vol.25 日本石材センター × タナベ経営 SPコンサルティング本部

2 / 3ページ

2017年10月号

 

高級国産墓石材に特化したショールーム開設

 

近年、墓石業界を取り巻く現状は厳しさを増している。特に墓じまいや墓離れが叫ばれ、供養に対する考え方が変わった影響は大きい。他にも少子高齢化や人口減少、異業種の新規参入、墓石のインターネット販売をはじめとする流通チャネルの多様化に伴う石材店離れなど、現状に甘んじていれば、市場は縮小するばかりである。

 

また、1990年代後半からは安価な中国製の墓石が急速に普及し、今では墓石市場の9割を中国製が占める。しかし、中国で採掘や工場操業の規制が厳格化する中、盤石な生産拠点を確保する観点でも“脱中国”が必要になる。

 

こうした背景に加え、「価格ではなく、品質で勝負したい」という思いから、藤井氏はもともと同社の得意分野であった「付加価値の高い国産墓石の強化」を決意。ビジョンをどのように具体化すべきかを模索していた2016年、参加した経営戦略セミナーを通じてタナベ経営と出会い、そこから「ショールームを起点にしたブランディング」へと話が進んだ。

 

高付加価値の国産品アピールに向け、2017年6月、香川県高松市に会員制シェアショールームを開設した。運営は、同社が立ち上げた株式会社願が行う。「高級な国産材の良さを広く伝えるためには、実際に目で見て、手で触れられる見本品(現物)の展示が必要」(藤井氏)との考えから、750㎡の広大な屋内スペースに国産の高級墓石を展示。高級国産墓石に特化した展示場は日本でも他にはない。

 

高松市は、“墓石の中のベンツ”ともいわれる世界最高峰の高級石材、庵治石の産地である。ショールームには庵治石のほか、大島石(愛媛県産)、天山石(佐賀県産)、万成石(岡山県産)、伊達冠石(宮城県産)など、常時10種類以上の石種を展示している。

 

 

製造工程を見える化し、国産墓石材のこだわりを伝える

 

ショールームで最も特徴的なのは、墓石の製造工程を“見える化”しているところだ。霊峰・五剣山(高松市)の巨大パネル展示、採掘から加工までの製造工程の映像上映、さらには採掘者や加工メーカー担当者の顔写真など、製造工程や生産者を前面に打ち出している。


製造工程を見せる背景には、一般の消費者にも多く来場してもらい、そのこだわりや付加価値を知ってもらいたいという強い思いがある。そのため「業者の目線ではなく、一般の人が見てどう感じるかが重要。ショールームで製造工程を知り、身近に感じてもらい、庵治石をはじめとする国産墓石の良さやこだわりを知ってもらいたい」と藤井氏。さらに「厳しい市況が続けば続くほど、個々のお店で最高級品や高級国産材の展示を充実させることは難しくなってくる。そういったユーザーに少ない負担で自社展示場のように使っていただきたい。そして、人を集めることにより産地や市場を盛り上げていきたい」と語る。

 

正式オープンを控える中、2017年6月に内覧会を開催。京阪神や岡山など関西をはじめ、全国から多くの石材店関係者が来場した。

 

「石材店にもここまで国産材、高級品をそろえた展示場はない」「他にはない高級感があり、参考にしたい」「ショールームを使わせてほしい」と評価は上々。当初の狙い通り、石材店の経営者が個人のお客さまを連れてくるケースも増えている。今回の手応え次第で、将来的には東日本にも同様のショールーム開設を検討する予定だ。

 

日本石材センター 代表取締役社長 藤井 雅文氏

日本石材センター 代表取締役社長
藤井 雅文氏

 

1 2 3