技研株式会社 さま

「Change & Grow」
(変化と成長)を実現した
技研の3つの取り組み

ポイント

  1. 「働き方改革プロジェクト」を通じ、
    残業時間が大幅減
  2. 全社横断プロジェクトが社員の
    意識・働き方の変革に直結
  3. 「会社の方向性」「人事評価基準」への
    理解度が深まる

お話を伺った人

技研 
取締役副社長 宮本 秀一氏

「会社の未来」と「仕事の評価」の見える化が課題

2016年に「Change & Grow」(変化と成長)をテーマとする中期ビジョンを策定されました。そのきっかけを教えてください。

宮本: 当時、当社は経営幹部が営業を担っており、社員のほとんどが設計職のエンジニア集団でした。高い技術力と品質、柔軟でスピーディーな納期対応を強みに顧客からの信頼は得ておりましたが、組織力は決して強くありませんでした。

売上高は右肩上がりで、経常利益率10%超の高収益経営を続けていましたが、スポット型のビジネスモデルで、ベースとなる売上が安定しないのが課題でした。高いコスト意識を持って固定費の削減に取り組む一方、少数精鋭体制のため設計業務はいつも多忙で、残業が当たり前になっていました。そんなとき、タナベ経営から「社員のみなさんの声を聞いてみませんか?」と提案をいただきました。

社員満足度を調査するタナベ経営「組織活力サーベイ」を2015年に実施されました。

宮本: 社内の不満を目の当たりにし、当時の社長(向一雄氏)も、私たち経営幹部もとてもショックを受けました。愛情豊かな家族主義の経営で、賃金は毎年アップし隔年で海外社員旅行も実施していたので、不満などないだろう…と思っていましたから。

社内の不満を分析すると、1つ目は、忙しく時間だけが過ぎ去る日々の繰り返しで、会社の未来が見えないこと。2つ目は、仕事の何をどう評価されているかがわかりにくいことでした。

こうした社員の「不満」への気付きが、中期経営計画を策定するスタートラインになりました。「経営陣の思いやビジョンを、しっかりと『目に見える未来』にして伝えましょう」とタナベ経営にアドバイスを受け、策定に取り組みました。

中期ビジョンのテーマを「Change & Grow」(変化と成長)に定め、「自動搬送分野で世界一のブランドメーカー」を実現するビジョンを描きました。これから何をどうするかの事業計画、それを可能にする人事制度や組織体制づくり、そして社員のがんばりを評価する仕組みも、しっかりと明文化できました。

技研株式会社

技術力と品質、柔軟でスピーディーな納期対応を強みに、顧客からの厚い信頼を得ている

「人を育てる」組織へチェンジ

中期ビジョンでは数字目標とともに、採用・教育への「戦略的な先行投資」も行いました。

宮本: 35~40億円だった売上高は50億円、経常利益率は10%と、高収益構造を安定的に維持する目標を掲げましたが、実現できる人を育てなければ、絵に描いた餅に終わります。そのため、新卒採用を開始して若手を育成し、世代間や組織的なバランスも良くして企業体質を強化しようと考えました。

また、誰にどんな教育を受けてもらうか、教育制度や人材開発体系も整備し、タナベ経営のセミナーや幹部候補生スクールも活用させていただきました。

会議の実施や業績管理の方法も、「後回し」から「先回り」へと見直しました。

宮本: 社員は顧客対応を最優先するマインドが強く、忙しいと誰も会議に参加できず、案件管理も「終わった後の結果管理」になっていました。これからどんな案件があって、どれほどの設計工数とコストがかかり、利益はどれだけ生み出せるのか。「みんなが参加する意思決定の場」に変えていくことで、進捗も利益も1年前倒しの先行管理ができるようになりました。

業績のリズムと意識が一変し、期初から「来期、どうするか?」を考える営業に変わって「当期の対策」が不要になり、コスト意識のさらなる向上にもつながっています。

仕事の成果を評価するものさしも、新制度で「見える化」しました。

宮本: 評価の軸に据えたのは、能力要件です。案件管理を任せられる責任者を一人前と位置づけ、設計エンジニアとしてのスキルだけでなく、案件推進メンバーに対する調整力も基準に定めました。

「暗黙の共通認識」だったことをあえて明文化し、さらにPJの規模や工数、品質なども加味して、成果をしっかりと評価できています。今後は一人ひとり業績への貢献度もポイント制にして、より明確にしていこうと考えています。

技研株式会社

教育制度や人材開発体系を整備し、「人を育てる」組織へチェンジ

「働き方改革プロジェクト」で残業時間が大幅減

経営の未来と評価の仕組みが見える化し、さらに生産性と満足度の向上へ向けて、「働き方改革プロジェクト」(PJ)もキックオフしました。

宮本: 経営体質や組織体制は強化されましたが、少数精鋭なので残業の多さは変わらないままでした。国の働き方改革の推進も踏まえ、タナベ経営に相談して2017年の夏にPJをスタートしました。

PJメンバーには管理職だけでなく若手も加わり、「育成、標準化、システム強化、会議・風土改善」などテーマ別にチームを編成しました。

1期目はノー残業デーの実施など、業務効率の向上や残業削減の意識を高める取り組みを推進しました。また、少ない工数でいい仕事をする役職者に偏りがちだった設計業務も、業務等級別に1工数当たりのチャージに差をつけることで、コストが安い若手が担うチャンスが増え、役職者は本来の管理・開発業務に専念できるようになり、一気に残業が減りました。

翌年度以降もメンバーを交代してPJを継続し、社内風土の変革にもつながっています。

宮本: PJの成果は2年目に、残業時間が全社で3261時間、月平均で約272時間減少し、80~100時間超も多かった一人当たり残業時間も月30時間を切りました。同時に、「最も生産性が上がるのは、人が育つこと」という考えが生まれました。

「3年間で一人前のエンジニアをつくる」と若手の早期戦力化にも乗り出して、「どんな人を育てたいのか」の育成計画やカリキュラムを策定し、先輩社員がロールモデルとなって教育係を務めるエルダー制度も導入しました。階層別のキャリアアップも含めて、全社的に「人を育てる風土」へと大きく変わりました。

「組織の階層とは違うかたちで、社内のリーダーシップが生まれるようになった」と言われたのが、とても印象に残っています。

宮本: 面白いのは、「働き方改革や残業の是正」から「会社をより良くしていこう」という視点へ自然に変わったことです。働きやすい健康経営を目指す動きが「いしかわ健康経営優良企業」知事表彰に結びつき、若手社員にも権限を与えることで誰もが行動を起こし、活躍できる。そんな自発性やリーダーシップが、現在進行形で育っています。

管理職やリーダーになる前に、人を動かす大変さと大切さを知る人が増え、組織が動きやすくなりましたし、何よりも「もっと学びたい」「会社や業績に貢献したい」というマインドが高まっています。

技研株式会社

「働き方改革プロジェクト」を通じて、生産性や人材育成、社員の自発性・リーダーシップを重視する風土への改革が実現

社員の成長は、企業価値を高める原動力

中期ビジョンは、事業承継も大きなテーマでした。全社マネジメントを経験し権限移譲も進めながら、宮本は2021年5月の株主総会を経て、社長に就任される予定です。

宮本: 中期ビジョンも後半は中心となって動き、2020年8月期に売上高60億円、経常利益率12%を達成し、新たに始まる5カ年中期経営計画の策定も主導してきました。

サーベイショックから4年後、2019年にもう一度サーベイを実施しましたが、社員の納得や満足度が高まった手ごたえを感じています。未来と評価を見える化し、価値観や方向性がわかるようになると社員の動きが変わり、企業価値を高める確かな原動力になっていくことを学んで、私自身が経営者に育つ格好の機会にもなりました。

今後は経営トップとして、自動車分野とアルミ分野に次ぐ第三の柱に、産業機械分野を育てていく挑戦が始まります。

宮本: 若手は一人前のエンジニアに、役職者は技術・マネジメントのリーダーに。育った人がしっかりと価値を創り出すことが、新中期ビジョンのテーマです。売上高100億円、経常利益率15%以上を目標に、スポット型からベース型へ、安定経営のビジネスモデルの実現を目指していきます。世界に先がけた自動化技術で新たな価値と市場を創り出し、技術も人も育ち続けるエンジニア集団になって、私の後を担う経営者を育てることも、大事なミッションです。

ものづくりに流れをつくる会社に、人が活躍する流れが生まれました。新たなスローガンも、一歩進めて「Change to Grow」(変化を成長に)です。

宮本: 新中期ビジョンには「幸せ目標」も加えています。経営理念にもう一つ掲げる「調和のとれた発展で、社員の生活をより豊かにする」ことへの、新たな一歩です。社員と会社がともにやりがいや成長を実感し、GIKENブランドも確立していく。そして、自分の子どもを入社させたい、と思える企業になっていきたいですね。

プロフィール

会社名 技研株式会社
URL https://www.giken-jpn.com/
所在地 石川県能美市下清水町3番地2
設立 1970年(創業は1964年)
従業員数 100名(2021年3月現在)

※ 掲載している内容は2021年3月当時のものです。