"次代へ挑む" ファーストコールカンパニーの取組み

株式会社亀井組

株式会社亀井組

  • 代表取締役社長 朝野 佳伸 氏
  • 取締役相談役 亀井 俊明 氏
  • 専務取締役 野口 泰英 氏

株式会社タナベ経営

  • 常務取締役 中村 敏之
  • 大阪本部 副本部長 山本 剛史

一代一業の精神で新分野へ挑む

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中村 日ごろからタナベ経営のコンサルティングサービスや研究会、セミナーなどをご活用いただき、誠にありがとうございます。最初に亀井組の会社概要をお聞かせください。

朝野 亀井組は1906(明治39)年の創業で、徳島県鳴門市に本社を構え、総合建設業を展開しています。鳴門市は塩田の町で、当社は入浜式塩田の整備関連事業からスタートし、鉄道路線保守作業、公共工事、建築工事、住宅工事を手掛けてきました。現在は土木事業、建築事業、住宅事業を3本の柱とし、事業を横断する位置付けで環境事業にも力を入れています。
 土木事業では、国土交通省をはじめとする地域インフラ事業(公共工事)を担当し、道路や橋梁などさまざまな工事を展開。建築事業では、あらゆる設計・施工サービスを提供しています。最大の特徴は寺社仏閣といった歴史ある建築物にも対応できることで、県内ナンバーワンの施工実績を誇ります。
 住宅事業は新築とリフォームを展開。新築は、パナソニックビルダーズ・グループの一員として地震に強い家を提供し、リフォームは鳴門駅前のショールーム「リフォームプラザ亀井」を拠点に事業を進めています。そして、環境関連事業は、土木・建築・住宅各部門の技術を生かし、自然エネルギーを活用した事業展開に取り組んでいます。

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中村 亀井組の100 年は、塩田整備事業を起点に、鉄道事業、土木、建築、住宅、そして環境分野への進出と挑戦の歴史だと認識しています。この挑戦する企業風土は、どのように醸成されたのでしょうか?

亀井 私は67年に社長に就任し、経営者、オーナーとして亀井組の歴史の約半分を築いてきました。110 年の歴史を振り返って企業DNAを摘出すると、「時代の要請に合った新しい事業への飽くなき挑戦」と「技の継承」になります。
 初代社長である私の祖父・春吉は塩田の整備事業を始め、民間土木から公共事業へ参入するとともに木造建築にも取り組みました。2代目社長は私の父・知一で、戦前は旧国鉄(日本国有鉄道)に勤務していた関係から鉄道事業へ参入。60 年代には本格的な鉄筋コンクリート建築にも取り組み、徳島県立鳥居龍蔵記念博物館などを手掛けました。
 私が3代目社長になってから2度のオイルショックを経験。超インフレで物価上昇が続く中、徳島県下の業界に先駆けてオフィスコンピューターを導入し、正確・迅速な原価管理に注力しました。その後、国家プロジェクト「ハウス55計画」(85 年)のもと、良質で低価格の住宅を大量に供給するため、住宅は工業化の時代を迎えました。当社はミサワホームのニューセラミック工法に注目し、業務提携を締結。約20 年間で350 棟余りを施工しました。
 87年に就任した4代目社長・泰地治美は、女性に住宅への関心を持ってもらおうと「レディス・インテリア・スクール」を開校。地域に適合したカリキュラムを自社開発し、9年続けました。セラミックホームの受注も順調に伸びたので、徳島市に営業所を開設し、県下一円を商圏としたビジネス展開を目指しました。
 97年就任の5代目社長・松本堯雄は、高齢化時代に対応したバリアフリー住宅に着目。新たな住環境・生活環境の提案を行う全国ネットワーク「ハウス21」に加盟し、コストパフォーマンスの高い住宅の提供に努めました。
 そして2003 年、6代目社長に就任した朝野は、東日本大震災での被害や、今後発生する可能性が高いとされる南海トラフ地震を考慮し、地震に強いパナソニックのテクノストラクチャー工法に注目。パナソニックビルダーズ・グループに入会しました。また、地方ゼネコンから環境企業への変革を図っています。

中村 会社はつぶれるようにできている。なぜなら、「事業の寿命は20 年」「会社の寿命は社長の寿命」、これが現実だからです。
 一方、亀井組の歴代社長は「一代一業」の精神でそれぞれ新しい事業に取り組んでこられました。それが100 年発展の大きな鍵なのだと拝察します。



企業理念
地域の安全を守り 地域の基盤を支えていることを 誇りに思い、
社会的責任を果たすために 常に成長し革新的であり続ける。

安心・安全な建物づくりを通じて お客様と喜びを分かち合い、
しあわせな暮らしを創造する。

お客様の満足と共に 社員の成長を会社の繁栄を追求する。

100年後の世代や地域に誇れる 社会を目指し、 地球環境にやさしい活動を行う。

経営理念
人づくり 建物づくり 街づくり

行動方針
お客さまの立場に立つ姿勢
自己のレベルアップを図る
地域貢献を行う

自然エネルギーと建設業を融合させて未来へ

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山本 亀井組の強みとして寺社仏閣の建築が挙げられます。県内で現在の地位を築くため、技術をどのように磨いてきたのかを教えてください。

野口 亀井組の代表作である鳥居龍蔵記念博物館は、木造ではなく鉄筋コンクリートの入母屋づくりです。一見すると屋根に瓦をふいた和風の建物ですが、火災やシロアリなどの被害が懸念される木造と比べ、はるかに安全。徳島県で鉄筋コンクリート造りの寺社仏閣の建築を手掛けた実績は、当社がナンバーワンです。
 70 年代に寺社仏閣建築へ本格的に参入した当初、他社との差別化を図るため、台湾からヒノキ材を直接輸入して備蓄、自然乾燥させたものを使うようにしました。これにより「海外から安くて良いモノを直接購入する」という体質が芽生えたのです。
 その原動力は、「良いものをつくろう」という社風だと思います。研究熱心で、皆がやらないことも一生懸命に勉強し、技術を体得するDNAが創業当時から培われてきました。それに加え、一流職人と呼ばれる大工や左官といった県内の協力会社が結集したことも大きな要因です。

山本 一流の職人から「一緒に仕事をしたい」と思われるような一流の会社であり続けたことが、亀井組ならではの強みを生み出したといえますね。

中村 朝野社長とご縁をいただいた当初、ご自分の使命を「次の100 年の礎を築くことにある」と言われたことが強く印象に残っています。具体的には、"グリーン コンストラクション カンパニー"へと亀井組を進化させることだと思われます。ここに思い至った経緯を聞かせてください。

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朝野 2008 年、09 年と苦しい時期が続き、従来の建設業のスタイルでは生き残れないという危機感がありました。その折、タナベ経営に下請け型から設計施工提案型、安定ベース型事業への転換をアドバイスされました。
 従来のゼネコン型では限界があると判明し、社員も疲弊してモチベーションが落ちた時期だったので、私は皆がイメージできるような方向性を示す言葉を模索していました。熟考の末、環境分野へかじを切ることを決め、変革する亀井組の姿をグリーン コンストラクション カンパニーと表現したのです。

中村 同時に「ベースモデル」をつくるとも宣言されています。今後の事業展開はどうお考えですか?

朝野 建設業の平均的な経常利益率は2%くらいなのに、タナベ経営が掲げる目標は10%。その半分の5%を目指そうとしても、現在の建設業の組織体では実現不可能なので、グリーン コンストラクション カンパニーに変わらざるを得ません。
 東日本大震災や原発問題によってエネルギーに対する関心が高まり、時代も変革期を迎えつつあります。そうした流れの中、当社は自然エネルギーに注目し、太陽光から始めて風力発電、バイオマス発電、小水力発電といった分野の研究に着手。自然エネルギーとコンストラクション(建設業)を融合させ、当初の目的である経常利益率5%以上を常時実現できる企業体質を確立したいと考えます。

アライアンスとダイバーシティーにも注力

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山本 亀井組の特色として、トップブランド企業との絶妙なアライアンスが挙げられます。アライアンスを組む際のポイントは何でしょう?

亀井 住宅事業と密接な関係がある家具や家電の情報をお客さまへ提供する中で、アライアンスの発想が生まれました。亀井組はローカル企業で全国的なシェアを持っていないため、全国ブランドの会社と手を組むのは容易ではないと考え、私自らが交渉の席に着いて熱意を伝えることを決意。ソーラー発電で世界トップを争ったサンテックパワー(現無錫サンテックパワー)、世界ナンバーワンの家具販売店IKEA、風力発電の風車を販売する日立パワーソリューションズなどとアライアンスを組むことができました。
 アライアンスを組む際は「手の届く高嶺の花」を求める感覚が大切です。交渉のポイントは「相手にとって、自社と提携するメリットは何か」を明確につかんでもらうこと。経営者が持っている社会の需要動向を見極める眼力と、事業に懸ける熱い思いが欠かせません。

山本 地域密着で事業を進める強みとして、地域の暮らしを理解した上で、生の声を直接聞き、事業に反映できることが挙げられます。大手企業にはそれが難しいので、亀井組とアライアンスを組みたいと思うのでしょう。
 ダイバーシティー(多様性)の取り組みにもご熱心ですね。

亀井 男性中心の閉ざされた建設業のままでは、グローバル競争に勝ち残れません。国際化や女性の登用を進めるべきです。
 国際化を進める方向性としては、商品の国際化と社員の国際化があります。商品の国際化は、グリーン コンストラクション カンパニーとして、環境という切り口の中で、世界の一流品を日本に普及させたいと思います。社員の国際化に関しては、社員の10%程度を外国人にしたい。すでに中国人を1名採用して外国人採用の担当とし、全国の大学の留学生に募集を掛けています。
 女性登用に関しては、現在は社員の約30%が女性社員ですが、これを50%にアップすることが目標です。

100年後の世代や地域に誇れる社会を目指す

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山本 職人不足は建設業界全体の深刻な課題です。協力業者である職人の育成と、施工を管理する管理技術者の育成について、お考えを聞かせてください。

野口 協力業者の高齢化が進んで腕の良いベテランは次々にリタイアし、若手が思うように育っていないのが現状です。工場で生産した部材を組み立てるだけでは、職人の仕事がなくなってしまう上、職人技を生かせる寺社建設の案件はそう出るものではありません。
 こうした状況を打破するために開発した商品が『悠久の住まい』です。これは木材や土壁、建具など日本の伝統的な技術を駆使し、自然環境を巧みに利用することで、エネルギー使用量をできるだけ控えた純和風住宅。年間5、6棟つくったら、職人技の伝承・育成につながると考えます。環境にもやさしく、「グリーン コンストラクション カンパニーの亀井組」を象徴する住宅ともいえるでしょう。
 社員の技術向上に関しては、技術向上委員会を立ち上げ、選抜した若手技術者を全事業部門の現場へ派遣し、検査の見極めと勉強会を行う仕組みを設けました。これにより「技術の亀井組」というプライドを堅持したいと思います。

中村 最後に、今後100 年の礎をつくる上で、未来へ向けた「ビジョン」をお話しください。

朝野 当社には企業理念が四つあります。始めの三つは従来の亀井組の理念ですが、四つ目の「100 年後の世代や地域に誇れる社会を目指し、地球環境にやさしい活動を行う」は、新たに追加した理念であり、今後の実現に向けて動いていきます。
 直近の課題は、経営幹部を育成して次代の体制を構築すること。長期ビジョンとしては、社内外の価値観の変化に対応し、地域ブランドとしての亀井組を創出することが挙げられます。これにより、当社の経営理念である「人づくり 建物づくり 街づくり」へ向けてまい進します。

中村 亀井組の「100 年発展」は「3C」がキーワードだと強く感じます。最初が「Change(変化)」。一代一業の精神は無論、ダイバーシティー経営の先駆的な取り組みなど変化を恐れぬ経営を行っているからです。次は「Challenge(挑戦)」。塩田整備から鉄道へ、さらに建築、土木、住宅、環境分野と、既存の事業が順調なときに未踏の領域に挑戦され、今を築いているからです。そして、最後が「Champi on(第一人者)」。アライアンスを含め、地域や分野におけるナンバーワンを追求し続ける姿勢で「一流」を生み出しているからです。この3C 精神を持続し、グリーン コンストラクション カンパニーというファーストコールポジションを確立し、200 年企業を実現してください。本日はありがとうございました。

PROFILE

  • 所在地:〒772-0017 徳島県鳴門市撫養町立岩字七枚114 TEL:088-685-4178(代)
  • 資本金:6000万円 創業:1906 年
  • 完成工事高:45 億円(2014 年度) 従業員数:59 名(2014 年度)
  • 事業内容:土木事業、建築事業、住宅事業、エコ事業
    http://www.kamei93.co.jp/