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100年先も一番に
選ばれる会社へ、「決断」を。
【対談】

100年経営対談

注目企業のトップや有識者と、タナベコンサルティンググループの社長・若松孝彦が「100年経営」をテーマに対談。未来へ向けた企業の在るべき姿を描きます。
対談2017.04.27

地域密着の“グローカルモデル戦略”で沖縄の流通ビジネスを牽引:リウボウホールディングス 糸数 剛一氏 × タナベ経営 若松 孝彦

ハイブリッドなチーム力で組織を変革

 

松 革新的な百貨店づくりを推し進めるための組織はどのような状況ですか。

 

糸数 組織の変革に着手したところです。何十年も百貨店に勤めてきたベテラン社員は、「そんなに変えては百貨店ではなくなってしまう」と躊躇していたと思います。そこで既存の業務を3年かけて転換する手法を取りました。業務を「磨く仕事」と「変える仕事」に分け、ベテラン社員には「磨く仕事」をお願いし、若手、中堅社員には「変える仕事」をお願いしました。

 

ただ、私はリウボウグループ全体をマネジメントしなくてはならないため、百貨店業務だけに専念することはできません。組織変革のスピードアップを図るために、多様な経歴を持った中堅社員の中途採用を始めました。沖縄在住にこだわらず、米国で暮らす人とも雇用契約を結んでいます。今後は雇用形態を「ミッションを掲げて達成できれば、他に仕事をしても構わない」という方向にしたいと考えています。

 

若松 チームの作り方も雇用スタイルも従来とは違う体制にして、戦略変化のスピードを上げる。まさにハイブリッドな組織ですね。
また、会社のグローバル化とは必ずしも海外への進出や出店だけではなく、国内、組織内にグローバルな要素を取り込むことでもあります。観光が活況な沖縄だからこそできる戦略です。その意味でリウボウグループは、グローバルとローカルをうまく融合させた「グローカルモデル戦略」を取っていると言えますね。
最後にリウボウグループの今後のビジョンをお聞かせください。

 

糸数 既存のビジネスに縛られず、柔軟な発想、多様な能力や考え方を持った社員がぶつかり合いながらも、「働いていて楽しい」という気分で専門性を深め、発揮できる環境を醸成したいと思います。その中で、従来の物販からの脱却を引率するような人材やチームに育ってもらいたいですね。結果、沖縄をもっともっと元気にしたいと考えています。

 

若松 流通ビジネスは「人」で経営している代表的なビジネスですから、人材の採用、育成、活躍戦略が基本戦略です。リウボウグループのさらなる発展を祈念いたします。本日はありがとうございました。

 

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リウボウホールディングス 代表取締役会長 糸数 剛一(いとかず・ごういち)氏(右)
1959年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、沖縄銀行、自身での起業を経て1988年に沖縄ファミリーマート入社。1998年に取締役営業部長などを歴任する中、さまざまなヒット企画を放ち同社を県内シェアナンバーワンに導く。2007年から2009年にかけてファミリーマートに出向し、同社米国法人の社長兼CEOに就任。2010年に沖縄へ戻り沖縄ファミリーマートの代表取締役社長に就任。2013年にリウボウホールディングスの代表取締役社長、2016年から会長を務める。

 

タナベ経営 代表取締役社長 若松 孝彦(わかまつ・たかひこ)(左)
タナベ経営のトップとしてその使命を追求しながら、経営コンサルタントとして指導してきた会社は、業種を問わず上場企業から中小企業まで約1000 社に及ぶ。独自の経営理論で全国のファーストコールカンパニーはもちろん金融機関からも多くの支持を得ている。関西学院大学大学院 (経営学修士)修了。1989 年タナベ経営入社、2009 年より専務取締役コンサルティング統轄本部長、副社長を経て現職。『100 年経営』『戦略をつくる力』『甦る経営』(共にダイヤモンド社)ほか著書多数。

 

PROFILE

  • 株式会社 リウボウホールディングス
  • 所在地 : 〒900-8503 沖縄県那覇市久茂地1-1-1
  • TEL : 098-867-1171(デパートリウボウ)
  • 設立 : 1990年
  • 資本金 : 34億5000万円
  • 従業員数 : 約1000名(2017年3月現在)
  • 事業内容 :  百貨店・スーパーマーケット・コンビニエンスストアの運営、不動産賃貸業、一般旅行業、化粧品卸売、総菜商品の企画・開発・販売など

http://ryubo.jp/

 

 

 

 

 

 

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