"次代へ挑む" ファーストコールカンパニーの取組み

株式会社サンエース

株式会社サンエース

  • 代表取締役社長 中山 勇人 氏

株式会社タナベ経営

  • 取締役 藁田 勝
  • 大阪本部 副本部長 山本 剛史

創業以来、連続黒字 経常利益率10%超

藁田 日ごろからタナベ経営のコンサルティングサービスをご活用いただき、ありがとうございます。まず、サンエースの概要をお聞かせください。

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中山 サンエースは1949 年に創業し、現在は129 名の社員と、11の拠点を有する会社です。私が3代目の経営者になります。
 創業以来66 年間、黒字経営を続け、自己資本24 億3000万円、自己資本比率84.7%の健全体質です。2015 年1月期の売上高は36 億8000万円。タナベ経営が目標に置く経常利益率10%超を6期連続で達成しています。
 当社には事業の柱が2本あります。自動車に関わるオートサプライヤー事業部と、建築・住宅関係のリファイン事業部です。(【図】参照)
 オートサプライヤー事業部は、自動車の修理を行う鈑金・塗装工場に工具や塗料などの材料を卸す専門商社です。売上高・利益ともに業界ナンバーワンで、ニッチトップになっています。
 また、北海道・東北・関東・関西・九州の各地域を代表するオートサプライヤー5社で「トップネット」というネットワークグループを結成。トップネットブランド(PB商品)の企画販売や、「トップネット全国大会」による人財育成の強化などを推進し、グループで業界シェア20%超を占めるまでになりました。
 リファイン事業部は、パナソニックのリフォームを行うリファイン店を運営しています。戸建て・マンションに最適な増改築プランの提案や企画、施工などを地域に密着して手掛けています。
 リファイン店は8割が赤字といわれるように、当社のリファイン事業も赤字続きでしたが、黒字化に成功しました。神戸市内に展開した3店舗の空間提案力が高く評価され、パナソニックの「リファイン大賞」を20 年連続で受賞しています。売上構成は、オートサプライヤー事業部:リファイン事業部で、だいたい3:1になります。

藁田 サンエースの強みと特性をお聞かせください。

中山 一番の強みは、財務内容がとても安定していることです。赤字を出すことなく、地道に利益を出し続け、自己資本を積み上げてきました。貯めた資金を、世の中に役立つようにどう使っていくかが、これからの課題になると私は思います。また、200 品目以上のPB商品を持っており、価格競争力があることも大きな強みといえます。
 さらに、就職先として学生から人気が高いことも強みです。日本経済新聞が発表した関西地区就職希望企業ランキングでは3年連続100 位以内に入り、直近の順位は37位でした。関西地区の中小企業で人気ナンバーワンと学生に評価されたことに価値があると思っています。



企業理念
一.お客様第一の精神こそ経営の原点であり、わが社は、お客様の喜びをわが喜びとする。
一.会社の繁栄と、社員のしあわせが常に一致する、働きがいのある公正な会社とする。
一."事業は人なり"の信念のもとに、常に人材の育成強化に努め、もって業界No.1 となる。

社訓
誠実と努力
革新と創造

私たちの信条
一.基本動作の出来る社員であろう
一.意欲に満ち満ちた社員であろう
一.能力の向上に励む社員であろう
一.人の和に心を配れる社員であろう
一.健康の増進に努める社員であろう

基本精神
「皆揃って幸せになりたい」
~ Be happy all together ! ~

企業活動の根本となる「サンエース物語」

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藁田 次に、サンエースが追求する理念経営をお聞かせください。

中山 当社には「サンエース物語」という根本思想をまとめた冊子があります。阪神・淡路大震災の翌年、当時の役員が集まって作成しました。全て手書きで「人はなぜ働くのか」から始まり、仕事を通じて、お客さまの喜びの実現に尽くすことが世の中のためになり、自分自身が成長することで、周りの人々を幸せにできると説きます。また、会社とは社員一人一人の幸せを実現するための共通の場と位置付け、会社の発展は手段であり、自己の成長が目的だと明記しています。
 「それでは利益が出ない」との意見もあるでしょうが、当社には66 年間黒字経営を続けてきた実績があります。「右手に論語、左手に算盤(そろばん)」という渋沢栄一の言葉がありますが、当社の場合は「右手にサンエース物語、左手に業績」です。二つの要素をいかにつなぐかが、経営のポイントになると思います。

藁田 サンエース物語は経営理念や基本精神などにつながっていますね。

中山 その通りです。「お客様第一」「会社の繁栄=社員の幸せ」「事業は人なり」を経営理念に掲げ、「皆揃って幸せになりたい」を基本精神とし、"人"中心の事業計画を推進することで企業基盤を築いてきました。「サンエースに関わる全ての人を幸せにしたい」。この姿勢を社員一人一人が大切にすることで、お客さまから支持されています。

藁田 リファイン事業部の黒字化について、具体的にお聞かせください。

中山 前述した通り、リファイン事業部は9期中8期が赤字という時期がありました。事業の存続か撤退かを決めようと「これで委員会」を立ち上げ、さまざまな議論を重ねました。そして、最終的に「サンエース物語に沿った改革を徹底する」と決定。改革を断行してリファイン事業部は黒字転換できました。
 改革では、お客さまへの付加価値提供に重きを置いて、社員の意識改革を徹底して行うことからスタート。粗利益率は右肩上がりに向上しました。

藁田 改革の前後で粗利益率が10%も向上しています。その原動力になったのがサンエース物語なのですね。

中山 当たり前のことを当たり前に行えるようになろうと、基本動作をこと細かく指導しました。営業時の服装はもちろん、契約時のボールペンにもこだわることで一人一人の意識を改革し、これだけの価値を提供できますと胸を張れる事業部になりました。

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大学とのパイプづくりと独自のインターンシップ

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山本 採用に関しては、「わが業界には優秀な人材が来ない」「新卒採用は無理」といった消極的な意見の経営者が多いようです。採用に対する中山社長のお考えは?

中山 当社の社員が業務を行う現場は、決してきれいな環境とは言えません。しかし、自分の頑張りが世の中の役に立つと確信しているので、実に生き生きと働いています。私は銀行に16 年間務め、数多くの企業を見てきましたが、当社のように社員全員にまで理念が浸透している大企業は存在しません。中堅・中小企業には、大企業に絶対負けない強みがあると思います。そこを学生にアピールすべきです。
 「真っ白な新卒を、経営者の手でこの世のために育てていく」というのが、中堅・中小企業の人づくりに対する根本的な考えではないでしょうか。「新卒採用は10 年先への投資」とタナベ経営は提言されていますが、まさにその通りです。その投資は大きな利子を付けて必ず返ってくると、私は信じています。

山本 採用・育成やモチベーションアップの仕組みによって実現された、社員が生き生きと働く環境が評価され、サンエースは「平成26 年度おもてなし経営企業選」(経済産業省)に選出されています。現在の採用活動を具体的に教えてください。

中山 新卒の採用活動では、特に就活(就職活動)サイトが注目されますが、学校とのパイプづくりも重要だと考えます。当社は地元の神戸大学と良好な関係を築くことができ、キャリアセンター/大学生協が発行する『地元企業特集』に4年連続して掲載されました。「有名な国立大学だから敷居が高い」と諦めることなく、自社がターゲットにする大学へ出向いてみることが、優秀な人材獲得の大きなステップになると思います。
 もう一つ、当社が重要視するのはインターンシップ(就労体験)です。学生をお客さまのもとに連れて行くのは失礼に当たると考え、私と一緒に経営企画を考えてもらうことにしています。
 経営者が経営企画を考える場合、右脳で夢を膨らまし、左脳でハードな計画を組み立てます。この右脳で楽しみながら夢を膨らますところを学生にやってもらうのです。これがとても好評で、今では当社に入社していない学生からも「サンエースのインターンシップに参加した方がいいよ」という情報がクチコミで広がっているようです。

山本 情報を聞き付けた関西の上場企業の採用担当者から、インターンシップを見学したいという要望があったそうですね。参加した学生からは「感動して涙が止まらなかった」といった感想が寄せられていました。

中山 最初に両親への感謝の手紙を書いてもらいます。両親のいない人には、それを乗り越えて感謝の気持ちを書いてほしいとお願いします。それから当社の内定者や若手メンバーも参加して「皆揃って幸せになりたい」の実現を、インターンシップを通して図っていきます。
 インターンシップ期間中に、自社への入社を促すような宣伝は一切しません。興味を持った学生は、必ず会社説明会に戻って来てくれますから。自社の宣伝に力を入れる大手企業との差別化が、自然に図れます。
 14 年度は、その後、会社説明会を11回開催して、418 名が参加しました。エントリーしたのは3000 名です。会社説明会は1次選考を兼ね、算数や漢字の試験も行います。小学3、4年生のレベルですが、実際に解けない学生もいるのです。次いでグループ選考でふるいに掛け、面接に入ります。面接は計6回で、人財開発室、支店長クラス、リーダークラスに続いて、私が面接します。1回の面接には1時間以上をかけ、互いに真摯(しんし)に向き合って話をします。

経営者の熱い思いと夢に共感する学生は必ずいる

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山本 内定後の取り組みについてお聞かせください。

中山 私が社長になってから内定辞退者は1人も出ていません。内定を出した日は、個別に料理店に誘い、私と1対1で祝杯を挙げます。内定者が出そろうと、全員を集めて内定者ミーティングを開催。グループワークを行い、それぞれの性格や個性を知ってもらいます。ここで芽生えた仲間意識が、社会人生活に良い影響を与えているようです。
 インターンシップには内定者も参加します。また、私が内定者のご両親のもとへあいさつに伺い、決算書も持参して当社の説明をします。厳しい質問をいただくこともありますが、真摯に答え、互いの思いを語り合います。そして、年が明けた2月の全社ミーティングでは、社員の前で一人一人の自己紹介をしてもらいます。

山本 トップの熱い思いと大きな夢を学生に伝え、それに共感する学生が集うのですね。最後に読者の皆様へのメッセージをお願いします。

中山 中堅・中小企業の経営者が本気になったら、大企業に絶対負けないと確信しています。それが中小企業の元気につながり、ひいては日本経済のためにもなると考えます。

藁田 創業以来66年間の連続黒字という実績は、社員一人一人が成長し続けている証しであると感じます。本日はありがとうございました。

PROFILE

  • 〒658-0054 神戸市東灘区御影中町2-1-4 TEL:078-851-8060(代)
  • 資本金:4800万円 創業:1949 年
  • 売上高:36 億8000万円(2015 年1月期) 従業員数:129 名(2015 年1月期)
  • 事業内容:オートサプライヤー事業、リファイン事業、保険事業、ライフ事業
    http://www.sunace-net.com/