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今週のひとこと

わが社の真の強みは何か、真の顧客は

誰か、顧客に評価される真の貢献とは

何か。その正体をつかんでこそ、会社

は伸びる。

☆ 「顧客」の「お客様」のことを、どれだけ知っていますか?

 「顧客」の「お客様」のことを、どれだけ知っていますか。
 この質問に自信をもって答えることができる営業担当者は一握りしかいません。ちなみに、ここでの「顧客」とは自社と直接取引がある先、「お客様」とは自社の顧客と取引がある先のことを指しています。

 営業担当者の最大の悩みは、どうすれば売上が上がり、多くの利益を獲得することができるのか。すなわち、顧客との取引量を増やし、質を高めることです。
 どのようにすれば顧客との取引を、より良い形にすることができるのか。それは、顧客の課題を解決してあげることであり、多くの営業担当者が、そのことを理解しています。
 では、顧客の課題とはどのようなことなのでしょうか。顧客の課題も同じで、お客様との取引の量を増やし、取引の質を高めることです。したがって、営業担当者は顧客がお客様に、より多くの取引と、より質の高い取引をしていただけるような提案をすればよいのです。
 つまり、営業担当者が知るべきことは顧客の先にいるお客様のことなのです。お客様の業界、規模、地域、特性など、簡単なことを把握するだけでも提案の質は大きく高まります。優秀な営業担当者は、顧客がお客様から選ばれている理由や、お客様の担当者の特性、お客様の購買決定の会議の内容など、細部まで把握しているものです。

 あなた、もしくは御社の営業担当者は、「顧客」の先にいる「お客様」のことを、どれだけ知っていますか。

経営コンサルティング本部
チーフコンサルタント
大山 賢一郎

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「アカデミー」で教え合い、学び合う社風を実現しよう

戦略総合研究所 副本部長
保木本 正典 Masanori Hokimoto
タナベ経営入社後、コンサルタントとして経営ビジョンや事業戦略・経営計画の策定支援、講演や各種研修などを中心に活躍。2013年に九州本部長就任、2017年より現職。現在は全国でのFCCアカデミー事業やセミナー事業を推進中。また、コンサルタントの指導・育成にも尽力している。

1.なぜ今、学び方改革か

この数年間で労使関係は一変した。業種・業界を問わず、先の見えない超労働力不足社会に突入した。「企業は人なり」とは経営の定説であるが、現在の経営環境を見据えるならば、間違いなく今後は、「働き方改革を制した企業が生き残る」といえよう。

ところで働き方改革の根幹とは何か。それはまさしく、生産性である。真の働き方改革は生産性向上なくして生まれないと言っても過言ではない。これまでは仕事の遅い人、つまり生産性の低い人は、3時間、4時間と残業をすることで能力の高い人に追い付いてきた。時間投入という努力で能力をカバーしてきたのである。

しかしこれからは夜中まで会社に残る、休日に仕事を自宅へ持ち帰る、などといったことは許されなくなってくる。いや応なく皆が生産性を上げる必要性に迫られているのだ。

人材育成の視点から考えても、これからの時代は、わずかな幹部・マネジャーを育成すれば後は彼らが下を育てるであろうという時代ではない。一人一人が高い生産性を維持できるリテラシーを持つからこそ、組織の生産性が引き上げられる。全員活躍の時代であり、それを実現するのが学び方改革なのである。

2.企業内大学、アカデミーが学び方を変える

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学び方改革の事例を紹介したい。まずは、手前みそだがタナベ経営の事例である(【図表1】)。タナベ経営は、これまでコンサルタントやスタッフを全国10拠点から招集し、大阪本社や東京で集合教育を行ってきた。しかしながら、年数回に及ぶ教育を継続して実施することで多くの育成成果が得られたにもかかわらず、人材の早期戦力化にはあと一歩及ばなかった。そこで集合教育に加えて、先輩コンサルタントが各テーマを動画撮影し、「クラウドを通して、誰でもいつでもどこででも学習できる企業内大学、タナベコンサルタントアカデミー」を2016年度に開校した。

新卒と中途に分けて3年間で育てるスキームが組まれており、集合教育(リアル)の事前・事後の宿題をクラウド(ネット)の動画視聴プログラムで受講する。受講者は日々、動画で自己学習(インプット)し、職場ではエルダー(年長者、先輩)がフェース・ツー・フェースの面談で個別にアドバイス。さらに、上司の同行や企業視察(擬似体験)を行い、現場や職場で自ら実践(アウトプット)していく。「リアルとネット教育の融合」、そしてこれら「インプット- 擬似体験- アウトプット」のサイクルの繰り返しで学びが加速する。(【図表2】)

その進捗は、直属の上司だけでなく本社の人材開発の主管部門にてモニタリングし、育成が遅い部門や担当者にはすかさずフォローを入れる。「わが社はOJT でやっています」という会社があるが、OJT は体系化され、仕組み化され、リアルとネットを組み合わせることで飛躍的な効果を生む。タナベ経営においても効果は歴然としており、特に新卒や若手は、この1~2年という短期間ながらも自らの成長を実感してきている。数年間も下積みを経験しなければ会得できないノウハウを、ベテランコンサルタントから惜しげもなく提供されるのだから、その効果は想定内ともいえる。

最近、タナベ経営のクライアントの方々にもこのコンサルタントアカデミーを紹介すると、「わが社もそういうことがやりたかった。大企業だけではなく中堅・中小企業でも、クラウドを活用すればアカデミーが設立できることを実感した」と、多くの賛同を得ることができた。そこで今、タナベ経営ではクライアントと共にまずは100校のアカデミーを創ろうとしている。現在、4分の1が開校済み、もしくは開校に向けて準備中であり、その勢いは日を増すごとに多くなってきている。

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続いては、大分県別府市の高級旅館「別府潮騒の宿『晴海』」の事例である。晴海は、旅行代理店やネットサイトでも常に高い評価を受けており、高価格でありながら90%超の高稼働率を維持している。最近はさらにハイグレードの宿泊施設「GAHAMA terrace」を隣接オープンするなど勢いのあるブランド旅館である。しかしながら採用・定着に関しては、多分に漏れず楽観視できる状況ではなかった。

そのような中で目指したのが、社員の早期の戦力化と採用ブランディングである。以前は40~50歳代の社員が中心だったが、今では入社3年未満が7割を占める。だからこそ、アカデミーによる早期戦力化制度「七五三システム」(【図表3】)が効力を発揮する。

七五三とは、入社3年目で実務一人前、5年目で現場リーダー、7年目で管理者という高速人材育成スキームである。フロントやホール(食事処)などにおける仕事の基本をベテラン社員が講義したり、演じている動画を全業務マニュアル参照のもとで視聴し、理解を深めていく。高級旅館は、高いサービス品質を求められるにもかかわらず、若いスタッフでも顧客アンケートの評価は抜群に高い。そして「晴海には人を生かす人材育成システムがある」という事実。これが今、高級旅館という「商品・サービスブランド」に加え、成長して社会で活躍したいという意思を持った「人が集まる採用ブランド」にもなりつつある。

ある建設業では、幹部・中堅社員が中心となって「積算技術講座」や「施工計画書作成講座」、「安全管理マスター講座」に加えて建築士や施工管理技士などの「資格支援講座」までのメニューをそろえている。多くの社員が先生となり講座を受け持つ、これぞOJT の究極の姿といえよう。学び合う、教え合う社風により組織活力も増しており、それらが現在の好業績にもつながっている。

一方、製造業では、生産に関する品質管理や原価管理、5Sなどの講座に加えて、講師が現場で機械を操作しながら品質のポイントを話し、それを動画に撮影している。スマートフォンやタブレットなどデジタル慣れした現代の若者には、このような技術伝承が有効と思われる。

また、最近は外食や薬局といった飲食・サービス業、小売業においても取り組みが始まっている。店舗を展開していく上で、人数の確保と併せて育成による品質強化が欠かせない業界ともいえるが、今日のような人手不足の状況では、集合教育をしている余裕がないという。動画の主役は薬剤師や店長である。分厚い店舗運営マニュアルはなかなか読んでもらえないが、動画は重点が絞られ、自宅でも繰り返し聴けると評判だ。

3.アカデミーに見る学び方改革のポイント

キーワードは、WBS(Will、Backbone、System)である。

(1)トップの人づくりに対する強い意志(Will)

手これなくしてアカデミーは成り立たない。実際にアカデミーを設立し、継続して運営していくと多くの困難に遭遇しがちである。そのような際に欠かせないのが、トップ・役員・教育担当者の人づくりにかける熱意であり、強い意志だ。そもそも人づくりに熱心でなければ、事業や設備にはお金をかけても、「人に投資しよう、アカデミーをつくろう」ということにはならないものである。「企業は人なり、経営は最終的に人ですね」などと多くのトップは語るが、実際に行動へ移せているかどうかは別物である。

(2)ビジョン、戦略、理念との連動(Backbone)

体系的な人材育成や計画的な人材育成が大切だといわれるが、もっと重要な視点がある。それが「戦略的人材育成」である。「以前より人が育ってきている」ではなく、自社のビジョンや中期戦略を実現する上で必要な資質や能力を持った人材が、計画通りに育つ環境が整っているかどうかである。大事なのは「ビジョンに向き合い、戦略を実現する人材の育成」である。その視点が欠けている人材育成制度は、自己満足にすぎず、費用対効果の薄いものになる恐れがある。

(3)仕組み化(System)

場当たり的な教育では意味がない。仕組みをつくり、仕組みの中で人が育っていくようにしていかねば決して長続きはしない。人づくりは永遠のテーマであり、継続してこそ価値がある。そのためにも仕組み化が重要だ。最も効果的なやり方を型決めし、適宜、見直しながらも整然と人づくりが進んでいくようにしなければならない。ポイントは、次の3点である。

① クラウド活用

クラウドがあれば、いつでもどこでも誰でも教育が受けられる。またリアルとネットを組み合わせることで相乗効果も増大する。教育を幹部や新入社員の一部に限定してい会社が多く見受けられるが、これからは全員活躍の時代である。社員のみならず、パート・アルバイト全員を対象とすべきである。企業の競争力の源泉が人ということを考えれば、一部の人のスキルアップで事足りるわけがない。

② 育成サイクル

クラウドによる事前学習を受けた上で行うリアルの研修は、インプットではなく、学んだことをもとにメンバーとのディスカッションやコミュニケーションを通じたアウトプットが中心になる。その過程で上司との同行などのOJT を受ける。インプット、疑似体験、アウトプットのサイクルを回すことで育成スピードは飛躍的に伸びる。

③ フォローアップ

最後は、システムのモニタリングである。一人一人の受講状況をクラウドでつかみ、進捗状況によってはエルダーが面談するなどのフォローする仕組みが重要である。出る杭くいを伸ばすだけでなく、全員が出る杭にならなければ全員活躍にはならず、全員活躍でなければこれからの企業間競争から抜け出すことはできないだろう。

より多くの企業内大学、アカデミー設立により人材力を早期に引き上げ、「ポスト2020」に備えていただきたい。

「学び」が変わる、「働き方」も変わる

FCC Academy(アカデミー)

クラウドだからできる、あなたの会社だけの人材活躍システム

FCC Academy(アカデミー)は、「ファーストコールカンパニー(FCC)」を志す企業のビジョン実現を、戦略に基づいた人材の採用・育成・活躍、そして組織活性化に至るあらゆる側面から支え、更に魅力ある企業への進化を促進する「クラウドを使った学び方改革へのプラットフォーム」です。

「FCC Academy」の詳細はこちら

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ないなら創ろう!ホワイトスペース


以前テレビ番組で、ある著名人が「バブルがなくなったのなら、バブルをつくればよい」と言っていた。その言葉を借りれば、物が飽和する現代社会においては「ホワイトスペース(他社が参入していない空白領域)がないなら、創るしかない」と考えることができる。

新しい事業チャンスをつかむべく、新規参入する分野を探している企業は多い。だが実際は、「成長市場だから参入する」「参入を決めたが、何をすればよいのか分からない」「需要が小さく、収益の柱にはなり得ない」などの状況にある企業が散見される。

このような企業の課題解決のヒントとして、ホワイトスペースの創り方(見つけ方)を、身近な事例を題材に3つの切り口で説明する。

1.オズボーンのチェックリストで切り口を変える

市場を見る視点を変えるための思考ツールの代表が、「オズボーンのチェックリスト」である(【図表1】)。このリストはアイデア抽出ツールとしても便利だ。また、既存商品・技術の生かし方を変える視点を提供してくれるツールでもある。

【図表1】 オズボーンのチェックリスト
【図表1】 オズボーンのチェックリスト

(1)用途を転用して新市場創出

例えば、LUPINUS(ルピナス)が開発・販売している商品に、『長息生活』というものがある。高齢者の口腔機能改善のための健康増進商品であり、医療・介護分野での採用が拡大している。

マーケティングの視点でこの商品を考えると、江戸時代から存在した「吹き戻し」という玩具の持つ「息を吹く際に負荷がかかる」という機能に着目し、玩具から予防ツールへと用途を転用した結果、誕生した商品といえる。

ルピナス『長息生活』
ルピナス『長息生活』

(2)本来の機能を縮小して新ジャンル創出

ノンアルコールビールは、従来のビールからアルコールを減らす(なくす)ことで、「飲酒運転撲滅市場」「療養・妊娠に伴う禁酒市場」「アルコール弱者市場」といった新たなマーケットの創造に成功した。「酔う」というアルコール本来の機能をなくすことで、「機能性ビール」という新ジャンルを創出したのである。

2.隣接市場で新ジャンルを創る

(1)コモディティー×コモディティーで新ジャンル創出

『ポカリスエット』(大塚製薬)などに代表される「健康飲料市場」、『お~いお茶』(伊藤園)や『伊右衛門』(サントリー食品インターナショナル)に代表される「お茶市場」は、共にコモディティー市場である。その隣接中間市場に新たなジャンルの市場を創ったのが、飲むだけで脂肪を代謝する力が高まる『ヘルシア緑茶』(花王)だ。

以降、トクホ(特定保健用食品)の追い風はあったにせよ、脂肪の吸収を抑え、糖の吸収を穏やかにする『からだすこやか茶W』(日本コカ・コーラ)、脂肪吸収を抑える『黒烏龍茶』(サントリー食品インターナショナル)や高血圧に効く『胡麻麦茶』(同)などの商品が続々と開発され、「健康お茶市場」という新しいジャンルのマーケットが生まれている。要は、「健康飲料」と「お茶」の中間市場が新たに生まれたのである。

(2)「○○市場」でも「not ○○市場」でもない新市場を創出

同様に新ジャンルを創り出した事例として、眼鏡業界が挙げられる。眼鏡チェーン店JINSは、医療機器としての「視力矯正市場」でも、ファッションを中心とした「非視力矯正市場」でもない、新しいジャンルの市場創造に成功した。それが花粉やパソコンのブルーライトから目を守るといった「機能性市場」である。

3.マトリクスで供給不足の市場を発見する

マトリクスは、供給不足の市場を発見するのに有益な思考ツールである。縦軸・横軸に項目を設定し、各セグメントに顕在化している生活者の課題を前頁【図表2】のように整理すると、供給が手薄なセグメントを発見しやすい。

【図表2】 ウエルネス(健康増進・病気予防)市場を領域と年齢層でセグメントした例
【図表2】 ウエルネス(健康増進・病気予防)市場を領域と年齢層でセグメントした例

(1)市場の切り方を変えて新ジャンル確立

50代は子育てが一段落し、定年退職後の暮らしを考え始める時期である。しかし、このセグメントに対するサービスは意外と少ない。

例えば「カラダ」に着目してみよう。50歳を超えると体内ホルモンが減少する。男性機能の衰えや閉経など身体機能に変化が起き、「更年期障害」「骨粗しょう症」「不眠」など、老化が急激に進む。

これをうまく捉え、健康食品分野で新しい市場ジャンルを創ったのがファンケルだ。健康食品は、コラーゲンや青汁、ブルーベリーなど、成分訴求型の商品ラインアップが一般的である。しかし、同社は「50代からのサプリメント」のように、その年齢層に必要な栄養がワンパックになった性別・年代別サプリメントを販売し、新ジャンルを確立した。市場のくくり方(セグメント)を変え、年齢ステージごとに商品ラインをそろえることで、成分訴求型健康食品とは別の市場を形成したのである。

(2)概念を変えて新ジャンル確立

掃除は「やりたくないもの」だ。仕方なく行う人が大半ではないだろうか。

ダイソンはこの概念に一石を投じた。打ち出した機能は「圧倒的な吸引力」。吸って集めたゴミが掃除機の外側から見えるようになっており、きちんと掃除ができているかどうかが分かる。掃除機をかけるほどゴミが増えていくのが見え、充実感を得られるのだ。

つまり、面白くない作業を機械が肩代わりするのではなく、「ゴミを集めるのが楽しい」という新しい概念を創り、新ジャンルの確立に成功したといえる。

以上、身近な事例でホワイトスペースの創り方を説明してきた。ヒット商品にはマーケティングの示唆に富んだものが多い。ヒットするには、ヒットするだけの理由が存在するのである。

ホワイトスペースの創造・発見に向け、ヒット商品のマーケティングがもたらしたインパクトと意味を考えてみてほしい。自社・自業界へ移植できる要素がないか、検証してはどうだろうか。

経営コンサルティング本部 東京本部 本部長代理 戦略コンサルタント 松室 孝明
  • タナベ経営
  • 経営コンサルティング本部 東京本部 本部長代理 戦略コンサルタント
  • 松室 孝明
  • Takaaki Matsumuro
  • 慶應義塾大学卒業。化粧品メーカー勤務を経て、2005年タナベ経営に入社。ヘルスケア関連の中堅企業を中心に、業績アップに向けた戦略立案・営業力強化、新分野進出・新規事業開発、ビジネスモデル・収益構造改革など、「数字を変える」ためのコンサルティングを中心に幅広く活躍。座右の銘は「結果の出ない努力は無駄である」。
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