vol.20 年輪経営でじっくり育む「いい会社」
みんなが幸せになるために会社は存在する
伊那食品工業 塚越 寛氏 × タナベ経営 若松 孝彦

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2017年8月号

 

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人生は一度きり。 経営者が1人でも幸せになる人を増やそうという気持ちでいることが大事です。そうすると日本は本当に良い国になる。

 

「価格競争をしない」という戦略を選択する

 

若松 1980年に発売した消費者向けの「かんてんぱぱ」シリーズは、この10箇条を実践されて多くの支持を獲得し、ブランド化されています。

 

塚越 年輪経営を実践する上でブランド化は非常に良い方法です。ブランドが確立していると安売りしなくてよくなる。昨今は安いことが庶民の味方だと思われていますが、経済はそんなに単純なものではありません。価格を下げるために仕入れを値切れば仕入れ先の社員の給料が安くなり、貧しい人が増えてしまう。それでは幸せな人は増えません。

 

若松 価格には理由があります。安さの背景にも目を向けることが大事ですね。消費者向けの販売においてはオンラインショップを活用されていますが、直接販売は消費者との接点になるほか、適正価格を維持できるという利点もあります。

 

塚越 もともと県内に限って販売しており、県外では販売していませんでした。そこに、たまたま商品を購入した県外のお客さまから、「どこに行っても商品が置いていない」と手紙をいただくようになりました。初めは1日2、3通でしたから、商品を箱詰めしてお送りしていたのですが、その数は増え続け、気が付けば控えた名前が3万5000人に到達していました。せっかくなので試しに手紙を出してみたところ、リピート率が非常に高い。だったらネット販売しようとスタートしたわけです。

 

若松 普通なら大手スーパーへ販路を広げようとすることが多いですが、それをしなかったのはなぜでしょう。

 

塚越 販売量は増えるでしょうが、競争が激しく価格の低下などを招くと考えたからです。

 

若松 先見の明ですね。適正利益を確保する上で、価格決定権を持つことは非常に重要です。売れるからといってつくり過ぎない、売り過ぎない姿勢を貫かれた。なかなかできる決断ではありません。100年、200年と続いている老舗企業ほど、こうした経営スタイルを貫かれる企業が多いようです。

 

 

 

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