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今週のひとこと

忙しいことを理由に、部下の育成・教育を

なおざりにしていては上司失格だ。

部下育成を継続して実行してゆけば、

自らの能力アップにきっとつながる。





☆ 「時間がないから学べない」と言っていませんか?

 「働き方改革」の旗印のもと、勤務時間の短縮やテレワークなど、働く環境をどうするかが話題となる中、後回しにされがちなのが「人材育成」です。
 残業禁止などで勤務時間は短縮されるのに、顧客からの要望は益々難しくなり、忙しさだけが増している。これが多くの働く人々の実感ではないでしょうか。そんな中で集合研修を実施しようとすれば、「こんな忙しい時に...」と嫌がられるのは簡単に想像がつきます。


 では、「学び」の時間は本当に仕事の阻害要因なのでしょうか。
 多くの人の仕事ぶりを見ていると、むしろ逆ではないでしょうか。つまり、仕事が忙しくて学ぶ時間が無いのではなく、効率的な仕事のやり方を知らないから、時間がかかる割に成果につながっていないのであり、適切な「学び」こそが生産性向上への近道と言えます。
 確かに集合研修は、会場までの移動時間を含めると拘束時間が長く、また年に数回しか参加できないという難しさはありますが、ディスカッションなどを通じたダイレクトな刺激があります。一方、通信講座やeラーニングは、時間や場所の制約は無いものの、内容が一般論で即効性がなかったり、学習のモチベーションを維持するのが難しかったりということが課題です。


 時間もコストも限られる中で大切なことは、「研修をする・しない」「リアル・Web」という二者択一ではなく、自社の実態に応じてあらゆる手段を組み合わせ、最適な学びの場を創出することなのです。
 来年度の教育計画を立案されるこの時期、ぜひ、自社に適した学びの形を検討してみてはいかがでしょうか。


戦略総合研究所
藤坂 賢年





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KPIマネジメント


「受注を○○百万円増加」「粗利益率○○%アップ」「不良率○○%改善」......。こういう文言で、方針アクションプランのテーマ設定が終わっていないだろうか。

これらはあくまでも結果である。結果をチェックすることはもちろん重要だが、もっと大事なのはそこに至るプロセスのチェック&アクションである。「一生懸命頑張っています」では、プロセスの進捗が見えない。PDCAを回すためには、プロセスごとの目標の数値化(指標化)が必要となる。これがKPIだ。Key Performance Indicatorの略称で、日本語では「重要業績評価指標」といわれ、多くの企業で導入が進んでいる。

事例を挙げると、ある住宅会社はイベント参加者の着座率とクレーム率をKPIにしており、ある卸会社は毎月の見積もり提出件数と受注率をKPIにしている。また、ある設備工事会社はメンテナンス売上比率を、あるプラスチック製造会社は新製品売上比率をKPIにしている。このように、業種・業態(ビジネスプロセス)や重点方針によりKPIは違ってくる。要は、1社ごとに違うということだ。そして、これらのKPIは部門や機能に落とし込み、PDCAを回さねばならない。

KPIの改善が直ちに業績向上に結び付くとは限らない。顧客満足向上、社員の能力やスキル向上のKPIであれば、なおさら業績に表れるまで時間差が生じるだろう。すぐに結果が見えないからといって安易な変更に走らず、少し長い時間軸で成果を見極めてほしい。

加えて、PDCAが正しく回るようになるまでに2、3年はかかるものだ。継続して実施し、KPIの改善が業績向上につながったとき、業績改善のPDCAを正しく回せたことになる。

責任者が「打った手が正しかった」と実感することは、業績向上のみならず、組織の成長を促す。そして、年度予算・方針の品質も格段に向上する。

結果管理のみの経営から卒業し、ぜひKPIマネジメントを取り入れていただきたい。


■筆者プロフィール
タナベ経営 コンサルティング戦略本部
東北支社長代理
藤井 健太 Kenta Fujii
クライアントとビジョンを共有し、その実現を支援することを使命とする。特に、全社視点からのストーリー構築、具現化に向けた方針策定から管理までのマネジメントシステム構築を得意としている。また、実行推進においてのきめ細かな指導と着実な支援展開が、クライアントから高い評価を得ている。






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事前体験の場を提供する「iアカデミー」の設立へ

井上 代表取締役社長 井上 大輔氏(左) サポートディビジョン 業務支援室 部長 桐村 徹氏(右)
井上
代表取締役社長 井上 大輔氏(左)
サポートディビジョン 業務支援室 部長 桐村 徹氏(右)

理念の浸透でピンチを脱して成長軌道へ

京都府福知山市に本社を置く井上。電気設備に関わる多様な課題にワンストップで対応できる「電気のトータルソリューション企業」という独自の業容を築き、2017年に創業70周年を迎えた。

同社を率いる代表取締役社長の井上大輔氏は、電気機器の卸業から電気総合業へと事業の幅を広げた3代目経営者だが、就任当時は逆風が吹き荒れた。事業を継承して社内をチェックすると、財務状態をはじめ、社員のモラルや職場の雰囲気など、あらゆる悪い面が目立ったという。

窮地からの脱出を懸け、井上氏は「何のために人が集まって仕事を行うのか」に主点を置いて、会社経営の意味を考えた。そして、「幸せになろうとしている人を精いっぱい応援できる会社にしていこう」と決意。2011年には「i Standard(アイスタンダード)」と呼ぶ理念体系を定め、それを掲載した小冊子「i Standard Book(アイスタブック)」を全社員に配布。常備させることで、理念の浸透を図った。

「ピンチから脱して会社を成長軌道に乗せられたのは、社員一人一人に理念が浸透した成果」と井上氏は明言する。

若手社員の背中を押す社内アカデミーを設立

井上は理念に基づく「人づくり」にも力を注いでいる。その基本となるのが、「INOUEの成長エンジン4原則」である。自分を大切にする「個の尊重」と、他人をいたわる「相互支援」が充実すると自主的な改善を行う環境が整い、「戦略的計画」などが推進される。そして、「お客様への顧客価値創造活動」「アライアンス企業、地域社会への活動」が加速するという概念である。

「その背景となるのが、全社にわたる価値観の共有」と井上氏は言う。価値観共有の促進に大きな成果を上げているのが、「ワット会」という自由参加の勉強会。「愛」といった抽象的なものから「粗利益」や「回収」といった実務に直結したものまで多彩なテーマが設定され、ベテラン社員と新入社員が真剣に語り合い、定義をブラッシュアップしながら価値観をすり合わせる。

井上氏は「人づくりの根本は主体性。幸せは他人から与えられるものではないから、主体性を発揮できないと幸せの芽は育ちません」と述べる。その主体性の伸長に大きな役割を果たすのが「i デア提案」。部署や会社のためになると思ったことであれば、何を提案しても構わない制度だ。提案書は社内のグループウエアで共有し、経営者宛ての提案は部署や部門でとどまることなく井上氏へ直接届く仕組みになっている。1つの提案につき、「グッジョブポイント」が1つ与えられ、賞与時に1ポイント500円として換金できる。提案総数は、年間800件に達するそうだ。

人づくりの基本は主体性へのこだわり

社員の主体性を優先する同社の姿勢は、昇進制度にも表れている。同社のリーダー職(課長代理と課長)は立候補制なのだ。

「当社はチームワークを重視するため、リーダーに求められるのはチームを支援する能力です。価値観の共有化が進み、最近では他の人と目線を合わせて話ができる優しい性格の社員が立候補するようになりました」と、サポートディビジョン業務支援室部長の桐村徹氏は語る。リーダーをタナベ経営の幹部候補生スクールに参加させ、経営のいろはを修得させる。経営が分からないと、リーダーとして社員への支援に厚みが出ないと考えるからだ。

人づくりの新たな取り組みが、タナベ経営と共に推進する「i アカデミー」の設立である。すでに先輩社員がマンツーマンで指導するチューター制度や、自分が勉強したいことに会社出資で取り組める研修制度などを整えてきたが、今の若手社員はもう少し背中を押さないと鍛えられないと気付いたのである。

「アカデミーでは、現場業務をリアルに再現した『事前体験の場』を用意しようと思います。擬似的な体験を積ませることで、若手が自信を付けて実際の現場で能力を十分に発揮できるようにしたい」と井上氏は期待する。

「脱・競争」をテーマに掲げる井上氏。価格競争など、質の悪い競争は徹底的に排除し、会社のクオリティー向上に結び付くような取り組みに特化すべきだと考えている。「そうすれば、必然的にファーストコールカンパニーになれるはずです」(井上氏)

PROFILE

  • 井上株式会社
  • 所在地 : 〒620-0055 京都府福知山市篠尾新町3-3
  • TEL : 0773-22-5171(代)
  • 創業 : 1947年
  • 資本金 : 4000万円
  • 売上高 : 38億1100万円(2016年4月期)
  • 従業員数 : 89名(2017年2月現在)
  • 事業内容:電気設備資材の卸売業、各種制御盤の設計・製作・設置工事およびコンサルティング、通信監視システムの提案・設計・構築など、各種省エネコンサルティングほか
  • http://www.inouekabu.com/


 タナベ コンサルタントEYE  
1947年、京都府福知山市で電気設備資材卸売業者として創業し、現在では電気設備システム開発から施工、メンテナンスまでを手掛ける電気のトータルソリューション企業として成長を続けている。
その原動力は、社員一人一人の幸せと成長の実現だ。自社の理念体系「i Standard」を軸とし、全社員のベクトルを統一するためにさまざまな研修や社内での取り組みを実施。人材力・チーム力を高めている。同社が「電気のファーストコールカンパニー」となる日はそう遠くないだろう。

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