vol.14 センシング技術のファーストコールカンパニー
– 開発力とセグメント力で未見のニッチ市場を開拓 –
オプテックスグループ 小林 徹氏 × タナベ経営 若松 孝彦

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2017年2月号

 

滋賀県大津市にあるオプテックスグループ本社のエントランス前にて。
タナベ経営 代表取締役社長 若松 孝彦(左)と、オプテックスグループ 代表取締役会長兼CEO 小林 徹氏(右)

 

卓越したセンシング技術(必要なものだけを検知する技術)をコアコンピタンスとするオプテックスグループは、防犯・自動ドアセンサーで世界をリードする開発型企業だ。同社は世界15カ国に拠点を構え、グループ会社29社を展開。約80カ国に製品・サービスを供給している。ROE(自己資本当期純利益率)8.7%、自己資本比率78%(いずれも2015年12月期連結決算)という健全経営を実現する同社の経営方針について、代表取締役会長兼CEOの小林徹氏に伺った。

 

世界初・遠赤外線による自動ドアセンサーを開発

 

若松 オプテックスグループは屋外用防犯センサーで世界シェア40%、自動ドアセンサーでは30%(国内シェア60%)を誇るファーストコールカンパニーです。1979年に創業され、その翌年に世界初となる遠赤外線を利用した自動ドアセンサーの開発に成功。わずか3年でトップシェアを獲得されました。世界初の発明はどのように生まれたのですか。

 

小林 私は前職で(波長が短い)近赤外線に関するモノづくりに携わっており、赤外線技術研究会(現・一般社団法人日本赤外線学会)に所属していました。日本各地の大学の先生や大企業の研究者と交流する中で、主に軍事用として使われていた遠赤外線を知り、「民生品に活用できないか」と興味を持ちました。その後、展示会でわれわれのセンサーを見た人から「自動ドアに応用できないか」と打診されたのが開発のきっかけになりました。

 

若松 当時の自動ドアは、ゴムマットを踏むことによって開閉する足踏み式が主流でした。遠赤外線を利用することによる競争力は、どこにあったのですか。

 

小林 足踏み式は重さによってドアが開閉するため、比較的軽い子どもや女性は検知されにくいというデメリットがありました。また、ハイヒールの刺激や雨などによる浸水によって壊れやすく、埋め込み式のためメンテナンスや交換が大変だという課題もありました。非接触の遠赤外線センサーにすることで、人を検知する精度が上がり、故障も減って、メンテナンスが簡単になったと大変好評でした。

 

若松 新しい技術で、既存製品の不満、不便、不快を解決したわけですね。まさに技術によるソリューションであり、オプテックスグループのビジネスモデルの原点となるアプローチです。

 

小林 ただ、遠赤外線には温度や湿度の変化で誤作動が起こりやすいデメリットがありました。高温多湿の日本の夏に使用できる遠赤外線センサーの開発は難しいチャレンジであり、開発に成功した後も改良を続けました。売り上げは1年目が700万円でしたから、当然赤字。改良を続けながら販路を広げて2年目は1億8000万円、満足できるレベルの商品ができた3年目には5億円まで拡大しました。珍しい要素技術への着目と、自動ドアに加えて遠赤外線をセキュリティーと組み合わせ、防犯用センサーのマーケットを開拓した点が早期に黒字化できたポイントです。

 

若松 ソリューション技術を駆使して、マーケットのないところにマーケットを創造した。独創性とベンチャースピリットですね。そして、掛け合わせ、組み合わせの技術で立ち上がりが早かった点も非常に大切です。

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