COLUMN
コラム
本コラムはタナベコンサルティングのTCG REVIEWにて掲載している記事を転載したものです。
※登壇者の所属・役職などは開催当時のものです。
コロナ禍によるグローバル経済の寸断やサプライチェーンの混乱、ライフスタイルの変化、各国の新型コロナ対策格差などに加え、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う世界的な資源価格の高騰は、インフレ対策としての欧米諸国の金融緩和収束や利上げも相まって急激な円安を引き起こしています。
日本企業のグローバル戦略の舵取りが未知の局面に立たされている中、タナベコンサルティングは2022年9月16日、「グローバル戦略フォーラム」を開催しました。特別ゲスト3社による講演と、タナベコンサルティングのコンサルタントによる講演をリアルタイムで配信しました。
グローバル戦略の目的と本質は、【図表1】の3つに要約される
1.アービトラージ戦略
各国の為替、金利の差で利潤を得る戦略。各国の地域差・特性の違いに着目することが重要です。海外戦略においては、この戦略が基本となっている場合が多いです。
2.レプリケーション戦略
本国、あるいは他国で成功しているビジネスモデル、製品・サービスを違う国で展開し、ビジネスを拡大していく戦略のことです。そのままレプリケーション(複製)できるものもあれば、各国の商慣習に合わせた設計が必要な場合もあります。
3.インテグレーション戦略
各国の違いにかかわらず、自国で築き上げた強力なブランド、製品・サービスによって世界全体で市場を拡大していく戦略のことです。グーグルなどはこの一例であり、強力なブランド力で世界的シェアを獲得しています。
【図表1】3つのグローバル戦略
重要なのは、この3つの戦略は切り分けて考えられるものではなく、【図表1】のように重なる部分が存在するということです。
相互に影響を与えることを理解した上で、各戦略を実装、推進する必要があります。また、グローバル事業ポートフォリオとバリューチェーンの展開については、【図表2】のバリューチェーンを俯瞰しながら前述の各戦略を組み合わせることも忘れないでいただきたいです。
【図表2】グローバル事業ポートフォリオとバリューチェーンの展開
国内市場の縮小が進む日本において、日本企業のグローバル戦略は必須です。そのためには、海外情勢の変化に伴う海外事業ポートフォリオの強化、再編を進めることが重要です。また、自国の製品・サービスを海外で展開する内から外のグローバル視点だけでなく、海外の先進事例をレプリケーションし、自国で展開する外から内の視点も必要になります。
グローバル・ビジョンをアップデートし、それに基づく長期視点のグローバル戦略をデザインすることが、日本企業の生き残りの鍵となります。
グローバル戦略フォーラムのその他の記事はこちら
コロナを経て変化した、デジタルマーケティングトレンドとグローバルコミュニケーションの重要性 日本企業のグローバル戦略とクロスボーダーM&A 不確実性を増す日本及び世界経済の展望
著者
最新コラム
- 事業戦略の立て方とは?基礎知識から具体的な方法までご紹介
- 地域のくらしに寄り添い、かつ自社の強みを活かしたある地場スーパーの中期経営計画づくり
- ″住宅会社のビジョン・中期計画策定″戦略の基本と、自社のビジネスモデルを1段階高める重要ポイント
- 事業戦略の成功事例
ビジョン・中期経営計画策定キーポイント
- パーパス経営完全ガイド
~成功事例から社内浸透のポイントまで徹底解説~
- 新規事業開発・立ち上げ完全ガイド
~発想や進め方など重要なポイントを解説~
- ESG経営完全ガイド
~SDGsとの違いや経営に活かすポイントまで徹底解説~
- マテリアリティ(重要課題)の必要性。その概要から特定プロセスを解説