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今週のひとこと

「期待しているよ」「がんばってほしい」

の一言が、メンバーのさらなる向上心に

火をつける。

☆ 作業から仕事へのステージアップ

 筆者は新卒1年目の新入社員ですが、「仕事ができる」とは、どのような状態のことなのか、体感としてようやく少しだけイメージできるようになってきました。
 入社する前から、「仕事ができる・できない」といった言葉はよく聞いていましたし、それらがどのような状態なのかを考えたこともありました。


 しかし、実際に社会人になってみると、「仕事をする」ということは想像以上に難しいと感じました。日々の業務で、目的意識を持たずに行うことは、仕事ではなく作業になってしまうことを学んだからです。
 私たちが生きる時代は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)が更に発達し、誰でもできる作業はAIがやってくれる時代になるでしょう。


 作業ではなく仕事をするという点において、これからは、より強く常に目的意識を持って仕事に取り組んでいく必要があります。また、作業になりやすい業務において、生産性をいかに高めるか、ということも重要なテーマです。ルーティン業務を効率化し、本来の仕事に目的意識を持って取り組んでいくこと。それが「仕事ができる」ということではないでしょうか。

 筆者もまだまだ勉強中ですが、皆さんもそうした意識を持ちながら、日々の仕事に向き合っていきましょう。

経営管理本部 総務人事部
小川 真奈

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モチベーションにつながる「OKR」


OKRという言葉を耳にする機会が増えてきた。グーグルが2000年代前半に採用して成功を収めたことから注目が集まり、この手法の導入を検討している企業が多いようだ。

OKR(Objectives and Key Results)とは、達成すべき目標(Objectives)とカギとなる結果(Key Results) をつなげた言葉である。

KGI(Key Goal Indicator: 重要目標達成指標) とKPI(KeyParformance Indicator: 重要業績評価指標) による管理手法(結果目標に対して複数の重点管理指標を設定する手法)と何が異なるのだろうか?

KGI/KPI による目標管理では、達成すべき目標は明確でも、管理指標だけが独り歩きしてしまうことがあった。例えば、リピート率改善が業績向上のカギだと考えた企業が、リピート率をKGIに設定し、この最終目標達成のため各部署に目標を細分化してKPIを設定していく。その結果、あるスタッフ部門では顧客アンケートの回収率がKPIとして設定され、ライン部門では顧客ランクに合わせた訪問件数目標達成率がKPIとして設定されるかもしれない。

この場合、それぞれの部門がKPI達成に努力しても、最終目標であるリピート率は一向に改善されないというケースはよくある。

KPIの設定の仕方に課題があるケースもあるが、私は目標が細分化されることで「手段そのものが目的化してしまうこと」、そして最終目標と施策が乖離することによる「モチベーション持続の難しさ」の2点に課題があると考えている。

OKRの手法では、達成すべき目標とカギとなる結果の関係性が重要視され、これらの課題を克服することが可能である。1つのオブジェクトにひも付けされるリザルト(結果)は4、5つ程度までで、担当部門に振り分けられたリザルトは、それ自体がオブジェクトとなってさらにリザルトに細分化されていく。

例えば「若手営業による顧客密着の強化」という戦略目標を立てたとしよう。このオブジェクトは「新卒採用人数を○割増やす」と「S・Aランク顧客への訪問回数目標達成」のリザルトに細分化され、「新卒採用」は人事部門、「訪問回数目標」は営業部門に割り振られる。

「新卒採用人数を増やす」というリザルトが割り振られた人事部はこれをオブジェクトとして、「説明会エントリー人数を30%増やす」「採用リードタイムの短縮」「学内説明会を5校増やす」の3つをリザルトに設定して具体的なアクションプランを立案し、目標達成を目指す。

この手法によって「何をすべきか」だけでなく「何のためにこれをやるのか」が明確になり、第一線で頑張る社員のモチベーションを維持することにつながるのである。


■筆者プロフィール
タナベ経営 コンサルティング戦略本部
副本部長
岡田 泰範 Yasunori Okada
幼少時に両親の事業失敗を目の当たりにし、「企業成長に貢献する」との志を持ってタナベ経営に入社。事業戦略構築や営業力強化を得意とし、自身も社内ベンチャーの立ち上げ経験を持つ。「一燈照隅、万燈照国」を信条に、実践的で分かりやすい指導を心掛ける。


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世界進出を視野に入れ未来を切り拓く
〝若い力〟育成へ Vol.21 大石膏盛堂


貼付剤業界の100年企業国内屈指の地位を確立

「貼付剤のOEMメーカーとして世界一を目指す」をスローガンに掲げる大石膏盛堂。同社は日本の四大売薬(家庭配置薬)※1の1つ「田代売薬」発祥の地・佐賀県鳥栖市で1907(明治40)年に誕生、2017年3月3日で、創業110周年の節目を迎えた医薬品メーカーだ。

膏薬の製造・販売からスタートし、戦後は家庭配置薬向けに気孔付きの貼り薬を開発。現在はパップ剤(※2)など貼り薬に特化した医薬品の製造・販売事業を国内外で展開する。特に後発医薬品業界では、有力OEMメーカーとして国内屈指の地位を確立。近年は海外進出に踏み切り、貼付薬となじみが深い新興国への進出を目標としている。

「時代の流れに対応し、常に現実と向き合うことで着実に未来へつなげてきた」。そう語るのは、取締役生産本部長の伊藤健一氏だ。
※1 富山売薬・大和売薬(奈良)・近江売薬(滋賀)・田代売薬(佐賀)
※2 ジェル状の軟膏を布やフィルムに貼り付けた湿布

2017年に創業110周年を迎えた大石膏盛堂。 創業当時は和紙に薬を延ばした延べ膏薬 「朝日万金膏」(あんま膏)を製造
2017年に創業110周年を迎えた大石膏盛堂。
創業当時は和紙に薬を延ばした延べ膏薬「朝日万金膏」(あんま膏)を製造

自発的に始まったVM活動現場の意識が大きく向上

同社の経営方針や行動方針には"若い心"という文字が躍る。だが、経営陣は伊藤氏を除いて全員が60歳以上。組織の高齢化が目下の大きな課題になっている。

「これからの100年、世界進出のためには、思い切って行動できる若い力が必要」(伊藤氏)と考え、この10年は人材育成に取り組んできた。管理職を対象にタナベ経営の「幹部候補生スクール」などのセミナーを活用し、徐々に意識改革を進めている。ただ、部門の所属長クラスで完結し、意識改革がなかなか一般従業員まで浸透しない傾向にあったという。製造現場の従業員は約260名に上る。「現状や課題、問題意識が全員に浸透してこそ、次のステップに進めるんです」(伊藤氏)

そこで業務改善スクールも併用しつつ、改善意識を現場の隅々まで浸透させるシステム作りに着手した。月に1度開催する部門会議で出た議題を、所属長が各課リーダーの前で発表。それを受けてリーダー同士がディスカッションし、内容を各工程に落とし込む体制を整えた。

「会議では『できない』で止まっていた意見が、『どうしたらできるようになるか』という前向きな発言へどんどん変化していきました」(伊藤氏)。リーダーの意識の変化は、自発的なVM(ビジュアル・マネジメント)ボードの作成から始まり、活動と毎月のVM会議に社長も参加している。さらに月ごとの結果報告と翌月に向けての方向性・軌道修正をそれぞれに周知徹底し、社員の参画意識とポテンシャルが引き出され、最近は楽しんで仕事ができる環境になりつつあることが大きな喜びという。

実際、この数年で製造現場の直行率※3も向上し、毎年売り上げが5、6%増を継続するなど、VM活動の成果が貸借対照表や損益計算書上に数字として明確に表れ、全体に結果を伝えることができている。10年にわたるセミナー継続受講の蓄積が見事に花開くこととなった。

伊藤氏はセミナーの有効性について「宿題があること」とも語る。問題点を再認識し、復習によってさらに現状を見直すことで、具体的な課題を現場に提示できるからだ。
※ 3 工程内・出荷前検査で一発合格した良品の割合

この10年、タナベ経営のセミナーなどを活用し、徐々に意識改革を進めた
この10年、タナベ経営のセミナーなどを活用し、徐々に意識改革を進めた

若手にチャンスを与える仕組みづくり、人づくりを

現在、大石膏盛堂はスキルマップを活用した新たな評価の仕組みづくりに挑戦中だ。若手社員に責任と権限を与え、成長を促す「組織の若返り化」が目的である。また、地元の3高校と連携して毎年5~10名の新入社員を製造現場で雇用。開発や品質管理部門でも優秀な人材を確保すべく、佐賀県、福岡県の大学にアプローチを始めた。

タナベ経営の「新入社員教育実践セミナー」も10年間活用している。「現場の社員は入社すると社外に出ることが少ないので、セミナーで外部の人と接触し、自分の意見を発表することは良い経験になります」と伊藤氏。VM活動を率先して行う社員の中には、セミナー受講経験者が多いという。

同時に、次世代の経営を担う若手リーダーを集め、経営戦略会議を実施。決定事項を経営会議に上申していく仕組みもつくり、将来の新事業体の経営者候補育成にも力を注ぐ。未来を切り拓く基盤が整った今、次なる100年への挑戦は始まったばかりだ。

大石膏盛堂 取締役生産本部長(薬剤師) 伊藤 健一氏
大石膏盛堂 取締役生産本部長(薬剤師)
伊藤 健一氏

PROFILE

  • ㈱大石膏盛堂
  • 所在地 : 〒841-0037 佐賀県鳥栖市本町1-933
  • TEL : 0942-83-2019(代)
  • 創業 : 1907年
  • 資本金 : 3000万円
  • 売上高 : 83億円(2016年8月期)
  • 従業員数 : 290名(2017年4月現在)
  • 事業内容:医薬品などの製造、販売
  • http://www.o-koseido.co.jp/


 タナベ コンサルタントEYE  
貼付薬の専門メーカーである大石膏盛堂は、創業110年の信用と実績に裏打ちされた、品質・コスト・納期のトータルバランスに優れる中堅企業である。医療用医薬品とドラッグストアなどでの一般用医薬品を中心に安定した収益基盤を確立しながらも、社員・取引先・地域を大事にする「三方よし」の経営を実践している。大手医薬品メーカーのOEMパートナーとして、国内ではすでにオンリーワンのポジションを確立しているが、中長期的なグローバル展開に照準を合わせて戦略リーダー育成にも注力し、さらなる進化を遂げようとしている。

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    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所