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今週のひとこと

自分の殻を破る環境をつくろう。

社員一人ひとりは、そのチームパワーに

巻き込まれていく。





☆ 「健康経営」のすすめ

最近、「健康経営」という言葉がよく使われるようになってきました。経済産業省のホームページによると、「従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」とあります。

平成27年度実施の「健康経営の啓発と中小企業の健康投資増進に向けた実態調査」によると、「健康経営の内容を知っている」という回答は全体の1割程度とまだ低い半面、「健康経営を実施済み」「健康経営を実践したい」という回答は全体の7割を超え、今後関心が高まっていくテーマと言えます。では、何から手をつけたらよいのでしょうか。

筆者は、
  ・従業員の健康保持・増進を経営方針の一つに位置づけること
  ・社員の健康づくり計画を作成し実行すること
 ―から始めるべきと考えます。会社の方針と同じで、戦略と方針が無い中では、経営の舵取りもできません。健康の舵取りも同じです。


従業員の「カラダ」「クラシ」「ココロ」の健康に真摯に向き合う必要性が年々増す中、社員の健康に関心が高い企業は、企業価値の伸び率が他よりも高いというデータも出ています。

皆さんの会社でも一度「健康経営」に向き合ってみてはいかがでしょうか。

コンサルティング戦略本部
チーフコンサルタント
中尾 泰彰





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奉仕するリーダーの時代
サーバント・リーダーシップが組織経営をつくる



タナベ経営 代表取締役社長 若松 孝彦(左)、神戸大学大学院 経営学研究科 教授 金井 壽宏 氏(右)。神戸大学 貴賓室にて

企業とは、生い立ちも経験も立場も異なる人々が1 つの目標に向かって走り続ける集団。バラバラになることなく、組織として高度に機能するためには何が重要なのか。日本における組織・リーダーシップ研究の第一人者である神戸大学大学院の金井壽宏教授に話を伺った。



組織は人の協働理念を軸に活性化を

若松 企業の経営戦略やマネジメント論は百家争鳴の時代。私自身、経営者として、また経営コンサルタントとして現場にいると、あらためて企業の土台となる「組織力」や「人材力」の重要度が増しているように感じます。金井先生は組織論、リーダーシップ論の専門家でいらっしゃいますが、そもそも企業の組織について、どのようにお考えなのでしょうか。

金井 少々抽象的になりますが、私は米国の経営者であり経営学者だったチェスター・バーナードが定義した「(組織とは)意識的に調整された2人もしくはそれ以上の人々の活動や諸力のシステム」という表現が的確だと考えます。分かりやすく言えば、ある場所で小火(ぼや)が起こると、そこにいる人たちは消火器やバケツを探し、消火活動を始めますよね。「火を消す」という共通の目標に向かってコミュニケーションと協力が生まれるような状態です。つまり、単に人が集まっただけではない、「協働」の姿が組織の原点なのです。

若松 チェスター・バーナードが『経営者の役割』(ダイヤモンド社)で提唱した「組織論」は、まさに起点ですね。企業の組織に置き換えれば、使命感を持つ人が周囲の人々の協力を得て、共に事業活動を行っていくということです。ただ企業においては、消火活動のように、いかに全員が明確な目的を共有するのかがポイントになります。

金井 企業活動における意志の言語化で注目していただきたいのが、実践家が実際に使っている「理論」です。どのような分野にも原理原則やセオリーといったものがあり、組織行動はそうした理論が核になります。社会心理学者のクルト・レヴィンも「よい理論ほど実用的なものはない」と指摘しているように、確かな理論があれば確かな行動を導けます。

若松 当社の創業者・故田辺昇一は「経営は、試行錯誤の経験科学である。コンサルタントが提供する"判断" は実証的な裏付けを持ち、すでに実験済みの原則による知恵でなければならない」と言いましたが、まさに実践と理論との融合が経営です。企業経営においては、ある意味において理論を「理念」と置き換えることもできそうです。経営理念を組織に浸透させる上で、大切なことは何でしょうか。

金井 ひと昔前なら、カリスマ性のある創業経営者が「こうするんだ」と号令を掛ければよかったのでしょうけど、今はファシリテーター(※1) を介した対話で社員に理解を促すのが効果的ですね。考え方や行動を強制されると誰しも反発を覚えますし、ドイツの社会学者マックス・ウェーバーが言ったように、カリスマの理論は日常化・ルーティン化できないものですから、次代に引き継ぎにくいのです。理念もただ叫ぶだけでは浸透しませんし、継承も困難です。
※1 会議など複数の人が集う場において、議事進行を務める人のこと。会議中に自分の意見を述べたり、意思決定をしたりせず、中立の立場で参加者の心の動きや状況を見ながら議事を進めていく役割を果たす

若松 ご指摘のように、創業者のカリスマ経営ではない、後継経営者の経営スタイルの必要性が高まっています。現在は、2代目や3代目への事業承継期を迎えている企業が非常に多いのですが、後継経営者が組織を構築する際のポイントは何だとお考えですか。

金井 創業時には社長を含めて数名だった会社も、成長に応じて社員が100名、1000名と増えていけば、仕組みで動かさねばならない部分が必ず出てきます。マネジャーは複数の集団の重なり、連結ピンになるわけで、そうなるとマネジャー役の人が社長と集団のつなぎ役を担いつつ、理念を浸透させていく役割を担います。重要なのは、マネジャー一人一人が「お山の大将」のふり、つもりをするのではなく、上下のコミュニケーションの要になること。特に2代目以降の社長は、マネジャーがきちんと機能するような組織づくりに注力すべきでしょう。

チームビルディングの在り方

若松 タナベ経営は、それを「組織経営」や「チーム経営」と呼んで提唱しているので共感します。既存の組織形態では変化の激しいマーケットに対応できず、事業が行き詰まる企業も少なくありません。マーケットへの適応という観点からは、組織をどう考えるべきでしょうか。

金井 過去、松下電器産業(現パナソニック)創業者の松下幸之助氏が製品ごとの事業部制を敷いたことは1つの成功例です。全社戦略と事業部に分権化した組織の形が見事に当時の市場と合致しました。他には、ヤマト運輸の小倉昌男氏が考案した『宅急便』のような、他社に簡単にはまねできないビジネス・システムをつくり上げるのが理想です。ハードルは相当に高いと思いますが、発案者の強い信念を軸に、周りの社員が次々と面白い製品やサービスを仕掛けられる仕組み――発案自体を埋めていくような仕組みをつくることです。

若松 タナベ経営が提唱している「ファーストコールカンパニー宣言」の4つ目の宣言に「自由闊達に開発する組織」があります(【図表1】)。製品・サービスからビジネスモデルまでの開発を現場からの声で構築できる組織力、チーム力が求められます。ハードルは高くても、それを乗り越える仕組みづくりが不可欠です。企業は、「社長の寿命<事業の寿命<会社の寿命」でなければ存続できません。

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【図表1 】ファーストコールカンパニー宣言 100年先も一番に選ばれる会社

金井 ファーストコールカンパニーのような5つの特徴を持った会社に求められるであろう2つ目のポイントは、経営トップをそばでサポートする右腕人材、パートナー人材の役割ですね。小倉氏も、都築幹彦氏という力強い右腕がいたから、宅急便を実現できたと語っています。

若松 ソニー創業者の井深大氏と盛田昭夫氏、ヒューレット・パッカード創業者のウィリアム・ヒューレット氏とデビッド・パッカード氏のような感じですね。天才と評価できるような経営者には、必ずパートナーがいます。非常に大切であり、組織経営の始まりでもあります。後継経営者の場合は、急に右腕人材をつくることは無理ですが、社内でジュニアボードを運営し、それに近い人材を選んだり、自らの内閣を育成したりできます。最良のパートナー人材や内閣を見極める方法はありますか。

金井 お勧めの方法の1つに「オートパーツ・エクササイズ」というものがあります。これは、社員の役割をエンジンやブレーキ、ステアリングといった想像しやすい自動車部品になぞらえて議論していく手法で、それぞれの社内での行動や役割を自覚したり、周囲が再認識するのに有効です。もし、社長がアクセル型なら、ブレーキになる人を右腕に据えるとよいかもしれません。

若松 それは興味深いです。自動車は、どの部品が欠けても目的地まで走行できないわけですから、組織や人材を生かす手法と似ています。後継社長は創業者の経営スタイルをそのまま引き継ぐのが難しいので、そうした組織学習で経営スタイルを見直し、組織経営を自覚することも一手です。

金井 創業者が命令で引っ張ってきた会社を、性格の違う子息・息女が承継した場合、「サーバント・リーダー」として力を発揮する方法もよいと考えます。これからの時代は、このリーダーシップ・スタイルの方が適切に機能します。サーバントとは「奉仕」の意味で、旧来の「トップのために社員がいる」という発想を逆転した「社員に奉仕(社員を支援)するためにトップがいる」という考え方の経営です(【図表2】)。この考え方を取り入れることで、社員の自主性が伸びるとともに、トップとの信頼関係やコミュニケーションが厚くなり、目標を達成しやすくなります。ただ、「何のために奉仕するのか」「なぜそのスタイルにするのか」という理念や目的は、常に忘れないように注意したいところです。

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【図表2】支配型リーダーとサーバント・リーダー

個人の能力よりも組織のケイパビリティーの方が強い

若松 「自由闊達に開発する組織」をつくるには、現場に権限を委譲し、顧客と対話をしている社員の意見がトップに入る組織デザインが必要です。米歴史学者のアルフレッド・D・チャンドラーJr. の言葉に「組織は戦略に従う」がありますが、私は自分のコンサルティング経験から、「組織は戦略に従い、戦略は理念に従い、理念は組織で経営されてこそ成果となる」ことを導き、提唱しています。サーバント・リーダーシップは、まさにこれに合ったリーダーシップ・スタイルです。理念(戦略)を実践し、成果に変えるために大事なことは何でしょうか。

金井 まずは社員に対する徹底したコミュニケーションです。理念を実践した成功例やチャレンジ例をしっかりと評価すること、理念に沿って社会の役に立っている自社に誇りを持ってもらうことなどによって、経営トップの考え方の浸透を図ることが大切ですね。

若松 「宗教は信じた者が救われるが、理念は救われた者が信じる価値観」。すなわち、成果が出ない理念は信じてもらえず、組織では機能しません。そして、人は理念に加えて評価と報酬があってこそ、モチベーションを高めて動くものです。これらの仕組みづくりの課題も、先ほどのパートナー人材のいるチーム組織によって解決できそうですね。

金井 個人の能力より組織のケイパビリティー(※2)の方が断然、持続性において強い。そして、後者は簡単には他社に模倣されません。優れた個人の能力は、その人が組織を離れるとなくなってしまいますが、組織能力は違う。何事も組織として見ることが重要なのです。また、経営者個人と組織のライフサイクルを照らし合わせ、ある時点になったら次世代経営者の育成、リーダーシップのバトンタッチを行うべきです。
※2 企業が全体として持ち、持続する競争優位性のもととなる組織的な能力

 後継者は40代の人材がよいと思います。その人なりの経営を本当に確立するには10年から15年はかかります。「若いからまだ早い」という感覚は持たない方がよいでしょう。新任経営者の成長期間は、先代社長も共に勉強し続けることが大切です。学びに年齢は関係ありませんから。

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(株)タナベ経営 代表取締役社長
若松 孝彦(わかまつ たかひこ)
タナベ経営のトップとしてその使命を追求しながら、経営コンサルタン トとして指導してきた会社は、業種を問わず上場企業から中小企業ま で約1000社に及ぶ。独自の経営理論で全国のファーストコールカ ンパニーはもちろん金融機関からも多くの支持を得ている。 関西学院大学大学院(経営学修士)修了。1989年タナベ経営 入社、2009年より専務取締役コンサルティング統轄本部長、副社 長を経て現職。『100年経営』『戦略をつくる力』『甦る経営』(共 にダイヤモンド社)ほか著書多数。

多様なリーダーシップを生かせる組織デザイン

若松 タナベ経営では40代の人材を「戦略リーダー」と捉え、最も成長する年代と位置付けています。

金井 確たるリーダーシップを発揮できるようになるのが、入社から20年ほどキャリアを積んだその年代です。リーダーに足るスキルやノウハウの7割はその人自身の経験で積み上げた部分で、2割は先輩リーダーを手本にした部分、残りの1割は会社の研修などで学んだ部分。世の中にはさまざまなタイプのリーダー人材がいますが、どんなリーダーが自社の次のトップにふさわしいのかを見定めることが肝要です。

若松 例えば、どのようなリーダーシップのタイプが挙げられますか?

金井 ラグビー元日本代表監督の平尾誠二さんから何度となく教えてもらったのですが、チームにはゲームリーダー、チームリーダー、イメージリーダーの最低3人が必要だそうです。ゲームリーダーは嫌われ者でもよいからとにかく試合を勝ちに導く人。チームリーダーはメンバーをまとめる人徳やスピリットを持つ人。イメージリーダーは絶対負けるだろうという相手に臨んだときに、ゲームリーダーやチームリーダーが持たないとっぴなアイデアを上手に効果的に出す人。チームが組織として真の強さを発揮するには、1人のリーダーだけではダメとのことでした。

若松 個性を生かしたリーダーシップの役割分担ともいえそうです。多様なリーダーシップを駆使して全体をけん引するスタイルは、これからの組織の在り方に近い気がします。

金井 企業におけるリーダーシップには大抵、ビジネス推進のタスク軸と集団のメンテナンス軸という課題が存在します。その両方を1人の人間ができるに越したことはないのですが、もしもそうした人材がいないのなら、組織の機能分担も含めて何人かで分け持てばよいのです。先述したトップの右腕人材、パートナー人材の重要性もそこにつながります。

若松 極論を言えば「全社員がリーダーたれ」「随所に主となれ」。多様なリーダーシップの存在を受け入れることが組織を活性化し、会社を100年経営へと導く秘訣なのかもしれません。

金井 ですから経営トップとしては、社員個々が持つ「リソースの価値」をきちんと把握し、説明できることが最低限の責務です。例えば、社員に「今の君はこんな状態だけど、ここを磨けばすごく良くなるぞ」と気付きを促すことを繰り返していく。そうすると自然とリーダー人材が増えていくでしょう。トップは「リーダーを育むリーダー(leaderdeveloping leader)」です。

若松 私は「長所連結主義」と呼んでいます。サッカーに例えるなら、各選手の長所(技能)を生かしてパスを回さないと、ボールはゴールに入らないということです。企業組織も、一人一人の長所をつないでいかないと、目指すべきゴールにはたどり着けません。私も経営者として、また経営コンサルティングの際に、常々その視点を重視しています。金井先生の言葉から、さまざまな気付きをいただきました。本日はありがとうございました。

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神戸大学大学院 経営学研究科 教授
金井 壽宏(かない としひろ)氏
1954年、神戸市生まれ。京都大学教育学部卒業。マサチューセッ ツ工科大学でPh.D.(マネジメント)、神戸大学で博士号(経営学) 取得。神戸大学経営学部教授を経て1999年より現職。リーダー シップやキャリア、モチベーションなど、働く人の生涯にわたる発達や、 組織の中の人間行動の心理学的・社会学的側面に注目し研究を 行っている。著書に『リーダーシップ入門』(日経文庫)、『変革型ミ ドルの探求』(白桃書房)、『企業者ネットワーキングの世界』(白桃 書房)など多数。





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独創的なバターやチーズを世に広める

食べることで初めてその良さを知ってもらえる『燻製(くんせい)バター』やチーズ風味の新素材『スティリーノ』。タナベ経営と連携したサンプリング調査などで認知度アップに努めている。


独自の技術で、熱に溶けやすいバターを燻製した『燻製 バター』と植物性脂肪を使った『スティリーノ』シリーズ

チーズやバターといった乳製品やホットケーキなどの提供で、新しい食文化を開拓し続けているマリンフード。ニッチトップ企業の鍵は、社内横断のプロジェクトチームと地域顧客からの支持にある。


独創的なアイデアが生んだ2つの商品

マーガリン、バター、チーズといった乳製品から冷凍ホットケーキまで、多様な食品を世に送り出しているマリンフード。ホテルでの朝食には欠かせないポーションのバター・マーガリンにおいて、80%以上の国内シェアを持つナンバーワン企業である。家庭用・業務用を問わず多様な用途に使える製品づくりと、独創的なアイデアでニッチ市場を切り開いている。

現在、同社が特に注力しているのは『燻製バター』と『スティリーノ』の2品目。いずれも、これまでになかった先進的な商品である。

コクとうま味を凝縮した燻製バター

一口食べると、芳醇(ほうじゅん)な香りが広がるマリンフードの『燻製バター』。燻製に使用しているのは、リンゴの木のチップとウイスキーの香り付けなどに用いられる泥炭(ピート)だ。パンに塗ったり料理に使ったり、そのままおつまみとして食べたりと用途はさまざま。家庭でも手軽に燻製の味わいを楽しむことができる。

食品を燻製にするとうま味が凝縮されてコクが生まれるが、30℃程度で溶けてしまうバターは燻製に適さないというのが常識だった。

「溶けやすいバターは燻製することが難しいため、これまで一部のシェフが低い温度で長時間かけて自作することはありましたが、一般に出回るものではありませんでした。しかし、当社は短時間で工業的に製造するノウハウを開発し、商品化に成功したのです」とマリンフードの常務取締役・管理部長の吉村厚美氏は語る。

燻製バターは2015年4月に発売開始。海外の展示会に出展すると、スーパーマーケットやレストランなどから多数の引き合いがあったという。香港のスーパーのほか、ドバイ(UAE)にあるホテルのレストランなどでも採用されている。

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マリンフード(株) 常務取締役 管理部長
吉村 厚美氏

キャンプ場でサンプリング調査を実施

海外でもその存在感を高めている燻製バターだが、営業本部業務部長の請川(うけがわ)哲也氏は、「コクと独特の風味がある燻製バターは、一度味わってみないとその魅力がなかなか伝わりません。あまり世に出ていなかった商品だけに、当然のことです」と言う。

そこで同社は、アウトドア市場での認知度向上を目的に、タナベ経営SPコンサルティング本部と連携してサンプリング調査を実施した。2015年7月25日から8月31日の夏休み期間中、茨城県の大子(だいご)広域公園オートキャンプ場「グリンヴィラ」で2880名の来場者に燻製バターを配布。事前にグリンヴィラのウェブページやブログも使ってPRを展開した。

評判は上々。持参した調理グッズでサンプリング商品を料理するキャンプ場利用者も多く、「おいしかった」「ワンランク上のバター」などの感想が寄せられた。

平野レミさんを起用しマスメディアでPR展開

2016年3月1日から6月30日までの期間は、料理愛好家の平野レミさんを起用した、燻製バターのキャンペーンを展開中だ。商品に付いている応募券を送ると、抽選で『レミパンプラス』などのグッズが当たる。同社の特設ページでは、平野さんが考案した燻製バターを使った料理のレシピも紹介している。

このキャンペーンは、2015年秋に開業した大阪の大型複合施設「エキスポシティ」でのイベントや、同社初の試みとなるテレビコマーシャルの放映とも連動し、燻製バターのより広い周知を目指している。

さまざまな可能性を秘めたスティリーノ

もう1つの注力商品であるスティリーノとは、2007年にマリンフードが開発した、チーズの主原料である乳脂肪を植物油脂に置き換えた新素材だ。この乳脂肪を100%植物油脂に置き換えたものから、従来の乳脂肪を使ったチーズとさまざまな割合でブレンドしたものまで、多様な商品展開を行っている。ブレンドの割合によって風味が異なり、好みや用途に応じて使い分けることができる。

吉村氏は「ナチュラルチーズにスティリーノをブレンドすることで、コレステロールを大幅にカットすることができます。スティリーノ100%なら、コレステロールは95%カットです。また、従来の植物性チーズは加熱しても溶けにくいのが欠点でしたが、当社のスティリーノは通常のチーズと同様にお使いいただけます」と、商品レベルの高さを強調する。

スティリーノの利点はコレステロールカットだけではない。宗教上の理由やアレルギーで乳製品を摂取できない人や、ベジタリアンやビーガン※など、植物性の食品を選ぶ人たちにも十分に提供できる商品なのだ。
※ ベジタリアンの中でも、特に衣食住全てにおいて動物性のものを摂取しない人々。卵や乳製品も摂らない

請川氏は、「現在、チーズ代替品は世界で30万トン生産されています。日本国内では4000トン程度で、この大半を当社が生産しています。まだまだ市場が拡大する可能性はあり、海外への輸出強化と同時に、訪日外国人に対しても商品の認知度をアップさせたいと考えています」と話す。

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マリンフード(株) 営業本部 業務部長
請川 哲也氏

プロジェクト制と地域への貢献が大きな強みに

マリンフードでは、毎年1月に代表取締役社長の吉村直樹氏が年度計画を発表すると、部署を横断した各種プロジェクトチームを編成する。そこで練られた企画は、幹部に承認されればすぐさま実行に移す。現在注力している燻製バターとスティリーノのPR展開も、そうしたプロジェクトチームによって推進されている。

「プロモーションなど、さまざまなプロジェクトを外注するのは簡単ですが、自分たちでできることはできる限りやります。そうやって汗をかくことが大切だと考えているからです。プロジェクトの成功の鍵は、行動力と考える知恵です」(吉村厚美氏)

部署の垣根を越えて問題意識を共有するとともに、即決即断で動くスピード感はマリンフードならではの強みといえよう。

こうしたプロジェクトを通じた社員の能力アップに加え、地域を大切にする取り組みを継続していることもマリンフードの大きな特徴だ。例えば、マーガリン、チーズ、ホットケーキ、冷凍ピザなどの商品を格安で提供する工場直売セール「ふれあいセール」を長年にわたって実施。毎回、開始時間前から多くの近隣住民が列をなし、大盛況だという。

「買ってくださる人がいるから、メーカーは成り立ちます。だからこそ、地域の皆さまを大切にしているのです」と吉村氏は話す。地元である豊中市の教育行政に対する寄付など、社会貢献活動を継続的に行っているのも、そうした思いからだ。

燻製バターやスティリーノといった独創的な商品は、大量生産・大量販売が難しいニッチ市場を創出するもの。新しい食文化を提案し、消費者においしいものを食べる楽しみを提供したいという考えが、同社の商品づくりの原点なのである。





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ハンバーガーチェーンのモスバーガーは、世界で初めて「テリヤキバーガー」を開発し、成長機会を得たことで知られていますが、発売当初は全く売れませんでした。創業者の櫻田慧(さとし)氏が1 号店の成増店で、暇な時間に常連客の女子高生たちの宿題を手伝っていた時、その悩みを知った彼女らから「無料配布」の提案を受けました。それに応じて高校の文化祭で50個のテリヤキバーガーを配ったところ、クチコミで評判が広がり、一気に知名度が上がったそうです。
商品を無料で配布し、効用を体感してもらって購買につなげるサンプリングは、実際に味わってみないと商品価値が分からない食品では欠かせない販促手法です。誰をターゲットに設定するかが大変重要となります。






今週のおすすめ

 



「ウェルネス」という切り口で事業・商品・業態をイノベーション

ウェルネス・イノベーションセミナー

現在4兆円の市場規模が、2025年には20兆円へと拡大する見通しの「ウェルネス・ドメイン」。いま注目されている成長ドメインに存在する課題・願望未解決分野に、「ウェルネス」を切り口にした新たな成長エンジンを開発・投資し、自社の持続的な成長を実現していきましょう。

ウェルネス・イノベーションセミナー

◇とき: 2016年11月30日(水)
◇ところ: ホテルメルパルク大阪5階(大阪市淀川区)

 『ウェルネス・イノベーションセミナー』の
詳細・お申込みはこちら

 



国内最大マーケットまで成長する「ヘルスケア業界」に挑む

アヘルスケアビジネス成長戦略セミナー

国内最大の巨大マーケットに成長すると言われている「ヘルスケア分野」ですが、他の業界のような大資本は存在せず、寡占化が進んでいない珍しい業界です。今後は異業種からの参入も含め、業界の構図が大きく変わることは確実です。
戦略・ビジネスモデルの変革を推し進め、成長戦略を描いていきましょう。

ヘルスケアビジネス成長戦略セミナー

◇とき: 2016年12月21日(水)
◇ところ: フクラシア東京ステーション朝日生命大手町ビル5階(東京都千代田)

 『ヘルスケアビジネス成長戦略セミナー』の
詳細・お申込みはこちら

 



Webで変わる集客の今!新たな集客モデルを学ぶ経営セミナー

Webで変わる集客の今!新たな集客モデルを学ぶ経営セミナー

「12/8(木)」限りの新たな集客モデルを学ぶ経営セミナーのご案内です。

『Webで変わる集客の今!新たな集客モデルを学ぶ経営セミナー』
~住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会 特別開催~

◇とき・ところ: 2016年12月8日(木)東京開催

 『Webで変わる集客の今!新たな集客モデルを学ぶ経営セミナー』の詳細・お申込みはこちら