"次代へ挑む" ファーストコールカンパニーの取組み

総合メディカル株式会社

総合メディカル株式会社

  • 代表取締役 副社長執行役員 坂本 賢治 氏
  • 取締役 専務執行役員・経営戦略本部長 黒田 誠 氏

株式会社タナベ経営

  • 常務取締役 南川 典大
  • 九州本部 経営コンサルティング部 部長 松室 孝明

さまざまな研修を通し全社員への理念浸透を図る

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南川 日ごろからタナベ経営のコンサルティングをご活用いただき、ありがとうございます。長年のお付き合いを心より感謝いたします。まず、総合メディカルの概要をご説明ください。

坂本 当社は1978年に株式会社総合メディカル・リースとして創業し、医療機器専門のリース事業を開始。87年に医業継承支援や入院患者向けテレビのレンタルなどを始め、88年に「そうごう薬局」の1号店を開設しました。
 そして翌89年に現社名へ商号を変更。「よい医療は、よい経営から」というコンセプトのもと、医業経営のトータルサポートを行い、2000年に東証2部上場、翌01年に東証1部指定を果たしました。2015年で創業37年、38期を迎えます。

南川 現在の事業内容は?

坂本 医療機関向けに経営コンサルティングや医師の開業・転職や医療連携を支援するDtoD(Doctor to Doctor)や、アメニティー向上のためにリース・レンタルなどを行う医業支援事業と、そうごう薬局を全国に538店舗(15年3月末現在)展開する薬局事業という二つの柱があります。これらに加え、高齢者向け住宅などを運営する介護事業を展開しています。
 15年度の売上高は1079億円。16年度で1200億円を見込んでいます。社員数は約4500名です。

南川 総合メディカルは経営理念の徹底に力を注がれ、ブレのない経営スタンスを確立されています。経営理念に対する思いをお聞かせください。

坂本 当社には、経営理念である「わたしたちの誓い」「社是・社訓」があります。「社是・社訓」は創業10年目に、「わたしたちの誓い」はさらにその10年後である創業20年目に制定し、以降、何度かの改定を経て現在に至ります。
 「わたしたちの誓い」は、価値高い人生を送るための社員の生き方。「社是」は会社の使命、「社訓」は社是を達成するための総合メディカルと社会との約束・誓いを示しています。研修の場などで理解を深め、それらを指針に全社員が行動します。

南川 4500名を超える従業員に理念の浸透を図る施策を教えてください。

黒田 新卒採用であれ中途採用であれ、入社直後の集合研修から理念教育をスタートします。階層ごとに現在さまざまな研修を行っていますが、理念の教育を中核に据えています。

南川 「今の行動は経営理念から外れるのでは?」といった会話が日常的に行われるレベルに達しているのでしょうか?

黒田 例えば、新しい案件に取り組む際は、正か邪か、善か悪かをまず判断し、その上で採算性を論じます。このルールにのっとって、採算性が合ったとしても「経営理念にふさわしくない」と否決された事例を、重要な決裁会議の場で目の当たりにしています。

南川 会社は社会のためにあるという倫理を、全社員に浸透させる努力を続けておられるのですね。



経営理念
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社員満足の向上が顧客サービスの拡充促す

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南川 事業展開の特徴をお話しください。

坂本 当社の場合、お客さまからの相談を受け、ニーズに応える中から今の事業ができました。例えば、医薬分業が進む中、開業支援を通して「薬局をやってくれないか」という依頼に応えたのが薬局事業です。顧客の「不」(不安・不満・不信・不足・不便など)を取り除く中で、事業が広がっていったのです。

南川 最初からビジネスモデルがあったのではなく、お客さまの「不」を解決することで事業が拡大していったのですね。東証1部企業として、経営に留意している点を教えてください。

坂本 コーポレートガバナンスです。会社法改正への対応に注力しています。

黒田 後追い対応ではなく、できる限り先手を取って体制を整えるように努めています。例えば、企業ガバナンスの観点より、経営体制と執行体制を分離し、各取締役の所管部署・委嘱業務を明確にしています。
 社外役員に関しては、15年6月の株主総会で社外取締役を2名とすることを承認いただきました。独立役員(一般株主と利益相反が生じる恐れのない社外取締役または社外監査役)も増員し、うち社外監査役1名には初めて女性の方に就任いただきました。今後も企業経営の透明性を担保する施策を積極的に採用していきます。

南川 コーポレートガバナンスの確立には、社員の協力が欠かせません。

坂本 社員満足度(ES)の向上にも力を注いでいます。お客さまに一番近いのは社員であり、社員を大切にすることが、お客さまのニーズに気付くことにもつながります。企業にとって社員は貴重な財産です。
 第30期に入ったときに、「わたしたちの誓い」「社是・社訓」の見直しを図り、社訓に「社員の豊かな人生を願い、社員とともに成長します」という一文を入れました。まだまだ不十分ですが、社員を大切にする姿勢を社訓として示したのです。

南川 社員が豊かにならないと、よい顧客サービスは提供できませんし、よい仕事につながりません。

医療モールを全国へ広げ介護・健康分野も積極的に推進

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松室 総合メディカルの事業は、ベースに医療機関への経営コンサルティングがあり、そこにさまざまな商品やサービスがつながるというビジネスモデルです(【図】参照)。対象顧客は医療機関が中心ですか?

坂本 薬局を通して患者さんと直接的にやりとりをすることもありますが、医師、医療機関が中心です。

松室 中期経営計画は2年目に入りました。その重点施策を教えてください。

黒田 「医療モール(複数の診療科目のクリニック、薬局を一つのエリアに集め、効率的で質の高い医療を提供する開業スタイル)の開発」に重点を置き、地域住民の利便性向上だけではなく、医療と介護の連携も図っています。医療費抑制の観点からも、社会的に有意義な事業であると自負しています。

松室 開業支援件数が伸び、15年3月期は308件に達しました。開業に関わった件数は全国ナンバーワンではないでしょうか。要因は何だと思われますか?

坂本 人財育成の部分では、当社独自の社内認定資格「PPI(プラクティス・プロセス・イノベーション)」を制定して能力の見える化を行い、社員の成長を後押ししています。それに相まって、開業支援件数も増加したと考えます。

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松室 新規の事業領域への取り組みはいかがですか?

黒田 「いかに病気にならないか」「いかに病気を重症化させないか」など、地域の健康を支える取り組みを本格化しました。14年10月には対馬(長崎県)で行政と連携し、「そうごう薬局」を一つの場とした糖尿病重症化予防事業を開始。また15年3月には、法人や企業人事、保険者向けに健康情報の提供やEPA(Employee AssistanceProgram:従業員支援プログラム)サービスなどを提供する株式会社保健同人社をグループ会社に迎えました。

松室 時代は追い風ですね。15年から「健康経営銘柄(※1)」がスタートし、「健康経営」が注目されています。既存事業の強化についてのお考えは?

坂本 地域になくてはならない医療モールを全国へ展開することで、患者さんの利便性と医療の効率性を向上させたいと考えています。さらにDtoDを進化させて、地域になくてはならない医療機関を支える取り組みを進める計画です。
 薬局も薬剤師の職能発揮により、医薬連携の強化、医療費の適正化、在宅医療の充実、セルフメディケーションの取り組みなどを通して、「みんなの健康ステーション」として地域包括ケアを担う価値ある薬局を目指していきます。

松室 かかりつけ薬局の機能や、薬剤師が果たすべき役割を、地域に広めていくのですね。

※1 健康経営銘柄:東京証券取引所の上場会社の中から、従業員などの健康管理を経営的な視点で考えて戦略的に実践している「健康経営」企業を、経済産業省と東京証券取引所が共同で業種区分ごとに1社選定するもの。

次世代戦略リーダーを育成しヘルスケアビジネスを進化させる

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南川 長期ビジョンで「日本型ヘルスケアビジネスへの挑戦」を標榜されています。

坂本 当社が目指す「日本型ヘルスケアビジネス」とは、国民が効率的に質の高い医療を受けられる医療システム構築に貢献するビジネスです。「地域になくてはならない病院」と認められるブランド化を支援しながら収益ベースの確立を目指すのが、将来的なイメージです。

南川 日本型ヘルスケアビジネスには、医療機関、患者、医療機関従事者、保険者という顧客層が考えられます。事業としてはDtoD、価値ある薬局、予防、介護などが挙げられるでしょう。後期高齢者が増えるにつれて、さまざまな隙間が見えてくるのは確実。「不」を発見・解決することで、よりよい社会づくりに貢献するお考えですね。そのためには、優れたセンシビリティー(感受性)と卓越したスキルを持った「次世代戦略リーダー」の育成が必要です。

黒田 創業者たちが中心となり、当社を引っ張ってきました。そして現在は、第2世代の経営者が会社を率いており、リーダーシップが変換期に差し掛かっています。会社の規模が大きくなり、社会的なニーズや規範も変わる中で、企業統治の体制を整え、複数のリーダーがそれぞれの領域をけん引しています。

坂本 その一つの表れが、「支社制」といえます。地域別に戦略を立案し、迅速な意思決定のもとに事業活動を行う仕組みです。医療は地域によって特徴が違うので、現場に近いところでの判断や創造が必要になります。現状では、支社のトップが次世代戦略リーダーといえるでしょう。さらに成長していくために、今後も次世代のリーダーが必要となってきます。

松室 タナベ経営のジュニアボードシステムを原型とする「総創塾(※2)」は7期・7年目を迎え、70名の次世代戦略リーダー候補が育ちつつあります。総創塾のメリットは何だと思いますか?

坂本 従来は現場での教育が中心でしたが、タナベ経営の協力を得て、経営の視点での先見力・構想力・全体最適思考を養成できてきたことが、総創塾の大きな成果です。カリキュラムの最後の成果発表に至るまでの急成長には、目を見張るものがあります。卒業生は、今でも連絡を取り合う関係を築いているようです。

松室 全役員の前で、一社員がプレゼンを行うシーンはなかなか見られません。自己成長に結び付く貴重な体験になっていると思います。また経営陣の方々にとっても、次世代戦略リーダー候補からの提案は新鮮で、まさに"ジュニア・ボード(擬似役員会)"の機能を果たしているのではないでしょうか。

黒田 総創塾は、次世代経営執行メンバーの育成に多大な効果があったと確信しています。

南川 総合メディカルのますますのご発展をお祈りし、微力ながらタナベ経営もご支援を続けさせていただきます。本日はありがとうございました。

※2 総創塾:次世代戦略リーダー候補者が事業戦略の構築を通じ、リーダーとして必要な品格、先見力、構想力、全体から見る力を、学びながら養う社内教育機関。「総」は「全体最適・大局観」、「創」は「創造する力」を意味し、新たな「総」合メディカルを「創」るという意味も込められている。

PROFILE

  • 所在地:〒810-0001 福岡市中央区天神2-14-8 福岡天神センタービル16F TEL:092-713-7611(代)
  • 資本金:35 億1300万円 創立:1978 年
  • 従業員数:正社員3307名、パート1208 名(連結、2015年6月1日現在)
  • 事業内容:医業経営コンサルティング、医療機関への医師の紹介、医師の転職・開業支援、医業継承支援、保険調剤・一般薬・介護用品の販売、医療機器などのリース・販売、入院患者向けテレビのレンタル
    http://www.sogo-medical.co.jp/