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今週のひとこと

「報連相」を徹底させよう。

上司自らが部下に

報告・連絡・相談をすれば、

部下も自然とできるようになる。





☆ 報連相のあり方を再確認しよう

「お客様からクレームを受けても、誰に、どのように報告したらよいのかが、わからないのです」。

これは、実際に筆者がクライアントから相談を受けた内容です。
報・連・相(ほうれんそう/報告・連絡・相談)という言葉が世間で使われるようになってから約30年になります。山崎富治氏(当時、山種証券社長)が、嫌な情報を遠ざけ隠そうとする管理職に対し、問題点を積極的に改善することで現場の意見が伝わる風通しの良い社風をつくる手段として報連相のキャンペーンを始めたのがルーツであり、著書『ほうれんそうが会社を強くする』(初版:1986年)がベストセラーとなったことから広まったと言われています。


報連相と言えば、部下から上司への義務などと解釈されることも多いですが、本来は、企業内の情報の流れとして、

 「報告」・・・部下から上司、上司から部下の縦の流れ
 「連絡」・・・チーム内、仲間同士の横の流れ
 「相談」・・・上下・左右、組織横断的な全社的な流れ

―という意味を持っています。


部下の報連相の仕方だけをとやかく言うのではなく、全社的に報連相しやすい職場の環境(雰囲気・仕組み・意識づけ)を整え、各自の行動を促すことが大切です。

報連相が活性化・習慣化されれば、個々人が正しい価値判断基準を持つと共に、チームワークの向上にもつながるでしょう。
報連相のあり方を再度見つめ直し、働く社員が活き活きと活躍できるよう、職場のモチベーションアップにもつなげてください。


コンサルティング戦略本部
主任
木村 恵





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あなたの会社はWebをどのように活用しているだろうか。「ホームページを作成し、会社をPRしている」程度では20年遅れている。世にインターネットが登場して二十余年。種子島に鉄砲が伝来して戦が大きく変わったように、Webという道具は企業のマーケティングから採用まで経営を変え、その活用格差は存続格差につながる。

成功企業をみると、Web自体を主力事業とする新しい企業は多いが、Webを使って古いビジネスモデルを革新した企業も目に付く。多くは戦略レベルで転換することにより収益構造が改善している。売上高経常利益率が10%を超える企業も少なくない。

Web活用のステップは3つ。第一ステップはビジネスモデルの改革だ。ビジネスモデルとは、儲けを生み出すビジネスの仕組みのことで、「誰に」×「何を」×「どのように」という式で表せる。この全て、またはいずれかを変えることでビジネスモデルは変わる。

ある刃物店は、地元の顧客だけに和包丁を売って苦戦していたが、英語版のホームページをつくり、「誰に」を「世界の顧客」に変えたところ、和食ブームの波に乗って大ヒットしている。Webは国境も越える。

第二ステップは、Webマーケティングの仕組みの構築である。Web広告はマス広告に比べて費用が安く、ターゲットを限定でき、広告効果を測定しやすいといった特徴がある。結果を見て広告手法やキーワードの修正を行いながら、成果目標に向けてさまざまな手が打てる。大手企業に比して予算が少なく、機動性に富む中堅・中小企業にもってこいだ。

第三ステップは、組織改革である。ビジネスモデル転換を加速するには、Webの部門を事業単位で分離・独立させ、収益と推進者を明確にしなければならない。Webに詳しいからと権限のない若手社員に任せたり、兼任させたりしては進まない。既存組織との連携も必要になる。トップ特命の人材か、エース級の人材を投入していただきたい。

Webに着手しているのに今ひとつ成果が挙がらない原因の多くは、経営者のITリテラシーの低さにある。「Webが苦手だ」では通用しない時代が来ている。変化に向き合い、戦略レベルで投資をいただきたい。

2014年の日本のBtoC-EC市場規模は12兆7970億円、BtoB-EC市場規模(広義)は280兆1170億円。さらに、中国から日本への越境EC市場規模は2018年に2014年比229.9%の1兆3943億円になると経済産業省は試算している※。
※ 経済産業省『平成26年度電子商取引に関する市場調査』

中国のEC最大手アリババは、2015年の11月11日(「独身の日」商戦の日)に912億元(約1兆7600億円)を売り上げたという。たった1日で日本のBtoC-EC市場規模の約1カ月分以上を売った計算になる。経営者はこうした現状をしっかりと認識し、変化をうまく経営に取り込んでいただきたい。

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タナベ経営 常務取締役
Web・通販イノベーションモデル研究会 アドバイザー

南川 典大 Norihito Minamikawa

1993年タナベ経営に入社(東京本部)。西部本部長、取締役を経て2014年より現職。
上場企業から中小企業まで数百社のコンサルティング・教育などに従事し、数多くの実績を誇る。経営の視点から、仕組みと人の問題解決を行う"ソリューションコンサルタント"として定評がある。信条は「知要先行」「瞬間一生」。著書に『問題解決の5S』(ダイヤモンド社)ほか。










顧客とのダイレクトなつながりが事業をイノベーションする

タナベ経営 コンサルティング戦略本部 副本部長/ Webでビジネスモデルをデザインする研究会 リーダー
岡田 泰範 Yasunori Okada

幼少時に両親の事業失敗を目の当たりにし、「企業成長に貢献する」との志を持ってタナベ経営に入社。事業戦略構築や営業力強化を得意とし、自身も社内ベンチャーの立ち上げ経験を持つ。「一燈照隅、万燈照国」を信条に、実践的で分かりやすい指導を心掛ける。


伸び続けるEC市場、洗練されるWebプロモーション手法

経済産業省によれば、2014年の国内の消費者向け電子商取引(BtoC)市場規模は12.8兆円、企業間電子商取引(BtoB)の広義(※1)市場規模は280兆円にも達する。EC化率(※2)はBtoCで4.37%、BtoBで26.5%であり、この比率はさらに高まっていくと予測される。(【図表1】【図表2】)
※1 コンピューターネットワークシステムを介して、商取引(受発注)が行われ、かつ、その成約金額が捕捉されるもの。VAN・専用回線、TCP/IPプロトコルを利用していない従来型EDI(例:全銀手順、EIAJ手順などを用いたもの)が含まれる
※2 全ての商取引における、ECによる取引の割合。BtoCにおけるEC化率は、物販系分野における値を指す

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人口減少でモノ余りが続くと予測される国内市場において、EC市場は数少ない成長市場であり、あらゆる商品・サービスを取り扱う企業にとって、Webの活用は無視できないテーマである。

こうした中、インターネットを活用したプロモーションの手法は、日に日に高度化している。検索エンジンで上位表示を狙うSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)や、より確実に成約へ結び付けるためのLPO(Landing Page Optimization:目的ページの最適化)、顧客の再訪率を上げて顧客生涯価値(LTV)の最大化を図るためのリターゲティング広告などである。

Webプロモーションの手法は目的によって細分化され、それぞれの専門家がより効率的なテクニックを日夜探求して、そのノウハウを積極的に発信し続けている。(【図表3】)

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成功するWeb通販会社が少ない理由

賢明な読者は、ここで1つの疑問を持たれるだろう。市場が拡大を続けており、そこで実績を挙げるためのノウハウが日々洗練されていくのに、Web通販で成功する企業が少ないのはなぜだろうか、と。

その答えは「戦略・戦術・戦闘の一貫性がないから」だと筆者は考えている。Webプロモーションの世界では、特定のテクニックを駆使してたまたま成功した事例を挙げ、あたかも同じテクニックさえ活用すれば簡単に成功できるように語られることが多い。

例えば、かつてSEOというテクニックが売り上げを飛躍的に向上させる手法として脚光を浴びた。当時、流行したのは「ある特定のキーワードに関して、より多くの情報が掲載されたWebページだと検索エンジンに認識させる」ためのテクニックだ。該当する検索キーワードをむやみに多く用いたり、特定キーワードによるリンクを増やしたりして、検索エンジンをだます小手先の技術である。ユーザーには認識されずに検索エンジンにだけアピールする目的で、白い背景に白文字で何万ものキーワードを羅列するページまで現れた。

この行き過ぎたSEOのテクニックは、検索エンジンユーザーが表示したいページとは裏腹に、そのキーワードで検索したユーザーにアプローチしたいサイトばかりがヒットするという結果を招いてしまった。例えば、「ベンツ」と検索したユーザーを高額所得者と見込んで、投資用マンションのサイトが上位に表示されるようなことが起こったのである。

こうした事態を重くみた検索エンジン提供会社は、検索順位の決定方法を不定期に変更し、ブラックボックス化することで対応しているが、SEO専門業者とのいたちごっこは今でも続いている。

SEOという概念そのものが間違っているのではなく、特定のテクニックがあたかも業績を上げる全てのようにもてはやされ、手段が目的化するところに怖さがある。戦略の本質は「何を」「誰に」提供するかにある。戦略実現のための戦術としてWeb通販があり、さらに戦闘方法の1つにWebプロモーションがある。SEOというWebプロモーションのテクニックを起点に戦略を逆算するのではなく、戦略に基づいた戦術・戦闘の設計が必要だ。

顧客と「ダイレクトにつながる」3つのインパクト

EC市場を単に「直販で利益率が高く都合の良いチャネル」、あるいはWebマーケティングを「楽に顧客を捕まえて販売できる仕組み」と捉えていては真の成功はない。Web通販の最大の魅力は「顧客とダイレクトな関係を築きやすいこと」にある。これは、少なくとも「企画開発」「販売促進」「収益構造」の3つに大きなインパクトを与え、事業そのものをイノベーションするほどの大きな力を持つ(【図表4】)。

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順に説明しよう。
1.企画開発

「何を」提供するかを決める企画開発は事業戦略の第一ボタンである。提供する商品・サービスが市場に受け入れられるためには、顧客ニーズの変化を適切に捉えることができなければならない。しかしながら、通常、経営者や開発担当者が耳にする顧客ニーズには、いくつかのバイアスが掛かっていることが多い。

メーカーであれば、代理店や小売店、あるいはマーケッターを自称するバイヤーにとって都合の良い意見や断り文句を「顧客ニーズ」として認識しているかもしれない。自社の営業パーソンであっても同じことだ。売り上げダウンを自分の責任だと思いたくない営業パーソンは、営業力不足を棚に上げて、「顧客ニーズ」を都合の良い言い訳にしている可能性がある。

言うまでもないことだが、これらの情報をどれほどたくさん集めても、顧客のニーズに合致した商品開発の参考にはならない。しかしWeb通販なら、直接的に顧客の意見を吸い上げることができる。

2.販売促進

顧客が購買に至るまでの経緯がAIDMA(アイドマ)からAISAS(アイサス)に替わったといわれて久しい(【図表5】)。興味がある商品・サービス、あるいはそこに至る前の課題解決について、われわれは最も簡単に情報を得るツールとしてインターネットを活用し、それが日常化している。

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リスティング広告やアフィリエイトなど、狙ったターゲットに効率よくメッセージを伝えることは、インターネットの世界ではとても簡単なことだ。マスメディアを使って万人受けを狙ったキャッチコピーを掲載する必要はなく、本当にお付き合いしたい重点ターゲットへ向けた提案が可能なのである。

故に、顧客ニーズが専門化・複雑化し、マス広告の費用対効果が落ち込むのと反比例して、Webプロモーションは伸び続けている。自社が狙うターゲットにメッセージを届けるためにインターネットほど優れたツールはない。

「誰に」対して商品・サービスを提供すべきか、Webプロモーションという手段を通して仮説と検証を繰り返しながら、ターゲットへのアプローチが可能になる。

3.収益構造

Webプロモーションをうまく使えば、新規顧客の獲得だけでなく、顧客ロイヤルティーを高め、リピート率の向上でLTVを最大化することもできる(【図表6】)。「売り上げ=顧客数×客単価」であり、顧客数はリピーターと新規顧客の合計である。一般に新規顧客のCPO(受注に必要なコスト)は、既存顧客を維持するコストの5倍といわれるが、Webを用いれば顧客と継続的なリレーションを構築するのも難しいことではない。

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直接取引による利益率の向上はもちろん、販促手法が効率化され、リピート率が向上すれば新規顧客獲得を延々と繰り返す重要性は低くなり、毎年LTVの高いユーザーを積み上げることで、事業をフロー型ビジネスからストック型ビジネスへと転換することができる。

当然、直販のために新たな担当者を置かなければならない場合はあるし、カード決済の手数料などの変動費も発生するかもしれない。しかし、粗利益率が高い上に自助努力で顧客のリピート購買を促すことができるWeb通販ビジネスは、初期投資コストや失敗のリスクを差し引いても余りある魅力を持っている。

今号の特集1で取り上げた事例3社は、いずれもWebという技術(メディア)を駆使し、顧客との直接的なコミュニケーションを基盤にしたビジネスモデルを構築している。肝は最新のネット技術ではなく、「顧客とのダイレクトなつながり」を今の事業に、そして今の事業を革新するための仕掛けそのものとして取り込んでいることだ。Web通販事業をまだ立ち上げていない、または、あまりうまくいっていない企業は、同チャネルが持つ特性を生かし切り、自社の収益構造を抜本的に変える起爆剤としていただきたい。

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