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畜産業の発展を目指して 「次世代リーダー育成塾」を開催

日本全薬工業株式会社

2016年に創業70周年を迎えた日本全薬工業(ゼノアック)は、国内最大手の動物用医薬品メーカーだ。開発から製造、輸入、販売まで行う業界唯一の存在である。

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取材先様のお役職は、取材当時のもの、タナベ経営社員の役職は、2020年現在のもの

経営理念を具現した人材育成塾を開催

日本全薬工業 取締役 営業本部
副本部長 兼 LA事業部長
黒田 英一郎氏

2016年に創業70周年を迎えた日本全薬工業(ゼノアック)は、国内最大手の動物用医薬品メーカーだ。開発から製造、輸入、販売まで行う業界唯一の存在である。

同社は1946年に福井貞一氏が設立し、牛馬用動物薬の開発を手掛けていた。福井氏は1961年、視察先の米国で畜産先進国の事情を目の当たりにし、「畜産業の発展こそが動物用医薬品メーカーの成長につながる」との確信を抱く。以来、この思いは経営理念として、今に至るまで脈々と受け継がれている。

医薬品の提供を通じて畜産業の発展に寄与してきた同社が、2016年10月より新たな取り組みを始めた。タナベ経営と連携し、畜産業関係者を対象に「次世代リーダー育成塾」を開催したのだ。

「リーマン・ショックや東日本大震災により、畜産業を取り巻く環境は厳しいものがあります。しかし、畜産業界は将来も発展していかねばなりません。畜産業界の発展に寄与することは、動物用医薬品メーカーとしての使命であると高野(代表取締役社長)も日頃から強く考えていたところ、タナベ経営から提案があり、(畜産業の)次世代を担う将来の経営候補者を対象に、経営を体系的に勉強できる機会をつくろうということになりました」

そう語るのは、同社の取締役営業本部副本部長兼LA事業部長の黒田英一郎氏。この構想が浮上したのは、2015年の暮れのことだったという。

酪農家同士の新たな交流が生まれる

CC経営推進本部 事業開発室
小川 雅史氏

「次世代リーダー育成塾」の意義をまず社内で徹底させるために、タナベ経営と共に社内説明会、検討会、勉強会を実施した。その後、カリキュラムの作成など細部を詰め、東日本の酪農家を対象に育成塾をスタートした。セミナー会場は利便性を考慮して、日本全薬工業の東京支社を利用した。

「20~30代の若い経営者候補など、多くの方々に参加をしていただきました。私たちが考えていた以上に皆さんの意識は高く、驚きました。大手酪農家のご子息や、将来の幹部候補、さらには獣医の先生や酪農組合の職員など、立場の異なる方々が集まり、有意義なセミナーになったと感じています」(黒田氏)

育成塾の第1回は「原理原則」(企業経営と後継者の使命)、第2回が「事業戦略」(時流に合わせた事業戦略の構築)、第3回では「計数」(損益計算書や貸借対照表、損益分岐点分析など)といったように、経営を体系的に学べる内容で構成。講義とグループディスカッション、さらにはケーススタディーを取り上げながら、各テーマを掘り下げていった。

経営を体系的に学べるセミナーを開催

「次世代リーダー育成塾」のパンフレット

会ったことのない酪農家が一堂に会したことで、予期せぬ化学反応も起きたという。それは参加者同士の連帯感が生まれたことだった。

「経営を体系的に学べる機会になったことは言うまでもありませんが、今まで会ったことがない同業者とのつながりができ、大きな財産になっているようです。酪農家として同じ悩みを抱えていることに気付き、それを共有しながら、どうすれば未来を築けるのかなど、意見交換をしている姿が目に付きました」

同育成塾の運営を手掛けてきた、CC経営推進本部事業開発室の小川雅史氏はそう語る。育成塾ではセミナー終了後の懇親会を特に設けなかったが、参加者たちは自然発生的に誘い合って食事へ行くなど、活発な交流が行われたという。

同社の社内でも大きな変化が起きた。営業担当者の「意識変化」である。育成塾の案内を通じ、酪農家との距離感が以前に増して近くなったのだ。また、酪農家が抱える課題を知ることで、より広い視野から顧客をサポートしたいという思いを抱くようになったという。

「(酪農家とは)動物用医薬品販売という接点しかありませんでしたが、『酪農経営』という、お客さまの背景に興味を抱くようになったことはうれしいですね」(黒田氏)

好評を得た次世代リーダー育成塾の今後について、黒田氏は「養豚や養鶏など、その他の畜産家にも対象を広げたい」と意気込む。創業70周年を機に、動物用医薬品だけでなく「人材育成」という新たな畜産業支援策に乗り出した日本全薬工業。同社の挑戦は続く。

タナベ コンサルタントEYE

執行役員
マーケティングコンサルティング本部
大阪本部長 飯田 和之
動物用医薬品業界におけるリーディングカンパニーである日本全薬工業。経営理念にある「動物の価値を高め、社会の幸せに貢献する」という社会的使命の実現を目指す。取り組んでいる「次世代リーダー育成塾」は、実践的な経営を学べる上、ゲスト講師によるケーススタディーによって、より講義内容への理解を深められる点が特徴だ。畜産業界の未来価値創造のため、同社による畜産業界に関わる取引先企業の「夢(中期ビジョン)の見える化」支援は続く。

会社プロフィール

会社名
日本全薬工業株式会社
所在地
〒963-0196 福島県郡山市安積町笹川字平ノ上1-1
TEL
024-945-2300(代)
設立
1946年
資本金
1億7000万円
売上高
280億円(2016年3月期)
従業員数
697名(2016年4月現在)
事業内容
動物用医薬品および医療機器などの研究開発・製造・輸入・販売
URL
http://www.zenoaq.jp/

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タナベコンサルティンググループは「日本には企業を救う仕事が必要だ」という志を掲げた1957年の創業以来
66年間で大企業から中堅企業まで約200業種、17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。
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