vol.6 ブランドを磨き、感動を創造
変化と成長を続ける100年企業
久原本家グループ本社 河邉 哲司氏 × タナベ経営 若松 孝彦

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2016年4月号

 

 

ブランド価値を高めるビジネスモデルを構築

 

 

若松 初の自社ブランドビジネス、めんたいこの椒房庵は、どのようにスタートされたのですか。

 

河邉 タレのOEMで会社は成長しましたが、OEMはいつなくなるか分からないため、自社ブランドが必須だと以前から考えていました。そこで、めんたいこのブランド化に挑戦したのです。本場・福岡での最後発のスタートでしたから、原卵も北海道から良いものを仕入れるなどこだわり抜きました。赤字も続きましたが、ここで学んだことは非常に大きかったですね。

 

 販売は地場の百貨店で始めました。驚いたのは全国から注文が相次いだことです。顧客の間でおいしいとのクチコミが広がり、おのずと通販が伸びていきました。直販店と通販、2つのチャネルで商品を販売したことが勉強になり、その成果が茅乃舎ブランドに結び付いたのです。

 

若松 中堅企業のビジネスモデルを見ていると、下請け、OEM、自社ブランド開発と成長過程を経ています。持続的成長を果たそうとすると、自社ブランドと向き合うときが必ず来ます。「何としても自社ブランドを持つ会社にしなければ」という河邉社長の使命感を感じます。

 

河邉 食品メーカーは、自社の製品をほとんど卸や食品工場に販売しています。しかし、流通だけで採算を取るのは非常に難しい。だから、大手と同じことをするのではなく、独自のビジネスモデルをつくることが大切で、それが「久原ブランド」につながっていると思っています。

 

若松 売上高はターゲットとなる市場規模で決まります。売上規模以上に自社ブランドの「ファーストコール化」(顧客から一番に選ばれること)を優先することで、経常利益率10%を実現できる独自のビジネスモデルになります。売上規模はそれらの結果と考えるべきです。

 

河邉 茅乃舎は通販から始めたブランドですが、実店舗を増やし、2年前に売り上げが通販4割、店舗6割に逆転しました。とはいえ、食品メーカーが、食品の通販で約4割の売り上げを持っているのは、極めてまれなビジネスモデルだと思います。これこそが当社の独自性です。

 

若松 今後ますますネット通販は拡大するでしょうから、そのチャネルを現時点で持っている価値は大きいですね。2015年、本誌で「地域に密着してリージョナル(地域的)にマーケットを展開することが、最終的にはグローバル戦略になる」という話を松井忠三氏(良品計画の前代表取締役会長)と交わしました。実店舗と通販の2つを結び付けるバランス、顧客密着モデルが独自性のポイントになりますね。

 

河邉 現在、全国に15店舗を展開しています。2016年には目標の20店舗を達成する予定ですが、あまり多店舗展開はしたくありません。さらなる成長のためには、いかに「本物」を追求できるかが大切。小規模ならではのブランドビジネスを行いたいのです。

 

 そのためには、「少し価格は高いけれど、おいしい」と感動してもらえるかどうかが肝要となります。あちらこちらでは販売せずに、きちんと定価で売る――。つまり、ブランド価値を高めるビジネスモデルをつくっていきたいのです。

 

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福岡県・久山町にある「レストラン茅乃舎」。
大きな茅葺き屋根が山里の風景に溶け込んでいる

 

 

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