2018.01.12



LTVを最大化する

LTV(Life Time Value = 顧客生涯価値)というマーケティング用語をご存じだろうか。企業やブランドに対して、顧客(1人・1社)が生涯でもたらす累計損益を算出した指標である。

例えば、あるブランドの商品を、顧客が11歳から50歳まで毎年20万円分購入したとすると、生涯売り上げは800万円だ。その顧客獲得の初期コストに10万円、毎年の維持コストに1万円かかるとすれば累計コストは50万円。従って、「生涯売り上げ高800万円-生涯コスト50万円(10万円+40万円)= 750万円」がLTVとなる。LTVは「(顧客単価×リピート回数〈年数〉) -(新規顧客獲得コスト+維持コスト)」の計算式で算出することができる。

LTVは、ファンづくりによって安定的に成長と収益を獲得するための指標である。LTVを最大化するポイントは、まず新規獲得・維持コストを抑えること。次に、ファンになってもらうことで、定期購買などリピート率を上げること。さらに、顧客のニーズと自社のシーズを発見して新たな価値を既存顧客に提案し、顧客単価を上げることである。

リピート年数を最大化する

もう1つ、LTV を最大化する方法がある。継続年数を最大化することである。誤解を恐れずに言うと、60歳の顧客と10歳の顧客ではどちらのLTVが高いだろうか。どちらが、企業やブランドの持続的成長を可能にするだろうか。答えは明白である。

子どもの頃に家族で楽しんだテーマパークのブランドは、何十年も顧客の心の中に存在し、リピートされる。さらにその子どもが大人になって家族をつくり、3世代のファンとなり、さらに次世代へとブランドが受け継がれることになる。

小学生以下は1263万人の巨大マーケット

日本は人口減少、少子高齢化社会である。そうすると、高齢者が有望なマーケットであると考える視点もある。しかし、ここでもう一度考えていただきたいのがLTVの視点である。

いま、小学生以下の人口は1263万人(総務省統計局、2016年4月1日現在)。その両親は20代~40代と、購買意欲の高い層だ。企業やブランドの持続的成長を考えると、「子ども・子育てマーケット」は決して視野から外すことができないドメイン(領域)なのである。


タナベ経営 取締役副社長/
こども・子育てファミリーマーケット成長戦略研究会 アドバイザー

長尾 吉邦 Yoshikuni Nagao
タナベ経営に入社後、北海道支社長、取締役/東京本部・北海道支社・新潟支社担当、2009年常務取締役、13年専務取締役を経て、現職。経営者とベストパートナーシップを組み、短中期の経営戦略構築を推進し、オリジナリティーあふれる増益企業へ導くコンサルティングが信条。クライアント先の特長を生かした高収益経営モデルの構築を得意とする。著書に『企業盛衰は「経営」で決まる』(ダイヤモンド社)ほか。