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今週のひとこと

質・量ともに、能力以上の仕事を与えよう。

未経験の問題にぶつかり努力する過程に

おいて、物事を見る眼が開かれる。

改善への知恵と工夫が生まれる。

☆ インプットを増やし成長スピードを加速させよう
   ―中堅社員のインプットの重要性

 企業において、「中堅社員」と呼ばれる存在になると、新入社員や若手社員の頃とは違い、言われたことだけを実行するのではなく、多くのインプットをして成長を加速していく必要があります。
 次の2つのエピソードはインプット不足が露呈した、ある中堅社員の実例です。

<その1:利益計画を策定する際の会話>

依頼者:「売上はそのままで、売上原価を下げて、原価率を〇%まで下げた計画を作成してください」
中堅社員A:「売上単価と数量のどちらを修正すればよいですか?」
依頼者:「単価×数量は売上ですよね。原価を下げて欲しいのですが」

⇒ 売上や売上原価の概念を理解しておらず、計数知識のインプット不足。

<その2:会議でのファシリテーションの場面>

問題解決を図るための少人数の会議の司会進行を中堅社員Bさんに依頼した際、Bさんの進行は会議資料をひたすら読み上げるだけで、問題の解決にはいたらかなかった。

⇒ ファシリテーションの機能・役割を理解していない。

 これらは一例ですが、皆さんの会社には新入・若手社員の延長で業務を行っている中堅社員はおられませんか。
 月並みかもしれませんが、そのような方には、圧倒的にインプットすることを実践させてください。

主なインプットのやり方は、次の3つです。

1.聞く:「社内(上司、先輩)から聞く」「社外(専門家、外部機関)から聞く」など
2.見る(読む):「書籍や雑誌を読む」「マニュアルを読む」「インターネットで調べる」など
3.体験する:「現場を見に行く」「実際にやってみる」など

 中堅社員ともなると日常の業務に慣れてしまい、成長のスピードが鈍化してしまうかもしれませんが、そのような時こそ、インプットを大量に行うことで、成長スピードを加速させていただきたい。

経営コンサルティング本部
チーフコンサルタント
清水 哲也

革新的プラスチックであらゆる産業に貢献する
vol.29 イグス × タナベ経営 SPコンサルティング本部

ドイツ・ケルンに本社を置き、世界72カ国でビジネスを展開する樹脂製ケーブル・ベアリングメーカーのigus®。その日本法人の「イグス」が近年、積極的なプロモーション戦略を展開し、着実に業績を伸ばしているという。

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革新的なプラスチックを提供するigus®。 「寿命を延ばしてコストを下げる」ことで多くの産業に貢献している
革新的なプラスチックを提供するigus®。
「寿命を延ばしてコストを下げる」ことで多くの産業に貢献している


「モーション・プラスチック」を世界72カ国で販売

クレーンやエスカレーター、飛行機の座席リクライニング、コンサート会場の可動式ステージ、テーマパークのアトラクション施設―。これらの可動部のプラスチック製品(モーション・プラスチック)をグローバル規模で展開しているのが「igus®」である。

同社は1964年、ドイツ・ケルンでグンター・ブラーゼ氏(現社長フランク・ブラーゼ氏の父)が創業した。グンターは税務コンサルタントだった妻・マーガレットのサポートを得て自宅近くに車庫を借り、小さな射出成形機を置いてビジネスを始めた。「難しい案件をください。解決してみせます」を売り文句に、グンターは革新的なコンパウンド(化合物)とそれを形にする技術、そして熱意によって企業の課題を解決していった。ちなみに社名は、ドイツ語の"Industrie"(工業・産業)と"Spritzguss"(射出成形)を組み合わせたものだ。

現在、同社は「plastics for longer life®(寿命を延ばしてコストを下げる)」という全社方針を掲げ、「樹脂にこだわり樹脂だからこそできることを追求」して成長を遂げている。自社製品のモーション・プラスチックは世界72カ国で採用されており、例えばフェラーリやベンツといった欧州の高級車では、1台当たり40個の同社製ベアリングが使われる。なお、"モーション・プラスチック"とは、「機械可動部で作動し続ける(モーション)無潤滑樹脂製部品(プラスチック)」を指す同社の造語である。

イグス 代表取締役社長 北川 邦彦氏
イグス
代表取締役社長
北川 邦彦氏

独自の原料配合こそ強みの源泉

igus®製品は、ケーブル保護管、可動ケーブル、ベアリングの3つに大別される。中でもケーブル保護管は、産業機械の可動部でケーブルやホース類を支持案内・保護する目的で使われ、日本でも広く普及している。また、可動ケーブルは"細い、軽い、切れにくい、長寿命"が特長。高性能ポリマーのベアリングは無給油・メンテナンスフリーで使える他、使用条件に応じて形状や材質をカスタマイズできる。

同社の最大の強みは、原料を自社でブレンドし、オリジナリティーと革新性を持つ独自のプラスチック製品を開発できるところにある。例えば、導電性プラスチックは、日本の半導体メーカーから「静電気を抑制できる部品が欲しい」という要求を受けて開発したものだ。従来使われていた金属製部品に比べて軽量で、メンテナンスがしやすく、さびや異物混入の防止、コスト削減にもつながっている。

この他、高温環境下で使用できるプラスチックは、「はんだごてを使う作業現場で使いたい」という要望を受けて開発した。このように、自社配合だからこそ実現できる独自の製品によって、顧客が抱える機械性能の課題を解決してきた。

これを支えているのが、業界最大規模(2750㎡)を誇る社内試験施設である。そこでは日々、多くの製品評価テストが製品開発と並行して行われる。徹底した検証・評価テストによって、同社の世界トップレベルの信頼とブランドイメージが維持されている。

日本市場には1986年、工作機械の総合商社キャプテンインダストリーズを介して参入。その後、合弁販社「イグス・ジャパン」設立を経て、2003年に全額出資子会社「イグス株式会社」(以降、イグス)を設立、本格的な日本市場での販売を進めてきた。

ドイツや米国、中国をはじめ、グローバルに事業を展開するigus®は世界で名の知れた企業である。ただ、日本ではメインユーザーの工作機械業界で知られているものの、他の産業分野での知名度は十分と言い切れない。

「あらゆる市場セグメントの方に"モーション・プラスチック"を知ってもらい、活用していただきたい。例えば、プラスチックは消毒や洗浄をしてもさびませんし、口に入れても安全なプラスチックもあるので、医療や製薬、食品、包装業界には特にマッチしています」。そう語るのは、イグスの代表取締役社長・北川邦彦氏だ。

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Webとリアルを駆使しプロモーションに注力

「igus®」という会社を知ってもらい、あらゆる市場セグメントで自社の製品群を活用してもらうために、イグスは日本でのプロモーションを強化している。その活動は多岐にわたる。例えば、新聞や雑誌などメディアへの広告掲載、大型展示会への出展、Web上で製品を紹介する「バーチャル展示会」ページの開設、顧客企業での展示会やキャンペーンへの協力、「次の時代のエンジニアにもigus®を知ってもらい、使ってもらう」(北川氏)ための大学支援や産学協同への取り組みなどである。

効果的なプロモーション活動に向け、2012年からはタナベ経営SPコンサルティング本部との取り組みを進めている。同社戦略室の奥村愛子氏は「タナベ経営のSPグッズは品質が良く、コストパフォーマンスも高い。いろいろとご提案をいただき、相談にも乗ってもらえるので助かっています」と話す。

特に、展示会などで配布する携帯用うちわや買い物バッグは、顧客だけでなくその家族にも好評という。蛍光ペンやおにぎりケースなど、普段から使える便利なグッズはエンジニアや学生にも人気を博している。こうしたキャンペーンが奏功し、工作機械業界では「igus®=オレンジ色(コーポレートカラー)」というイメージが定着しつつある。

また、近年はWebでの提案も充実させている。Web画面を展示会場に見立てて製品を紹介するバーチャル展示会の他、製品検索や寿命予測、CAD制作など、技術者にとって便利なツールをオンラインでそろえる。

「われわれの商品は、技術者の方に触っていただくと良さが伝わります。製品を認識し、触ってもらう段階までお客さまをリードするために、プロモーションによってアプローチしていくことが重要。増加するWebユーザーへの対応は必須ですが、リアルの場でのプロモーションも大切です。目に触れる頻度を増やすことで記憶してもらい、選んでもらえる存在になりたい」(北川氏)

同社は毎年140以上の新製品を開発・提案するが、プロモーションでも新しい提案を着々と打ち出していく方針だ。

日本市場は"宝の山"毎年20%成長へ

2012年にイグス社長に就任した北川氏は、売上高と組織規模を「5年後に2倍」にする成長目標を掲げ、見事に実現した。今後もそのスピードを維持し、毎年20%成長という目標を達成していきたい考えだ。その実現のためには、幅広い産業で顧客をつかむことが必須。多岐にわたる市場セグメントへのアプローチと、ケーブルやベアリングといった日本市場で浸透していない製品群を普及させていくことが急務である。

「日本の市場規模から見て、igus®の製品があらゆる産業分野に浸透すれば、売り上げが今の10倍になってもおかしくありません。プロモーションや潜在ニーズの把握、人脈づくりを通じて、"宝の山"である日本のマーケットを着実に掘り起こしていきたい」(北川氏)

革新的なプラスチックで、産業機械の寿命を延ばしてコストを下げ、顧客のニーズに応えてきたイグス。より多くの分野でその名を知ってもらい、採用してもらうため、今後も積極果敢に手を打っていくことだろう。

プロモーションが奏功し、igus®=オレンジ色(コーポレートカラー)のイメージが定着
プロモーションが奏功し、igus®=オレンジ色(コーポレートカラー)のイメージが定着

PROFILE

  • イグス㈱
  • 所在地 :〒130-0013 東京都墨田区錦糸1-2-1 アルカセントラル
  • TEL : 03-5819-2030(代)
  • 設立: 1990年
  • 資本金: 1億円
  • 従業員数: 145名(2017年11月現在)
  • 事業内容 : ポリマー・樹脂製のケーブル保護管、ケーブル、ベアリング製品など機械部品の製造・販売
  • http://www.igus.co.jp/

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    06-7177-4008
    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所