vol.9 「紙を超える紙」を創造する100年企業
阿波製紙 三木 康弘氏 × タナベ経営 若松 孝彦

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2016年7月号

 

新しいものを生み出し続けなければ会社は終わる

 

若松 顧客やマーケットが求める価値を実現しようとする姿勢が、従来の紙の概念を超える技術を生み出しています。いわば「超特殊紙」です。阿波製紙には、未知の分野に挑戦する文化がありますね。

 

三木 創業以来、「新しいものを生み出し続けなければ会社は終わる」という危機感を常に持っています。今ある商品で将来も飯が食えるという保証はありません。それを保証するのは会社ではなく、社員一人一人の活躍だと言っています。

 

若松 祖業である「和紙」だけをそのまま続けていたら、今日の阿波製紙はなかったでしょう。まさに、未知への挑戦が大切ですね。

 

三木 和紙から特殊紙への転換もそうですが、さらにさかのぼると、三木家や発起人に名を連ねた資産家は藍商人でした。藍から和紙への転換が先だったのです。

 

明治時代、徳島の藍染めのシェアは全国ナンバーワンでしたが、海外からインド藍や合成染料が入ってくると一気に衰退しました。こうした経営環境に対応し、危機感を持って製紙事業に参入して市場を切り開いていった。こうした歴史を見ても、1つの事業がずっと続くことはありません。衰退する前に次の事業をつくっていかないと会社は終わりを迎えます。

 

若松 拙著『100年経営』(ダイヤモンド社)では、「100年続く会社とは変化を経営する会社」と提言しています。阿波製紙も事業転換がうまい。染料から始まり、和紙になり特殊紙に変わり、さらに研究開発を進めて自動車や水処理などへドメイン(事業領域)を広げています。会社全体が危機感を持つと、マーケットの捉え方が変わるのです。

 

三木 100年という節目を迎え、あらためて何が大切かを考えると、やはり人材育成にたどり着きます。チャレンジ精神を養うためにも、「創業の精神」を伝承していきます。100年続いても、社員が社風や歴史を知らないようでは価値はないからです。

 

近年、当社の歴史や技術、製品をまとめたテキストを社内プロジェクトで作成しました。膨大な内容ですから、ここから抜粋して人材育成に活用していこうと取り組んでいます。

 

若松 創業の精神やその歴史を共有することで未来へのチャレンジ精神を育み、次の100年に向けて紙の可能性を広げていかれていることに大変共感しました。持続的成長による200年経営の実現を祈念いたします。本日はありがとうございました。

 

PROFILE

  • 阿波製紙㈱
  • 所在地:〒770-0005 徳島市南矢三町3-10-18 TEL:088-631-8100(代)
  • 設立:1916 年
  • 資本金:13 億8513 万円
  • 売上高:169 億8100 万円(連結、2016 年3 月期)
  • 従業員数:655 名(連結、2016 年3 月末現在)
  • 東証2 部上場
  • URL:http://www.awapaper.co.jp/

 

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