image1

今週のひとこと

意識格差が行動格差。行動格差が業績

格差である。部門別・個人別の目標を

明確に設定し、高い生産性を追求しよう。

☆ 生産性改革の糸口はどこにある?

 「生産性改革」の背景には、IoTや人工知能(AI)、ロボットなどのデジタルテクノロジー革命、人手不足を背景にした働き方改革など、多くの企業が直面している難題の存在があります。
 現在、このような問題に対応すべく生産性改革に取り組んでいる企業でも成果・実績は様々です。

 採用難や人材不足が叫ばれる中、採用戦略を見直すことは、もちろん重要です。一方、人材がいなくても業務の質や量が向上する部分については、ロボットやAIによる省人化を図ることも生産性改革の一つの手段として有効です。

 また、働き方に幅を持たせるITツールの活用や、オフィス環境の改善・テレワーク制度の導入など、ワークスタイルを変えるための各種環境づくりも求められます。
 これらの内容を踏まえ、生産性改革を推進していく上で、大前提に立ち返る必要があります。それは、生産性向上を測るモノサシをどう設定するのかであり、生産性を高める数値面から定量的にアプローチするということです。

 生産性改革は、多方面からの取り組みが必要になります。
 今後どのような働き方を推奨していきたいのか。自社で取り組める「生産性=働き方」改革の糸口はどこにあるのかを、あらためて考えてみてはいかがでしょうか。

経営コンサルティング本部
コンサルタント
村山 航平

生産性カイカク研究会

生産性カイカク研究会

生産性改革でさらに成果を上げたい、またはこれから取り組みたい企業に、企業視察を通した気付き・ノウハウ、共に歩み・相談し合えるネットワークを提供する研究会。
改革に成功した企業、現在改革に取り組んでおりその光明が見えている企業に、実際に伺い、現場を見て・感じることで、生産性改革成功の手法・ノウハウを吸収できる場をご提供いたします。

「生産性カイカク研究会」の詳細はこちら

「2030年構造」と向き合い暮らし産業への変革に挑む

20兆円規模ともいわれる住宅関連市場。注目すべきキーワードは「2030年構造」である。価値観の変化によりシェアリングサービスが台頭するなど、事業構造も変化(30~50歳代の持ち家比率は減少トレンド)している。

野村総合研究所の2017年度版「2030年の住宅市場」によると、世帯数の減少や住宅の長寿命化などにより、2016年度には97万戸であった新設住宅着工戸数が2030年度には約55万戸に減少する見通しだという。さらに、2033年の空き家数は約2166万戸、空き家率は30.4%となる見通しで、「次元の異なる未来」がそこまで来ているといえる。

フランスの経済学者・思想家ジャック・アタリは、2030年には「IoTで1500億個のモノが互いに、そして数十億の人とつながる」と述べた※。デジタル革命が進むと、IoTを備えた、スマートハウスが当たり前のものになり、住宅のハードとしての価値はますます低下していくことが予想される。

つまり、「住宅産業」は暮らしを一番に支援する「暮らし産業」へと変貌を遂げねばならないのだ。そのためのキーワードは次の3つである。

1つ目が、「資産価値<活用価値」。米国や英国では住み替えが主流だが、日本では新築文化が根強い。この価値観にメスを入れることが必要である。活用価値を訴求するA社は、住宅専門誌への広告出稿を一切行わず、代わりにライフスタイル誌を中心に出稿することでブランディングをすすめ、順調に業績を伸ばしている。

2つ目は、「事業のサービス化」である。建材メーカーB社は、「庭のある暮らし」を標榜し、顧客数とサービス売り上げを増加させた。リノベーション事業C社はアウトドアメーカーと組んだライフスタイル提案で、建築以外の収益を伸ばしている。

3つ目が、「デジタル革命を直視し、ビジネスモデルの中心に据える」ことだ。Houzz(ハウズ)は2008年に米国で創業。1500万枚以上の住まいの事例写真をWeb上に掲載し、600万人以上の住宅業界のプロと4000万人を超えるユーザーがつながるモデルを構築。世界最大といわれる「住宅Webプラットフォーム」を作り上げた。

「建てる」だけでなく「暮らしサービス」を主役にしていく。文字通り、暮らし産業への変貌こそが、住宅関連企業の100年発展を実現する最大のカギである。

タナベ経営 常務取締役/住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会 アドバイザー 中村 敏之
    タナベ経営 常務取締役/住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会 アドバイザー
    中村 敏之 Toshiyuki Nakamura

    「次代の経営者育成なくして企業なし」をコンサルティングの信条とし、100年発展モデルへチャレンジする企業の戦略パートナー。豊富な現場経験に基づく「ビジョンマネジメント型コンサルティング(VM経営)」は具体的で、クライアント企業から分かりやすいと大きな信頼を得ている。関西学院大学卒。

住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会

住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会

2019年消費税増税・2020年オリンピック開催後の"次の一手"

社会構造や家族構成の変化に伴い、住まいや暮らしに対する価値観がめまぐるしく変化しています。その潮流の中で、躍進し続ける企業はどのような成長戦略を推進しているのでしょうか?
「住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会」では、ハウスメーカーやリフォームをはじめ、住まいと暮らしに関わる様々なビジネスを展開する、優秀企業の現場を視察し、成長モデルを学びます。

「住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会」の詳細はこちら

住まいと暮らし分野に関わるコンサルティングメニュー・各種資料請求・お問合せはこちら

デジタル革命を機に住宅産業から「暮らし産業」へ

経営コンサルティング本部
大阪本部 副本部長 住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会 リーダー

山本 剛史 Tsuyoshi Yamamoto
企業の潜在能力を引き出すことを得意とする経営コンサルタント。事業戦略を業種・業態ではなく事業ドメインから捉え、企業の固有技術から顧客を再設定して事業モデル革新を行うことに定評がある。現場分散型の住宅・建築・物流事業や、多店舗展開型の小売・外食事業などで生産性を改善する実績を上げている。神戸大学大学院卒。

「第4次産業革命」が従来にないスピードで進行中

201803_01_method_01

IoT、ビッグデータ、ロボット、AI(人工知能)――。これらによる「第4次産業革命」とも呼ぶべき技術革新が今、従来にないスピードとインパクトで進行している。

2017年10月、中国のEC(電子商取引)大手アリババ・グループが今後3年間で研究開発予算に150億ドル(約1兆6900億円)を投じると表明した。金融情報サービス大手ブルームバーグの集計データによれば、アリババが過去3会計年度に投じた研究開発費は64億ドル。発表した支出額はその2倍余りに上る。併せて、世界各地に研究所を7カ所設立し、AIやIoT、量子コンピューティングなどの研究員を100人採用するとも発表した。

一方、国内に目を向けると、政府が成長戦略(「未来投資戦略」)の中核となる技術革新としてIoTを挙げたほか、ソフトバンクが日本企業として過去最大となる約3.3兆円を投じ、英国の半導体設計大手ARM社の買収を発表した。これらも将来のIoT需要を見据えた動きと推測できる。

AIが注目される3つの変化

2017年5月に中国・浙江省烏鎮で行われた、グーグル・ディープマインド社(英国)が開発した囲碁ソフト「アルファ碁」と、世界最強と目される中国の棋士・柯潔氏の対決は、アルファ碁の完勝(3連勝)という結果で幕を閉じた。

囲碁はボードゲームの中で最も難しいものとされ、AIが棋士に勝つのは10年先とみられていた。ところが2015年10月にプロの囲碁棋士に初めて勝ち、2年たたずに世界のトップを破った。いかにAIの開発スピードが加速しているかが分かる。2017年10月には、さらに腕前を上げた「アルファ碁ゼロ」が発表された。

「コンピューターは人類を追い越す」といわれてきたものの、多くの人々は「まだまだ先の話だ」と考えてきた。こうした例はアルファ碁に限らず、私たちの暮らしの周辺でも、気が付かないうちにコンピューター化が浸透しつつある。次に3つの事例を紹介しよう。

(1)アナログ社会からデジタル社会へ

iPhoneには紙の説明書がない。製品について知りたいことがあれば、Web上でテキストを閲覧する仕組みになっている。また、不動産取引でも同様の動きが進んでいる。2017年10月から賃貸不動産取引での「IT重説」が解禁され、対面が原則だった宅地建物取引士による重要事項説明をテレビ会議などオンラインで行えるようになった。例えば、チェーン展開する不動産会社で、A店の来店客にB店の取引士が重説を行う、または顧客が自宅や職場で重説を受けるといったことも可能になる。

不動産取引における営業担当者の接客スキルを、AIでデータ化する動きもある。クライアントの要望に応じてカスタマイズも可能だ。「家を売るためにはどんな準備が必要か」「このエリアで良い物件はないか」など数千パターンの質問にAIが応対するというものである。

AIのカスタマイズは、まず優秀な営業担当者にインタビューすることから始まる。よくある質問内容など大量のデータを集めて学習させながら、トップ営業担当者に近づけていく。分厚いマニュアルにまとめる従来の手法とは一線を画している。

(2)情報インフラの変化

2つ目は、インターネットによるデジタル革新により、暮らしを取り巻く情報インフラが急速に変化している事実である。

不動産情報サービス会社のアットホームが、1人暮らしをする18~29歳の男女2038名にアンケート調査を実施した(2016年)。それによると、現在居住する部屋を探した際、①ほぼ半数の人は不動産会社1社しか訪問しなかった、②社会人の多くはスマートフォンやパソコンで部屋を探している(特に女性は8割以上がスマホ)、などが分かった。(次項【図表】)

①の結果については、SNSやホームページなどで事前に調べて絞り込んでいるためだと考えられる。また②についても、賃貸物件をオンラインで探すことが当たり前になっていることが分かる。パソコンの容量は一昔前にメガ(M)だったのが、ギガ(G)、その1000倍のテラ(T)、さらにその1000倍のペタ(P)までが主流になりつつある。デジタル革命の加速化がいかに激しいかが、ここからもうかがえる。

(3)Webでリフォームが申し込める時代に

EC企業によるリフォームへの参入が始まって久しい。しかし、本や服、食品のようにワンクリックでリフォームを"買う"には、心理的なハードルがまだ高い。しかし、思い出してほしい。「靴は試着しないとだめなので通販は無理だ」「眼鏡のネット販売は不可能だ」。これが、かつての常識だったはずだ。

リフォームのEC展開は、工事会社とエンドユーザーを単につなぐだけのマッチングサイトではなく、工事込みの"商品"として販売していることに注目したい。いくつかの問題を抱えているものの、比較的手軽に行える少額リフォーム工事は全て、そう遠くない未来にネット販売へ置き換わると思って間違いないだろう。

変化の激しいデジタル革命時代を生き抜くためのポイントは、次の通りである。

デジタル革命時代を生き抜く対策

(1)プラットフォームづくり

私たちが持っているスマホはアプリのプラットフォームであり、このオープン性が魅力を引き立たせている。誰もがスマホを利用する中で、LINEに代表される通信アプリやカメラアプリなどは、なくてはならないものとなっている。これを、住宅産業に置き換えるとどうか。

例えば、家の修繕履歴をデータ化する場合を考えてみよう。従来は「事業者視点」だった。事業者側が工事に必要な情報(図面や仕様書)をストックし、経年劣化のタイミングに合わせて無償・有償のサービスを提供するというスタイルである。仮に、一般消費者が自分のスマホで、手軽に自宅の"家歴"を閲覧・管理できるアプリができればどうなるだろうか(現にそういうサービス運用も始まっている)。事業者側が管理していたデータを、一般消費者が簡単な手元操作で閲覧できるようになる。カフェでコーヒーを片手に、スマホからリフォーム工事を発注することも可能だ。

そのアプリ上に、暮らしの情報(美容院の割引、イベント開催情報など)を載せてプラットフォーム化ができれば、日常生活に密着したアプリとなり、主導権が消費者側に移行する。工務店や不動産業者も、暮らし産業との連携が必須となるだろう。

新たなプラットフォームサービスの登場により、従来のサービスが一瞬にして淘汰されていくことも肝に銘じておかなければならない。

201803_01_method_02

(2)暮らし提案

住宅産業において、デジタル革命で最も大きな影響を受けるのは、営業の仕事ではないだろうか。今までは、「○○さん(担当者名)だから家の購入を決めた」という理由で売れていた人も多かった。つまり、営業担当者自身が重要な購買決定要素だった。

ところが、これからの消費者は以前よりもデータを重視するようになる。ライバル商品と比較し、価格、性能、デザインなど、あらゆる面を数値的に取り出して、客観的判断で購入の意思決定をするのだ。双方のデータを比べれば自動的に優劣がついてしまう。

あるいは、ネット上で購入した人の閲覧履歴から、自分のテイスト・価値観に合うものを選び出すこともできる。このプロセスをAIでコントロールできれば、営業担当者とのやりとりは理論上、不要になる。営業担当者に求められるのは、購入後のライフスタイルをどう提案するかという1点に絞られるのではないだろうか。

デジタル革命の波は、住宅産業が「暮らし産業」へ変貌するチャンスと捉えるべきなのかもしれない。

住宅はハード産業から「ソフト産業」へ

自動運転の電気自動車が主流になれば、クルマは移動のための家電製品となり、自動車業界が持つエンジン技術は不要になる。クルマにパソコンを載せるのではなく、パソコンにタイヤを付けて走る発想である。

同様に、住宅業界でも「AI住宅」なるものが主流になれば、家は住むための家電製品になり、中身(暮らし)はAI(アプリ)でアップデートしていく、という状態になる。生活ステージに合わせ、「不要になった住宅アプリを削除して、新たなアプリを購入する」。そんな時代が来るかもしれない。

住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会

住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会

2019年消費税増税・2020年オリンピック開催後の"次の一手"

社会構造や家族構成の変化に伴い、住まいや暮らしに対する価値観がめまぐるしく変化しています。その潮流の中で、躍進し続ける企業はどのような成長戦略を推進しているのでしょうか?
「住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会」では、ハウスメーカーやリフォームをはじめ、住まいと暮らしに関わる様々なビジネスを展開する、優秀企業の現場を視察し、成長モデルを学びます。

「住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会」の詳細はこちら

住まいと暮らし分野に関わるコンサルティングメニュー・各種資料請求・お問合せはこちら

  • お問合せ・資料請求
  • お電話でのお問合せ・資料請求
    06-7177-4008
    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所