Vol.19 八清 × タナベ経営

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2017年4月号

 

京町家に新たな価値を吹き込む

社員の個性を最大限に発揮

 

 

2016年に創業60周年を迎えた八清は、建売住宅の販売から京町家のリノベーションへ業態を転換して業績を伸ばしている。
京都らしい街並みと住文化を受け継ぐ伝統的な京町家に、新たな価値を見いだした代表取締役の西村孝平氏に独自の戦略を聞いた。

 

 

京町家をよみがえらせ現代へ伝える

 

山本 タナベ経営が主宰する「住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会」にご協力いただき、ありがとうございます。早速ですが、「八清」という社名の由来からお聞かせください。

 

西村 西村家は私で8代目になります。5代目の清吉(曽祖父)は、仲の良い友人同士で名前に「八」を付けた愛称で呼び合い、曽祖父は八清と呼ばれていました。父の由蔵はその話を覚えており、1956年に会社を創業する際、八清を社名にしたそうです。

 

山本 なるほど、「八」には末広がりの意味もありますからね。さて、昨年創業60周年を迎えましたが、これまでどのような事業を行ってこられたのでしょうか?

 

西村 創業時は繊維製品の卸売が主な事業でしたが、高度成長期真っただ中の1962年に不動産業を始めました。転業した詳しい経緯は分かりませんが、この54年間のほとんどは不動産業を営んできました。

私は1975年に入社し、建売住宅の営業から不動産の仕事を覚えました。住宅不足だったので家を建てれば売れる時代でしたが、「土地が買えなければ、次の仕事がない」という状況に危機感を抱いていました。

 

 その後、中古住宅や京町家のリノベーション販売に乗り出されています。何がターニングポイントになったのでしょうか?

 

西村 住宅業界には「築30年で土地値」という言葉があり、30年たつと家の価値がなくなるといわれています。ですが、木造住宅の寿命が30年というのは取り壊した住宅の平均年数であり、住めなくなるわけでも、確かな根拠があるわけでもありません。

中古住宅の販売に関わりだしたのは1999年。建築規制に引っ掛かり、建て売り用地として仕入れた建物をやむなく全改装して売り出したところ、あっという間に売れたのです。これは衝撃的でした。

この一件で、「価値ゼロ」とされる建物でもユーザーニーズに合った改装を施せば売れると気付いたのです。それが大きなターニングポイントになりました。

 

山本 リノベーションによって商品価値を上げるというビジネスアイデアが生まれた瞬間ですね。

 

西村 そこから、建物に強度を加え、設備や間取りを変更してよみがえらせた築20年以上の中古住宅を『リ・ストック住宅』として発売し始めました。

 

 その後2001年、初めて京町家を販売しましたね。

 

西村 不思議なもので、建て売り事業をしているときは古い住宅を取り壊して最新の住宅を建ててきたのに、それとは真逆の古い家を残す事業に転換したわけです。

 

山本 建て売り事業をやめて京町家の再販事業に特化するのは一大決心だったのではないでしょうか?

 

西村 すぐに転換したわけではなく、建て売りから京町家へ徐々に切り替えていきました。社員は伝統構法を知りませんから、伝統構法のできる大工を探してレクチャーを受けたりもしました。
京町家のビジネスについて、本格的な手応えを感じたのは2002年、京町家のオープンハウスを開催したときです。そのとき、建売新築物件のオープンハウス時の約10倍もの人々が訪れ、「町家に、こんなにたくさんの人が訪れるのか」とそのポテンシャルを実感。ビジネスとして十分に成り立つと確信しました。

 

八清 代表取締役 西村 孝平氏

八清 代表取締役 西村 孝平氏
1950年京都市上京区生まれ。1975年八清に入社、2002年代表取締役就任。京都不動産コンサルティング協会や龍谷大学、佛教大学などセミナー講師歴多数。著書は『マンション管理評価読本:価値を上げる管理の常識』(学芸出版社、共著)。趣味は月に100㎞走るジョギング。

 

 

古い柱や梁はあえて残し、経年美を生かす

古い柱や梁はあえて残し、経年美を生かす

 

 

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