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100年企業を見据えた経営陣の育成に取り組む

株式会社ほくつう

ほくつうは、石川県金沢市に本社を構え、情報通信設備のコンサルティング・設計・施工・メンテナンスを展開している。その事業領域は、市町村防災行政無線設備や消防緊急指令システム、道路・河川管理情報システムなどの社会インフラ関連、また音響・映像システムや電子交換機システム、電子カルテシステムなどのビジネスソリューション関連と多岐にわたる。

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取材先様のお役職は、取材当時のもの、タナベ経営社員の役職は、2020年現在のもの

2015年に新築移転したほくつう本社。レストルーム(左)やコミュニケーションスペース(右)
など、社員の働きやすさや交流を意識した空間が充実

北陸の情報通信を支えるリーディングカンパニー

ほくつうは、石川県金沢市に本社を構え、情報通信設備のコンサルティング・設計・施工・メンテナンスを展開している。その事業領域は、市町村防災行政無線設備や消防緊急指令システム、道路・河川管理情報システムなどの社会インフラ関連、また音響・映像システムや電子交換機システム、電子カルテシステムなどのビジネスソリューション関連と多岐にわたる。

取引先は官公庁関連と法人企業で、事業エリアは北陸3県(富山、石川、福井)を中心に、関西圏と首都圏にも拠点を設けている。売上高は約188億円(2020年7月期)、従業員数は545名(同年8月現在)。北陸を代表する総合情報通信企業である。

「創業は1950年。前年まで通信行政を担っていた逓信省に一元化されることを嫌った北陸の電話工事請負業者が集まり、前身となる北陸通信工業を設立しました」と代表取締役社長の早川信之氏は語る。

電話設備から始まり、防災設備、消防設備、無線設備、情報系設備と事業の柱を増やして業績を伸長。さらに関西圏および首都圏へと事業エリアを拡大させることで成長を維持している。創業65周年を迎えた2015年8月に「ほくつう」へ社名変更、11月には成長の象徴となる本社新社屋が完成した。

「この周辺ではひときわ目立つオープンで明るいイメージの建物なので、『ここで働きたい』という気持ちになっていただきやすいのでしょうか。新社屋ができてから入社希望者が増えました。特に女性からの評価は上々です」(早川氏)

ほくつう 代表取締役社長 早川 信之氏(左)
ほくつう 取締役管理本部長 高宮 一朗氏(右)

現場主義が人づくりの原点

ほくつうの経営基本理念は、

「一、会社に誇りをもつ
一、技術を以って奉仕する
一、社業の発展を図り、各人の生活の安定向上を期す」――である。

それに準じて「会社に誇りを持つことの大切さを常日頃から社員に呼び掛け、技術担当のみならず営業担当にも最新技術の習得を奨励し、社員の待遇はできるだけ厚くしようと努めています」と早川氏は明言する。

社員が自社に誇りを持つことを第一の理念とする早川氏の経営者としての覚悟を表すのは、現場の担当者に大きな裁量を与えていることだ。

「億単位の案件の決定権を担当者に委任することもあります」

早川氏は淡々とそう話す。責任の重い仕事を任せることが、仕事に対する確固たるプライドを育む。同時に、自分の決めた数字が収益に直結するという"修羅場"を数多く経験することで、数字に関する感性も磨かれる。

「現場主義が人づくりの原点」という早川氏の言葉は、説得力に満ちている。

挑戦を恐れず貪欲に上を目指せ

2020年、ほくつうは創業70周年を迎えた。100年企業を見据えた経営者と幹部の育成が現在の大きな課題だ。

取締役管理本部長の高宮一朗氏は「総務部長を務めていた当時、『強い会社にしたい。そのために強い管理職を育成しよう』と決意し、研修制度を強化する取り組みを始めました。そのような折に出会ったのがタナベ経営です」と振り返る。

当時の経営陣はこの提案を快諾し、2014年からタナベ経営の管理職育成研修「チームリーダースクール」や「幹部候補生スクール」に社員を派遣するようになった。その成果はすぐに表れた。

「大きく変わったのは、会社の数字を意識するようになったこと。幹部候補生スクールに参加した社員から自社のBS(貸借対照表)やPL(損益計算書)についての説明を求められ、私自身『もっと勉強しなければ!』と思い知らされました(苦笑)」と高宮氏は言う。早川氏も「経営の基本や用語を身に付けた社員が増え、親密なコミュニケーションが取れるようになった」と顔をほころばせる。

また、研修には選抜した社員を派遣するので、社員にとってのステータスにもなっているようだ。チームリーダースクールに参加した社員は「この研修を履修して早く課長になりたい」と目を輝かせた。「研修参加は実質上の昇進要件の一つ」(高宮氏)となっており、幹部候補生スクールの参加者の中から部長や支店長、支社長が誕生し、チームリーダースクールの参加者はほぼ全員が課長に昇進しているという。早川氏と高宮氏も後継経営者スクールに参加し、タナベ流の実践的な講義で鍛えられた。

現在策定している来期スタートの中期経営計画においても、デジタル戦略やエリア開拓と並んで、人材育成が重要なポイントになる。

「今までのような"理系の人たちだけの会社"というイメージでは立ち行きません。女性や文系出身の社員も働きやすい人事制度と教育カリキュラムの構築に取り組もうと考えています。マネジメント力が優れた人と技術力が優れた人、その両方に報いられるような複線型のキャリアプランを設定したい」と早川氏。「挑戦を恐れず、貪欲に上を目指してほしい。世襲制のない当社には、社長就任のチャンスが全社員にある」と若手社員へエールを送る。

タナベ コンサルタントEYE

タナベ経営 経営コンサルティング本部
部長代理 田上 智則

創業70周年を迎えたほくつうは、タナベ経営の幹部候補生スクールやチームリーダースクールなどへ定期的に社員を派遣されており、人材の成長が着実に進んでいる。

最近実施した経営職研修においても、未来に向けた前向きな提案が数多く出てきており、来期スタートする中期経営計画に盛り込まれるだろう。

人材育成を進める一方、組織改編にも積極的で、このほど大きな人事異動も断行された。今後、「通信」の果たす役割はますます重要となる。ほくつうのさらなる成長に期待したい。

会社プロフィール

会社名
株式会社ほくつう
所在地
石川県金沢市問屋町1丁目65番地
創業
1950年
代表者
代表取締役会長 早川 信之
売上高
188億円(2020年7月期)
従業員数
545名(2020年8月現在)

ABOUT TANABE CONSULTINGタナベコンサルティンググループとは

タナベコンサルティンググループは「日本には企業を救う仕事が必要だ」という志を掲げた1957年の創業以来
66年間で大企業から中堅企業まで約200業種、17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。
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