Vol.26 フォークロアで新市場を拓く
企業文化と仕組みを磨きブランドを構築
アミナコレクション × タナベ経営

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2017年11月号

 

悪い部分ではなく強みに着目して伸ばす

 

大森 2010年の社長就任以降も、創業者の思いを引き継ぐ形で事業拡大を図っています。経営する上で大事にされていることはありますか?

 

進藤 引き継ぐというよりは、“自分からつかみにいっている”感覚です。入社してしばらくは父から価値観を押し付けられている感覚もありましたが、ある時期から自分でかみ砕き、父の真意や自分のやるべき経営をつかんでいこうと気持ちを切り替えました。受け身でできるほど経営は甘くないですから。

 

大森 自ら価値を再定義することで、自分らしい手法や経営スタイルが見えてくるということですね。

 

進藤 自分なりに創業の精神やフォークロアをかみ砕いて理解する中で、事業がアジア・アフリカ地域の民俗文化に偏っていることに気付きました。足元に目を移せば、日本にも受け継がれてきた素晴らしい民俗文化があります。そう考えて立ち上げたのが、日本の衣料・雑貨などを扱うブランドです。

 

父の時代はエスニックを中心に事業を広げてきましたが、もともと日本の民俗芸能の研究が原点。新規事業は父もうれしかったようで、この成功が社長交代の1つのきっかけになりました。会社全体から見ても、当社の強みや深みが増したと思います。創業者の思いを自分なりに捉えて仕掛けていくことは、経営の大事なポイントです。

 

大森 フォークロアの新たな魅力を発信する一方、それを支える組織改革にも着手されています。

 

進藤 全国展開を進める中で規模に合った組織改革は必要でした。しかし、社長になる前から、当社独自の雰囲気や社風は守るべきという直感はありました。会社の雰囲気を壊してしまうと、商品開発や販売などにおいて「大事な何かが失われてしまう」という危機感のようなもの。悪い部分ではなく、強い部分に着目して、前向きに組織化を進めました。

 

大森 2代目に代わるタイミングで組織化を進めるケースは多いですが、急激にシステマチックに変わったことで会社の勢いが失われてしまう例は少なくありません。

 

進藤 おっしゃる通りで、組織論や一般論を、そのまま導入しては危険です。成功例であっても、自社に合うようにかみ砕いて慎重に導入することが大事です。私自身、いくつかの失敗も経験しながら、自社に合った導入方法を学んできました。

 

大森 残すべきものと変えるべきものの見極めは非常に難しいです。直感があったのは親子間承継だったことも関係しているのでしょうか。

 

進藤 会社の雰囲気や風土は、創業者の思いや理想に影響を受けるものです。当社の場合、特に社風に魅力を感じて集まってきた社員やお客さまが多い。ですから、そこを否定しては社員やお客さまを裏切ることになってしまいます。

 

ファミリー経営の良いところは、後継者が創業者の考え方や感性を理解しやすい環境にあることです。企業文化や理念、思いなど目に見えない部分の承継は、家族が圧倒的に有利です。私自身、幼い頃から民俗文化について父の話を聞いて育ったので、目に見えない感覚的な部分もスムーズに理解することができました。その半面、理念を否定せず、状況に合わせて方法論を変えていくわけですから、難しい立ち位置だったことも確かです。

 

 

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タナベ経営 コンサルティング戦略本部 部長 チーフコンサルタント 大森 光二 人事・組織に関する課題解決を中心としたコンサルティングに従事。前職での人事部門責任者の経験から、現場の社員にまで浸透するための仕組みづくりを重視している。「人材が最大の企業価値」であるという考えのもと、企業と個人のWin-Winを目指し、コンサルティングを展開している。

タナベ経営 コンサルティング戦略本部 部長 チーフコンサルタント
大森 光二
人事・組織に関する課題解決を中心としたコンサルティングに従事。前職での人事部門責任者の経験から、現場の社員にまで浸透するための仕組みづくりを重視している。「人材が最大の企業価値」であるという考えのもと、企業と個人のWin-Winを目指し、コンサルティングを展開している。

 

 

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