イシグロ株式会社 さま

顧客ニーズや現場課題と
経営戦略を結ぶ
イシグロビジネススクール

ポイント

  1. 各事業部や拠点メンバーの提言を
    中期経営計画に反映
  2. ジュニアボードでのアイデアが事業化
  3. 参加メンバーの思考が
    「部門最適」から「全社最適」に

お話を伺った人

イシグロ 
取締役社長 石黒 克司氏

顧客ニーズや現場課題を経営戦略に
反映させるためにジュニアボードを実施

イシグロは80年超の歴史を持つ総合配管機材商社です。取扱商品数は40万点を超えており、中でもパイプやバブル、継手において国内シェアナンバーワンを獲得しています。中期経営計画の策定など、中長期的な視点に立った経営によって着実に成長を遂げており、グループ全体の売上高は738億円(2019年度)に上ります。

石黒: 当社は1939年に創業し、今年度で創業82年目になります。管材取扱金額においてシェアナンバーワンを達成したのは2018年。ちょうど、「真の総合配管機材商社として管材シェアNo.1を目指す」を基本方針に掲げた第6次中期経営計画を実行していた時期でした。

外部環境にも恵まれましたが、過去の中期経営計画を通して取り組んできた商品・サービスのブランド化やウェブ取引の強化など、社会の変化に対応した施策が実を結んだのだと思います。

イシグロ株式会社

イシグロが取り扱う豊富な配管材料をウェブで注文できる会員制ECサイト「ISHIGURO webstation」。
24時間365日在庫、提供価格を確認でき、納期の要望にも柔軟に対応する

その時々に必要な手を打っておられます。タナベ経営にコンサルティングを依頼いただいたきっかけと、顧客のニーズや現場の課題を吸い上げて経営戦略に反映する秘訣を教えください。

石黒: 私が社長に就任した2002年から3年ごとの「中期三カ年経営計画」を策定していました。第3次中期経営計画を策定する際、真の管材総合商社となるための次のステップとして、確かな成長戦略を策定する必要があると考えていました。

そこで、全社の課題を網羅した成長戦略の策定と、経営体質の強化に関する助言をいただきたいとタナベ経営にコンサルティングを依頼しました。それまでは経営陣のみで中期経営計画を策定していましたが、顧客のニーズや現場の課題を経営戦略に反映させていきたいという思いから、中期経営計画の策定にあたり、各事業部や拠点から人材を集めて「イシグロビジネススクール」を開催しました。

イシグロビジネススクールは、タナベ経営の「ジュニアボード制度構築プログラム」の仕組みを応用したもので、当社では2010年から継続して実施しています。現場や事業を知り尽くしたイシグロビジネススクールのメンバーが中期経営計画を作成して役員会に提言し、最終的な中期経営計画が策定されます。現場の意見を経営に反映する秘訣は、そうしたプロセスにあると思っています。

イシグロビジネススクールの成果についてお聞かせいただけますか?

石黒: 自社の中期計画を策定するにあたり、参加メンバーが自ら重要な意思決定を行い、その計画を推進していくという実践力を養うことができました。また、次世代の会社を担う総合人材の育成を図ることができました。イシグロビジネススクールの提言を元に、いくつかのアイデアも事業化されています。

イシグロビジネススクールのアイデアが事業化

具体的にどのようなアイデアが事業化されたのでしょうか?

石黒: 分かりやすい例が、工具のレンタル事業です。もともとイシグロビジネススクールの中期経営計画にあったアイデアを第7次中期経営計画に盛り込み、2020年8月に事業化しました。

商社がレンタル事業をするのはユニークですね。なぜレンタルを始められたのでしょうか?また、どのような機材をレンタルされているのですか?

石黒: レンタルするのは、主に設備現場向けの配管用加工機器や検査機器です。以前より設備現場の方から「使用頻度が低いわりに高価な検査機器はレンタルしたい」との声がありました。

お客さまのご要望にワンストップでお応えしたいという思いから、同機器の在庫化を行い、レンタル事業の内製化を行いました。お客さまの利便性が上がり、レンタル料が継続して入ることで収益基盤の強化につながると期待しています。

常に現場と関わっているからこそ出るアイデアです。イシグロビジネススクールの参加メンバーもこうした発想に基づいて問題意識を持ち、お客さまのニーズや自社の業績と向き合っていらっしゃるのでしょうか?

石黒: イシグロビジネススクールの参加メンバーは、現場や各事業に精通したプロフェッショナルです。日々、お客さまや現場と対峙し、課題やニーズを肌で感じています。常に問題意識を持ち、なんとか課題を解決しようと奮闘しているからこそ活発な議論も生まれています。成長戦略の1つでもあるM&A戦略においても、イシグロビジネススクールの卒業生が買収先の社長に就任し、全社視点で経営をするなどの成果も生まれています。

また、タナベ経営のコンサルタントに講師・コーディネーターとして参加してもらうことで議論の質が上がったと感じました。一緒に前回の中期経営計画を振り返り、自社が置かれている状況について環境分析やライバル分析をすることで、客観的な視点や俯瞰的な思考が養われていると実感しています。

参加メンバーの思考が「部門最適」から「全社最適」に

時代が急速に変化する中、次世代を担う社員の声を経営に生かすことが重要かと思います。どのような仕組みで社員の声を吸い上げていらっしゃいますか?

石黒: 彼らの意見を盛り込むことは、会社の発展にとって非常に重要だと考えています。イシグロビジネススクールでは、1泊2日、年6回の合宿研修を実施しています。

ある程度まとまった時間をかけて、他部門の社員と学び、議論を交わすことは視野を広げる上で、貴重な経験になっています。特に他部門の仕事・課題を互いに理解した上で、中計経営計画を策定する一連のプロセスを通して、メンバーの思考が「部門最適」から「全社最適」へと広がります。

次世代経営幹部候補メンバーとして、自部門だけではなく全社的な視点で物事を捉える経営感覚を身に付けることが、イシグロビジネススクールの最大のテーマと考えています。

部分最適から全体最適の思考への転換は、経営幹部に欠かせない視点です。他に良かった点はありますか?

石黒: 役員の考え方を共有できるのも大きなメリットです。自分たちが作成した中期経営計画と、役員会から出た最終版の中期経営計画を見比べることで、自分の力を確かめる良い機会になります。役員会と共通する部分はどこか、あるいは足りていない視点は何か知ることは成長に大いに役立つと思います。

2021年度は反転攻勢をテーマにブランド力を高める

コロナ禍の影響が建設分野にも広がっています。今後の課題についてどのようにお考えでしょうか?

石黒: コロナ禍によって予定していた建設投資が延期されるなど、その影響が徐々に出始めています。ただ、そうした中でも2021年度は守りの経営から、反転攻勢をテーマに「商品・サービス・人材のブランド力を高め、管材業界No.1を揺るぎないものにする」という第7次中期経営計画の基本方針のもと、顧客基盤や事業領域の拡大に向けて引き続き取り組んでいきます。

特に重視している事業、戦略などはありますか?

石黒: さらなる成長に向けて、顧客に合わせた商品やサービス、販売チャネルの拡充が必要です。中期経営計画にも入っていますが、多様なニーズに応える商品・サービスの拡充と販売機会の拡大には重点を置いています。

特に、プライベートブランド商品「I Value」の拡充や、既存のお客さま向けのECサイト「イシグロウェブステーション」などのウェブについては、設備、流通、ユーザーに続く第4のチャネルに育てていきたいと考えています。

イシグロ株式会社

顧客のニーズに対応するために誕生したプライベートブランド「I Value」。バルブやホース、副資材に至るまで、高品質ながら求めやすい価格の商品を開発

基本方針では「人材のブランド化」にも言及されています。これまでも継続的に人材投資を行うなど、人を大事にする経営がイシグロの特長です。人材育成についてのさらなる取り組みと、今後の目標をお聞かせいただけますか?

石黒: 2019年には、体系的な社員教育システムとして「イシグログループアカデミー」を導入しました。イシグログループアカデミーの最大の特徴は、社員の職位、職種、経験度合に応じて、学ぶべきスキルの内容と各研修のゴールイメージが明確になっていることにより、体系的にステップアップしていく過程が理解できるという点にあります。

また、タナベ経営に協力いただき、社員を講師としたビデオコンテンツも作成しました。これにより実地にあった学びが得られるようになっています。今後は、商品、サービス、人材のブランド戦略の強化を図り、事業領域の拡大にも取り組み、中期的な経営ビジョンであるグループ売上高1000億円を達成していきたいと考えています。

成長段階に合わせた組織化や人材育成への取り組みが、国内シェアナンバーワンや持続的成長の原動力となっています。タナベ経営も引き続きサポートさせていただければと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。

プロフィール

会社名 イシグロ株式会社
URL https://www.ishiguro-gr.co.jp/
所在地 東京都中央区八丁堀4-5-8
設立 1950年
従業員数 1174名(イシグログループ連結、2021年2月現在)

※ 掲載している内容は2021年2月当時のものです。