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今週のひとこと

一人ひとりの長所や個性を見抜いて

生かしてこそ、人も会社も伸びてゆく。

☆ また社員が辞めてしまった。そんなときには・・・

 「若い社員の定着率が低い」「女性は結婚すると辞めてしまう」。
 筆者がクライアント企業に訪問した際によくお聞きするお声です。
 そして今後は、「せっかく育てたのに、部下が辞めてしまった」という課題が更に増えてくるでしょう。なぜなら高齢化に伴い、「親の介護と仕事の両立の難しさ」やライフイベントに応じて、「出産や育児の両立の難しさ」を感じ、結果的に離職してしまう可能性が高まるためです。

 優秀な人材を採用したものの、辞めてしまう。そうした状況を改善するには、多様な働き方スタイルを仕組み化することで、「ダイバーシティ&インクルージョン」の視点が必要となります。ダイバーシティ&インクルージョン経営とは、社員一人ひとりへの理解を深め、特性を生かして成果を出していく経営スタイルを指します。そして、それを実現することで、企業ブランドの向上、求める人材の採用、定着率の向上、生産性の向上にも繋がります。

 ここで、ダイバーシティ&インクルージョン経営を成功させるための大切な3つのポイントをご紹介します。

1.多様な人材の特性・キャリアビジョンを理解し、会社の成長と個人の成長の機会結び付ける機会を設けること。
・・・やらされ感の多い仕事では、優秀な人材ほど、魅力ある他の会社に移ってしまいます。また、より成果を生み出すためには、モチベーション高く働ける状態をつくり出す必要があります。

2.多様な人材が活躍できる場を構築すること。
・・・働き続けるための制度・環境の構築と併せ、活躍できる居場所(チーム、プロジェクト、役割など)の構築が必要となります。

3.組織全体の生産性を向上させること。
・・・制度・環境をいくら構築しても、生産性が下がってしまっては意味がありません。時間あたりの生産性をいかに高めていけるかがポイントとなります。

 自社の人材を生かし、より成果を生み出していく経営体制にしていくためにも、ダイバーシティ&インクルージョン経営の実現を目指していきましょう。

経営コンサルティング本部
ドメインコンサルティング部
森 優希

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ヒット商品の極意 企業は旗を掲げよ!

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ヒット商品が出にくい時代――。そういわれて久しいが、商品ジャーナリストとして多数の商品を見てきた北村森氏は、むしろ「ヒット商品は出やすくなっている」と断言する。ポイントは、旗を掲げて消費者を動かすことだという。専門化する消費者を揺さぶる商品開発の要諦を伺った。


マーケットインからヒット商品は生まれない

若松 本誌の創刊以来、「旗を掲げる!地方企業の商機」をご連載いただきありがとうございます。毎号、地方発のヒット商品にまつわる誕生秘話をワクワクしながら拝読していますが、地方には高い技術や素晴らしい素材を生かした秀逸な商品と出会う機会が非常に多い。私自身も、全国を回る中でそのことを強く実感しています。その半面でよい商品があまり認知されていないことを残念に思っています。企業にとっても、消費者としても非常にもったいないと。

北村 私は2005年から3年間、『日経トレンディ』(日経BP社)の編集長を務めていましたが、心掛けていたのは企業と消費者、その両方に向けた視点で商品を見ること。その観点から、企業に対して「この部分は少し違いませんか?」と伝えていましたし、消費者に向けて「その選び方は間違っていませんか?」と問い掛けることもありました。企業と消費者が行き違ってしまう原因の1つは先入観です。例えば、「地方においしいものはない」という消費者の思い込みや、「どうせ消費者は動かないだろう」という企業の決め付けなど。先入観があると、せっかくの機会を逃してしまいます。

若松 企業と消費者、それぞれの先入観が両者の距離を広げてしまったわけですね。

北村 「マーケットインからヒット商品が生まれる」も先入観ですよ。今の時代、消費者に合わせて商品を作るのではなく、消費者を動かす商品を作ることが大事。消費者は自分の本音には気付いていません。漠然と「どのような商品が欲しいか?」と聞かれても、案外答えられないものです。

若松 同感ですね。私も含めて消費者が、自身の経験の枠を超えて答えることなど不可能です。実際の新商品を目にしたときに初めて、自分が欲しかった商品かどうかを判断できるようになる。

北村 おっしゃる通りです。今、消費者とやりとりをしながら商品を作るインタラクティブが盛んですが、企業が「消費者は答えを持っている」という先入観を持つことは危険です

企業が掲げた旗に共感し消費者は動く

若松 マーケットインでヒット商品が生まれないとすれば、企業は何から取り組むべきなのでしょうか?

北村 「旗を掲げる!」ことです。まず、企業が「この商品分野はこうあるべきだ」と旗を掲げる。その旗に共感できた時、消費者は行動を起こすのだと私は考えています。例えば、三重県紀北町にあるデアルケの「200%トマトジュース」は、伊勢志摩サミット(2016年5月)に採用され、今でも半年先の予約が入るほどの人気商品です(本誌2016年11月号参照)。同社を率いる若き経営者である岩本修氏は、「人が何と言おうと、トマトジュースのおいしさは糖度で決まると、僕は思う」と言い切ります。ですから、搾った100%トマト果汁を7時間以上かけて2分の1の量になるまで煮詰めていくのです。

若松 100%果汁を煮詰めるから商品名は200%トマトジュース。商品の特長を端的に表現しつつ、消費者の興味をそそる秀逸なネーミングです。作る側のこだわりを詰め込んだ、まさにプロダクトアウトの成功事例といえます。「商品の志」といった方が適切かもしれません。

北村 ヒット商品には、他の商品では置き換え不可能なキャッチコピーと商品名が必要です。濃密とか濃厚といった平凡なものでは消費者の心に刺さらなかったでしょう。生意気な言い方ですが、伝わらないのは存在しないのと同じです。また、「旗が大事だ」と言うと、「プロダクトアウトではつぶれる」という声が必ず上がります。自分のやりたいことだけ追求していては、顧客不在になって商品は売れないと。ですが、私が思うプロダクトアウトとは、旗を掲げて世に問うことです。今は、まず市場に出してみて、外の声を聞きながら改善する方が成功の確度が上がるといわれています。ですから、まずは企業が「こうあるべきだ!」という旗を掲げ、消費者に問うてみることが大事だと思います。

若松 仮説を立ててマーケットで検証しながら成功に近づけていく。変える部分と変えない部分を見極めて改良しますが、旗が立っているから価値がブレることはない。大事なのは、旗を掲げて世に問う「勇気」です。昨今、消費者は多様化しているといわれていますが、私は「専門化」していると言ってきました。専門化した消費者が求めるのは、専門的な商品価値。北村さんの言葉を借りれば、企業がどのような旗を掲げているかです。

北村 「顧客の専門化」は、まさに私が言いたかったことです。本当に消費者は専門化しています。その意味でも、商品を打ち出す際にはデザイナーの力を借りることも必要でしょう。地方にはデザイナーを信用していない企業も少なくありませんが、私は「デザイナーとは専門的な価値を効果的に伝える通訳」だと思っています。また、ヒット商品に近道はありません。見本市に出展するなどのチャンスをつかみにいく地道な努力が欠かせません。見本市に出展したことで良い出会いや助言に次々と恵まれて、「わらしべ長者」のような成功を収めた地方企業を私はたくさん見てきました。

デアルケ「200%トマトジュース」。150ml・6 本セットで6200 円(税込)。現在も人気で品薄状態が続く
デアルケ「200%トマトジュース」。150ml・6本セットで6200 円(税込)。現在も人気で品薄状態が続く

創業は新築 継承はリフォーム

若松 コンサルティングの現場で、若き後継者によって会社の魅力が引き出されていくケースを目にします。高いセンスを持つ後継者が、自社の技術や資源を生かして新たな道を切り開いた事例は少なくありません。

北村 後継者は親族でも外部の人材でも構わないと私は考えています。重要なのは、何を変えて何を変えないかを見定める確かな目を持っていること。変えないままでは何も変わりませんが、やみくもに変えると本来の持ち味がなくなってしまう。自社は何屋か。それがちゃんと分かっていると、うまく継承できるはずです。

若松 私はいつも、「継承は新築ではなくリフォームだ」と言っています。創業は新築ですから好きなように設計できますが、リフォームの場合、柱を確認せずに勢いよく壁に穴を開けてしまうと屋根が落ちてきます。

北村 間違っても構造壁を崩してはいけません。構造壁と心柱、はりを残した上で、家を広げたいなら増築すればいい。もっと筋肉質にするなら筋交いを入れるようにデザインする。なるほど、リフォームとは素晴らしい例えです。同じように、さえた新規事業をつくる人は飛び石などしません。必ず石を並べて打っていきます。石を飛ばすと、それまで培ったブランドが生かせなくなってしまうからです。

若松 リフォームの技術があれば、時代に合わせて商品価値を上げていくことが可能です。ただ、今は変化の速い時代です。北村さんは長年にわたって数多くの商品を観察されてきましたが、昨今のヒット商品の特徴を挙げるとすれば何でしょう?

北村 「ヒット商品が出にくい時代」としたり顔で言っている人がいますが、むしろ「ヒット商品は出やすくなっている」と私は言いたいですね。もちろん質は変わってきています。若松社長のご指摘の通り、消費者が専門化しているからです。加えて、専門化した消費者がSNSなどを通して自らの感想を語ることができる時代でもあります。そうした声によって、小さな企業の商品でもヒット商品へと駆け上がる事例はたくさんあります。ナショナルブランドのような大きな市場に向けた商品でも、局所的に狙っていく商品であっても同じように輝く時代なのです。

若松 地方企業にとっても、これまでになくチャンスが広がっている時代ですね。

北村 注目すべきは、最近のヒット商品の多くは、既存の技術によるイノベーションであること。ドラえもんのポケットから出てくるような秘密道具的な新技術は、必ずしも使われていません。例えば、三星刃物(岐阜県関市)が2017年に発表した「和NAGOMI」ブランドのチーズナイフ(本誌2017年12月号参照)。「硬いチーズも軟らかいチーズも、これ1本で切れてしまう」というキャッチフレーズ通り、1本でどんなチーズでも切ることができます。ポイントは、「刃渡りの長さ」「刃の厚み」「片刃か両刃か」の3つ。さまざまな組み合わせを試した結果、世界初のイノベーティブな商品が誕生したのです。

若松 通常、プロはチーズの硬さに合わせて複数のナイフを使い分けるものです。局所的なヒット商品ですが専門的価値が非常に高い。しかも、それが既存技術によって生み出されているとは驚きです。

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イノベーティブな商品とは、消費者が手にしたときに生活の景色が変わる商品であること。

消費者が育てる「商品のアイドル化」を目指せ

北村 イノベーティブな商品とは、今までなかったもので、消費者が手にしたときに生活の景色が変わる商品であること。三星刃物のナイフは、地方だってイノベーティブな商品を作れるという一例です。大企業のような立派なR&Dセンターを持たなくても、旗を掲げて自社の持ち場でイノベーティブな商品に挑戦することが大事なのです。そうした商品であれば、消費者が発掘してわがことのように発信してくれますし、もっと言えば、クラウドファンディングを通して消費者が開発費用を出して育ててくれます。

若松 消費者が「自分が育てた」という部分に価値を置くのは、今のアイドルグループの成功ストーリーにも共通しています。

北村 本当にその通り。商品のアイドル化ですよ。ただ、消費者に応援してもらうには旗を掲げていて、イノベーティブであること。そして、消費者が語りたくなる商品であることが欠かせません。

若松 どのような業界でも、地方でも商品をアイドル化することは可能ですが、それに気付いていない企業が多い。私は地方で講演する際、「お願いですから、『うちの業界はね......』とか『この地域はね......』なんて話し始めないでください」とお願いしています(笑)。

北村 その後に良い話が続くことは、まずありませんからね(笑)。ただ、旗を掲げるポイントは、必ずしも前向きなものばかりではありません。むしろ、憤りや首をかしげるような理不尽な現実、困り事など、マイナス要因からスタートしている商品の方が成功しています。業界や地域の先行きが暗いとすれば、問題点を見定めて、風穴を開けるために自社は何ができるかを考えることも、旗を掲げるきっかけになりますよ。

若松 私たちの暮らしを支える商品やサービスのほとんどが、不満・不安・不便・不足・不利といった「5つの不」へのニーズから始まっています。先入観を捨ててそうしたニーズと向き合い、自社の資源と結び付けて考えてみると、新商品の糸口が見えることも十分にあり得ます。

北村 私は、買い物や散歩の最中、出張移動の間もずっと、目に付く商品を注意深く見ていますが、北海道に行った際、森町の有名な駅弁である「いかめし」のPOPを見て驚きました。いかめしが誕生したのはいつごろかご存じですか? POPには1941年と書いてありました。戦時中ですよ! 戦時中の食糧不足の中、少量のコメと売り物になりにくい小さなイカを使い、何とか知恵を絞ってできたのがいかめしだった。いかめしは、「駅弁ブームだから何か作りましょう」というのんきな発想からは到底生まれない商品であり、進退窮まった中で生まれたからこそ、こんなさえた商品ができたのだと私は感動しました。地域おこしにも、そういった気概が大事です。長年、さまざまな商品を見てきましたが、ヒット商品は決して緩いファンタジーから生まれるものではありません。

若松 強い危機感と地道な努力の上に掲げられた旗だからこそ、消費者の心を強く揺さぶるわけです。その意味では、不利と思われていた地方にこそチャンスがあるともいえる。北村さんの話を伺い、地方であってもナショナルブランドを超えて輝ける時代だと確信しました。このような現実を知ってもらい、それぞれの旗を掲げてチャンスをつかみにいってほしいと思っています。本日はありがとうございました。

商品ジャーナリスト 北村 森(きたむら もり)氏
1966年富山県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。1992年、日経ホーム出版社に入社。記者時代よりホテルや家電、クルマなどの商品チェックを一貫して手掛ける。2005年『日経トレンディ』編集長就任。2008年に独立。テレビ・ラジオ番組出演や原稿執筆に携わる。サイバー大学IT総合学部教授(地域マーケティング論)。著書『途中下車』(河出書房新社)は2014年にNHK総合テレビでドラマ化された。そのほか『仕事ができる人は店での「所作」も美しい一流とつき合うための41のヒント』(朝日新聞出版)など。

タナベ経営 代表取締役社長 若松 孝彦(わかまつ・たかひこ)
タナベ経営のトップとしてその使命を追求しながら、経営コンサルタントとして指導してきた会社は、業種を問わず上場企業から中小企業まで約1000社に及ぶ。独自の経営理論で全国のファーストコールカンパニーはもちろん金融機関からも多くの支持を得ている。関西学院大学大学院 (経営学修士)修了。1989年タナベ経営入社、2009年より専務取締役コンサルティング統轄本部長、副社長を経て現職。『100年経営』『戦略をつくる力』『甦る経営』(共にダイヤモンド社)ほか著書多数。

 北村森さんの連載「旗を掲げる!地方企業の商機」では、特別編として10年間(2008~17年)に自ら購入・使用した商品から選ぶ「地方発ヒット商品番付」を公開!

「お客さまの声をカタチにする」にこだわり、支持を獲得
ヒロセ通商 × タナベ経営 SPコンサルティング本部

ヒロセ通商のホームページ。豪華商品やキャンペーンが目を引く
ヒロセ通商のホームページ。豪華商品やキャンペーンが目を引く

関西唯一のFX(外国為替証拠金取引)専業会社で、2016年3月に東証ジャスダック市場へ上場を果たしたヒロセ通商が、成長の勢いを加速させている。
創業以来、「お客さまの声をカタチにする」姿勢にこだわる同社に、顧客の支持を集めるマーケティング戦略について尋ねた。

ヒロセ通商の食品キャンペーンはトレーダーたちに人気。 毎月、多くのトレーダーがこの量の食品をもらっている
ヒロセ通商の食品キャンペーンはトレーダーたちに人気。
毎月、多くのトレーダーがこの量の食品をもらっている


FX業界の常識を覆す数々の取り組みを実施

大阪市に本社を構えるヒロセ通商は、自社オンライントレードシステム「LION FX(ライオンエフエックス)」を活用した、FXのインターネット取引サービスを提供する企業だ。2017年3月期連結決算の売上高は67億2100万円(前期比5.8%増)、経常利益が14億6200万円(同24.5%増)と売り上げ・利益ともに過去最高で、いま急成長企業として注目を浴びている。

FXとは、FX企業に証拠金(保証金)を預託し、それを元手に差金決済(現金の受け渡しをせず、反対売買の差金のみで決済すること)などで外国通貨を売買する取引のこと。例えば、1ドル=100円で1万ドルを買い、101円で売った場合、差額の1万円を受け取ることができる。

同社は2004年、現社長の細合俊一氏が設立。1998年の「外為法」(外国為替及び外国貿易法)改正により、一般企業や個人の為替取引が可能になったことから、FX業界へ参入した。

「銀行を介した外為取引より低い手数料」「取引可能時間の長さ」など、それまでの外為取引になかった利便性が支持され、FX業界は急速に発展。インターネットの普及も追い風となり、同社は大きく成長を遂げた。

2005年にはインターネット取引システムを導入し、本格的にネット取引へ移行。業界初の1000通貨単位(1万通貨単位が一般的)でのサービス開始、24時間対応の顧客サポート、24時間いつでも入金できる「クイック入金サービス」の提供、200以上の通貨ペア取り扱いなど、設立以降、常にFX業界の常識を覆す取り組みを行ってきた。

顧客満足度のあくなき追求へ

FX業界では、金融庁による2010年のレバレッジ規制※1を機に、急速にFX企業の淘汰が進んだ。「上限25倍」という規制の中、仮想通貨など新たなサービスの取り扱いに参入するFX企業も増加。コスト削減や手数料競争などがひと段落しつつあるいま、提供するサービスに魅力のないFX企業は生き残りが困難になっている。

そうした中、ヒロセ通商は"抜きん出た存在感"を放ち、独自の地位を築いている。同社の取引高は業界3位(2017年10月時点、矢野経済研究所調べ)だが、FX取引における顧客満足度は2013年、14年、15年と3年連続で総合1位を獲得※2。「お客さまの声をカタチにする」というコンセプトに、着実に取り組んだ成果が形として表れたといえよう。

顧客満足(CS)向上に対する同社の取り組みは、他社とはレベルが異なる。例えば、顧客の意見や要望を"財産"として受け止め、サービスの改善・向上に取り組むため、顧客サポート担当社員は1年以上の研修を受ける。研修中は直接顧客に関わる業務を担当し、顧客目線での対応を体得させている。

顧客対応へのスピードも、FX業界では群を抜く。ユーザーの声は社内会議にかけられ、即座にサービスの改善や向上へ生かされるという。

「(キャンペーン内容やシステムの機能改善などに対して)お客さまの声があると、すぐに社内で検討します。内容にもよりますが、1カ月程度で形にできることが多いですね」と、同社広報部広報課の東野宗治氏は言う。

顧客の声を聞くために、同社ではWebとリアルの両方でさまざまな場を設けている。「反省会」と銘打って開催するユーザーと社員の交流イベントもその1つ。反省会では元カリスマディーラー小林芳彦氏による相場予想、システムのレクチャーや便利機能の紹介などを行う。そして、その場で「こういう取引機能があれば」「こんなキャンペーン商品が欲しい」といった参加者の要望も聞き入れる。

こうした顧客サポートとともに、高いCSを支えるのが、自社開発のシステム「LION FX」だ。同システムは投資家目線で作られたFXオンライントレードサービスで、超高速、高信頼、高拡張を実現。国内最高の約定スピードを誇り、第三者による検証、監視システムも備える。

自社開発のシステムは、ユーザーの要望への対応にも役立つ。例えば、画面上の文字の大きさや注文方法など、細かい設計変更が必要な場合も、自社システムならすぐに対応できる。ユーザーの使い勝手を踏まえた柔軟な対応力は、そのままCS向上に直結しているのだ。

ヒロセ通商 広報部 広報課 東野 宗治氏
ヒロセ通商
広報部 広報課
東野 宗治氏

ユニークなキャンペーンで顧客へ還元

顧客サポートや自社システムとともに、顧客から支持を得るもう1つの大きな要素が、毎月打ち出される数々のキャンペーンだ。

ヒロセ通商は、実施するキャンペーンの豊富さとユニークさで知られる。その数は毎月十数本に上り、取引額増額や新規口座の開設を促す。

キャンペーンの内容は、豪華食品が当たる「食品キャンペーン」、決済損益の金額が"ゾロ目"になれば豪華賞品がもらえる「ゾロ目キャンペーン」、一定取引額以上のユーザーが対象の「黒毛和牛キャンペーン」をはじめ、キャッシュバックキャンペーン、プロ野球観戦チケットキャンペーンなど多岐にわたる。

「面白いキャンペーンで、お客さまに楽しんでもらいたい。キャンペーン商品もコストを抑えるようなやり方はせず、お客さまへ還元できるよう、攻めの姿勢で常に企画しています」(東野氏)

特に、"メインキャンペーン"として毎月打ち出す食品キャンペーンは、大手食品メーカーとの共同企画商品も多数。「取引高○通貨以上で大阪王将と共同企画のLION餃子400個プレゼント」など、インパクトと遊び心があふれる企画は、他のFX企業にはないヒロセ通商の特徴だろう。キャンペーンはユーザーにも定着し、今では「食品キャンペーン=ヒロセ通商らしさ」として認識されているという。

キャンペーン商品の在庫を保管するため、同社は大阪市内(大正区)に自社倉庫を構える。発送はキャンペーン終了後から2週間以内と迅速だ。その作業は社員が行う。全ては「お客さまに喜んでもらう」という視点で一貫した取り組みである。

こうしたキャンペーン商品や、株主優待特典などのノベルティーを支えるのが、タナベ経営のSPコンサルティング本部。「当社の特徴をよく理解されており、毎回、当社に合う企画やグッズを提案いただきます。商品を指定すれば作ってくれる会社はありますが、『こういう食品に関連するグッズが欲しい』などと伝えただけで、幅広い観点から企画・提案いただけるのは、タナベ経営ならでは」と東野氏。今後も幅広い観点からの企画や目新しいノベルティーの提案に、高い期待を寄せる。

前列左から広報部 原田健二郎氏、藤原正史氏、東野宗治氏
前列左から広報部 原田健二郎氏、藤原正史氏、東野宗治氏

FXの魅力を広く伝えたい

FXというと、「ハイリスク・ハイリターン」「難しくて分かりにくい」といった印象を持つ人も多いかもしれない。

確かにレバレッジ規制以前は、200倍、400倍といったレバレッジを提供するFX企業も多数存在したが、現在は個人投資家のレバレッジ上限は25倍に規制され、従来よりもリスク管理は徹底されている。そのため、他の金融取引に比べFXだけがハイリスクというイメージは、一概に正しいとはいえない。

そうした実情やFXの魅力をもっと多くの方に知ってもらい、ユーザー層の幅を広げていきたい。そうした思いもあって、同社はFXを知らない人でも興味が持てるようなマーケティング活動に力を入れている。また、初心者でも安心して取引できるよう、24時間の電話サポートを行い、万全の顧客サポート体制を整える。

今後も、質の高い顧客サポートや使いやすいシステムの開発、キャンペーンなどを継続し、取引高1位を目指す同社。現在は30代男性が中心ユーザーだが、今後は女性層の取り込みにも力を入れ、積極的にユーザーの幅を広げるという。顧客の声に真摯に応えることで支持を集める同社は、今後も国内、そして世界へフィールドを広げながら、飛躍し続けるだろう。

※1レバレッジは取引金額の倍率。金融庁により、2010年に50倍、2011年には25倍へ上限が規制された
※2「オリコン日本顧客満足度ランキング」(FX取引部門)

PROFILE

  • ヒロセ通商㈱
  • 所在地 :〒550-0013 大阪府大阪市西区新町1-3-19 MGビルディング
  • 設立: 2004年
  • 資本金: 8億4511万円
  • 売上高: 67億2100万円(連結、2017年3月期)
  • 従業員数: 82名(連結、2017年9月末現在)
  • 事業内容 : 第一種金融商品取引業
  • http://hirose-fx.co.jp/


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    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所