vol.17 地域密着の“グローカルモデル戦略”で
沖縄の流通ビジネスを牽引
– 常識にとらわれない発想で新たな価値を創る –
リウボウホールディングス 糸数 剛一氏 × タナベ経営 若松 孝彦

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2017年5月号

 

ウチナームンを育てながら、本土のモノや世界のモノとチャンプルーにする。それが沖縄の強みです。

 

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最高に幸せを感じられる百貨店づくりに挑む

 

若松 那覇市の一等地に立つ沖縄唯一の百貨店リウボウも、店内を拝見するとだいぶ様変わりしました。

 

糸数 今まで県内になかった新しいテナントの誘致に力を入れています。沖縄に拠点を持つと多大な物流費がかかりますが、沖縄経済の好調さと今後の伸びしろを話し、実際に市場を視察してもらうと進出を決定してくれるケースが増えました。沖縄への情報発信源は東京なので、沖縄の人が欲するのは、東京の商品。それがリウボウで買えるようになったので「東京に行くことが少なくなった」という声をよく聞きます。

これはゴールではなく、激しい戦いの前の「ステップ1」のようなものです。今後は大型の商業施設が次々にオープンし、顧客の争奪戦は激化の一途をたどります。それを勝ち抜くためには、百貨店業態はコンビニ以上の独自性が必要になります。着目すべきは、年間六百数十万人に達する日本人観光客の多くがリウボウに来店しないこと。彼らは伊勢丹や高島屋、大丸など何でもそろう大型百貨店を知っているから、沖縄の百貨店には興味がないわけです。売り場自体はこれ以上広げられないので、規模の勝負はできませんから、沖縄に行ったら必ず寄りたくなるような「リウボウにしか置いていなくて、国内からの観光客がすごく気に入る商品」をそろえたいと考えています。沖縄産の商品に限る必要は全くありません。2018年、2019年を中心に大改装を行い、それに伴うテナントの入れ替えでどれだけの独自性が出せるかが、ポイントの1つです。

さらに、顧客が百貨店に求めるのは「癒されるような居心地のよさ」と「わくわく感」に満ちた、幸せを感じられる雰囲気です。東京ディズニーランドもユニバーサル・スタジオ・ジャパンも同様の雰囲気を醸し出すことで、売上高の半分を占めるほどの物販と飲食の収入へつなげています。このような魅力的な空間づくりの提案をさまざまな業界の企業に呼び掛けており、優れたアイデアはリウボウが投資して実現させる計画です。

 

若松 業態という言葉は後付けの言葉であり、「何をどのような場で提供するか」ということに小売業の使命があります。旧態依然とした観のある百貨店業界も、果敢にチャレンジしなければならない節目に来ています。リウボウも速やかに次のステージに進まねばならない。着目すべきは、「モノ余りのコト不足」の現代は、コトを充足させることがモノの売り上げにつながるということです。

 

糸数 沖縄の強みは“チャンプルー”(ごちゃ混ぜ)。ウチナームン(沖縄のモノ)を育てながら、本土のモノや世界のモノと一緒にしてごちゃ混ぜにするのが沖縄流ともいえます。したたかに世界中を駆け巡り、素晴らしいものを仕入れてくる。東京にもないユニークなものはWeb 上で紹介して、「沖縄に来たらリウボウに必ず寄る」というムーブメントを作る。そのような方向に持っていきたいと思います。

 

 

 

 

 

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