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今週のひとこと

方針を社員全員に浸透させよう。

分かりやすく、希望の持てるメッセージ

を発信しよう。

☆ 教育担当者の本当の仕事とは

 成長しているチームの現場では、一人ひとりが「誰が、何を、いつまでに」、そして、「どのようにやるか」を明確に理解しています。成長し続けるチームと、そうでないチームの差は、現場レベルでの具体的な目標設定の違いにあり、それは全員が進捗を把握できていることを意味します。

 筆者が企業や金融機関の部門長・支店長といった方々の研修を実施していると、業績が良いチームのリーダーは、誰が、何を、いつまでに、そして、どのようにやるかを明確に設定できます。
 一方、業績が悪いチームのリーダーは、誰が、なにを、いつまでにしか設定できません。このようなリーダーは曖昧な目標設定をしてしまいます。例えば、「Aを浸透させ、推進する」という具合です。しかし、これでは何がゴールで、どのような状況が望ましいのかが分かりません。
 この場合は「Aについて、メンバーがBを説明できるようにし、Cまで推進する」としたほうが、より具体的です。


 全社レベルの戦略を描く際は、現場での創意工夫も考慮し、多少の柔軟性を持たせた形での目標設定でもよいですが、現場レベルでは曖昧さを残してはいけません。「どのようにやるのか」を欠いた目標設定は、誰もやれない・やらない状況を招く結果となるでしょう。リーダーの仕事は、なぜそうなったのかという結果管理ではなく、どのようにやるのかを設定する先行管理、つまり「現場レベルの具体的な目標設定」です。

 「どのようにやるのか」を具体的に指示・アドバイスできていますでしょうか。ご自身に問いかけてみてください。

マネジメントパートナーズ本部
神田 明生

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人事の戦略機能を強化する


介護関連業界における人材競争力

【図表1】は、介護関連企業でよく見られる組織図である。大きな特徴は、「人事の専門機能がない」ということだ。

ご存じの通り、介護事業は労働集約型産業であり、複合型の介護施設では介護収入に占める人件費の割合が平均70%以上と高い業態である。「経費=収益を上げるための投資」と捉えると、介護関連業界にとって最大の投資先は人材であり、事実、介護施設の優劣を決める最大要因は「サービス力=人材力」である。

確かに、介護施設は介護報酬が厚生労働省によって定められているため、厳しい収益構造にある。極力、間接人員の削減が求められるなど、人事の専門機能を設定したくてもできないという事情もある。しかしながら、「人材競争力=企業競争力」でありながら、それに対して「専門的に考える部門」がないというのは、戦略推進力を発揮していく上では、マイナスと言わざるを得ない。

これは介護関連企業の事例だが、自社に置き換えてみるとどうだろうか。

人事の専門部門を持つ、持たないにかかわらず、人事部門が十分に機能を発揮している中堅・中小企業はごく少数派というのが筆者の実感である。多くは、管理部門・総務部門の一部として、労務管理や人事制度の運用・調整といった管理業務が中心になっており、戦略的・企画的な機能まで有するところはほとんどないように思われる。

【図表1】介護関連企業の組織図
【図表1】介護関連企業の組織図


人事部の機能とは

人事部門の機能について、中堅企業A社の業務分掌で再確認してみる。(次頁【図表2】)

自社の実態と照らし合わせてみるとどうか。人事管理機能は有しているが、人事企画(=人事戦略)機能、人材開発機能がないというのが実情ではないだろうか。企業によっては経営トップが人事戦略機能を担っているというところもあるが、その状態では企業規模が拡大するにつれて、社員一人一人の特性を把握することは難しくなり、実際の仕事ぶりも見えにくくなるものである。

また、中堅・中小企業には社員を大切にし、「愛情」を持って人材育成に取り組んでいる素晴らしい経営者が多い。その一方で、過度な温情から適正な人事が行われず、戦略が推進されないケースもよく見られる。例えば、新規事業の戦略リーダーを、明らかにその事業には精通していない古参の幹部に任せるなど、理屈では割り切れない人事上の意思決定がされることもしばしば見られる。

確かに、社員に対する"情"は必要であり、人事において過去の実績に裏付けられた納得感は必要である。しかしながら、企業の競争環境が厳しくなる中で、適材適所の人材配置が成果に与える影響が大きくなっているのは紛れもない事実である。そうした中で、経営トップ以外に、客観的・専門的な判断によって戦略推進を促す適材適所の人材配置を企画し、経営トップに提案することができる人事戦略機能が必要となる。

【図表2】A 社の人事部業務分掌
【図表2】A 社の人事部業務分掌


人事戦略を担える人材をいかにして育成するか

人事戦略機能を社内に備えるに当たっての一番の壁は、その機能を担える人材が社内にいないことである。人事戦略機能を担うためには、人事に関する専門スキルはもちろんのこと、①事業戦略・経営戦略に関する知識、②社外の人事・人材情報を収集するネットワーク、③トップ・社員とのコミュニケーション能力、などが求められる。

特に、事業戦略・経営戦略に関する知識を持った人事担当者が少ないのが実態である。これに対して、社外から人事スペシャリストを採用する企業は多いが、自社の企業文化・人材に精通した社内の人材がその役割を担うことができれば、より理想的だ。

では、いかにして社内で人事戦略を担える人材を育成していくのか。まずは、中期経営計画において人事戦略を立案することで、事業戦略・経営戦略に関する理解を高めること。次に、人事部門の評価に売上高や利益、組織における戦略実行度などを導入することで、人事部門をコストセンターから価値創造部門へと進化させること。そして、将来的な人事の戦略リーダー候補として、現在ラインのリーダーを担っている社員全員に対して、人事の評価、給与、採用、教育などに関する訓練を受けさせることなどが必要である。

そうした意味では、「事業と経営の分かる人事」「人事の分かるリーダー」が、企業の人事戦略機能の強化に必要な条件であるといえる。

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  • タナベ経営
  • コンサルティング戦略本部 副本部長
  • 川島 克也
  • Katsuya Kawashima
  • 経営全般からマーケティング戦略構築、企業の独自性を生かした人事戦略の構築など、幅広いコンサルティング分野で活躍中。企業の競争力向上に向けた戦略構築と、強みを生かす人事戦略の連携により、数多くの優良企業の成長を実現している。




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新たなギフト市場創造へ挑む
社員の思いを込めた経営理念、コーポレートロゴへ刷新

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1945年創業のアピデは、ギフト用品や家庭用品、生活雑貨などの卸販売を全国で展開。「繁盛支援のコンサルティング営業」で得意先との共存共栄を促進し、販路拡大に努めている。創業70周年を迎えた2015年には、社員が主体となって経営理念やコーポレートロゴを刷新。その後、中期経営計画も策定した。


得意先の繁盛を支援

森田 アピデは1945年に創業され、2015年に70周年を迎えられました。これまでの成長の歩みをお聞かせください。

中村 当社の前身は、第2次世界大戦前、大阪の船場で靴下や地下足袋といった繊維雑貨を扱う商売でした。戦中に民間所有の金属類が国に没収されたため、戦後は家庭の金属製品が不足し、人々の生活を不便にしていました。その状況を見て、創業者は金属製の家庭用品分野へ参入。工場を紹介してもらい、鍋や釜などの商品を作って全国の問屋へ卸売を始めました。
その後、自社工場を建てて製造業にも進出し、自社商品と他社から仕入れた商品を併せて販売しました。人件費の高騰などによって自社製造からは撤退しましたが、現在も韓国や中国をはじめとする海外メーカーと提携してオリジナル商品を生産しています。
卸売事業を進める中、結婚式などの贈答用としての家庭用品が好評を博し、ギフト分野へ進出。その後、繊維、食品関係へと取扱商品を広げていきました。
販路は当初、地方の問屋がメインでしたが、時代の流れとともにギフト専門の販売店へシフト。現在の販路は小売店が主体です。

森田 「アピデ」という社名の由来は何ですか?

中村 古いフランス語で「蜂」を意味します。「蜂のように飛び回り、大切な想いや喜びを多くの方へ届け続ける存在でありたい」と願い、命名しました。ちなみに、当社の自社ブランド第1 号は「蜂印」。蜂印ブランドの商品を生産していたこともありました。

小田巻 時代に合わせ、柔軟に事業や販売チャネルを変更されてきたことが成長のポイントですね。現在、取り扱っている商品のアイテム数はどれくらいですか?

中村 約2万点超です。家庭用品・繊維や食品、記念品やSP(販促)向け商品を中心に、華やかでソフトなイメージのある服飾雑貨類も取りそろえています。

小田巻 アピデの強みと課題は何ですか?

中村 一番の強みは得意先に対し、単なるモノ(商品)を提供するのではなく、幅広い商品や企画を組み合わせて「繁盛支援のコンサルティング」という価値を提供していることです。お客さまの抱える問題を解決し、共に売り上げを伸ばし成長することを目指します。営業会議で各営業拠点の成功事例を発表して全社で共有し、得意先へのフィードバックを推進しています。
課題としては、ギフト慣習の風化による小売店の販売不振が挙げられます。そのためSNS を活用して地域の人々を集めたり、ギフト以外のビジネスを展開したり、モノとコトを合わせた体験型の商品を販売するような繁盛支援の取り組みを行っています。

アピデ 代表取締役専務 中村 雅昭氏
アピデ 代表取締役専務
中村 雅昭氏
1958年、大阪市生まれ。甲南大学経営学部卒業。家具・家電のメーカー卸会社を経て、1984年4月アピデ入社。営業3部署、企画室を経て、現在の商品本部長兼営業副本部長に就任。2009年専務取締役、2015年代表取締役専務就任。

アピデ 取締役 法人営業部 部長 吉本 和弘氏
アピデ 取締役 法人営業部 部長
吉本 和弘氏
1976年、島根県浜田市生まれ。神戸大学工学部卒業後、ゼネコン(施工管理)、不動産デベロッパー(事業開発)勤務を経て、2011年4月アピデ入社。新規チャネル開拓営業を中心に行う。2014年6月取締役、法人営業部長に就任。異業種法人チャネル開拓、マーケティング、経営企画などを行う。

社員の思いを反映した経営理念やコーポレートロゴを導入

森田 創業70周年を機に経営理念やコーポレートロゴなどを刷新されました。どのような見直しを行いましたか?

中村 検討委員会を立ち上げ、全社員にアンケートを取って「どういう会社になっていきたいのか」を探りながら、見直しを図りました。その結果、当社のミッションとして「より多くの人々に、満足・感動・幸せ・感動を伝える美しい生活文化を提供し続ける」を策定。それを基に、ステークホルダーにどう対応していくのかを端的にまとめたのが、「誠実・研究・挑戦」という経営理念です。

森田 以前の経営理念は「誠実・研究・努力」。努力を挑戦に変更したわけですね。

中村 「努力をするのは当たり前。さらなる成長に向け果敢に挑戦していこう」という社員の気持ちを表しています。同時に「ありがとうをもっと、幸せをずっと。」というブランドステートメントも策定しました。

森田 社員の方々への浸透具合はいかがですか?

中村 刷新当初、全社員にきちんと説明し、朝礼などで唱和を積み重ねたかいもあって、かなり浸透してきたように感じます。

森田 コーポレートロゴの刷新はどのように行いましたか?

中村 京都大学の客員教授・奥村昭夫氏に手伝っていただきました。奥村氏は京大iPS細胞研究所やグリコ、ロート製薬のVI(ビジュアル・アイデンティティー)などを手掛ける著名なグラフィックデザイナーです。新しいロゴのデザインやカラーリングにも、アンケートから導き出した社員の気持ちが反映されています。

吉本 新しいロゴは従来に比べ色や形も親しみやすく、女性社員からの評価も上々です。また、同じ時期より取り組み出したWebマーケティングやSNS、最近実施した新聞広告などは、当社の存在を事業者にアピールすることが一番の目的です。ホームページの閲覧数や問い合わせ数などを見ると、効果は表れていますし、就職活動中の学生もよく見ているようです。

小田巻 ブランディング活動は、企業や一般消費者への認知度を高めると同時に、採用活動においても人材の量や質を向上させる効果があります。さらに全社員が1つのテーマに思いを寄せて企業ブランドを育てる過程で、社員の帰属意識も高めることができます。

経営理念「誠実・研究・挑戦」
・お客様には、新しい価値と上質な商品・サービスを提供します。
・会社構成員には、働きがい・幸福感と公正な機会を提供します。
・地域社会には、理解と共感を得られる企業を目指します。
・地球環境との共生を計り、自然と生命を大切にします。


ブランドステートメント
ありがとうをもっと、幸せをずっと。

ミッション
より多くの人々に、満足・感動・幸せ・感謝を伝える
美しい生活文化を提供し続ける


ロゴ
感謝の心が人々をつなぎ、幸せの連鎖につなが るイメージを表現。また、70 年以上にわたり受 け継がれる熱い想いや、社員の連帯感も表す。 活発で若々しいオレンジ色も特徴的。
感謝の心が人々をつなぎ、幸せの連鎖につなが
るイメージを表現。また、70 年以上にわたり受
け継がれる熱い想いや、社員の連帯感も表す。
活発で若々しいオレンジ色も特徴的。

オリジナルブランド 『ジアレッティ』。 「自動ペットボトルオープナー」 「自動真空キャニスター」 は話題性も高い
オリジナルブランド
『ジアレッティ』。
「自動ペットボトルオープナー」
「自動真空キャニスター」
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中期経営計画を策定し新店舗や海外市場に挑戦

森田 現在、初めて策定した中期経営計画を推進されています。策定の経緯をお聞かせください。

吉本 人口減少やギフト慣習の簡素化でマーケットが縮小する中、ビジネスモデルの再考は喫緊の課題です。「どこで、どう戦うのか」を明確にして全社で共有し、全員で同じ方向に向かう必要がありました。タナベ経営の戦略リーダースクールで学んだことを基に、次世代のリーダーを集めてタナベ経営にも参加いただき、策定しました。

小田巻 中計策定でさえ、ブランディング活動の一環というイメージですね。100年経営には組織経営への移行が不可欠ですから、「皆で今後の経営計画を考えよう」というスタンスを共有できたことは重要です。

森田 中計の事業戦略の1つに「実店舗」市場開発を挙げ、今の消費者ニーズにマッチした新しいスタイルのギフト販売店舗モデルを追求されています。具体的にどのような取り組みを行っていますか?

吉本 2017年4月29日に新店舗をオープンしました。場所は神戸市西区、敷地面積は515坪で売り場面積は206坪、ギフトと生活雑貨を扱うショップとダイニングカフェを併設した複合店舗です。アンテナショップとして売り場づくりはもちろん、イベントや新たな売り方などのさまざまなチャレンジを行い、そこで得たノウハウや成功事例を繁盛支援サービスとして、得意先へフィードバックすることが目的です。

森田 この中計においては、新店舗でのイベントや新たな売り方の成功事例をいかに作り、得意先であるギフト小売店へ水平展開していくかが成功要因となります。メインターゲットはどのような客層ですか?

吉本 30〜40代女性です。ギフトをやりとりする機会が豊富で、クチコミなど強い影響力を持つ同世代が集う空間を目指します。集客だけでなく、店に滞在してもらうための仕掛けとして、飲食スペースを設けました。「大切な人を思い浮かべながら、実物を見てギフトを選ぶ」というギフトの本質を追求すると、ネット店舗より実店舗の方が有利だと思います。
今後、儀礼的なギフトはより簡素化するでしょうが、「本当の感謝の気持ちをしっかり伝えたい」ニーズ自体は不滅です。ニーズに適応した店を開発すれば、長期にわたる成長が可能だと考えます。

森田 卸売事業を主体としながらも、自社商品開発の強化、新たな小売モデルへの挑戦と、川上から川下の垂直統合によるまさにビジネスモデル改革の転換期にあります。海外の市場開拓についてはどのようにお考えですか?

吉本 日本で人口減少が進む中、海外でのビジネス展開は不可欠です。特にタイ、ベトナム、マレーシアなどのASEAN諸国には、成長基調でありながら手付かずの市場が存在し、日本製品はまだまだ供給不足。潜在ニーズの大きい海外市場に日本のギフト慣習を広めると、その分野のパイオニアになれる可能性は大いにあり、着手しています。

タナベ経営 コンサルティング戦略本部 大阪本部長 小田巻 肇 「業績に直結する」をモットーに、財務戦略・ブランディング戦略や新規事業計画の立案などのコンサルティングを担当。関西一円の企業にて、年商規模がそれぞれ1、3、5の数字(例えば100億円、300億円、500億円など)で直面する壁を破り、増益企業をつくる実践的支援を展開。
タナベ経営 コンサルティング戦略本部 大阪本部長
小田巻 肇
「業績に直結する」をモットーに、財務戦略・ブランディング戦略や新規事業計画の立案などのコンサルティングを担当。関西一円の企業にて、年商規模がそれぞれ1、3、5の数字(例えば100億円、300億円、500億円など)で直面する壁を破り、増益企業をつくる実践的支援を展開。

タナベ経営 コンサルティング戦略本部 部長 チーフコンサルタント 森田 裕介 大手アパレルSPA企業での経験を生かし、小売業の事業戦略構築、出店戦略、店舗改革を得意とする。理論だけでなく、現場の意見に基づく戦略構築から実行まで、顧客と一体となった実践的なコンサルティングを展開。「お客さまに喜んでいただけるまで妥協しない」をモットーに、業績向上を図っている。
タナベ経営 コンサルティング戦略本部 部長 チーフコンサルタント
森田 裕介
大手アパレルSPA企業での経験を生かし、小売業の事業戦略構築、出店戦略、店舗改革を得意とする。理論だけでなく、現場の意見に基づく戦略構築から実行まで、顧客と一体となった実践的なコンサルティングを展開。「お客さまに喜んでいただけるまで妥協しない」をモットーに、業績向上を図っている。

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単独展示会「アピデメッセ」。取引先の繁盛支援を目指し、売り場や店舗活性提案を行う

用途に合わせたカタログを発刊
用途に合わせたカタログを発刊

戦略リーダーを次々と輩出する風土づくりへ

森田 中期経営計画を推進する体制づくりにはどのように取り組まれていますか?

中村 「中期経営計画委員会」「戦略推進プロジェクトチーム(PT)」を立ち上げ、タナベ経営にも指導をいただき進めています。PTでは、中計委員会の分科会として、アクションプランを1つずつ確実に達成することを重視しています。

森田 中計では、全社に横串を通したマトリクス型組織を採用していますが、この組織では戦略リーダーの育成が要になります。

吉本 おっしゃる通りで、中計を策定する中で、より多くの戦略リーダーを育成する必要性を実感しました。いい戦略があっても、実行するにはそれを推進できる人材が欠かせませんから。

中村 中計委員会を中心に人材育成の仕組みを作り、将来は「アピデアカデミー」を構築したいと考えています。教えることは、教える側と教わる側の双方にとって勉強になります。まずは、(取引先対応の)成功事例の共有から始めたいと思います。

小田巻 成功事例の共有だけでも、社員のモチベーションは上がります。中計推進メンバーが主体となって、アピデ流のアカデミーを構築することが有効でしょう。
教育体制が整うと、採用にもメリットがあります。というのも、最近は優秀な人材ほど「会社は自分自身の成長のために、何を提供してくれるか?」というスタンスですから。「アピデアカデミーでサポートできる」とPRできると、優秀な人材の獲得に直結します。

中村 なるほど。先ほど、「取引先対応の成功事例の共有」を挙げましたが、人材育成の観点からは、各部署内での教育、指導の成功事例も共有していきたいと考えています。

小田巻 いいですね。例えば、部下の育成・指導力のあるメンバーを引き上げ、成功事例として共有することで、「会社はこういう人を評価する」と社員に伝わり、社員の意識が変わっていきます。

最後に、10年後の目指す姿についてお聞かせください。

中村 まず、顧客・社会・当社の「三方よし」を実現させ、従業員満足度の向上に全力を注ぎます。また、顧客価値を追求するため、自由闊達で自己変革できる組織体制と企業風土の構築に挑みます。さらに、オリジナル商品を主体にした「ソリューション型複合卸」を目指します。
人材面では、アピデアカデミーを構築して継続的な教育・実践システムを確立します。こうした取り組みにより、ギフト・家庭用品の領域でナンバーワンのビジネスを複数持つ企業へ成長し、年商200億円、経常利益14億円達成を目指します。

小田巻 社員一丸となり、100年経営を目指して躍進されることを祈念いたします。本日はありがとうございました。

100年経営を目指し、さらなる躍進に期待が掛かる(中央は中村健輔社長)
100年経営を目指し、さらなる躍進に期待が掛かる(中央は中村健輔社長)

PROFILE

  • アピデ㈱
  • 所在地:〒540-0003 大阪市中央区森ノ宮中央1-9-7
  • TEL:06-6941-2151(代)
  • 創業:1945年
  • 資本金:1億円
  • 売上高:86億円(2017年2月期)
  • 従業員数:180名(2017年2月現在)
  • 事業内容:ギフト用品・家庭用品・生活雑貨などの卸販売・輸出、自社オリジナル商品の企画開発・輸入
  • http://www.apides.co.jp/
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    06-7177-4008
    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所