計) 従業員数:565 名
  • 事業内容:在宅医療マッサージ、鍼灸治療、訪問看護、歯科サポート、保険業務代行
    http://fureasu.jp/