"次代へ挑む" ファーストコールカンパニーの取組み

株式会社タカカツホールディングス

株式会社タカカツホールディングス

  • 代表取締役社長 髙橋 勝行 氏
  • 専務取締役事業部長 髙橋 勝典 氏

株式会社タナベ経営

  • 常務取締役 中村 敏之
  • 東北支社長 深澤 宏
  • コンサルティング戦略本部 東京本部長 齋藤 正淑
  • 東北支社 経営コンサルティング部 部長 山内 一成

三つの事業で住まいの「専門化」へと進化

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中村 日ごろからタナベ経営のコンサルティングサービスや「住まいと暮らし」研究会をご活用いただき、ありがとうございます。まず、タカカツグループの創業の経緯についてお聞かせください。

髙橋(行) 1955 年、父の髙橋勝三が古川駅前大通り(宮城県大崎市)に「髙勝材木店」を創業しました。今のサッシはアルミ製が主流ですが、当時は木製でした。それに目を付け、秋田県や青森県から質の良い材木を仕入れて建具屋へ卸したのが事業のルーツです。
 63年には法人化し、少しずつ事業を拡大しながら、建材の多角化に取り組み、住まい1軒分をほぼ網羅できる商品構成を整えていきました。
 私が27歳のとき、父が食道がんを患い75年に他界。当時の私の役職は専務でしたが、実質的な社長業務を行うようになりました。

中村 その後、顧客と真剣に向き合う過程で、「住まいの垂直統合」というビジネスモデルが確立されていきます。

髙橋(行) 最初から「住まいの川上から川下までを垂直統合する」という考えを持っていたわけではありません。事業の拡大に取り組んだ背景には、78年の宮城県沖地震があります。地震被害に対する補助金によって特需が発生し、工務店は膨大な数の家を建てました。ところが特需は2年で終わり、宮城県北部にある工務店の売上高上位10社中7社が倒産。当社も得意先を失い、不良債権を抱える挫折を味わいました。
 この経験から「安全・安心を追求しながら、よりエンドユーザーに近い事業を展開したい」と思うようになり、ホームセンター事業を立ち上げました。米国のホームセンターを見学すると、木材を取り扱っている店が多かったので、当社も資材中心のホームセンターを運営できるのではないかと考えたのです。結果的には目標とした業績を上げることができず、ホームセンターは他社へ売却することになったのですが、これが周辺事業へ進出する大きなきっかけになりました。

中村 苦渋の決断だったと拝察します。しかし、小売業への進出により「常に消費者の視点で考える」という新たな企業DNAが形づくられ、新築事業やリフォーム事業へとつながったのですね。

髙橋(行) 工務店との良好な関係づくりにも積極的に取り組みました。勉強会や視察を頻繁に行ったほか、当社が土地を提供して住宅の総合展示場を開設。工務店には「建物が売れなかったら当社が引き取る」と約束して出展を促しました。これほど工務店支援を行うところはないと全国で評判になったほどで、今も工務店とのお付き合いは大事にしています。

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中村 新築中心の住宅事業、増改築や設備工事のリフォーム事業の立ち上げと拡大だけでなく、祖業でもある建材卸事業を大切にする。この三つの事業をバランスよく「お客さまのお役に立ちたい」という揺るぎない思いで進化・成長させる「3事業経営」を貫いておられます。

髙橋(行) 三つの事業を展開したことが、住まいの川上から川下まで網羅することにつながったわけです。(【図】参照)



社是
誠心誠意
経営理念
住まいの専門企業として高い志を持ち社会から必要とされる企業であり続ける

経営の4原則に基づきグループシナジー発揮へ

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山内 タカカツグループが重視する「経営の4原則」の内容と狙いを教えてください。

髙橋(行) 「経営理念の浸透」「経営戦略の実践」「社風づくり」「人財育成」からなる経営の4原則は、私がつくったものです。
 経営理念の浸透に関しては、月に1回、私が各事業部へ行って社員に経営計画書を説明する「理念浸透会」を4、5年間続けています。経営戦略の実践については、ホームセンター事業の経験を生かしたノウハウで、住宅・リフォーム事業の県北ドミナント化を推進。社風づくりは、サンクスカードや環境整備などを通して「ありがとう経営」の実践に努めています。それに連動した褒め合う文化づくりの実践が、人財育成のコアになります。
 理念、戦略、社風、人財をバランスよく展開する仕組みづくりには、トップの率先垂範が不可欠です。私は毎月300枚以上のサンクスカードを1日1時間以上かけて書いています。トップがこれだけ力を入れていると、社員も自主的に実行するものです。2013年の社員表彰式で、私は逆に社員から表彰されました。私が社員表彰を終えたところで、「社長を表彰します」と言われたときの驚きは忘れられません。私の勲章みたいなものです。

齋藤 今後の事業展開についてお聞かせください。

髙橋(行) 施主から見れば、住宅メーカーも建材流通業者も工務店も同じ業界の企業であり、それらの企業が協力して住まいが誕生します。さらに、家は地元に建てることが多いため、どの工場で生産した建材も最終的には地元に運ばれ、地元の職人がつくり上げることになります。そこに施工とか加工とかアフターメンテナンスが発生するわけですから、まさに地元密着型ビジネスの典型と言えるでしょう。大手住宅メーカーが相手でも、宮城県北部に展開する人数や設備や体制に関して、当グループが負けることはありません。
 垂直統合にこだわるのではなく、B to C視点を大切にしたいですね。自前路線(全てを自社で製造・施工する)を前面に打ち出すことにも抵抗を覚えます。自前化して高額になったり、時代の変化に対応できなくなったりしたら本末転倒ですから。

齋藤 髙橋社長が考える事業戦略上の課題は何ですか?

髙橋(行) 自社だけが儲かるビジネスモデルは、決して長続きしないと思っています。地元の工務店と競合するのではなく、当グループの住宅事業が大きくなることで、建材事業の生産性が高まって安価な資材を提供できるようになり、周辺の工務店は安い部材を仕入れて利益を上げられる─という流れにしたいですね。

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齋藤 髙橋勝典専務は、タナベ経営の後継経営者スクールを受講されました。「真の中堅企業」を目指す上で、タカカツグループの経営戦略におけるポイントは何だとお考えですか?

髙橋(典) 住宅、リフォーム、建材の3事業を別々の会社が担当していますので、グループシナジーをいかに発揮できるかだと思います。
 現在、売上高200億円という目標を掲げた中期経営計画に取り組んでいますが、事業ごとの売上高の足し算では達成は難しいでしょう。各事業に横串を刺してグループシナジーを発揮させる環境を整えることが、真の中堅企業となる必要条件といえます。タカカツグループが建材の加工・流通から施工、リフォームまで一貫して行っていると分かれば、お客さまは安心するでしょう。それが地域密着の強みであり、最終的には真の中堅企業につながると考えます。

齋藤 シナジーを発揮するために工夫されていることは何ですか?

髙橋(典) グループ各社の状況を「見える化」したり、合同勉強会を行ったりして、横のつながりが意識できる環境づくりに努めています。また、各事業部から選出した社員が社長と一緒にバスに乗って各事業部の拠点を訪問する「バスウオッチング」も開催。1日を共に過ごすことで横のつながりが強化され、仕事でもコミュニケーションを取るなどの動きが出てきました。まだ小さな波ですが、大きなうねりを生み出すきっかけになると期待しています。加えて、各事業部からの選抜メンバーで構成するプロジェクト(施工力強化や人事制度再構築を検討するプロジェクト)もシナジー発揮に貢献しています。

持株会社の設立も事業承継の一環

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深澤 事業承継に関しては、早い時期から「2016年4月にバトンタッチ」と公表されました。そのきっかけは何ですか?

髙橋(行) 私の場合、父が突然他界したため、事業のことを教えてもらった記憶がありません。相続税も払えず、10年かけて金利を払いながら分納しました。それ故、自分が譲るときは、計画的にしっかりと行いたいと考えました。5年前にタナベ経営と税理士に協力してもらって事業承継の方向を定め、予定通り16年4月にバトンタッチをするつもりです。
 また、経営者だけでなく、経営幹部も含めた承継であるべきだと考え、タカカツホールディングスという持株会社を設立しました。資本と経営を分離し、各社のトップのもとで事業を展開するスタイルを確立してほしいと思います。そのためには、グループ全体で理念や価値観、戦略などを共有することが求められます。

深澤 ご苦労された経験が計画的な事業承継につながったのですね。バトンタッチのお話を聞いた時の専務のお気持ちは?

髙橋(典) この道しかないと思っていたので、「来るべき時が来たな」と覚悟しました。タナベ経営から5年間のロードマップを渡された時から「残された時間は短い」と気合いを入れ、課題を一つ一つ克服することに努めてきたつもりです。大学卒業後は松下電工(現パナソニック)に就職してB to B ビジネスに携わり、当社に入ってからはB to C の仕事を担当してきました。両方の仕事を体験できたことは、私の大きな財産になっています。

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深澤 後継者は、会社のことを何でも知っていなければならないと焦る人が多いものですが、専務はいかがでしたか?

髙橋(典) 自分が新築住宅事業を経験していない点などが不安でした。ただ、新築住宅を含め、リフォーム事業部や管理本部も、しっかりした責任者が育っているので、気を楽に持つことができました。

深澤 経営ブレーンの育成で配慮していることはありますか?

髙橋(典) 現在の第2次5カ年計画では「中堅企業チャレンジ7」という名称で、経常利益率7%を確保する目標を掲げています。その達成に向け、ここ数年は毎年25~30名の社員を増強してきました。これからも増やさないと事業を展開していけません。タカカツグループはハイテクで先進的なモノをつくるのではなく、泥臭い仕事をする会社の集合体。多くの社員から「社長と一緒になって会社を盛り上げたい」と思ってもらえるような体制をどう築くかがポイントでしょう。トップの率先垂範に懸かっています。

中村 これからのタカカツグループをどのような企業体にしたいとお考えですか?

髙橋(行) 中小企業から脱皮し、本当の中堅企業と称される体制を築きたいですね。

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髙橋(典) 企業からもエンドユーザーからも「タカカツがあってよかった」と言ってもらえるような企業を目指したいと思います。

中村 「100年発展」へ向け、タカカツグループが取り組むべきテーマを一言で表現するならば、「3・4・5」になると判断しています。「住まいの専門化」として垂直モデルの価値を顧客へ届けるためにも、自立した3事業経営を継続していく。経営の4原則をしっかりと受け継いでいく。そして、タナベ経営が提唱する「ペンタゴン(5角形)経営」という、販売・開発・工事(製造)・経理・人事の五つをバランスよく機能させる経営スタイルを確立することです。それによって、100年先も一番に選ばれる会社「ファーストコールカンパニー」を目指していただきたいと思います。本日はありがとうございました。

PROFILE

  • 所在地:〒989-6255 宮城県大崎市古川休塚字新西田38-1 TEL:0229-28-4000(代)
  • 資本金:9541万円 創業:1955 年
  • 売上高:105 億円(グループ計、2014 年12月期) 従業員数:250 名(グループ計、パート含む、2014 年12月期)
  • 事業内容:住宅事業、リフォーム事業、建材事業など
    http://www.takakatsu.co.jp/