人事コンサルティング事例

アカデミーで技術力と人間力を育み、「No.1サウンドカンパニー」へ
ヤマハサウンドシステム × タナベ経営

ヤマハサウンドシステム株式会社

大空間音響設備のプロフェッショナルとしてヤマハグループの一翼を担うヤマハサウンドシステム。
“異色”の経歴を持つ3代目社長は、当事者意識を持って経営理念の実現に挑む人材育成に力を注ぐ。

全90ページ

人事コンサルティング
導入事例集

ダウンロードはこちら
人事コンサルティング導入事例集


取材先様のお役職・タナベ経営社員は、取材当時のもの

大空間音響設備のプロフェッショナルとしてヤマハグループの一翼を担うヤマハサウンドシステム。
“異色”の経歴を持つ3代目社長は、当事者意識を持って経営理念の実現に挑む人材育成に力を注ぐ。

ホール・劇場など大空間音響設備市場でトップシェアを誇る(左写真は東京国際フォーラム)/YSSアカデミーを設立・開校。人間力と技術力を育み、経営ビジョン実現を目指す

トップシェアを誇る大空間音響設備の専門会社

タナベ経営 執行役員 齋藤 正淑 中堅・中小企業の総合的な経営基盤強化を、収益構造の再構築により達成するタナベ屈指のコンサルタント。経営ビジョン・戦略策定、中期経営計画の策定、財務・資本政策立案、事業承継戦略構築を得意とする。 ヤマハサウンドシステム 代表取締役社長 武田 信次郎氏 横浜市立大学商学部卒業後、1987年に旧東亞特殊電機(現TOA)に入社。PA営業やホール音響のセールスエンジニアなどを担当し、1999年ヤマハサウンドテックに転職、ホール音響の営業などを務める。2003年ヤマハ入社。PA商品企画・事業企画、PAマーケティングなどを担当。2013年ヤマハミュージックジャパン出向。2018年6月ヤマハサウンドシステム代表取締役社長に就任。現在に至る。 齋藤 ヤマハサウンドシステム(以降、YSS)はホール・劇場、スタジアム・アリーナなどの大空間音響設備のプランニング・設計・施工・調整・保守や、業務用音響機器の開発・製造を手掛ける音響エンジニアリング会社です。武田社長は2018年から3代目の経営者として手腕を振るわれています。まず、YSSの設立の経緯と事業内容をお聞かせください。

武田 YSSは競合関係にあった音響設備会社の不二音響とヤマハサウンドテックが2009年に合併してできた会社です。世界有数の業務用音響機器メーカーでもあるヤマハが率いるグループの一員として、東京国際フォーラムや渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)、東京ドームなど多様な施設の音響システムを構築。500席以上のホール・劇場の音響設備市場ではトップシェアを誇ります。合併当時120名ほどだった社員は現在180名を超え、企業規模としては1.5倍に成長しました。

齋藤 どのような経緯でYSSの社長に就任されたのですか。

武田 大学時代、軽音楽サークルでバンドを組んでいたこともあり、ホール音響の仕事がしたくて東亞特殊電機(現TOA)に入りました。入社試験の面接で「地図に残る仕事がしたい」と言ったことを今でも覚えています。そこに12年勤務したうち8年間はホール音響のセールスエンジニアを務めました。

1999年に「ホール音響の仕事を極めたい」と思って競合のヤマハサウンドテックへ転職。さらに2003年には音響設備分野へ本格的に参入するヤマハへ転職し、商品企画や事業企画、マーケティングを担当しました。それからYSSへ社長として出向するわけですが、ヤマハへ転職する際にYSSの前身となるヤマハサウンドテックに辞表を提出していますから、まさに"出戻り"です(笑)。

齋藤 「舞台の音づくりにかけた人生」と言えます。強い思いを持って経営に打ち込まれている背景がよく理解できました。

経営理念を実現する方法を全社員が思索する組織へ

タナベ経営 経営コンサルティング本部 本部長代理 盛田 恵介 タナベ経営入社後、セミナー責任者を経てコンサルティングに携わる。2021年より、東京HRコンサルティング本部本部長代理兼人材育成研究会リーダー。人づくりをデザインする総合プロデューサーとして、中堅・中小企業の人事・育成制度構築から運用に至るまでサポートし、中でもさまざまな業種・業態の企業内大学設立に実績を有する。 盛田 YSSの経営理念は、グループ理念の「ヤマハフィロソフィー」に連動した素晴らしいものだと思います。理念確立までの経緯を教えてください。

武田 ヤマハフィロソフィーはヤマハグループの企業経営の軸となる考え方を体系化したものです。ヤマハフィロソフィーを実現するための当社なりのブランドバリューを定義し、そこから「身近な理念」を思索して定めました。

盛田 この経営理念は武田社長が就任してから決めたのでしょうか。

武田 ビジョンやミッションはあったのですが、普遍的な理念というより、中計におけるビジョン、ミッションという位置付けのものでした。設立10年で体格は大きく成長したものの、体質にはまだまだ改善の余地があると感じて、まずは企業体質を磨き上げようと決意。就任3カ月後に発表した新経営方針「YSS 2.0」の中で経営理念を制定しました。

経営理念の実行コンセプトとして「不易流行」という言葉を使い、「YSSらしさ」を訴求しています。それに基づいた経営戦略は1番目が人材育成、2番目がブランディング、3番目がマネジメント改革という構造です。全体ミーティングのたびに経営理念に関する話をしていますが、社員が納得できるように説明することの難しさを痛感しています。

盛田 「理念を実現させる方法を知りたい」というのが社員の本音でしょうね

武田 各部門における「不易流行」とは何なのか、私から具体的な方法を示唆することはあえて避け、部長・課長職に考えてもらうようにしています。社長が方法まで提示してしまうと、社員は自分事として捉えられないからです。

盛田 理念を実現する方法を部長・課長職がしっかり考え、実行していくことがこれからのテーマになりますね。

武田 最終的には、全社員がそれぞれの「不易流行」を考え、「No.1サウンドカンパニーになるためにはどうすればいい?」と自分なりの方法を模索する組織になってほしいと思います。

盛田 続いてビジネスモデルについてお聞きします。YSSの事業の特長は何だとお考えですか。

武田 音響設備は音響と設備の2つの領域にまたがっています。当社の特長は、建設業を極めながら、音へのこだわりを深めようとしていることです。自社内に音響機器の開発部門を持ち、顧客ニーズに応える商品を開発しています。

親会社のヤマハを含めて大手量産メーカーが作らないけれど、当社の顧客においてニーズがあるニッチなものを自社開発しています。量産品に比べると開発効率が悪く高価になってしまいますが、ニーズは確実にあります。「HYFAXシリーズ」としてニッチのオンリーワンを極め、顧客ニーズに応えています。

ヒト・オト・モノ・コトからYSSらしさを磨く

タナベ経営 経営コンサルティング本部 山越 拓也 タナベ経営に入社後、建設業界を中心に企業内大学(アカデミー)づくりや人事制度構築など「人材」に関するコンサルティングを展開。「クライアント視点に立脚したコンサルティング」をモットーに、計画立案から実行推進、フォローまでのきめ細かい対応でクライアントから厚い信頼を得ている。 山越 YSSの人づくりとブランディングについて伺います。まず、武田社長がYSSに赴任した際の課題を教えてください。

武田 「トップダウンが強すぎる」と感じました。2社が合併してできた会社なので、トップダウン強めでスタートするのは当然だと思いますが、設立後10年が経過しているので、もっとボトムアップを強めていかねばと思いました。社員がワクワクしながら、自主的に仕事に取り組める環境に変えていかないと事業の成長は望めませんからね。

そこで、ボトムアップ体制への転換を促進する第一歩として「ミドルアップダウン・マネジメント」を宣言し、マネジメント改革に着手。部長・課長研修をこまめに実施しています。その結果、当事者意識を強く持って会社を支えなければならないという使命感が芽生えました。

山越 そのような経験から「YSSアカデミー」の設立を決意されたわけですね。人づくりに対する方向性をお聞かせください。

武田 物件ごとに顧客ニーズに対応したオーダーメードビジネスを展開する当社にとって、一番大切な経営資源は人材です。それなのに教育研修体制がほとんど整備されていませんでした。教育プログラムもなかったし、ヤマハグループの研修にもわずかなコースしか参加していなかったのです。会社の求める人材像に沿った教育研修体制の構築が急務でした。

そのような状況で参加したタナベ経営のセミナーで、三和建設(大阪府大阪市)や加和太建設(静岡県三島市)の事例を知り、「人材育成という課題を解決するには、アカデミーしかない」と霧が晴れた思いでした。

当時から、社員教育には「技術力の向上」と「人間力の向上」の2つのコースが必要だと考えていました。社員は「当社の特長は技術力」と胸を張りますが、「教育のほとんどはOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で施す方針だが、多忙で手が回らない」というのが実情で、人間力に関してはほとんど教育できていない状況でした。アカデミーを開校・運営するとそのような課題が一気に解決できると確信したのです。

山越 YSSアカデミーにはどのような特長があるのでしょうか。

武田 YSSアカデミーは、業界・顧客の理解やビジネススキルなどを習得する「ヒト学部」、音響知識などを習得する「オト学部」、商品知識や設計・施工技術などを習得する「モノ学部」、営業やマーケティング、保守などを習得する「コト学部」の4学部で構成されるのが大きな特長です。Web講座、集合研修、OJTによってデジタルとリアルの両面から学ぶことができます。

山越 他社のアカデミーは部門ごとに学部を設けるケースが多いのですが、YSSアカデミーは部門横断的な構成になっています。そこからどのような効果を期待していますか。

武田 どの会社にも部門の壁が存在し、OJTではどうしても部門ごとの教育になってしまいがちです。それに対してアカデミーは部門の枠を超えた教育ができると期待しています。

実は、2020年に実施した従業員満足度アンケートで、一番満足度が低かったのは「教育制度」でした。さらに「他部門とのコミュニケーション」も満足度が低かった。アカデミー開校を目指すプロジェクトには異部門のメンバーが集まって議論を重ねていますから、教育制度の改善と同時に他部門とのコミュニケーションも活性化すると期待しています。

ちなみに今回のアカデミープロジェクトは、社員11名が参加して10カ月を費やすという大掛かりなものでした。このプロセスはメンバー一人一人の学びに直結すると思います。

山越 YSSアカデミーを含めて外部への発信を有効活用していると感じます。ブランディングに対する考えをお聞かせください。

武田 当社の事業は、大量の商品を多くのお客さまに販売するのではなく、一品受注生産ビジネスです。お客さまとの契約段階では、図面と積み重ねた実績しか選択要素がありません。お客さまから選ばれ続ける存在になるためには、「ホール音響と言えばYSS」と真っ先に思い浮かぶようなファーストコールカンパニーになる必要があるのです。そのためにはブランディングが不可欠になります。

ところが、当社は今までの豊富な納入実績を外に向けてアピールしていませんでした。そこでマーケティング部を発足し、お客さまから選ばれるための戦略立案に取り組んでいます。

また、ブランディングは「価格競争の回避」にも効力を発します。コロナ禍で仕事が減ると、1つの物件に競合が群がって値段のたたき合いを始めるのが世の常です。しかし、「音にこだわる会社」というブランドが浸透し始めると、競合よりそこそこ高い価格でも受注できた事例も生まれました。ブランディングを通して「普通の建設会社ではない」というコミットメントを訴求し、それを実現できるように社員教育や組織風土の改革を含めたインナーブランディングを推進していく――。そして最終的にファーストコールカンパニーの座を確保したいと思います。



CSとESを高めて経営ビジョンの実現へ

タナベ経営 経営コンサルティング本部 濵 大輔 総合建設会社での注文住宅営業、広報企画を経て、タナベ経営入社。ハウスメーカーや建設会社の中期経営計画策定や長期ビジョン策定などの事業戦略立案、業務改善や企業内大学(アカデミー)設立の支援などを担当。「絵にかいた餅に終わらせない実務に直結するコンサルティング」をモットーに、クライアントの課題に真摯に対峙している。 YSSアカデミーは2020年10月にプレ開校し、2021年4月の本開校に向けてコンテンツづくりや動画撮影などを進めています。YSSアカデミーの目指す姿をお聞かせください。

武田 まずは講座の量を増やし、質を高めることと、受講対象を協力会社などへ広げることに取り組みます。そして最終的には顧客満足度(CS)の向上に結び付けたいですね。

当社のようなオーダーメードビジネスにおいては、それに関わる社員の技量を上回るような商品やサービスは決して生まれません。CSを高めるためには、社員の技量を高めなければならないのです。それは従業員満足度(ES)の向上にもつながります。社員は皆、成長したいと願っているからです。

技量の向上を目指して、全社員にひたむきに成長してほしい。そして教え合い・学び合う企業文化を定着させて組織風土の改革を進め、社員が力を合わせて「いい音、いいサービス、いい人材をつくるNo.1サウンドカンパニーになる」という経営ビジョンを実現していきたいと思います。

YSSアカデミーは、採用を含めた多方面のブランディングにもつながると思います。

武田 2019年12月に「アカデミーをつくる」と宣言すると、「こんな教育制度があるなら入社したい」と言う入社希望者が増え、今までで最多の新卒応募を獲得することができました。

齋藤 これからもYSSアカデミーをはじめとするYSSの人づくりを全力で応援します。本日はありがとうございました。

会社プロフィール
会社名
ヤマハサウンドシステム株式会社
所在地
〒103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町41-12
設立
2009年(創業:1946年)
代表者
代表取締役社長 武田 信次郎
売上高
81億円(2020年3月期)
従業員数
183名(2020年12月現在)




全90ページ

人事コンサルティング導入事例集

人事に関するコンサルティングに興味はあるけれど、イメージが湧かないという企業様向けにタナベ経営の人事コンサルティングを導入されているお客様の事例をまとめました。
印刷して社内回覧用等にもご利用いただけます。是非ご活用ください。

人事コンサルティング導入事例集
資料内容
  • ・業務改善と人材育成で事業を加速
  • ・ダイバーシティの推進で女性が活躍できる現場へ
  • ・保育士の就業意欲とスキル向上を果たした人事制度と
  • ・アカデミーの導入
  • ・企業内大学設立で若きイノベーターの輩出へ
  • ・次世代を担うリーダー人材の育成
ダウンロードはこちら