vol.14 ステッドラー日本 × タナベ経営SPコンサルティング本部

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2016年11月号

 

真の顧客の声を聞き
未来顧客創造の可能性を広げる

 

「私たちは、本当の顧客の声に耳を傾けてきただろうか」

 

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1. 折れにくく、指先にフィットする『トリプラスクレヨン』
2. 色鉛筆に適した角度に削れる、便利なふた付きシャープナー
3. マーカーのキャップは万が一の誤飲に備え、気道を確保できるベンチレーション(通気)を設けるなどの工夫がされている
4. 万が一なめても安全な原料を用いた色鉛筆。強い筆圧をかけても折れにくいよう、芯には特殊なコーティングが施されている

 

新たな市場に参入した高級文具メーカーが、これまで耳にしていた“顧客の声”は、「本当の声」ではなかったことに気が付いた。販売店が売りやすいものや、自分たちの常識の範囲内で商品を提供するのではなく、本当のユーザー=子どもたちの姿に注目することで、未来にわたって長く愛される商品づくりを目指す。

 

 

老舗高級文具メーカーの意外な悩み

 

「ステッドラー」といえば、プロ志向のユーザーに選ばれる高級文具メーカーとして知られる。特に、デザインや製図に携わるプロフェッショナルから寄せられる信頼は大きく、同じペンを何十年と使い続けるファンも少なくない。

 

その歴史は、創始者のフリードリッヒ・ステッドラーが独ニュルンベルク市役所に鉛筆職人として届け出た17世紀(1662年)にまでさかのぼる。19世紀には法人化とともに近代的な工場を建設し、硬度が異なる12種の鉛筆、世界初となる色鉛筆の量産にも乗り出した。日本に支社を設けたのは1926年。英国ロンドンに次ぐ2番目の海外支店だったという。

 

製図デザイン用品市場に参入したのは意外にも最近で、1955年にプラスチック軸のシャープペンシルを発売したのが始まりだ。日本では「ドイツ製の製図用品」「精巧で頑丈」とのイメージが浸透し、同分野でトップクラスのシェアを占めるに至っている。

 

「“製図用品のステッドラー”として認知されているのは、日本と米国ぐらい。それ以外の世界のほとんどの国では、『鉛筆のメーカー』と認識されています。本社工場で生産する製品も半分以上が鉛筆。日本は製図デザイン用品に注力し過ぎたところがありました」と、ステッドラー日本の代表取締役・遠井孝夫氏は語る。

 

ステッドラー日本 代表取締役 遠井 孝夫氏

ステッドラー日本
代表取締役 遠井 孝夫氏

 

 

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