事例

「九州の味」へのこだわりと
「真心」を伝える人材を育成

サンポー食品株式会社

九州のソウルフードは?」と聞かれて、とんこつラーメンを思い浮かべる人は多いだろう。
2018年に発売40周年を迎えたカップ麺「焼豚ラーメン」をはじめ、
味と麺にこだわった即席麺・乾麺作りで、多くのファンに愛されているのがサンポー食品だ。

「九州の味」と「真心」を届ける

味と麺にこだわったカップ麺、即席麺、乾麺作りで多くのファンに支持されているサンポー食品。
他社とのコラボレーション(上は九州の名店「丸星ラーメン」と「焼豚ラーメン」のコラボ商品)や健康志向商品など、時代のニーズを捉えた商品開発にも積極的だ
「九州のソウルフードは?」と聞かれて、とんこつラーメンを思い浮かべる人は多いだろう。2018年に発売40周年を迎えたカップ麺「焼豚ラーメン」をはじめ、味と麺にこだわった即席麺・乾麺作りで、多くのファンに愛されているのがサンポー食品だ。

1921年に米穀卸「大石商店」として創業し、49年に製粉業に乗り出した。その後、即席棒状ラーメン「三宝ラーメン」や即席袋麺、カップ麺と、商品のバリエーションを広げながら成長を遂げてきた。

ものづくりの基本にあるのは、スープの味と製粉業で培った麺へのこだわりである。粉末スープについては配合割合を自社で決め、混合も行っている。時代の変化とともに変わる消費者ニーズに合わせて、リニューアルを重ねてきた。とんこつラーメン発祥の地である久留米のラーメンのおいしさを、より手軽に消費者に届けるのが同社のラーメン作りの原点だ。

麺についても、福岡県産のラーメン専用小麦「ラー麦」を使用した商品開発を積極的に進め、地元九州の活性化に寄与している。「『九州の味』と『真心』をお届けする」を企業理念に掲げ、食を通じて消費者の満足と社会貢献を追求する同社。地元に根差した商品づくりで、消費者のみならずスーパーなど流通業者からも愛される存在となっているのだ。

成長企業の共通点は人を大切にすること

サンポー食品 代表取締役社長
大石 忠徳氏
これまで地元密着にこだわり、関東地方や海外から出店オファーがあっても断ってきたサンポー食品。しかし、少子高齢化・人口減少の局面を迎える中、パイの拡大を見据え、近年は積極的に九州以外への展開を模索し、2017年には東京・浜松町に東京オフィスを開設した。

フィールドを広げる際に重要なのが人だ。代表取締役社長の大石忠徳氏は、2011年からタナベ経営主催の研究会・企業視察などに参加する中で、「『会社の発展は社長や経営陣ではなく社員がつくる』『成長する企業は皆、人を大切にする』ことに気付いた」と語る。そして、会社の理想像を思い描いた際に、社員を大切に育てる会社にするしかないとの結論に至ったのだ。

そこで同社は5年前から、タナベ経営と共に人事制度・教育体系構築に向けて取り組みを進めてきた。現在は若手、中堅社員(主任・係長クラス)向け研修を毎年実施するほか、チームリーダースクール、業務改善スクール、幹部候補生スクールなども毎年受講。また、採用についても体系化するため、採用マニュアルを作成した。これまで高卒者と中途人材の採用が中心だったが、近年は大卒者も採用するなど、ここ5年ほどで同社の人づくりは大きな変化を遂げている。

研修やセミナーを通じて、「社員のベクトルがそろってきている」と大石氏。また、従来は「雇われている」意識の強かった社員にも「経営目線」の思考が生まれ、会議などの場で積極的な発言も生まれるようになってきたという。

大石氏はさらに、「社員が『この会社で頑張ってよかった』と思える会社にしたい。そのためには社員が一丸となって、会社の発展を目指すことが大切。また、頑張っている社員が報われる人事制度や仕組みも重要」と力を込める。

「おいしい商品を届ける」思いを全員で共有

食品業界で淘汰や再編が進む中、サンポー食品は今後、独自性を打ち出しながら成長を図る戦略を描く。また、他社とのコラボレーションや、健康志向商品など時代のニーズを捉えた商品の開発にも積極的に取り組んでいく方針だ。大手にはない、小回りの利く生産体制という強みも存分に発揮していくという。いずれも、「サンポー食品に任せておけばおいしいものを作る」という顧客の信頼があるからこそ実現できることである。

大石氏が社員に求めるのは、「消費される現場に思いをはせること」。つまり、どうやって消費者に「おいしい」と思ってもらうかを常にイメージしながら仕事に取り組む姿勢である。「サンポーの商品は何を食べてもおいしい」と顧客から支持されるのも、同社が単なるものづくりではなく、真心を伝える思いで事業に取り組み、それが伝わっているからに他ならない。

営業だけでなく、製造の現場にもそうした消費者の思いやニーズが伝わるよう工夫していきたいと大石氏。開発担当者と営業担当者の同行営業などはその一例。「消費の現場を実感し、共有することが何よりも重要であり、事業の原動力になる」と指摘する。

取材の最後に大石氏は、若手社員に対して「仕事を通じて人格形成を目指してほしい。若い時はやり過ぎたり、言い過ぎたりすることがあってもいい。いろいろな経験をする中で、大きく成長してほしい」と熱いエールを送る。

タナベ コンサルタントEYE

経営コンサルティング本部
チーフコンサルタント 井上 禎也
サンポー食品は、九州の食文化を支えてきた創業90年を超える老舗企業である。祖業の米穀卸から製麺業へ事業を転換、即席麺・乾麺へと進出した。同社の「焼豚ラーメン」は発売から40年を超え、今なお親しまれるロングセラー商品となった。また、業界で一目置かれている高い開発力を生かし、九州の有名ラーメン店とのコラボ商品を生み出すなど新たな挑戦も続けている。近年は「企業は人なり」の考えのもと、人材育成へ注力し、社員の意識改革に努めてきた。今後、日本にとどまらず、世界で同社の商品が親しまれる時代が到来することを期待してやまない。

会社プロフィール
会社名
サンポー食品株式会社
所在地
佐賀県三養基郡基山町長野230(本社)
東京都港区海岸1-2-3 汐留芝離宮ビルディング21階(東京オフィス)
創業
1921年
代表者
代表取締役社長 大石 忠徳
売上高
23億円(2018年7月期)
従業員数
100名(2019年1月現在)
事業内容
即席麺(カップ麺、棒状ラーメン)および乾麺の製造販売
URL
https://www.sanpofoods.co.jp/