2017.10.20





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戦略発想で事業をブランディングせよ


変化する時代に企業が発展するためには

社会構造や人口構造などの変化に伴い、企業に求められる価値は大きく変化している。過去の延長線上の取り組みでは、顧客価値(顧客から見た、顧客にとっての価値)を高めて企業の成長発展に結び付けることが難しい。

では、このような時代の潮流の中でも躍進し続ける企業は、どのような成長戦略を推進しているのか?

その答えの1つが「事業ブランディング」である。総花的な取り組みでは経営資源が分散し、顧客から一番に選ばれる存在にはなれない。新しい顧客価値をつくり上げるため、強みを絞り込み、磨き上げることが必要である。

戦略発想で事業をブランディングする過程は、「事業ブランディングの方向性を決定する」「事業ブランディングを推進する」という2つのステージと、各4つのステップに分けられる(【図表】)。順に解説する。

【図表】事業ブランディングの2ステージ4ステップ
【図表】事業ブランディングの2ステージ4ステップ


1st(ファーストステージ)事業ブランディングの方向性を決定する

ステップ①外部環境分析

まずは自社を取り巻く外部環境の変化を捉えることだ。現在起こっている変化と、3~5年先に起こるであろう変化を読み取ることが必要である。業界動向、法規制動向、経済動向、技術動向などといった着眼点で分析する。

ステップ②顧客価値分析

「真の顧客が求める価値は何か」「顧客価値がどのように変化しているか」を分析する。顧客価値には顕在的顧客価値と潜在的顧客価値があり、顧客へのヒアリングや、顧客のライフスタイル・ビジネススタイルの観察から変化を読み取る必要がある。
この外部環境分析と顧客価値分析から読み取るべきは、「市場機会(自社が強みを発揮する場所・領域)はどこにあるか」だ。このチャンスを明らかにした上で、次のステップ③、ステップ④に入っていく。

ステップ③ライバル分析

市場機会に対して、ライバルが対応できていることと、対応できていないことを明らかにする。また、3~5年先の市場や顧客の変化が、ライバルの変化をもたらすことも考えられる。そうした新たなライバルの可能性についても分析する必要がある。このライバル分析によって、市場機会においてライバルが対応できていないこと、すなわちライバルの弱みを見つけるのである。

ステップ④自社の真の強み分析

ステップ④でいよいよ、自社の強みを分析する。いきなり自社の分析から入ってはいけない。市場機会を明らかにし、ライバルの弱みを見つけ、そこにぶつける自社の真の強みを見つけるという流れが必要である。
自社のこれまでの成長過程を分析し、何を強みとしてきたのか、どのような顧客に何を評価してもらってきたのかといった歴史から、自社の強みを顧客価値視点で見直す。それを現在のバリューチェーン(※)に照らし合わせ、強みをナンバーワン項目・オンリーワン項目に分類するのである。
※ バリューチェーン:原材料の調達から商品・サービスが顧客に届くまでの企業活動を、一連の価値(Value)の連鎖(Chain)として捉えること。競争戦略の第一人者であるマイケル・E・ポーターが提唱
その上で、「未来の市場機会に適応する強みにつくり上げていく」という観点で考える。そうすることで、現在・未来に生かすべき強みを軸とした事業ブランディングが可能になる。

以上の4つのステップにより、何を強みとして事業をブランディングするか、すなわち「何によってファーストコールカンパニー(顧客から一番に声の掛かる会社)になるか」の方向性を決めるのである。


2nd(セカンド)ステージ事業ブランディングを推進する

何によってファーストコールカンパニーになるかが決まれば、2ndステージの「事業ブランディングの推進」へ入っていく。

ステップ①ブランディング・スタートアップ

ブランディング活動をプロジェクト形式で推進する。スタートアップ段階での実施事項は、事業ブランド名・ロゴなどの検討、ノウハウ構築のための勉強会の実施、展示会や見学会への参加といった活動が挙げられる。

ステップ②インナーブランディングと組織・権限設計

ブランディング活動の推進には、社内のコンセンサスと協力が不可欠である。そのためには、社内メンバーにブランディング活動の意義と内容を理解させるインナーブランディングが必要だ。

ここでの実施事項は、自社のビジョンをまとめたビジョンブックなどの作成と発信、ブランディング推進のための部門横断型プロジェクトの立ち上げ、プロジェクトリーダーに付与する権限の明確化と指示命令系統の整理である。

ステップ③チャネル・ブランディング

ブランド事業の認知度を高めるために、業界誌や業界団体・展示会といったチャネルを活用したアプローチを行う。この段階での実施事項は、各種団体・会合への参加による人脈づくり、業界誌への記事広告掲載や執筆活動、展示会への出展とPR内容・方法のブラッシュアップなどである。

ステップ④プロモーション活動と営業力強化

プロモーション活動とトータルソリューション営業力を強化して、ブランド事業の収益化と顧客基盤の拡大を図る。この段階での実施事項は、セミナー・勉強会・研究会の開催、受注量アップに向けた営業体制の再構築、トータルソリューション営業力強化研修の実施などである。

戦略発想で企業価値の向上へ

戦略発想での事業ブランディングとは、自社の価値を理解してくれる真の顧客に対して高い顧客価値を提供し続け、唯一無二の存在として選ばれ続ける活動である。この事業ブランディングの重要性を認識し、使命感を持って取り組んでいただきたい。


  • タナベ経営
  • コンサルティング戦略本部
  • 本部長代理 戦略コンサルタント
  • 巻野 隆宏
  • Takahiro Makino
  • 企業の持続的な変化と成長をサポートする戦略構築に取り組んでおり、志ある企業・経営者のパートナーとして活躍中。「高い生産性と存在価値の構築」を信条とし、明快なロジックと実践的なコンサルティングを展開。海外ビジネスコンサルティングチームのリーダーとしても、成長戦略の構築を提言している。