Vol.1  敷島住宅株式会社

1 / 1ページ

1_miraibanner

 

商品や価格は真似されても、人材は他社に真似できない

 


2015年10月号

会社の未来をつくるのは「人材」である。
タナベ経営は、人づくりこそ100 年経営の絶対条件だ、と提言している。
人材へ投資し、育てる人は「会社の未来をつくる人たち」なのだ。
本シリーズでは、各社の「未来創造人」に人材育成方針を伺い、その取り組みを紹介していく。

 

 

mirai_okutani

敷島住宅 取締役・総務部長 奥谷 又雄 ⽒

 

 

心のベクトルをそろえる

 

住宅1戸を建てるには、約3000 社・計6 万点の部品が関与するといわれる。それらを組み合わせ、価値を生み出すのは人材だ。ホームビルダーは施主に満足してもらえる家を建て、さらに未来の会社も建てる人材を、いかに数多く育て上げるかが重要となる。

 

だが一般的に、ホームビルダーの離職率は他業界に比べて高い。新卒社員(営業職)の入社後3年以内の離職率は90%に達するといわれる。入社しても定着しないため、人材育成より「人材獲得」に注力する企業も少なくない。

 

そんな中にあって、経営理念と人生哲学を軸とした人材育成に注力し、成長を遂げているホームビルダーがある。創業55 年、大阪北部を地盤に新築戸建て住宅やリフォーム事業を展開する敷島住宅だ。

 

同社は2004 年に就任した川島永好社長のもと、経営革新に向けた取り組みを強化した。

 

その中で重点課題に定められたのが人材育成だったという。同社は従来より人材育成に取り組んでいたが、OJT が中心で必ずしも一貫性があったわけではなかった。

 

「まず取り組んだのは、経営理念をもとに管理職の思考のベクトルをそろえること。『敷島経営塾』を立ち上げ、数回にわたって講習を行いました」と、取締役・総務部長の奥谷又雄氏は語る。

 

「敷島フィロソフィ」

 

その後、タナベ経営の「戦略リーダースクール」などを活用し、管理職に企業戦略の構築と実践に関するスキルを提供した。経営視点で考え、行動できる人材の育成を目指したのだ。

 

一方、社内に「統括戦略室」を設置。新商品開発やCS などさまざまなテーマのプロジェクトを立ち上げ、経営課題の解決に取り組んだ。

 

当初、現場の従業員は戸惑うことも少なくなかったという。

 

だが、経営陣の熱い思いに応える形で意識改革に真剣に取り組むようになった。その1人、京都支店長の岡田哲朗氏はこう振り返る。「以前は中途採用者が多く、仕事に対する意識がバラバラで、顧客のクレームに十分に応えられませんでした」敷島住宅の人材育成で効果を挙げているのが、「敷島フィロソフィ」の制定と運用だ。これは「動機善なりや、私心なかりしか」(心のフィロソフィ)、「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」(経営のフィロソフィ)など計62 項目で構成した人生哲学、経営哲学である。

 

「朝礼時にフィロソフィをもとに話をし、考え方の浸透を図りました。そこからクレームと真摯 に向き合うことの大切さを、全員で共有することができました」と岡田氏は言う。

 

敷島住宅 京都支店長 岡田 哲朗 ⽒

敷島住宅 京都支店長 岡田 哲朗 ⽒

 

最大の競争優位は人材

 

両氏は「タナベ経営のオープンセミナーが人材育成に役立った」と話す。「目標達成に向け課題をどう解決するか、従業員一人一人が自発的に考えるようになった」(奥谷氏)、「目先のことだけでなく、経営者視点で先を見据えて物事を考えるようになった」(岡田氏)。

 

人材育成を充実させる中で、新卒採用も強化している。「商品や価格は他社が真似をしても、人材だけは真似ができない。

 

ここに競争優位を築く一番のポイントがあります」と奥谷氏。

 

面接では成績や経歴より、どんな考え方を持った人物かを重視するという。「当社の理念を理解し、同じベクトルで考えて行動できるかが最も重要です」人材育成を起点に経営革新を図る敷島住宅。奥谷氏はこう断言する。「市場縮小時代にあって、古いやり方に固執してはダメ。常に挑戦する組織風土を構築しなければ。ここに新たな事業機会が生まれると確信しています」。同社が目指すのは「常に挑戦し続ける組織」だ。

 

PROFILE

  • 所在地: 〒570-0027 大阪府守口市桜町4-17 TEL: 06-6992-6733(代)
  • 資本金: 3000 万円 創業: 1962 年 売上高: 97 億5600 万円 従業員数: 93名
    http://shikishima-j.co.jp/

 

タナベ コンサルタントEYE
次世代幹部や戦略リーダーは自然に生まれるものではなく、「生み出すもの」。お話を伺った敷島住宅では、川島社長の就任後10 年以上、人材育成に力を入れてきた。戸惑う社員が多い中、研修や朝礼で徐々に意識改革を図ったことは特筆に値する。執念で培った土壌から、優れた次世代幹部、戦略リーダーが生み出されていくだろう。

 

mirai_tanabe

(左)タナベ経営 コンサルティング戦略本部 本部長代理 戦略コンサルタント 福元 章士
(中央)タナベ経営 コンサルティング戦略本部 人材開発部 アソシエイト 清水 駿
(右)タナベ経営 コンサルティング戦略本部 人材開発部 アソシエイト 岩﨑 直人