Vol.27 ブランド品買い取りビジネスの新時代を開拓
エコリング × タナベ経営

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2017年12月号

 

社員にとって最高の職場をつくる

 

森田 2008年のリーマン・ショックも大きな転機になったのでは?

 

桑田 リーマン・ショックの1年前から世界的な金融危機を予想していましたが、当時は日本市場向けのビジネスだったので、影響は軽微だろうと楽観視していました。ところが日本でも、金が40%、バッグが30%、時計が60%と相場が急落。買い取りも冷え込んで月商は約70%ダウンしました。

 

当時は年商30億円から60億円への成長を見込み、それに対応して人材も確保していましたが、「これではまずい」と思い、2008年11月、当時の顧客ボリュームに合わせて事業体を変容させる事業計画へ作り直しました。すると、100名ほどの退職者を出さないと実現は難しいと判明。さらに、残った社員の給料もカットしなければなりませんでした。

 

そんな中、2009年年頭には「自分たちの力で事業を回復させ、まず現場社員の給料から元に戻す。それが一番の目標。そして、去っていった仲間を呼び戻そう」と号令を掛けました。

 

その後、2009年2月に底を打ってから業績が上がり始め、3月には黒字転換。徐々に社員、幹部の順に減給を取りやめ、11月には減給した分を各社員へ全て返還することができました。

 

2010年からは退社した社員一人一人に連絡して、「もう一度一緒に働かないか」と声を掛けました。リストラした社員を呼び戻すことが、私のモチベーションだったのです。


土井 桑田社長の「人」に対する思いをお聞かせください。

 

桑田 「社員にとって良い職場をつくろう」という一念で会社経営に打ち込んできました。社員みんなで稼いだ儲けは、みんなできちんと分けて、物心ともに豊かになれる職場をつくる。それが人に対する思いの表れです。

 

土井 物心ともに豊かになるためには、利益を出さなければならないということですね。

 

桑田 その通り。「今年は儲かったから、こういうことをしよう」ではなく、「このような良い職場をつくるためには、これだけの利益が必要。だから頑張ろう」という循環に持っていくべきです。これによって社員の自主性が養われ、「こんなことをやりたい」という提案力が錬磨されると期待します。

 

土井 会社の規模が大きくなっていき、社員の数が増えると、社長のお考えを浸透させることが難しくなりませんか。

 

桑田 私の経験から言うと、年商10億円までは、文鎮型の組織構造でよく、経営者と社員一人一人の夢だけで運営できると思います。上司に言われたことをきちんと実現できるスタッフをそろえたら、年商30億円まではいけるでしょう。

 

それ以上の年商を達成するには、幹部が主体的に考え、動くようにならないと無理です。年商100億円を超えると、社員の能力に経理や人事、コンプライアンスといった管理的な専門性が必要になります。各段階で早めに手を打てば、次々に事業を伸ばしていけるでしょう。

 

そのような経営者の考えを社内へ浸透させるには、しっかりとした事業計画を毎年立て、決算数字の過不足の原因を徹底的に探る必要があります。当社の事業計画は「この人が何をやる」というところまで掘り下げ、責任者の名前を明記しています。それによって社員の主体性が生まれるからです。

 

森田 以前、御社のコンサルティングを行った際、「組織活力サーベイ」という無記名のアンケート調査を実施しました。すると「経営理念は明確か」「社長の考えは社員に浸透しているか」「上の役職を目指したいか」といった質問に、「はい」と答えた割合が驚くほど高かったです。社長の人に対する考え方や経営理念が社内に浸透している何よりの証しだと感じます。

 

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タナベ経営 コンサルティング戦略本部 本部長代理 戦略コンサルタント 土井 大輔
大手システム機器商社を経てタナベ経営に入社。製造業、卸売業、小売業、サービス業、建設業など幅広い業種に対し、事業戦略立案や新規事業開発などの戦略テーマから営業力強化、マニュアル整備などの戦闘テーマまで対応する。2020年までには各業界において「物流・ロジスティクス」が企業競争力を高めると確信し、「戦略ロジスティクス研究会」のリーダーとして活躍中。

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