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今週のひとこと

喜ばれて儲かる会社となろう。

世の中の困っていることを見つけ、それを満たそう。

 





◆最近、ストレスがたまっていませんか?

私は、タナベ経営の採用責任者として日々採用面接を行なっています。その際、注意して見ていることの一つに、「家族や親友と温かい関係が築けているか」ということがあります。そのような人は、ストレス耐性が高い傾向にあるからです。

失敗しないにこしたことはありませんが、誰にでも失敗はあるものです。ただし、「失敗しても大丈夫」という心理状態は、ストレスを受けたときに、それを押し返すパワーの源になります。

例えば、「病は気から」という言葉があるように、プラス思考の人や、精神的に安定している人は、病気になりにくかったり、病気になったとしても回復が早かったりと、家庭などの安心できる場所、心の支えとなる場所があるということは大切です。

「ストレス社会」という言葉が使われはじめて、どれくらい経つでしょうか?
変化が多く競争も激しい今の環境の中で、ストレス耐 性は高いほうがよさそうです。


「最近、疲れがとれないなぁ」。
もし、そう感じておられるようでしたら、家族や友人と食事や旅行に行ってみる、といったことも計画してみてはいかがでしょうか。



経営管理本部 人事課 課長
渡辺 正明





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藁田 勝
立命館大学大学院修了(経営修士)。金融機関勤務を経て、2000年タナベ経営に入社、2014 年より現職。志の高い経営者とともに理想を追い続けるコンサルティングの実践が信条。赤字企業の再建から成長戦略の構築まで数多くの実績を誇る。



テクノロジーブランド化の「3つの着眼点」

上場企業(3 月期)の2015 年9 月中間決算は、中国経済の減速から一部の製造業で増益ペースが鈍ったものの、円安・原油安や訪日外客数の増加などを受け、好調に推移した。SMBC 日興証券の企業業績見通し(2015 年12 月1 日付)によると、上場主要250 社の2015年度決算の経常利益予想は12.0%増で、好調を維持するとのことである。

国内経済は引き続き、4 年後に控えた2020 年東京オリンピック・パラリンピック開催へ向けて伸展していくとみられる。中堅・中小企業にとっては大きな成長のチャンスが到来し、デフレ経済下のビジネスモデルから大きくかじを切る局面にある。

その一方、市場の成熟化が一段と進んでおり、製品のコモディティー化に一層の拍車が掛かっている。これは現在の延長線上の取り組みだけでは、自社の競争力が低下していくことを示唆している。

このような中、日本の製造業が持続的成長を実現していくためには、「テクノロジーブランド」、つまり固有技術のブランディングが求められる。ブランドとは、「差のないものを差別化する」ことだ。従って、テクノロジーブランドとは、「自社の固有技術を、他社がまねできないレベルで圧倒的に差別化すること」と定義付けられる。

テクノロジーブランド化を推進していく上では、次の3点に着眼していただきたい。

1点目は、「逆張り発想」である。他社がまねできないレベルにまで達するためには、他社がやらない、やりたくないことを行うこと。すなわち、業界の常識を破る必要がある。ライバルが思いも付かない発想で差別化を図るのだ。

2点目は、「課題解決技術」である。顧客から要望があった製品を形にするだけでなく、顧客の潜在的な課題を解決する技術を磨かなくてはならない。固有技術とは「課題解決技術」なのだ。どんなに優れた技術であっても、顧客の課題を解決しない技術は" 固有技術" とはいえない。

そして3 点目が、「非価格競争」である。価格で勝負するのではなく、顧客価値で勝負する。一度でも妥協して価格を下げた時点から、価格競争という負のスパイラルが始まる。非価格競争を実践するには、「価格は下げない」という強い意志が大切だ。

逆張り発想・課題解決技術・非価格競争。この3 つのキーワードに着眼し、テクノロジーブランド化に取り組んでいただきたい。





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技術のブランド化で新たな顧客価値を創出

小谷 俊徳
非鉄金属メーカーで生産管理に従事し、その後、食品メーカーで工場長、品質保証の責任者を経験。国内外の協力工場の品質・生産管理指導や海外工場立ち上げ時の技術指導も行う。タナベ経営に入社後、現場で培った経験をもとに、生産現場のほか調達から物流まで幅広い分野で、業績改善を軸にコンサルティングを行っている。創意工夫をモットーとする現場主義コンサルタント。



日本の製造業に求められる姿

メード・イン・ジャパンの製品は、高性能・高品質かつ高価格という" 高級品" のイメージが世界的に定着している。最近は、中国人旅行客が観光もそこそこに多くの買い物をして帰る、いわゆる「爆買い」が話題になっているが、その背景には円安効果に加え、日本製品の品質に対する高い評価がある。

一方で、価格競争や後継者の不在により、倒産・廃業するケースも少なくない。企業は「環境適応業」。日本の製造業も、人口減少や顧客ニーズの細分化、為替変動などにより激しく変化する外部環境に対応し、業績を伸ばす必要がある。

では、厳しい経営環境の中でも成長を継続できるのは、どのような企業か。それは、単に高性能・高品質の製品をつくるだけではなく、自社の技術をブランド化し、顧客の課題を解決する製造業である。

成長発展する製造業の5タイプ

成長発展している製造業の特徴は、次の5 つのタイプにまとめられる。

1. 開発提案型

2. 熟練技能型

3. 一貫生産型

4. フレキシブル生産型

5. パートナー型

それぞれについて、順に解説しよう。

1. 開発提案型

ノウハウを蓄積し、コアとなる技術を確立することで、顧客の課題を解決する方法を積極的に提案し、自社をブランディングしている製造業である。

このタイプの企業は、常に積極的な研究開発を行い、事業を展開する分野の最先端を走っている。顧客が抱える課題について相談を受けることも多く、情報が集まりやすい立場を確立している。他社が解決できなかった困り事を解決するため、交渉を優位に進めることができ、価格決定権を有しているケースも多い。

2. 熟練技能型

研究開発で培ったノウハウよりも、熟練技術者の経験と勘をもとに顧客の課題を解決する「匠(たくみ)の技」を持つ製造業である。

日本の中小・零細企業には、このタイプの企業がまだまだ多いが、1 社でできる加工の範囲や量が限られるため、最近は複数の熟練技能型企業が連携して製品を完成させるケースが増えてきている。他社にできない難加工を実現する技能を有しており、価格や納期に対する交渉において優位に立てる。しかし、匠の技の伝承は難しく、人材育成が大きな課題である。

3. 一貫生産型

自社の強みを生かして川上と川下に事業範囲を広げ、従来は顧客が分散発注していた加工を一手に引き受ける製造業である。

開発から最終製品、またはそれに近い形までの加工を一括して行うことで、コスト競争力を有しているケースが多い。フィルム印刷を手掛けるA社は、フィルムの製造から製袋と袋詰めにまで事業領域を広げて一元管理することで、低コスト化と短納期化に成功している。

顧客から見ると、ワンストップサービスで自社の手間が省ける上、広範囲の加工を任せることにより責任の所在を明確にできるという価値がある。このタイプの製造業は、多岐にわたる製造工程を有するが故に、全体最適を図るための改善においては、工程ごとに異なる技術を平均的にレベルアップする必要がある。

4. フレキシブル生産型

特注品や特殊品に対する対応力が高く、取引先が分散しているという特徴を持つ製造業である。

顧客の要望にフレキシブルに対応するため、設計・技術だけではなく生産からサービスまで一貫して迅速性が求められる。多くの製造業が嫌う小ロット生産を積極的に行い、他社が対応できない少量生産や短納期を実現することで、価格交渉権を有しているケースが多い。

5. パートナー型

特定の企業からの信頼が厚く、共同で開発から量産までを手掛けるため、安定した取引が可能という特徴を持つ製造業である。

このタイプの企業は、技術力を強みとしながら、単工程加工ではなく、幅広い開発・製造力を有しており、顧客から頼りにされている。また、顧客ニーズの収集力に優れており、的確な課題解決力を持っているが、下請け型のため、価格や納期に対する決定権は持たないケースが多い。

100年先も発展する製造業の共通点

このように、成長する製造業のタイプは5 つに分かれるが、長く発展し続けるための要諦は1 つ。「顧客目線での価値提供」だ。

過去の日本の製造業は、つくれば売れるプロダクトアウトで成長してきたため、「自社ができること」に基づく発想で開発を行う傾向が強い。しかし今、市場で求められているのはマーケットインの発想であり、顧客の求めているもの、困っていることを解決するソリューション型の企業である。自社ができることではなく、「顧客が困っていること」が企業発展のポイントとなってきている。製品を売るのではなく、技術で課題を解決することが、長く顧客に選ばれ続ける条件なのだ。

これからの製造業には、磨き上げたコア技術をフルに活用し、顧客の困り事を解決するための提案を迅速に行う対応力が求められる。この技術力と対応力を高めるのが、「技術のブランド化=テクノロジーブランド」である。

日本の製造業は優れた技術を有しているが、PRが不得意であり、それが技術のブランド化が進まなかった理由の1つでもある。今後は、優れた技術をうまくPRし、認知度を高めることでブランディングを行う必要がある。PRの場として代表的な展示会だけでなく、国や地方自治体などの表彰制度で選ばれることを目指して活動するのも手だ。また、異業種交流会や学会などへ積極的に参加し、自社技術をPR している企業は多い。

PRが進めば、技術のブランド化も進み、技術力そのものが" 営業" をしてくれるため、自然と相乗効果が生まれ、ファーストコールカンパニー(100 年先も一番に選ばれる会社)を実現できる。自社の技術を広く知ってもらうPRを戦略的に行っていく必要がある。

技術をブランド化する戦略

では、自社のどのような技術をブランド化すればよいのか。次の2 つの戦略が挙げられる。

戦略1:固有技術を磨き上げて技術をブランド化

自社の固有技術を、他社と差別化できるレベルに昇華させることでブランド化する。切る・削る・磨くなどの加工技術の1 つに特化したり、ある要素技術のブランド化を進めたりするということだ。特化した加工技術や要素技術を駆使し、顧客の課題を解決できれば、ブランド化の道は広がる。結果として顧客の相談が増えれば、情報が集まり、善循環のサイクルに入っていく。

製造業B社は、技術のブランド化によって下請け事業から撤退することで、売上高は減少したものの、粗利益率は大幅に向上した。社長の熱い思いのもと、約10 年をかけて下請け比率をゼロにし、経営を安定させたのである。

下請けからの脱却も可能とする技術のブランド化の入り口は、完成品ではなく「部品」である。製造業C社は、得意とする研磨技術を生かして成長分野である医療業界へ参入し、人工関節を商品化して成功している。

このように、テクノロジーブランドを確立し、他業界への越境を図るのも有効な戦略である。既存の業界に固執しないことだ。その際に大切なのは、プロダクトアウトの「できること」ではなく、マーケットニーズに合わせた自社の「できそうなこと」を追求し、どのマーケットで活用できるかを検討して、優先順位を付けることである。

戦略2:先端技術を取り込んで技術をブランド化

先端技術の代表例が3Dプリンタである。3Dプリンタは、実は20 年以上前に日本に上陸したのだが、なかなか注目を集めなかった。しかし、販売価格の低下により、近年は急激に脚光を浴びている。

3Dプリンタは、3次元データから直接、最終製品をつくることができるため、開発の期間とコストを大幅に削減できる。多品種少量生産に最適だが、試作品の製造にとどまらず、治具や部品の製造にも活用の場が広がっている。これは、他業界から製造業への異業種参入を容易にする技術でもある。導入すれば、新しい市場への進出も可能となる。実際、米国には3Dプリンタが100台以上並ぶデジタル工場が出現し、新しい産業へと成長している。

ただし、先端技術を導入するだけで他社と差別化を図ることは難しい。自社での改良・改善で自動化を進めるなど、省人化に努めて低コストを実現したり、技術者を育成することで、他社に負けない高精密な加工ができるように先端技術を応用したりして、技術をブランド化する必要がある。

単に流行に乗るのではなく、先端の技術・設備を使って、いかに自社の固有技術(課題解決技術)を差別化するか。さらに差別化によって、いかに付加価値を高めるかがポイントである。

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