vol.13 イノベーションとコスト・リダクションで継続的成長と高収益体質を実現
カルビー 伊藤 秀二氏 × タナベ経営 若松 孝彦

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2016年12月号

 

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カルビー本社にて
(左)カルビー 代表取締役社長兼COO 伊藤 秀二 氏
(右)タナベ経営 代表取締役社長 若松 孝彦

 

『かっぱえびせん』『ポテトチップス』『じゃがりこ』など、数多くのロングセラー商品を生み出したカルビー。売上高は約2461億円(連結、2016年3月期)、国内スナック菓子市場でシェア5割以上を占めるトップ企業だ。発売から長い年月を経てもなお、商品が新鮮さを失わない秘訣(ひけつ)はどこにあるのか。代表取締役社長兼COOの伊藤秀二氏にブランディングの要諦を伺った。

 

商品にライフサイクルはない革新が成長を生み出す

 

若松 カルビーグループの2015年度(連結、2016年3月期)の売上高は2461億2900万円(前期比10.8%増)。国内スナック菓子市場でシェア53.2%(※)を占めるトップ企業です。ロングセラー商品も数多くありますが、中でも『かっぱえびせん』は発明に近い商品ですね。
※ カルビーグループ決算説明会(2015年4月1日~2016年3月31日)資料より。カルビーとジャパンフリトレーの合計(2016年3月期実績。出所:㈱インテージSRI調べ、全国全業態、金額ベース、2015年4月~2016年3月)

 

伊藤 発売は1964年にさかのぼります。創業者・松尾孝は、コメの高騰が続く中、米国から大量に入ってきた小麦からあられを作るアイデアを思い付き、試行錯誤の末に『かっぱあられ』を開発。その後、創業の地である広島近郊で取れる小エビを丸ごとつぶして混ぜ込んだ『かっぱえびせん』が誕生しました。「あられはコメから作るもの」という常識を覆す商品であり、その意味では発明に近いといえます。

 

若松 そのお話を聞くと、カルビーという社名が「カルシウム」と「ビタミンB1」を組み合わせた造語であることもうなずけます。ここ数年は『じゃがりこ』の再ブレークや、『フルグラ』が発売から20年以上たった2013年度にシリアル市場で3割以上のシェアを獲得するなど、発売からの期間が長い商品が活性化していますね。

 

伊藤 1991年に発売したフルグラの売上高は、2010年度まで年間30億円程度と、ブレークし切れない状況が続いていました。それが2013年度は、ほぼ100億円に達する爆発的なヒットを記録。要因はいくつかありますが、消費者の生活スタイルの変化が大きいと思います。朝食を1人で簡単に済ませる人が増えたことで、手軽に食べられるフルグラが再評価されました。

 

若松 時代のニーズや顧客価値にフォーカスした需要を掘り起こせば、既存商品も成長する余地は十分にあるわけですね。

 

伊藤 メーカー側は常に市場開拓に取り組んでいますが、実はお客さまも新たな市場を創っている。この2つが重なって爆発的なヒットが生まれるのが最近の特徴ですね。時間はかかりますが、顧客にとっての価値がどこにあるかを探して、丁寧に顧客価値と商品をつなげることが肝要です。

 

若松 「顧客価値との一体化」ですね。マーケティングの常識では、商品は導入期、成長期、成熟期、衰退期というライフサイクルをたどるとされますが、カルビーは良い意味でこの常識から外れています。商品のライフサイクルをどう捉えていらっしゃいますか。

 

伊藤 私は、「商品にライフサイクルはない」と考えています。成長期から成熟期に至った商品はそのまま維持できる、あるいは成熟期の中でも成長できると。

 

ただし、それには新しい挑戦が必要です。例えば、かっぱえびせんに「山わさび味」といった変わり種を投入するなど、消費者を飽きさせない挑戦です。変化を嫌って守りに入ると販売数は下がるもの。現状を1%でも超えようとする努力が、商品ブランドの成長につながります。

 

若松 非常に共感します。多くの企業のコンサルティングを手掛けてきた経験から、100年企業の共通点は「理念(クレド)」を基軸に「変化を経営する会社」であると私は定義しています。カルビーも顧客価値の変化に合わせてブランド価値を磨き続け、トップシェアを獲得されたのですね。

 

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『フルグラ』は食物繊維がたっぷり入ったシリアル(穀物加工品)。ヨーグルトとの相性も抜群

 

 

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