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今週のひとこと

自信過剰は会社を潰す。

冷静に判断し、時には苦言を呈して

くれる外部のブレーンを持とう。





☆ 苦手意識を克服するための3つのこと

 人間関係において、誰でも少なからず、苦手なタイプの人と出会ったことがあると思います。筆者がクライアント企業で研修を実施する際、受講者から上司・先輩・後輩を問わず苦手なタイプとの付き合い方について相談されることが頻繁にあります。

 どのような相手に対しても、苦手意識という感情を表に出してしまうと、良い関係を築くことはできません。業務に支障をきたしたり、その人との会話にストレスを溜めてしまったりといった不都合が生じます。マイナスの気持ちに感情的に振り回されることなく、うまく付き合っていくために、次の3つのことを心掛けてみてはいかがでしょうか。

1.距離を縮める(自分から近づく)

苦手な相手とは、つい距離を置いてしまいがちですが、あえてベクトルを逆にします。相手の懐に飛び込んでみることで、相手の考え方をより深く理解することでき、これまでと違う関係性を築けるかもしれません。自らの意思で、相手に近づいて行く方が、ストレスも少ないのではないでしょうか。

2.理論的に考える(原因を見付ける)

なぜ苦手意識を持ってしまったのかをじっくり考えてみると、きっと理由が見つかります。実はとても些細なことがきっかけになっていたり、単なる思い込みであったりするものです。

3.親しみを出す(相手の名前を呼ぶ)

相手との会話の中では、時折「○○さん」と名前で呼んでみることです。そうすることで伝わり方が変わり、自分自身も相手の名前を呼ぶことで、より親しみを覚えます。

コンサルティング戦略本部
アソシエイト
土井 舞







企業はどんな税理士と付き合うべきか

「どんな税理士とお付き合いすればいいですか?」

企業経営者から、こう尋ねられることが多い。近年、多くの企業が経営者の世代交代、事業承継の時期を迎えており、それに伴って税理士事務所(会計事務所)を活用する機運が高まっている。だが、多くの経営者は税務相談や記帳代行以外で税理士を活用した経験が少ないため、今後の付き合い方について不安を覚えているのだろう。

私は冒頭の問い掛けに対し、「税務会計はもちろん、貴社の将来を一緒に考えてくださる、志の高い税理士とお付き合いすることですよ」と答えている。"志が高く、将来を一緒に考える"とは抽象的な言い回しに聞こえるかもしれないが、要は「理念・ビジョン・方針」をしっかりと作成し、それを実直に推進できている会計事務所を選ぶということだ。

事務所の存在意義を示す「理念」があり、将来のあるべき姿としての「ビジョン」がある。そして、ビジョンを実現させるための毎年の行動指針である「方針」があるかどうか。そもそも事務所の将来像が描けない税理士・公認会計士に、顧客(経営者)の将来像など考えられるはずはない。

タナベ経営では、2016年9月より「会計事務所ビジネスモデル革新研究会」を主宰している。現在、29事務所34名の方々にご参加いただいており、「会計事務所の環境」や「高付加価値・高回転モデルの構築」、「顧客創造の極意」、「経営システムの再設計」、また人財づくりやビジネスモデル革新などをテーマに、研究を進めている。

驚かされるのは、参加する事務所のレベルの高さである。取り組む姿勢の真剣さには舌を巻く。研究会では毎回、事務所の概要を発表していただくのだが、「何がなんでも他の事務所の良いところを生かし、顧客に貢献したい」という強い気持ちが伝わってくる。

会計事務所業界は今、クラウド会計、Fintech(フィンテック)、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)など、技術系の進化がすさまじい。また業務内容も多様化・複雑化が進展している。そうした環境に対応する最新システムを持つ事務所に目が向きがちだろうが、システムは志を持たない。

もちろん大半の会計事務所は、限られた人数で多くの顧問先を指導しているため、全ての顧客の将来を子細に考えることは難しい。だが、やはり全ての顧客の将来を一緒に考えたい、という高い志を持った事務所と共に歩むことが必要である。


タナベ経営 取締役/
会計事務所 ビジネスモデル革新研究会 アドバイザー

中東 和男 Kazuo Nakahigashi
タナベ経営が蓄積してきた数多くのコンサルティングデータを基に、全国企業の教育支援を行う人材開発のプロフェッショナル。特に後継者・社員の教育支援においては厚い信頼を集めている。また、近年は金融機関や各種団体が主催する講演会で多数の講師指名を得ている。  








経営ブレーンとしての「士業」活用のすすめ

タナベ経営 コンサルティング戦略本部/
マネジメントパートナーズ本部 本部長

会計事務所ビジネスモデル革新研究会 リーダー
三浦 保夫 Yasuo Miura
ネットワーク本部(現マネジメントパートナーズ本部)副本部長を経て2014年より現職。多くの人材を効果的に成長させ、組織づくりを実施する傍ら、全国の金融機関主催の研修会でグループ討議や実習を取り入れ、多くの経営者から「分かりやすい講義」と支持を得ている。また、企業・金融機関・会計事務所が抱える悩みを解決する組織づくりのエキスパートとして、相談が後を絶えない。「人の潜在能力を120%伸ばす」ことを信条に、多くの企業支援を行っている。

士業人口の現状

日本では、国家資格を有する職業を「士業」と呼ぶ。このうち、法律を扱う主な登録士業としては、弁護士、弁理士、税理士、司法書士、行政書士、公認会計士、社会保険労務士、土地家屋調査士(以下、8士業)などが挙げられる。いずれも高度な専門知識が求められ、資格取得試験の難易度は高い。

これらの士業人口は年々、増加傾向にある。日本弁護士連合会の「弁護士白書2016年版」によると、8士業を合わせた人口は2007年には22万4316人であったが、2016年には27万6987人と、23.5%増加している(【図表1】)。特に著しく増えているのが公認会計士(63.9%増)と弁護士(63.0%増)、弁理士(51.3%増)である。

弁護士の増加は、いわゆる「ゼロワン地域」(地方裁判所の支部管轄区域で弁護士が1 人またはゼロの地域)の解消に向けた司法制度改革により、司法試験合格者の増加が図られたため。また公認会計士は、2006年に金融庁が難易度を下げた新試験を導入したほか、企業や監査法人が採用を増やしていることも影響している。弁理士については、知財戦略を進める企業が従業員の弁理士資格取得を推奨していることが背景にあるとみられる。

ただ、その一方で「士業の供給過剰問題」が指摘されている。試験合格者や資格取得者の増加に対し、法律をはじめとする専門家を活用するニーズが追い付いていないためだ。

日本人は話し合いによる和解を重視する国民性から、欧米人に比べ権利意識が薄く、法律などを活用することに慣れていない。他方、社会の高度化・専門化が進展し、個人や法人のリーガルリスクは高まっている。そのためエキスパート人材を増やすことで「供給が需要を生む」効果が期待されたが、現状は「日常的に士業を使う」というレベルには至っていない。

【図表1】 主な士業人口の推移



最も頼りになる専門家は「税理士・公認会計士」

中小企業庁の「中小企業白書(2016年版)」によると、中小企業がリスクを伴う行動を取ろうとする際、相談する相手は「税理士・会計士」(60.2%)が最も多く、次いで「金融機関」(44.0%)、「従業員」(30.8%)、「コンサルタント」(25.8%)と続く(【図表2】)。税理士・会計士は、中小企業にとって最も身近な存在で、かつ気軽に相談できる相手であることがうかがえる。

とはいえ、中小企業経営者は、税理士・会計士を十分に活用できているのだろうか。はっきり言って、「ノー」と答えざるを得ない。私は企業経営者から、「先生が多忙すぎて会えない」「財務・経理の機能だけ代行してくれればよい」などという声を聞く。逆に、税理士・会計士からは「顧問先から顧問料の値下げ圧力が強い」「節税対策の専門家だと思われている」といった話も聞く。

そもそも税理士・会計士は、記帳代行や月次試算表の作成、決算書作成といった単純な会計処理の代行業者(アウトソーサー)ではない。税法に基づいた節税対策のみならず、作成した決算書を分析し、経営アドバイスを行い、事業計画を作成し、実行支援を行うというコンサルティングの側面も持ち合わせている。

最近は、毎日の会計処理から、日々決算アドバイスを行う「クラウド会計」サービスが注目されている。これを導入することにより、企業はわずかなコストと引き換えに、自社の会計処理の手間が大幅に削減される。また税理士・会計士から記帳方法の指導を受けやすくなる上、日繰りで試算表を作成できるようになる。まさに、日々の経営を「見える化」するためのシステムである。

【図表2】 中小企業がリスクテイク行動を取る上で相談・検討する相手(複数回答)

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出典 : 中小企業庁「中小企業白書(2016年版)」より作成

会計事務所活用の利点

近年の会計事務所を見ると、「企業支援」に力を入れているところが多い。これは全国的な傾向である。特に、トップマネジメントをサポートする高付加価値業務へビジネスモデル転換を果たした事務所は、売り上げを拡大させている。

今後、会計事務所業界は、先に紹介した事例のように、高付加価値サービスによって差別化を図る動きが進むだろう。これは、企業経営者にとってチャンスでもある。会計事務所は、職員1人当たり平均約40の法人顧問先を持ち、その経験からさまざまな業種・業態、規模の経営事例を有している。また各社の日々の数字の動きから年次の決算書まで、定量面の情報を把握している立場にある。しかも、そうした強みが高度に差別化されていくのだ。

メインバンクや取引先に相談しにくい経営課題について、財務のプロフェッショナルによるアイデアとノウハウを活用しない手はない。自社が現在契約している顧問税理士・会計士はどうだろうか。各種税務申告・記帳代行しか対応せず、たまに財務書類を持ってくるだけの事務所なら、有益なアドバイスをしてくれる事務所とコンタクトを取り、変更することをお勧めする。

取引先の多様化やコンプライアンス意識の向上、知的財産権を巡る企業間紛争、「働き方改革」に伴う従業員の労務対策など、企業経営にまつわるリスクは増大している。本稿では税理士・会計士を中心に述べてきたが、そうしたリスクを低減するために活用すべき士業は数多い。

経営者はぜひ、自社が直面する可能性のあるトラブルや、過去に経験した悩みを書き出し(【図表3】)、それぞれの項目で相談すべき相手を設定する「専門家リスト」を作成していただきたい。

中小企業経営者は往々にして、「この問題にはこの専門家が適任」という情報整理がなされておらず、複雑・高度な問題が発生したときに右往左往することが多い。また、経営課題やリスクが不明確なため、専門家へ相談するにも何を聞けばいいのか分からないというケースも目立つ。専門家リストの作成は士業の情報収集だけでなく、自社が遭遇するであろうトラブルを事前に想定し、かつ現在の経営課題を浮き彫りにする上でも有用である。

そして士業事務所を単なる「業務アウトソーサー」や、「困ったときの駆け込み寺」と考えるのではなく、「日常的にコンタクトを取り、相談するパートナー」として位置付けたい。

【図表3】 事業上のトラブル(例)

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出典 : 東京商工会議所「中小企業の法務対応に関する調査」調査票より作成

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    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所