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今週のひとこと

「自分がモデル」という覚悟を持とう。

部下はあなたを見て育つ。

率先垂範を心がけよう。





◆自分磨きの先にあるものは・・・

先日、宝塚歌劇を見に行きました。見たのは星組の公演で、メンバー全員がリズムに合わせて踊ったり、舞台の上で星組トップの北翔海莉(ほくしょう かいり)さんがピアノを弾き語りをしたりしている時には、彼女を中心に、周りのメンバートップスターをより引き立てていました。
また、当日の会場は満席、拍手喝采の大盛り上がりで、総勢100名以上のメンバーがプロとして舞台で演技をしている姿をみていると、感動すると同時に、ふと"自分自身はどうなのだろうか"と感じました。


ある漫画のシーンで「苦しくて苦しくて大変な演技ほど美しく見える」というセリフがあります。人は先の見えないことに対してヤル気は高まりません。目的が明確であるからこそ、その目的を達成した時の喜びを想像しながら頑張ることができるのです。そして、お客様から感謝されてはじめて、自分の努力は間違っていなかったという核心に変わり、次の原動力にもつながります。

宝塚歌劇団では舞台に上がるために個々人が苦しい練習を繰り返し、今日という日を迎えているに違いありません。それぞれの努力で身に付けた力を持ち寄り、チーム全体で最高の演技を披露する。これは演劇も企業も「顧客視点」という考え方では同じことではないでしょうか。

営業や内部管理、接客など仕事の内容はそれぞれですが、自分自身に課せられた仕事という「本番」のために自分磨きは大切だと言えるでしょう。


マネジメントパートナーズ本部
主任
北浦 雅世





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収益力を高める情報戦略
-LTVを最大化するCRMとWebの在り方-



情報活用格差=業績格差の時代に

クラウドによるネットワーク構築や、スマートフォン普及に伴うモバイルシフトなど、IT技術の進展により経営環境が大きく変化している。とりわけ、各業界のEC化率※は軒並み上昇を続け、インターネット通販を新たなビジネスチャンスと捉える企業も少なくない。その変化に伴い、企業の情報戦略の在り方も問われている。

企業にはたくさんの情報があるが、中でも「顧客情報」はどの業種・業態でもコアとなるデータである。しかしながら、この顧客情報を戦略的に活用できている中堅・中小企業は多くない。日常の取引実績が基幹システムにデータとして残っているだけで、その顧客情報をリピート率向上につなげられないでいる。市場が縮小し、同質化競争・価格競争が強いられる中、この情報活用格差が業績格差に直結する時代になったといえるのではないだろうか。


目先の業績よりLTVの視点を持つ

顧客情報を活用した営業活動には大きく2つの考え方がある。1つ目は、「この月の売り上げを上げたい(またはこの商品を売りたい)から、このターゲットに絞ってプロモーションをする」といった考え方である。これは、目先の業績対策を講じるために顧客情報を活用し、セグメントして販促を行うという重要な視点だ。

しかし、一過性の売り上げ(点)を求めるだけではなく、「一生涯にわたって顧客がもたらす価値(LTV = Life Time Value)を高めることで、自社のファンをつくる(線)」という2つ目の考え方も欠かせない視点である。後者の方が企業の存続や中期ビジョン実現のためには重要といえる。

CRMによる収益の安定化と拡大を図る顧客基盤づくり

LTVを高め、自社のファンづくりを推進する有効な経営手法としてCRM(顧客関係性管理)がある。CRMとは、顧客情報(年齢、性別、取引実績など)を管理・把握し、顧客とのコミュニケーションを通じて顧客満足を高めるための手法である。このCRMを構築し、「収益の安定化と拡大を図る顧客基盤づくり」に取り組んでいるクライアントA社の事例を紹介しながら、CRMの構築ポイントを解説する。

CRM構築は、「顧客の識別」と「顧客リレーションの構築」の2点に集約される。まず、顧客の識別とは、どの顧客がロイヤルユーザーかといったことを明確にすることである。その識別を単に顧客別売上高とする方法もあるが、A社はB to Cのビジネスモデルで、時間軸を加えた立体的な識別をすることが有効なため、

RFM分析を使って、顧客の識別を行った。(【図表1】)RFM分析とは、R(Recency:直近購入日)、F(Frequency:累計購入回数)、M(Monetary:累計売上高)の3つの指標で顧客を評価し、その組み合わせからロイヤルユーザーを明確化する手法である。A社では、基幹システムから顧客マスターや取引情報などを一元化し、RFM分析により顧客を格付けした。

【図表1】RFM 分析による顧客識別例
【図表1】RFM 分析による顧客識別例

次に、顧客リレーションの構築では、識別した顧客情報をプロモーションに生かし、リピート獲得や顧客単価アップの仕掛けをつくる。A社では、CRMを活用するに当たっての指標(KPI:重要業績評価指標)を策定した(【図表2】)。売り上げと昇格数が比例し、顧客の構造ともほぼ連動していることが分かる。

KPIは、単に客数、客単価、常連客の数などではなく、「R2の顧客をいかにR3に昇格(育成)させたか」といった育成の視点が重要である。そうすることにより、打った手(プロモーション)がどれだけ顧客育成(LTVの向上)に貢献したかといった効果測定ができるのである。

この意味で、CRMはプロモーションのPDCAを回す主軸として機能する。このように、A社ではKPIの測定やPDCAを回す体制を整えて、販促カレンダーを策定し、展開を進めている。

【図表2】A 社のCRM 活動のためのKPI
【図表2】A 社のCRM 活動のためのKPI

B to C に欠かせないWebプロモーション

販促の手段としては、ダイレクトメール、電話、訪問などがあるが、B to CではWebプロモーションが欠かせない。特に、企業と一般消費者との接点がスマホにシフトする中、A社もアプリ開発による顧客リレーションの構築を進めている。(【図表3】)

単に、アプリを介して顧客とダイレクトにつながるだけではなく、店頭での現場オペレーションの中で蓄積してきたCRMデータを活用し、顧客をセグメントして、アプリを通してプロモーションを行い、CRMの育成KPI向上を図るものである。

以上のように、収益の安定化と拡大を図る顧客基盤づくりを目指すA社にとって、CRMとWebを生かした情報戦略は、短期的にも中長期的にも収益力を高める突破口であるといえる。また、ビッグデータに象徴されるような、情報があふれるこの時代に、企業が避けては通れない経営テーマであると考える。

【図表3】Web を活用した顧客リレーションの構築 【図表3】Web を活用した顧客リレーションの構築

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  • タナベ経営 コンサルティング戦略本部
  • チーフコンサルタント
  • 川谷 昇平
  • Shohei Kawatani
  • 早稲田大学理工学部卒業。組織戦略全般を専門分野とし、組織構造改革・業務/システム改革・人事制度改革を主なテーマとしてコンサルティング活動を展開。特に、Web・通販ビジネスコンサルティングチームのメンバーとして、戦略的顧客情報活用(CRM)やWebによる顧客リレーション構築を得意とする。






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社会性と経済性の両立で第2の住宅産業を創造
ミッション経営を推進し地域ナンバーワンへ

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規格型住宅に特化して急成長するフィットは、
ライフスタイル提案という切り口で住宅産業に新風を吹き込んでいる。
「第2の住宅産業を創る」というミッションを掲げて
社会の問題解決を図る一方、
「仕組みで勝つ」経営の徹底で経常利益率10%超の
高付加価値経営を実現している。



業界の慣習にとらわれない第2の住宅産業を目指す

中村 「住まいと暮らし研究会」にご参画いただきありがとうございます。まずはフィットの概要についてお聞かせください。

鈴江 前身となるのは、私の父が1972年に設立した会社です。商業施設や医療施設、公共施設を中心に建設事業を行ってきましたが、私が2代目として経営を引き継ぎました。当社は、新しい不動産事業を目指して2009年に設立し、2010年に社名をフィットに変え、現在は再生エネルギー、住宅・不動産、フランチャイズ(以降、FC)という3つの柱で事業を行っています。

中村 100年発展は「一代一業の精神」から始まる。これが私の持論ですが、フィットは「第2の住宅産業を創る」と掲げています。どのような事業を目指されているのでしょうか?

鈴江 フィットが提供しているのは形で言えば家ですが、われわれは住まいを通じて理想のライフスタイルをつくるお手伝いをしたい。その意味でハウスメーカーではなく、「ライフスタイル提案」メーカーでありたいと考えています。

中村 「住まい」だけでなく、「暮らし」の提案産業であるということですね?

鈴江 家を購入したものの、ローン返済のために節約して、欲しいものやしたいことを我慢し続ける生活。果たしてこれは、理想のライフスタイルでしょうか?現在の30代、40代の大半は将来に不安を抱えています。年金はもらえるのか、家を購入してもローンを返していけるかなど。そうした経済的な不安を、住宅の持ち方を変えることで減らしたい。月々の住宅にかかる経費を削減することで、頑張らなくても家が持てるようになる。そのための家づくりや、暮らしが豊かになる提案を行っています。

左から、タナベ経営 常務取締役  中村 敏之、フィット 代表取締役社 長 鈴江 崇文氏、タナベ経営 コン サルティング戦略本部 副本部長  山本 剛史 左から、
タナベ経営 常務取締役 中村 敏之、
フィット 代表取締役社長 鈴江 崇文氏、
タナベ経営 コンサルティング戦略本部 副本部長 山本 剛史


地方都市の問題に着目し新たな市場を切り開く

山本 戸建賃貸住宅は四国エリアでナンバーワンの実績ですね。

鈴江 前身会社時代にスタートした事業ですが当初は鳴かず飛ばずで、前任の担当者が辞めて商品だけが残っていました。ニーズはあると思いマネジャー兼営業担当者として事業を引き継ぎ、もう1人の営業担当者と一緒に再度営業に回りました。その結果、前身の会社では初年度の2009年が96棟、翌2010年度は営業担当者を2人加えた4人体制で140棟の実績ができました。不動産業界は借り手があるか半信半疑でしたが、現在では400棟ほど管理しています。

山本 どのようなニーズがあったのですか?

鈴江 私が徳島に戻ってきた当時は、賃貸マンションの建築が盛んでした。しかし、賃貸マンションは節税対策という面で効果はありますが、収益が上がる商品になっていないため、オーナーは儲からないようでした。地方の地主は土地の活用法に困っています。一方、住む側から見ると、一戸建てに住みたいと考える人が8割に上るのに、実際の供給量は賃貸物件全体の3%にすぎず(※1)、ミスマッチが生じています。
※1 国土交通省『平成17 年版土地白書』より

山本 供給側と需要側がそれぞれ問題を抱えているわけですね。

鈴江 戸建賃貸住宅は、両方の問題を解決できる面白い市場だと思いました。加えて、規格型のビジネスが可能というメリットもある。注文住宅の場合は個々の要望を反映する必要がありますが、賃貸住宅はプロの視点によって効率的な間取りに統一できるため、生産性が高くなるのです。

山本 賃貸マンションと比べると、家賃や居住スペースの差はどの程度ですか?

鈴江 徳島県内の物件でいえば、家賃は8万円前後と賃貸マンションより1、2万円ほど負担は上がりますが、居住面積は78㎡と2、3割ほど広くなるイメージです。

中村 少しの追加費用で一戸建てに住めるという点が受け入れられたわけですね。2010年代、私は「社会課題解決時代」の幕が開いたと認識しています。戸建賃貸住宅の提供を通して社会に役立つ、新たな市場を創造されました。

鈴江 社会の課題を解決するという理念がないと事業は成長しないと思っています。世の中に存在しないもの、必要とされるものをつくることに私は燃えます。直営では限界がありますので、今後はFCを通して地方に必要とされる住宅を広げていきたいですね。

山本 その後、規格型住宅にも参入されました。

鈴江 きっかけは戸建賃貸住宅の内覧会でした。フィットの社員が、「これなら私も家が持てますね」と言ったことに大変ショックを受けました。住宅を販売する会社に勤めながら、自分の家は持てないと諦めていたのです。戸建賃貸住宅は、機能的ながら規格化を進めたことでローコストを実現しています。こうしたノウハウを戸建住宅に応用できれば多くの人に夢が与えられると思い、『コンパクトハウス』事業を始めました。

山本 コンパクトハウスの特徴を教えてください。

鈴江 「建売以上、注文未満」のカスタマイズ住宅である点です。土地や間取り、設備などを7ステップで選ぶと、過剰な機能や無駄を省いた、自分にちょうどいい住宅がつくれます。

山本 コンパクトハウスでは太陽光発電を提案していますね。

鈴江 21世紀は環境産業が有望とされますが、住宅はエネルギー産業だと私は思っています。

中村 住宅はエネルギー産業というのは新しい視点ですね。2011年に住宅で使用されるエネルギー量は1973年比で2.0倍へと推移しています(※2)。東日本大震災を経て、電力自由化元年でもある2016年は、エネルギーについて真剣に考えねばならないタイミングであるともいえます。
※2 資源エネルギー庁『エネルギー白書2015』より

鈴江 再生エネルギー事業では、ソーラー発電所の開発・運用も手掛けています。地方の問題は、活用されていない土地が多いこと。そこで地方の地主から土地を借り、フィットがソーラー発電所を建設し、そこに個人や法人が投資する流れをつくることで、エネルギーや土地活用の問題に取り組んでいます。

フィット 代表取締役社長 鈴江 崇文 氏 徳島市生まれ。大学卒業後は 大手住宅メーカーの関東支店で 営業職を経験。その後、大手 住宅メーカーの住宅フランチャイ ズ本部で加盟店支援を経験。 2009 年、「第2 の住宅産業を 創る」というコンセプトのもと、㈱ フィットを設立。妻と2 女2 男 の6 人家族。 「いえとち本舗」FC 本部運営 会社代表、「投資の窓口」FC 本部運営会社代表。
フィット 代表取締役社長 鈴江 崇文 氏
徳島市生まれ。大学卒業後は大手住宅メーカーの関東支店で営業職を経験。その後、大手住宅メーカーの住宅フランチャイズ本部で加盟店支援を経験。2009年、「第2の住宅産業を創る」というコンセプトのもと、㈱フィットを設立。妻と2女2男の6人家族。「いえとち本舗」FC本部運営会社代表、「投資の窓口」FC本部運営会社代表。


FC事業で全国展開「業際」で差別化を図る

山本 コンパクトハウスや戸建賃貸住宅はFC事業「いえとち本舗」を通して全国展開されていますね。

鈴江 いえとち本舗のキーワードは「業際(ぎょうさい)」です。住宅を購入する人の多くは、土地を買って家を建てます。しかし、これまで建設業と不動産業は別々の業種として存在しており、一般的に建設業は土地に弱く、不動産業は家に弱いとされていました。フィットはその両方の機能を持つことで、ワンストップでサービスを提供することができます。建設と不動産の2軸を持つことが強みとなっているのです。FC加盟店には、規格型住宅の設計・施工などのマニュアル類をはじめ、営業支援ツールやITツール、商標の使用、共同購買などをパッケージ化して提供しています。

山本 建設業と不動産業は近い業種ですが、全く異なる事業です。融合は難しいのでは?

鈴江 難しいですが、そこができれば参入障壁になります。表面的にまねをするところもありますが、長続きはしませんね。1つ1つを積み重ねてようやく強みになるものです。また、FC事業では戸建賃貸住宅やソーラー発電所への投資を扱う「投資の窓口」も展開しています。

山本 いずれの事業も、標準化・規格化して横展開するという手法ですね。

鈴江 横展開のための規格化や、いかに生産性の高いモデルをつくるかが重要です。キーワードは地方戦略と社会の課題解決。今後は、徳島の物件に投資が集まる仕組みづくりに注力したいです。

中村 ありそうでない価値をつくり、社会に役立つ。3つの事業にミッションという軸が通っています。

鈴江 一般的に住宅産業は、住宅を販売すると10年後のリフォームまでリピートがないことも多いのですが、フィットの場合は家の購入後に保険や年金づくりなどを提案しており、商品を4度ほど購入される方もいます。既にお付き合いのあるお客さまですから、営業の効率も良いですね。

中村 新築中心の企業にはリフォームを成長の柱とするところが多い中、家を購入した後の暮らしを重視されているのはなぜでしょう?

鈴江 フィットでは、環境商材である蓄電池と、住宅の品質保証に関わる購入後10年目の塗装関係の2つに主力商材を絞っています。それ以外は、注文住宅と同様に個々の設計が必要になるので、積極的に提案していません。
何より、住宅を購入する世代には経済面で悩む方が多いですから、こうした分野で理想のライフスタイルの創造に向け、当社がやるべきことはまだあると思います。競合は金融業だといえるかもしれませんね。


中村 つまり、「コトビジネス」ですね。コトビジネス成功には、既存の枠組みを壊すくらいの大胆さが必要です。その意味で、「コトビジネスのライバルは異業種」。まさしく、フィットの取り組みです。

鈴江 他にないからこそ、私たちが取り組まなければという使命感に奮い立ちます。規格型住宅に特化して取り組んでいるところもフィットしかありませんから、従来の注文住宅に潜んでいた無駄を省いたカスタマイズ住宅によって、建設業の労働生産性を上げていきたいです。

タナベ経営 常務取締役 中村 敏之 「次代の経営者育成なくして企業なし」をコンサルティングの信条とし、100 年発展モデルへチャレンジする企業の戦略パートナー。豊富な現場経験に基づく「ビジョンマネジメント型コンサルティング(VM経営)」は具体的で、クライアント企業から分かりやすいと大きな信頼を得ている。関西学院大学卒。
タナベ経営 常務取締役 中村 敏之
「次代の経営者育成なくして企業なし」をコンサルティングの信条とし、100 年発展モデルへチャレンジする企業の戦略パートナー。豊富な現場経験に基づく「ビジョンマネジメント型コンサルティング(VM経営)」は具体的で、クライアント企業から分かりやすいと大きな信頼を得ている。関西学院大学卒。


ローコスト経営で経常利益率10%超

中村 独自化の時代。だからこそ、住まいビジネスは「個別対応の標準化」、いわゆるマス・カスタマイズ経営が求められると考えています。重視する生産性指標はありますか?

鈴江 最終の経常利益率10%を最低ラインとして目指しています。1人当たりの給与を高めながら全体の総人件費を抑えるローコスト経営を心掛けているほか、商品によって違いますが粗利益率は25 ~ 30%を基準として設計しています。

山本 標準化してコストを下げるのですね。

鈴江 その意味では売上高を追っていません。無理に売り上げを増やすと、無駄な動きが生じてコストが上がるというのが私の考え方です。フィットの場合、大手ハウスメーカーと違って経験が浅いスタッフで勝てる仕組みにしていますから、メーン以外の商品は特にコストが上がります。

中村 仕組みを強化された理由は?

鈴江 前身の会社に在籍しているときのことですが、ライバル企業にトップクラスの営業担当者3人を引き抜かれて売り上げが激減したという苦い経験があり、人に依存したビジネスの危うさを痛感いたしました。そこから仕組みの強化に注力していったのです。

中村 「仕組みで勝つモデル」をつくり、凡人に非凡な仕事をさせる。これこそ経営者の責任だと。

鈴江 その通りです。売り上げは経営者の責任だと私は考えています。

中村 しかし、経常利益率10%は簡単な数字ではありません。

鈴江 ここ数年は超えています。経営者として、お客さまの役に立てる商品・サービスをつくると同時に、経常指標として高い目標を掲げることを自分に課しています。社会性と収益性の両立。社会性が高くても利益がなければ株式会社失格ですね。また、利益が出ていてもお客さまに必要とされない会社なら、私は今すぐに社長を引退します。この2つを実現するには、競争のないビジネスであることが必須です。

中村 ホワイトスペースをつくり、社会性があるビジネスを展開すれば、経常利益率10%を実現できるということですね。最後に今後の展望についてお聞かせください。

鈴江 中期ビジョンは3つに分かれています。フェーズ1は2014 ~ 16年、3事業で基礎を固める時期です。フェーズ2は2017 ~ 19年、本物の(全国に一気に広がるような)商品を開発し、住宅販売1000棟(FC含む)を達成します。現在400棟ですが1000棟になるとキッチンなどでPB商品をつくれる規模になります。フェーズ3は2020年 ~ 22年、アジア進出を目指します。

中村 ビジョン実現を経営の中核に据えた「VM(ビジョン・マネジメント)経営」ですね。社名がフィットになって7年、前身会社から数えると創業44年となります。ライフスタイル提案企業として第2の住宅産業を築き、100年発展を遂げてください。本日はありがとうございました。

タナベ経営  コンサルティング戦略本部 副本部長   山本 剛史 企業の潜在能力を引き出すことを得意とする経営コンサルタント。事業戦略を業種・業態ではなく事業ドメインから捉え、企業の固有技術から顧客を再設定して事業モデル革新を行うことを得意とする。現場分散型の住宅・建築・物流事業や、多店舗展開型の小売・外食事業などで生産性を改善する実績を挙げている。神戸大学大学院卒。
タナベ経営 コンサルティング戦略本部
副本部長 山本 剛史

企業の潜在能力を引き出すことを得意とする経営コンサルタント。事業戦略を業種・業態ではなく事業ドメインから捉え、企業の固有技術から顧客を再設定して事業モデル革新を行うことを得意とする。現場分散型の住宅・建築・物流事業や、多店舗展開型の小売・外食事業などで生産性を改善する実績を挙げている。神戸大学大学院卒。

●経営理念 第2の住宅産業を創る

PROFILE

  • (株)フィット
  • 所在地: 〒771-0130 徳島市川内町加賀須野1069-23
  • T E L : 088-665-1500(代)
  • 設 立: 2009 年
  • 資本金: 4761 万円(2015年4月1日現在)
  • 売上高: 70 億円(2015 年3月期)
  • 従業員数: 62 名(2015 年4月1日現在)
  • 事業内容: 再生エネルギー事業、住宅・不動産事業、フランチャイズ事業 http://www.fit-group.jp/


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    06-7177-4008
    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所