Vol.7 食品・フードサービス編
ロマンライフ × タナベ経営

1 / 3ページ

2_teamconsul

2016年4月号

 

「京都クオリティ」を打ち出し全国区のブランドを確立

コンセプトの明確化で競争力高める

 

京都クオリティを追求したラインアップで、絶大な人気を誇る「マールブランシュ」の洋菓子

京都クオリティを追求したラインアップで、絶大な人気を誇る「マールブランシュ」の洋菓子

 

京都の洋菓子市場で圧倒的な人気を誇るマールブランシュ。
『茶の菓』をはじめ、「京都クオリティ」を追求したラインアップでブランド力を高める一方、海外展開を視野に入れた新業態の創出で100年企業を目指している。

 

 

喫茶店から始まり65年2回の戦略転換で拡大

 

1604_team_02
ロマンライフ 代表取締役社長 河内 誠 氏
1958年5月23日生まれ。1982年芦屋大学卒業後、めいらく勤務を経て、同年ロマンライフ入社。マールブランシュ京都北山本店オープンと同時に店長として勤務。1998年4月代表取締役社長に就任。

中村 創業から65年を迎え、京都発の洋菓子店として全国区のブランドを築いていらっしゃいます。まずは歴史についてお聞かせください。

 

河内(誠) 1951年に名誉会長である父・河内誠一が純喫茶ロマンを開店したのが始まりです。その後、ファミリーレストランなどの多店舗展開によって事業は拡大。しかし、1970年代に入ると大手のレストランチェーンの進出によって競争が激化し、10年ほど苦戦が続きました。戦略転換を迫られる中、ふと神戸の高級菓子店の前を通りかかったとき、高級車に乗った富裕層がどんどん買いに来る姿を見ました。マスを対象とするビジネスは淘汰される一方。「これからの中小企業は高級化が必要」と考え、1982年に洋菓子を専門とする「マールブランシュ」を京都・北山にオープンしました。

 

中村 事業のライフサイクルは20年といわれます。事業を見直し、新たな分野へ挑戦されたのですね。

 

河内(誠) 30店舗あった外食店は、京都駅など立地の良い3店舗以外を閉鎖。しばらくはマールブランシュ事業も赤字で業績は下がりました。7年目に百貨店へ初出店して以降、2005年まで百貨店への店舗展開に注力した結果、売り上げが伸びて少しゆとりができました。しかし、利益率は1%程度と低いまま。競合店がひしめく世界ですから、新商品を出すと一時的に売り上げは伸びるもののライバル店もすぐに新商品を投入する繰り返しで、止まらない電車に乗っているような緊張感が常にありました。売り上げ基盤が不安定な状況のまま拡大することへの危機感もあり、抜本的な改革として打ち出した指針が「京都クオリティ」でした。

 

中村 打った手を具体的に教えてください。

 

河内(誠) 商品と店舗の見直しです。厳選素材を使い、特製ホワイトチョコレートをお濃茶ラングドシャに挟んだ『茶の菓』を開発。京都発の洋菓子として支持されました。また、京都エリアに店舗を絞ることで「京都」というブランド・アイデンティティーが明確になりました。こうした戦略が奏功し、店舗数は減ったものの売り上げは伸び、ここ10年は経常利益率が5~7%まで上がっています。

 

中村 創業以来、2回の大きな転換期を乗り越えて今日を迎えられています。京都クオリティを「世の中にある本物を京都のほんまもんにする」固有技術として物語をつくり出したことが、成長と収益を両立させる起点だったのだと思います。

 

河内(誠) マールブランシュ事業のキーワードは「グローカル」。まずは京都のお客さまに支持される会社でありたい。2014年に導入した「ジョイフルバトンカード」(会員カード)や北山本店に開設したコンシェルジュルームはその一環です。

 

タナベ経営 常務取締役 中村 敏之
タナベ経営 常務取締役 中村 敏之
「次代の経営者育成なくして企業なし」をコンサルティングの信条とし、100年発展モデルへチャレンジする企業の戦略パートナー。豊富な現場経験に基づく「ビジョンマネジメント型コンサルティング(VM経営)」は具体的で、クライアント企業から分かりやすいと大きな信頼を得ている。関西学院大学卒。

中村 会員数はどのくらいですか?

 

河内(優) ジョイフルバトンカードは入会時に300円必要ですが、1年半ほどで約5万3000名まで増え、購入履歴などの情報を販売戦略に活用しています。また、コンシェルジュルームはウエディングケーキやバースデーケーキといった注文品のほか、お歳暮やお中元などを承るお得意さま専用の窓口としてご利用いただいています。北山本店の場合、会員比率は20%を超えていますね。

 

中村 グローカルとはグローバルとローカルを組み合わせた造語。まずローカル、すなわち地元ありき。地域の人々に愛されるからこそ、新たな顧客が生まれるのですね。グローバル展開についてはいかがですか?

 

河内(誠) 第一に、インバウンドの取り込みがあります。京都訪問者数の多い東南アジア地域へのPRを始めます。第二に、抹茶を使った新製品を開発し、ニューヨークやパリ、ロンドンなどを中心に販売する予定です。各種イベントに積極的に参加しているほか、香港や台湾などのアジア圏では贈答品需要が伸びているので、今後も注力していきます。国内出店は京都に特化して全国からお客さまに来ていただけるステージに高めていく一方、海外は販売促進を含めた展開を進めているところです。

 

1 2 3