"次代へ挑む" ファーストコールカンパニーの取組み

株式会社洸陽電機

株式会社洸陽電機

  • 代表取締役会長 山本 吉大 氏

株式会社タナベ経営

  • 常務取締役 中村 敏之
  • 大阪本部副本部長 建設ソリューションドメインリーダー 竹内 建一郎

顧客視点で下請けから脱却総合省エネ型で飛躍

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中村 貴社は3年連続で増収増益の成長を続け、前期(2012 年12 月~ 13 年11 月)の業績も売上高57 億円、経常利益率9%と好調です。しかし、ここまでの道のりは平坦ではなかったとうかがっています。

山本 勤めていた会社が倒産し、洸陽電機エンジニアリング(旧社名)を1993 年5月に創業しました。当初の月商は7万円。厳しい状況でしたが、志を持って挑戦を続けました。振り返ると、「四つの決断」で今日があると考えています。
 第一が「下請け型電気工事業」から脱却する決断です。大手ゼネコンが倒産する状況を見て、顧客価値がなくば潰れると危機感を持ち、「価値ある仕事とは何か」を見つめ直して「電気省エネ事業」に転換しました。

中村 「変化は捨てる勇気から始まる」と言いますが、現実は厳しかったのではないですか?

山本 売上高は一時半減しましたが、下請け型ではなく、付加価値のある仕事を追求したいと推し進めました。しかし、省エネを提案しても、「会社の規模が小さすぎる。大きな仕事は任せにくい」と言われるばかり。元請けに近い仕事には信用力が重要だと痛感し、増資を行いました。ほかにも特許を取得したり、パブリシティーを活用したりと、信用力が増す取り組みで顧客増を実現できました。

中村 そして、第二の決断として「電気の省エネ」から「総合省エネ」へ事業を再定義するとともに、06 年、東京へ本格的に進出され、さらなる成長を遂げられました。

山本 電気の省エネ競争が激化し、お客さまから総合省エネの要望もあったため、空調や熱源など設備の総合的なサービスの展開を考えたのです。同時に、首都圏という大きなマーケットへ進出しました。

社是
洸陽電機は「ありがとう」と言ってもらえる仕事をする会社です。

経営理念
我々は、未来の子どもたちの為に、より良い地球環境を継承するための事業活動および省エネルギーや環境に配慮した製品の推進・開発に積極的に取り組みます。

ワンストップサービスを協業モデルで実現する

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中村 この時点で、現在の強みである「省エネのワンストップサービス」モデル(【図1】参照)を確立されたのですか?

山本 独立系であることが強みとなり、省エネ案件の開拓からメンテナンスまでトータルで提案する能力と体制を整えることができました。資本系列があると、どうしても偏った提案になりますが、当社はお客さまのニーズに合わせて最適な機械や設備を自由に選べます。すると、メーカーや設備会社だけでなく、電力会社、ガス会社からもお客さまを紹介していただけます。これは独立系だからこそ。50社を超える紹介先を通じ、100%紹介で顧客創造を行っています。

中村 協業モデルを構築されていることも、貴社の大きな特徴です。具体的にどのようなモデルなのでしょうか?

山本 例えばスーパーマーケットは、電気から空調、冷凍設備まで、すべて業者が決まっているので、新規業者が参入すると、既存業者と価格競争などの摩擦を生みます。
 しかし、当社は違います。顧客との包括的な契約をベースに、顧客の課題に対する最適な方法を設計した上で、工事やメンテナンスは既存業者にお願いします。顧客最適を考えながら既存業者と仲良くやる。競争せずに当社が中心となる独自のビジネスモデルです。

中村 加えてファイナンスサポートなど、従来では考えられない方法を武器にされています。

山本 省エネ工事の資金繰りまで提案しなければ、「よい話だけど予算がない」となるだけです。当社が最適な設備を調達し、省エネ効果の中からサービス料をいただく「シェアードセイビング」と呼ばれるモデルに、金融機関と連携して取り組んでいます。

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「エネルギー総合プロデュースカンパニー」というビジョン経営

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中村 三つ目の決断が、エネルギーマネジメント(EMS)事業への進出ですね。

山本 東日本大震災後、エネルギーセキュリティーの脆ぜ い弱じゃく性が露呈し、中小ビルなど小口需要家が節電しなければならない状況になりました。そこで、小口需要家を束ねるアグリゲート事業が注目され、国が公募して当社も採択されました。当社は従来からビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)に注力し、特許も取っていましたが、単品の省エネは金額が小さいため、総合省エネにシフトしていました。しかし、再びエネマネが注目されたため再チャレンジし、大手中心の市場に切り込んで行ったのです。

竹内 なぜ競争の厳しい市場に再び参入されたのですか?

山本 エネルギー利用の1次情報を得なければ、今後の「エネルギー選択の時代」に顧客の期待以上の価値を実現できないと判断したからです。お客さまがエネルギーの使い方を知ると同時に、管理する当社は情報を得る。その情報をもとに、さらなる省エネ提案ができるわけです。また、きめ細やかなサービスが必要ですが、それは大手が不得意な部分でもあります。

中村 四つ目の決断が、「創エネルギー事業」への進出ですね。現在、多くの企業が参入していますが、貴社の特徴を教えてください。

山本 再生可能エネルギーブーム以前から太陽光発電事業に着手し、さらに、地熱発電に着目していたころに震災が発生。創エネ市場が大きく注目されました。震災後に創エネ事業を始めた企業は、国から支援があるという理由で、収益性だけで参入を判断した企業も少なくないと思います。市場の立ち上げに国の支援は必要ですが、当社は「再生可能エネルギー発電事業者として存続し続けられるか」を判断軸としました。

中村 発電事業者としての顧客価値の追求にこだわるということですね。

山本 当社の創エネ事業は、国の支援がある20 年間だけでなく、長きにわたり持続してエネルギーを供給し続けることを使命としているため、設備も決して安いものではありません。しかし、エネルギーという産業界に欠かせぬ"コメ"を供給する責任を果たす以上、妥協は許されないと思っています。
 このコンセプトに共感した東京電力の地熱開発チームの技術者10 名以上が、当社への移籍を決意してくれました。こうした協力者を得ることで、「期待以上の価値」を追求します。

中村 100 年先も供給し続けるという使命感が、実際に評価されているのですね。私は、戦略の要諦は「絞るから勝てる、勝てるから拡がる」ことだと提唱しています。四つの決断(イノベーション)のプロセスをうかがうと、まさしく戦略の王道を歩まれ、今日の地位を築かれたことが分かります。今後のビジョンをお聞かせください。

山本 四つ目の事業を立ち上げる必要があると考えています(【図2】参照)。16 年の電力小売り全面自由化を見据えた「エネルギートレード事業」です。一般的に言えば、売電など電力取引事業になります。

竹内 エネルギーの調達・販売は、売電だけで18 兆円と言われる巨大市場です。どのような戦略展望をお持ちですか?

山本 ローコストで調達したい企業もあれば、再生可能エネルギーのみでモノづくりをしたい企業もあるでしょう。ですから、当社は顧客が求める最適なエネルギーサービスをワンストップでトータルに提供する選択肢を用意します。売電にこだわらず、エネルギーにサービスを付加するプラットフォームの構築を目指しているのです。環境と経済・暮らしの調和を保つ、価値ある事業だと考えています。
 一方、こうしたプラットフォームを1社でつくることはできません。この考え方に共鳴してくれる企業との連携が欠かせないと思います。

中村 「エネルギー総合プロデュースカンパニー」を目指すという強い決意の表れ、いわゆる「ビジョン経営」ですね。

山本 このビジョンを2020 年までに成し遂げたい。そうなれば、売上高1000 億円、経常利益100 億円も決して夢ではないと考えています。

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良質な企業文化と戦略リーダーづくりで100 年企業を目指す

中村 経験上、「成長と膨張は紙一重」と感じます。だからこそ、顧客視点に立った「ビジョン経営」で良質な企業文化をつくることを大切にされているのですね。

山本 「金持ち企業ではなく、人持ち企業」でありたいと考えています。社是や経営理念といった軸をきちんと持てば人が集まり、最終的にお金も集まります。人が財産なのです。
 また、今は新卒採用に力を入れています。10 名の採用を5年間継続し、「社是を守り、永続的に成長し続ける企業文化」をつくりたいですね。

竹内 【図2】を見ると、15 の事業分野があります。「エネルギー総合プロデュースカンパニー」というビジョンは、この15分野一つひとつの成功にかかっているとも言えます。その意味で、15 名のリーダーが育っていることが、ビジョン実現の最大のカギでしょう。

山本 その通りです。中村さんや竹内さんがよく言われる「戦略リーダー」を10 名以上つくりたいと考えています。

中村 以前、山本会長が「(高校野球で)背番号10 番の補欠のキャプテンというリーダースタイルが経営の世界にあってもよいのではないか」とお話しされていたのが印象に残っています。「ワンマン経営」でなく、複数の戦略リーダーが舵取りをしていく「戦略リーダー経営」への転換を目指す。100 年続く企業になるという強い意志の表れだと感銘しています。

山本 1人の強力なリーダーが引っ張る企業ではなく、自律した複数のリーダーが切磋琢磨する企業になることが大切です。文化や考え方は経営陣が率先垂範で示し、スキルアップはタナベ経営さんにご支援いただきながら計画的・体系的に育成していこうと考えています。ベンチャー企業なので、どの事業もまだ途上です。たまたま業績が伸びただけで、どの分野も発展中であることを、全社員が認識する必要があります。

中村 創業から20 年以上、立派な企業へと成長されたにもかかわらず、「当社はベンチャー企業だ」とよく言われます。

山本 立ち向かう市場からすれば、まさにヒヨッコです。また「挑戦」といったニュアンスも必要だと考えているからです。

中村 謙虚な気持ちで「未知なる道」をつくる。その意志の表れだと理解しました。

山本 当社は、前を向き貪欲に走り続けている企業です。だからこそ目的を見失わないようご支援ください。

中村 ビジョン実現へ向け、今後も全力でサポートさせていただきます。

PROFILE

  • 所在地:〒658-0053 神戸市東灘区住吉宮町3-7-14 TEL:078-851-8819(代)
  • 資本金:1億7975 万775円 創業:1993 年
  • 売上高:57億円(2013 年11月期) 従業員数:100 名
    http://www.koyoelec.com/

建設ソリューション成長戦略研究会
建設ソリューション成長戦略研究会