vol.18 ベネッセコーポレーション × タナベ経営 SPコンサルティング本部

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2017年3月号

個人同士がつながる時代母親の価値観も大きく変化

 

20年以上にわたり子育て中の母親と接点を持ち続け、読者参加型の雑誌作りをしてきたベネッセコーポレーションのKids&Family本部は、各時代の母親のニーズと意識動向をつぶさに見てきた。そんな知見が集積された同社では、最近の子育て中の母親の変化をどう見ているのだろうか?

 

「一言でいえば『個』が強い時代になったといえるでしょう。これまでのママは子育てを1人で背負いながら、言葉は悪いですが自分を犠牲にしてきた感があります。一方、今のママたちは、1人の女性として生活を楽しみたいと考えており、この傾向は今後も続くでしょう。当社のアンケートでは、半数近くのママが『子どもや夫よりも自分のことを優先するときがある』と回答した、という結果も出ているぐらいですから」(西村氏)

 

そうした母親たちの意識変化には、インターネットやSNSの影響があると西村氏は指摘する。つまり、個人が情報を発信し、情報交換ができる時代になり、マスメディアに影響されることなく個人同士がつながった。いわゆる上から目線の情報ではなく、ヨコからの情報に感化される傾向が強まっているということだ。この傾向について、西村氏は「個人主導でムーブメントが起こる時代に突入している」と表現する。

 

読者と協力しながら企業タイアップを展開

 

そんな時代において、Kids&Family本部が実践するマーケティングや編集方針も変化してきている。例えばサンキュ!では時間と費用を惜しまず、徹底的にリアルな取材を行う。収納術をテーマにした場合、読者やブロガーへのアンケートからニーズを収集し、独自の収納術を実践する読者に電話で取材。その後に取材対象者を絞り込み、訪問して徹底取材する。こうしたデータとリアルを融合させた地道な活動で、付加価値の高い誌面作りを行っているのだ。

 

企業とのタイアップにも積極的だ。例えば、企業の商品を読者に使ってもらって意見を聞き出し、商品開発や改善をしていくもので、代表例にハウス食品の『カレー鍋つゆ』がある。味やパッケージなどを吟味してもらい、読者である母親たちの意見をもとに開発した結果、同商品は主婦層からの支持を得て大ヒットした。

 

その他にも、ある下着メーカーとのタイアップでは、プロのモデルではなく読者モデルを採用するという大胆な誌面作りに挑戦。読者にとってより身近なモデルを起用することで、「自分たちでも身に着けられる」というリアル感を打ち出したのだ。

 

「インターネットの情報が無料の時代において、雑誌が単なる情報提供をしていては勝ち目がありません。ポイントは情報の提供ではなく、ソリューションを提供していくことです。つまり、個人に寄り添いながら、したいことやなりたい自分を『実現』する支援をしていく。より部屋を効率的に使いたい、おいしい料理を作りたい、スタイルを保ちたいといったママさんの自己実現をいかに支援していくか。そうしたソリューション型の情報提供に変化してきており、だからこそ支持をいただけているのだと思います」(西村氏)

 

特に同社は、たまひよ、サンキュ!という媒体によって、読者との距離が近い顧客基盤の強い会社。その強みを最大限に生かし、読者と一緒になって企業タイアップを展開しているのだ。

 

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影響力のある主婦モデルを起用し、企業とのタイアップを展開。 商品開発やPRに生かされる

 

 

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