Vol.17 丸千代山岡家 × タナベ経営

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2017年2月号

 

手作りの味を守るために最大限の努力を継続

 

齋藤 2016年に、経営理念を見直されました。

 

山岡 「ラーメンでお客様に喜んでもらう」という内容だったのを、ラーメン以外の幅広い食分野に広げました。というのも、ちょうど全店の売上高合計が100億円を突破したこともあり、もっといろいろなことに挑戦して規模を拡大しようと考えたからです。「企業はできるだけ大きくなって社会への貢献度を高めることが大切」とあらためて思いました。そうすれば雇用が増やせますし、税金もしっかりと払えます。

 

齋藤 飲食業の場合は、地域に貢献して地元住民に愛されることが、末永く事業を継続する秘訣(ひけつ)といえるでしょう。そうした山岡社長のお考えを社内に浸透させるため、新しいツールの活用を始められました。

 

山岡 タナベ経営に製作をお手伝いいただいた、行動規範ハンドブックですね。今日、当社ではパート・アルバイトを含めると約2000名もの従業員が働いていますから、業務のさまざまな場面で迷いが生じた際に、何かよりどころとなるものが必要だと。そこで、このハンドブックを作り、全員に配って当社の事業軸を理解してもらおうと思いました。

 

原 山岡家は「手作りの味」にこだわっている点が一番の特徴であり、ライバルチェーンと差別化できるポイントですから、各店舗でこの価値観を共有することは必須です。

 

山岡 手作りは当社最大の強みである一方、弱みでもあるのです。店ごとに丸3日間をかけてゼロからスープを作りますので、気を抜くと味がぶれる場合がある。味を安定させるには手間と熟練を要するため、考え方やノウハウの伝達徹底が欠かせません。

 

原 スープ生産の自動化を考えたことはないのですか?

 

山岡 過去に1度、店舗間で味がなかなか安定しなかった時期に、メーカーに依頼して同じ味の再現を試したことがありました。しかし、何度やってもスープのコクや香り、色などが手作りとは違うのです。結局、味がぶれるリスクはあっても店で作るのが一番おいしいと分かったので、それだけは守り続けることにしました。

 

原 今も社長自ら店舗に足を運び、スープの味にぶれがないかどうかチェックされていると聞きました。トッピングするネギのおいしさも追求されているとか。

 

山岡 店舗数が140店舗を超えるので、遠隔地や訪問の少ない店は年に1回程度しか行けませんが、全店へ味の確認に出向いています。ネギに関しては、切りたてが香り・うまみとも最も良いので、収穫から間もない新鮮なネギを各店で時間帯ごとに必要な分だけ洗い、切って出すようにしています。お客さまへの提供品質を落とさないよう、切る時間や見た目を競う「ネギ切り選手権」というちょっと変わった社内イベントも開催しています。

 

原 スープや具材への飽くなきこだわりが、ライバルチェーンにまねできない独自性を生み出し、確たる業界の地位を築かれてきたのですね。

 

山岡 全店を14のエリアに分け、スープづくり講習会を行っていますし、味を維持する努力は絶対に怠りません。店舗数を200に増やしたとしても、ばらつきのない味をお客さまにお届けできる自信があります。

 

経営理念や行動指針をまとめ、全従業員に配布している「行動規範ハンドブック」

経営理念や行動指針をまとめ、全従業員に配布している「行動規範ハンドブック」

 

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