人事コラム
企業内大学(アカデミー)

社員の“自発的な成長”を促す学習の仕組みづくり

“働き方改革”に続く“学び方改革”で、人的資本を最大化させる

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Education(教育)からLearning(学習)へ切り替わる時代へ

人的資本の見直しによる新たな人材育成の認識

人的資本の見直しによる新たな人材育成の認識

2018年12月に国際標準化機構(ISO)が発表した人的資本に関する情報開示のガイドライン(通称ISO30414)や、経済産業省が2020年9月に発表した「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する報告書(通称:人材版伊藤レポート)」にて、人的資本(ヒューマンキャピタル)の活用戦略における重要性の高まりに注目が集まり、各社が経営戦略と人事戦略の連動性に注目することになったのは周知の事実である。元来、日本企業は松下幸之助氏の至言「事業は人なり」のように、企業の競争力の源泉は人材であるとの認識が強い。しかし、「日本的経営における三種の神器(終身雇用・年功序列・企業内労働組合)」(『日本の経営』著ジェームズ・アベグレン)を前提とした職能の考え方は、長く働けば実務に必要な能力は身に付くという過去の成功体験を現代に残し、その結果人材育成を疎かにしてしまったきらいがある。「一律教育・伝承型OJT・対面式集合型の社内研修」これは筆者が考える"人材育成における三種の神器"であるが、社会構造が激しく変化し、人口動態に大きく影響を受け組織構造や働き手の価値観が多様化し続ける中、これら"三種の神器"は過去の遺物になってきたと考える。

人材育成の本質は"自発的な成長"である

人材育成の本質は自発的な成長である

前述した通り、"人材育成の三種の神器"は既に古く、デメリットが多いと言える。2022年現在は、"人材育成の新・三種の神器"がトレンド(主流)であると考える。それは「個別最適化(アダプティブラーニング)・短時間学習(マイクロラーニング)・相互作用(インタラクティブラーニング)」である。これら新旧・三種の神器における大きな違いは"受動的"か"能動的"かである。さらに具体的に言い換えると"教育"か"学習"かとも言える。旧・三種の神器が悪いというわけではないが、変化の早い外部環境において、「10月に2年目社員は集まって研修をしよう」とわざわざ時期を待ち、人を集めることにメリットは少なく、環境変化のスピードに遅れを取ることが火を見るよりも明らかである。それよりも「いつでも・どこでも・何度でも、自分の興味・関心・必要性に応じて研修を受けられる」方が、よりスピーディーに、かつ自発的な学習へ繋げることを可能とする。そのため、人材育成の在り方を見直し、"自発的な成長"を促せる学習の仕組みづくりである「企業内大学~アカデミー~」の導入を行うべきである。

企業内大学~アカデミー~とは?

企業内大学~アカデミー~とは?

企業内研修の有名な事例としてゼネラル・エレクトリックの「クロトンビル研修所」が挙げられる。その他にも日本マクドナルドの「ハンバーガー大学」やソフトバンクの「ソフトバンクユニバーシティ」がある。大手企業の取り組みは良く目にするが、最近ではこういった時代背景もあり中堅・中小企業でも導入が進められている。タナベ経営がご支援した導入企業の業種としては、建設業や製造業が多く、また小売・飲食サービス業など、幅広い業種をカバーしている。その中でも機能的に運用がなされている企業の共通点として、以下の3点が考えられる。


1.受講対象者を明確にし、個別具体的なコンテンツに落とし込むことにより、学習意欲を喚起する
2.1コンテンツあたり10~15分程度の内容に絞り込むことにより、アウトプット(実践)との結びつきを強固にする
3.企業内大学を学習のプラットフォームとし、講師や受講者同士のやり取りを綿密にすることにより、教えっぱなしを防ぐ。


新・三種の神器を企業内大学構築のベースの考え方とし、"教え・学び合う風土(ラーニングカルチャー)"を醸成することで、社員の自発的な成長を後押しし、人的資本の最大化を図る仕組みとしていただきたい。

この課題を解決したコンサルタント

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