人事コンサルティング事例
ジュニアボード

「リーダーズコラボ」で
人材育成モノづくりの技術を明日へつなぐ

イワキテック株式会社

愛媛県と広島県を結ぶ瀬戸内海に、7つの有人島と18の無人島が浮かぶ。
これらの離島からなる上島町(愛媛県越智郡)に日本一企業がある。1957年創業の「イワキテック」だ。

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取材先様のお役職は、取材当時のもの、タナベコンサルティング社員の役職は、2020年現在のもの

コンテナ船の船倉のふた部分に当たるハッチカバーの生産量は日本一(左上・右)
リーダーズコラボレーションの様子。
分かりやすい動画にまとめ、後世へ技術・ノウハウを伝承する(左下)

ハッチカバー生産日本一

愛媛県と広島県を結ぶ瀬戸内海に、7つの有人島と18の無人島が浮かぶ。これらの離島からなる上島町(愛媛県越智郡)に日本一企業がある。1957年創業の「イワキテック」だ。

同社は地場産業として造船関連製品や大型クレーンなど鋼構造物を受託製造する。しまなみ海道沿いの愛媛県岩城島、広島県因島と向島に工場を有し、設計から製作、据え付け、アフターサービスまで一貫体制を確立している。

主な製造品目は、船倉のふた部分である「ハッチカバー」、自動車運搬船の可動床「リフタブルカーデッキ」、自動車を積み降ろすためのランプウエイ(傾斜路)「Ro-Ro(Rollon - Roll off)装置」など。特にコンテナ船向けのハッチカバーは生産量日本一を誇る。

また、重厚長大産業における"3K"(きつい・汚い・危険)のイメージを払拭すべく、安全・清潔な職場づくりに努めるとともに、近年では地域の同業種企業と協力し、工場や製造現場を一般開放して見学してもらう機会を設けて好評を博した。

「『モノづくりに徹する』をモットーに励み、昨年(2016年)、創業60年を迎えることができました。これを機に『地域と共生し地域の活性化に貢献する100年企業となる』を新たにスローガンとして掲げ、ステークホルダーから必要とされ続ける企業を目指したい」

同社代表取締役社長の山本一郎氏は語る。

次世代のリーダー育成に挑む

イワキテック 代表取締役社長 山本 一郎氏 「当社の社員は勤勉で真面目。突貫工事などの際の団結力や遂行力は誇れる部分ですが、転勤や職場変更がほとんどない社風だったからか、変化を避けたがる傾向がある」と山本氏。タナベコンサルティングのMy KARTE(自分カルテ・性格能力判定)でも、社員の多くが「受け身型」と判定された。

次世代リーダーの育成に課題を感じていた山本氏は、『実践リーダーガイド』(タナベコンサルティング)を管理監督者に配り、感想を提出させ、さらに、タナベコンサルティングと相談して「中堅リーダー革新セミナー」に管理監督者全員を参加させた。

その後、ジュニアボードの提案を受け、その趣旨に賛同した山本氏は「リーダーズコラボレーション」(以降、リーダーズコラボ)というオリジナルネームを冠して実施に踏み切った。

リーダーズコラボの中心は、各工場や部署で活躍する40代前後の職長クラス。第1期は経営陣から課題を聞き取らせ、メンバーに改善策を提案させた。「人事評価への不満が判明したので、スキルマップを自分たちで作成してもらうことで評価の難しさを理解させ、伸ばすべきスキルや成長幅を明確にしました」と山本氏は振り返る。

第2期の現在は「技術の伝承」をテーマに、今後イワキテックの要となる現場の技術・ノウハウを収録した動画作成などに取り組んでいる。「新入社員や外国人スタッフも一目で分かるクオリティーを目指しています。メンバーは日々の業務と並行しながらよくやっています」(山本氏)

チャレンジを称賛する社風へ

こうしたリーダー育成の成果は、如実に表れているという。

「『社員自らが悩み、考える』『全社的な視点から物事を判断する』『仕事に興味を持たせる』については、非常に手応えを感じます。積極的に社員が部門や工場の壁を越えて、交流を図るようになりました」と山本氏はうれしそうに笑う。

会議などでも、従来は同氏が一方的に話すことが多かったが、「こうしたいのですが社長の考えを聞かせてください」「こんな選択肢がありますが、どう判断すればよいでしょう」と社員が発言するシーンも増えたそうだ。

「チャレンジすることが称賛される社風にしたい。そのために前向きな失敗はとがめません。外国人就労者も増えていく中、日本人技術者には技術だけでなく、戦略リーダーとしてプラスアルファの付加価値を身に付けてほしい」(山本氏)

山本氏は「今の技術は必ず次につながる」と明言する。その一翼を担うのは、リーダーシップやチャレンジ精神を身に付けて成長した、リーダーズコラボのメンバーであることは間違いない。

タナベ コンサルタントEYE

タナベコンサルティング 経営コンサルティング本部
部長 戦略コンサルタント
稲岡 真一
造船業界を取り巻く市況の変化、ベテラン社員の定年退職や人手不足に伴う外国人実習生の採用拡大など、経営環境が大きく変化していく中、「高めようものづくり力」をモットーに、現場力の強化と技術・技能教育の強化に力を入れるイワキテック。中でもリーダーズコラボの取り組みを通じ、次世代を担う中核社員らは、全社的な視点で各部門と連携しながら会社の課題を判断し、推進する力を身に付けるなど、着実な成長を遂げている。
他社にない熟練の技術、誠実で勤勉な人材という強みを生かしながら、さらに"次世代の力"を育み、未来へのチャレンジを進める同社の今後に期待したい。

会社プロフィール

会社名
イワキテック株式会社
所在地
〒794-2410 愛媛県越智郡上島町岩城6017
TEL
0897-75-2121(代)
創業
1957年
資本金
8580万円
売上高
77億4000万円(2017年3月期)
従業員数
650名(構内専属協力会社や外国人実習生を含む、2017年6月現在)
事業内容
舶用関連製品ならびに陸上機械関連製品の製造、建設業
URL
http://www.iwakitec.co.jp/

ABOUT TANABE CONSULTINGタナベコンサルティンググループとは

タナベコンサルティンググループは「日本には企業を救う仕事が必要だ」という志を掲げた1957年の創業以来
66年間で大企業から中堅企業まで約200業種、17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。
企業を救い、元気にする。私たちが皆さまに提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。

コンサルティング実績

  • 創業 66
  • 200 業種
  • 17,000 社以上