Vol.4 住まいと暮らし・建設ソリューション編
JM (Japan Management) × タナベ経営

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保守・メンテナンスからIT分野へ展開

 

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JM 代表取締役社長 大竹 弘孝 氏
1980年、前田建設工業入社。ダム建設の施工管理に従事後、総合企画部へ。2000年、新しいビジネスモデルで社内ベンチャーを立ち上げ、2007年JMを設立して現在に至る。親会社への営業依存度は0%。管理施設は7万件、契約件数は年間18万件。各企業と提携し、常に変化を読み、それに対応するビジネスを展開している。

 

中村 タナベ経営が主催する「住まいと暮らし研究会」「建設ソリューション研究会」にご協力いただきありがとうございます。JMの概要や沿革についてお聞かせください。

 

大竹 当社の前身となるのは、ゼネコンの前田建設工業が設立したリテール事業部です。セブン-イレブン・ジャパンと提携してセブン-イレブンの全国店舗約9000店の建物診断サービスをスタートするなど、保守・メンテナンス事業を柱に展開してきました。そして、2002年に社内ベンチャーだった「なおしや又兵衛」を法人化し、07年にJM(Japan Management)として前田建設工業から独立しました。

 

2014年度の売上高は236億4000万円で、営業利益は3億7000万円。契約件数は約18万件で、管理施設は7万を超えました。直近の売り上げ構成は、保守・メンテナンス関係が約60%、EV(電気自動車)やソーラー、蓄電池などのエネルギー関連および改装工事などが30%弱、残りの10%はITを使ったマネジメント業務やマネジメント委託業務などです。

 

中村 大型工事ではなく、保守・メンテナンスの事業化をされた。軌道に乗った最初のポイントは、1件の平均単価が十数万円の工事を、ナショナルチェーンから継続的に受注するモデルを確立したことにあると考えます。顧客価値で絞り、顧客を明確にした戦略によるニッチトップモデルの確立です。現在では上流の計画・設計段階へ事業領域を広げています。

 

大竹 「メンテナンスフリーにしたい」という思いを実現するため、商品化を推進するなど川上へ向けて事業を展開しています。今ではメンテナンスデータを生かした計画・設計からメンテナンス、解体まで、ライフサイクルをマネジメントできる構造を確立しました。

 

もう1つのポイントは、全国で7万施設の管理を行っていること。コミュニティーのコスト削減という位置付けで効率的な維持管理を行うなど、地域活性化を支援する新機軸もスタートしました。

 

中村 ご出身であるゼネコンとは全く価値観の異なる事業を展開されています。ミッション経営が背景にあると伺っています。

 

大竹 1990年代のバブル崩壊後に噴出したゼネコンスキャンダルを反面教師にするとともに、日雇い扱いだった職人をメーンプレーヤーにして、社会と真摯(しんし)に向き合うビジネスを考えていくと保守・メンテナンスになった。これが企業の原点です。建設業の魅力が薄れ、職人不足が危惧されたことも大きな要因でした。職人のなり手がないと、やがて国民は困ります。そのため、不安定な日雇いではなく年収制にするなどして、若手が入職しやすくしました。若手が技術を継承し、さらにIT武装をしてお客さまの前で説明業務も果たせるようなクラフトマン(職人)に育っていく―。それが社会貢献につながるのではないかと考えています。

 

齋藤 大竹社長は、特にITに対する優れた先見の明をお持ちですね。

 

大竹 保守・メンテナンス業務に注目すると同時に、「これからはITが台頭してくるな」と読み、この未知の領域を徹底的に研究しました。そして、「労働生産性が最も悪い」と揶揄(やゆ)される建設産業の変革には、IT(ソフト)と職人(リアル)を融合するしかないと結論付けたのです。

 

中村 私は「差別化の時代は終焉(しゅうえん)した。これからは独自化の時代だ」と提唱しています。JMは世の中の流れを取り込んで、独自の価値を事業化しています。大竹社長は、時代を見据えた戦い方をよくご存じで、ビジネスモデルのつくり方が非常に独創的です。

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