vol.19 日本発のハンバーガー、世界へ挑む
「らしさ」をつなぐブランドコミュニケーション
モスフードサービス 櫻田 厚氏 × タナベ経営 若松 孝彦

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2017年7月号

 

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顧客を幸せにするのが目的

売り上げはその後についてくる

 

若松 私はよく「創業は新築、承継はリフォーム」と言います。後継者は、創業者とは違う技術で新たな事業のデザインに挑戦しなければなりません。どのようなポリシーや経営スタイルで、経営を進めてこられたのでしょうか。

 

櫻田 創業者は、自分1人のリーダーシップでステークホルダーを牽引するタイプでした。しかし、私は能力もキャラクターも年齢も創業者とは異なります。そう考えた時、みんなの知恵を集めたチーム力で物事を進化させた方が良いと気付きました。それなら自分でもできるのではないかと。

 

若松 組織経営ですね。どのように組織経営へ転換されたのでしょうか。

 

櫻田 株主総会の変革が挙げられます。私は株主総会の議長を18回務めましたが、5回目ごろから会場を見渡せる余裕が出てきました。株主の表情を見ていると、質問や要望、意見を述べたがっているように感じました。そこで「もっとコミュニケーションを取った方がいい」と考え、6回目からは株主からの質問を、私がそれぞれの役員に割り振って答えさせ、最後に必ず私からも考え方を伝えるようにしました。すると、株主と役員との掛け合いが温かいムードを醸し出しました。当社の株主は店のお客さまであるケースも多いので、7回目以降は「株主総会は大事なコミュニケーションの場」と捉え、血の通ったコミュニケーションの発展に努めました。その結果、株主の数は3万人ほどの規模になっています。

 

若松 B to C ビジネスで株主と顧客が重なると、株主総会は顧客が経営に参画する場になりますね。「モスの企業カルチャーを応援したい」と言ってもらえるようなブランド構築にもつながります。櫻田会長ご自身は、モスバーガーの強みは、どのようなところにあるとお考えなのでしょうか。

 

櫻田 現在、モスグループで働く約2万6000名(パート含む)の皆が、「善意」という言葉を大好きであるということです。「人間社会の中で善意あふれるモスバーガーでありたい」と願い、「正直」や「真心」、「一生懸命」であったり「ひたむき」、「親切」といった善意を形成するファクターが共通語になり、会議や懇親会や飲み会などで飛び交います。それによって「お客さまを幸せにしたい、仲間を大事にしたいという思いを、店舗を媒体にして実現させる。その結果、売り上げが上がる」という流れができています。

 

若松 まさに「モスらしさ」であり、ブランドですね。思いや意志が形になって店舗、人材、サービス、商品に表現されることは、とても大切です。この「モスらしさ」は、商品のおいしさや店舗オペレーションにも、ブランドコミュニケーションとして色濃く表現されているように感じます。

 

櫻田 商品については、モスバーガー、テリヤキバーガー、テリヤキチキンバーガーという長年にわたる人気商品を有していること。これは創業者の遺産です。それらを大切にしながら「新商品」を提案しています。商品戦略としては、作り置きをせずに注文をいただいてから調理する「アフターオーダーシステム」や、だしや発酵などを取り入れた「日本の食文化を表現」すること、バランスよい食事で健康維持を目指す「医食同源」という考え方を大切にしています。

 

 

 

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