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今週のひとこと

優秀な人材は、

魅力ある経営者のもとに集まる。

経営者は夢を語ろう。





◆中小企業における新卒採用戦略

◆学生の確保に悩む採用担当者

「採用戦略」という言葉を聞いて、読者の皆さんはどんなことを思い浮かべるだろうか?
筆者が経営者や採用担当者と採用について話をすると、ほとんどの方が「母集団の集め方」の話をされる。しかし、中小企業は「母集団の形成」よりも「歩留まりの向上」に力を入れるべきだ。本稿では、その理由と手法について述べたいと思う。


2016年の新卒採用においては、政府の要請により経団連が採用活動のスケジュールを大幅に変更した。採用広報解禁は大学3年生の12月から3月へ、選考開始時期は4年生の4月から8月へとそれぞれ後ろ倒しとなり、対応に苦労した企業も多い。実際、「どこにいけば学生がいるのか分からない」といった言葉を経営者・採用担当者から聞く機会が多かった。

◆歩留まり率の向上に目を向ける

母集団の形成は、企業の規模・知名度・就職活動ナビサイトや合同企業説明会への投資額に比例しやすく、中小企業が母集団を増やそうと思っても、すぐに達成することは難しい。それに加えて、2016年卒の採用活動では、先に述べたように学生と大企業が例年と違う動きをしたため、今まで以上に母集団を集めにくくなってしまった。

そこで今後、採用活動において重要になるのが「歩留まり」である。例年よりも少ない母集団から、例年並みもしくはそれ以上の人数の学生を採用するには、歩留まりを向上させなければならない。そのためには、どのような対策をとるべきなのか? 次に例を挙げながら紹介していきたい

1.現状認識

まずは自社の歩留まりがどの程度なのかをチェックしていただきたい。ここではA社の例(【図表】参照)を紹介する。

【図表】A 社の歩留まりの現状分析例

A社では、2015年の新卒採用では400名のエントリー、2016年の新卒採用では300名のエントリーがそれぞれあったが、初めのステップである企業説明会への参加者数はそれぞれ79名、51名と歩留まり率が20%以下であった。エントリーをした後、企業説明会に参加したいと思う学生の数が少なかったことが分かる。つまり、企業説明会の事前情報が不十分であったこと、または学生にとって魅力的な情報を発信できなかったことや、エントリーした学生のA社への志望度が高くなかったことなどが考えられるため、来年に向けて手立てを講じたい。/span>

また、企業説明会に参加した学生のうち1次面接を受けた学生の歩留まりは2015年卒では88.6%と高いが、2016年卒では58.8%にとどまった。大手企業と面接の日程が重なったと考えられるため、日程をずらすなどの工夫が求められる。自社の現状を正しく把握し、その上で対策を考えていくことだ。

2.歩留まり向上のための大前提

歩留まり向上の対策を考える上で、最大のポイントは「人」である。
筆者はさまざまな企業の採用活動を支援したが、同じ対策を講じても、「誰が」採用に携わったかによって、成果は大きく異なった。例えば、人事部の社員のみではなく、年齢が学生に近く、学生にとって魅力のある若手社員も部署の壁を越えて携わるべきだ。

また、他社との差別化も検討する必要がある。差別化ポイントはどこなのかが明確になっていない企業は、就職活動サイト、自社ホームページ、説明会などで発信する内容が毎回異なり、自社のアピールがピンボケしているケースが目立つ。担当者によって話すことが違うと、学生に不信感を与えてしまうことにつながる。このようなことのないよう、自社の差別化のポイントは採用に携わる社員全員で共有しておかなければならない。


次に、実際のタイミングごとの対策事例を挙げていく。

(1)単独企業説明会への誘導

就職活動サイトへのエントリー、ホームページへの訪問者、合同企業説明会への参加者を、できる限り自社の説明会へ誘導する必要がある。そのためのポイントは、自社の単独企業説明会に学生が参加する理由をつくることである。

ある製造業の採用活動として実際に行った事例を紹介する。同社は、自社の差別化ポイントを「工場メンバーも気さくで明るく仲の良い企業であること」とした。就職活動サイトのページやホームページも一新し、単独企業説明会では若手社員との質問会の時間が多くあること、就職活動そのものの相談にも乗ることをアピールした。その結果、例年以上に学生が集まり、アンケートでも先輩社員との座談会が一番評価が高かった。

(2)選考への誘導

自社の強みをどのように伝えるかがポイントとなり、そのための演出、スケジュールなどをしっかりと組むことが重要である。
ここでも一つ事例を取り上げる。ある企業では差別化のポイントを「若い社長のもとで活気ある社風が醸成されている」と設定した。このポイントを訴求するため、企業説明会の最後に社長がサプライズで現れ、全員と握手をして終わるという演出を入れた。若く、勢いがあって爽やかな社長だからこそできる演出ではあるが、集まった多くの学生が感動しながら、積極的に握手をして帰っていった。実際、その回の説明会に参加した学生は、ほとんどが面接まで参加した。

(3)次の面接への誘導

この段階においても自社のアピールを忘れないことがポイントとなる。
面接は「企業が学生を選抜する場だ」と考えている企業は非常に多いが、学生が企業を判断する場でもある。機械的に質問を繰り返すのでなく、「わが社では、君の言っている〇〇をこんなふうに実現できる」といったように、自社のアピールを含んだ返し方をするなどの工夫が必要だ。

(4)内定辞退防止

学生の状況を把握し、その都度、対応することが必要である。そのためには学生との接触機会を増やさなければならない。内定者懇親会の開催や、自社でのインターンシップやアルバイト体験を提供するなどが一般的だが、他にも工夫の余地はある。例えば、ある製造業の採用担当者は、選考途中からやりとりを全てLINEでの連絡に変えた。すると、内定後も学生たちと密に連絡が取れ、学生一人一人との距離が縮まり、他社の選考状況の詳細や自社への志望度などを詳しく聞き出すことに成功したという。

タイミングごとで歩留まり向上に向けて実施した事例を紹介した。これらは一例であり、最適な対策内容は各社の社風、採用担当者の性格によって大きく変わる。まずは現状認識を行った上で、自社に最適な歩留まり向上対策を考えていただきたい。


コンサルティング戦略本部 チーフコンサルタント
内田 佑





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商品や価格は真似されても、人材は他社に真似できない

会社の未来をつくるのは「人材」である。 タナベ経営は、人づくりこそ100 年経営の絶対条件だ、と提言している。 人材へ投資し、育てる人は「会社の未来をつくる人たち」なのだ。 本シリーズでは、各社の「未来創造人」に人材育成方針を伺い、その取り組みを紹介していく。



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敷島住宅 取締役・総務部長 奥谷 又雄 氏


心のベクトルをそろえる

住宅1戸を建てるには、約3000 社・計6 万点の部品が関与するといわれる。それらを組み合わせ、価値を生み出すのは人材だ。ホームビルダーは施主に満足してもらえる家を建て、さらに未来の会社も建てる人材を、いかに数多く育て上げるかが重要となる。

だが一般的に、ホームビルダーの離職率は他業界に比べて高い。新卒社員(営業職)の入社後3年以内の離職率は90%に達するといわれる。入社しても定着しないため、人材育成より「人材獲得」に注力する企業も少なくない。

そんな中にあって、経営理念と人生哲学を軸とした人材育成に注力し、成長を遂げているホームビルダーがある。創業55 年、大阪北部を地盤に新築戸建て住宅やリフォーム事業を展開する敷島住宅だ。

同社は2004 年に就任した川島永好社長のもと、経営革新に向けた取り組みを強化した。

その中で重点課題に定められたのが人材育成だったという。同社は従来より人材育成に取り組んでいたが、OJT が中心で必ずしも一貫性があったわけではなかった。

「まず取り組んだのは、経営理念をもとに管理職の思考のベクトルをそろえること。『敷島経営塾』を立ち上げ、数回にわたって講習を行いました」と、取締役・総務部長の奥谷又雄氏は語る。


「敷島フィロソフィ」

その後、タナベ経営の「戦略リーダースクール」などを活用し、管理職に企業戦略の構築と実践に関するスキルを提供した。経営視点で考え、行動できる人材の育成を目指したのだ。

一方、社内に「統括戦略室」を設置。新商品開発やCS などさまざまなテーマのプロジェクトを立ち上げ、経営課題の解決に取り組んだ。

当初、現場の従業員は戸惑うことも少なくなかったという。

だが、経営陣の熱い思いに応える形で意識改革に真剣に取り組むようになった。その1人、京都支店長の岡田哲朗氏はこう振り返る。「以前は中途採用者が多く、仕事に対する意識がバラバラで、顧客のクレームに十分に応えられませんでした」敷島住宅の人材育成で効果を挙げているのが、「敷島フィロソフィ」の制定と運用だ。これは「動機善なりや、私心なかりしか」(心のフィロソフィ)、「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」(経営のフィロソフィ)など計62 項目で構成した人生哲学、経営哲学である。

「朝礼時にフィロソフィをもとに話をし、考え方の浸透を図りました。そこからクレームと真摯 に向き合うことの大切さを、全員で共有することができました」と岡田氏は言う。

敷島住宅 京都支店長 岡田 哲朗 氏
敷島住宅 京都支店長 岡田 哲朗 氏

最大の競争優位は人材

両氏は「タナベ経営のオープンセミナーが人材育成に役立った」と話す。「目標達成に向け課題をどう解決するか、従業員一人一人が自発的に考えるようになった」(奥谷氏)、「目先のことだけでなく、経営者視点で先を見据えて物事を考えるようになった」(岡田氏)。

人材育成を充実させる中で、新卒採用も強化している。「商品や価格は他社が真似をしても、人材だけは真似ができない。

ここに競争優位を築く一番のポイントがあります」と奥谷氏。

面接では成績や経歴より、どんな考え方を持った人物かを重視するという。「当社の理念を理解し、同じベクトルで考えて行動できるかが最も重要です」人材育成を起点に経営革新を図る敷島住宅。奥谷氏はこう断言する。「市場縮小時代にあって、古いやり方に固執してはダメ。常に挑戦する組織風土を構築しなければ。ここに新たな事業機会が生まれると確信しています」。同社が目指すのは「常に挑戦し続ける組織」だ。


PROFILE

  • 所在地: 〒570-0027 大阪府守口市桜町4-17 TEL: 06-6992-6733(代)
  • 資本金: 3000 万円 創業: 1962 年 売上高: 97 億5600 万円 従業員数: 93名 http://shikishima-j.co.jp/


タナベ コンサルタントEYE
次世代幹部や戦略リーダーは自然に生まれるものではなく、「生み出すもの」。お話を伺った敷島住宅では、川島社長の就任後10 年以上、人材育成に力を入れてきた。戸惑う社員が多い中、研修や朝礼で徐々に意識改革を図ったことは特筆に値する。執念で培った土壌から、優れた次世代幹部、戦略リーダーが生み出されていくだろう。


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(左)タナベ経営 コンサルティング戦略本部 副本部長 福元 章士
(中央)タナベ経営 コンサルティング戦略本部 人材開発部 アソシエイト 清水 駿
(右)タナベ経営 コンサルティング戦略本部 人材開発部 アソシエイト 岩﨑 直人






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