2021.02.25

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2020.12.02 Wed
2020.12.03 Thu

DOMAIN&FUNCTION

教育・学習ビジネス研究会

REPORT
日目

12.02 Wed

14年連続入学志願者拡大する大学経営とは

講義福岡工業大学
常務理事大谷 忠彦 氏
学びのPOINT

①経営理念・行動規範に基づく方針マネジメント
1998年にスタートした中期経営計画(マスタープラン)は現在、第8次まで積み重なっており、2006年から14年連続して入学志願者数が増加傾向にある。要因として、中期経営計画、財政計画・単年度予算計画、アクションプログラムの3つの計画が、効果的な相互関係を発揮し、PDCAが適切に回っていることにある。また外部機関からの評価・課題を教職員に浸透させ、改善の動きにつなげている。
②計画推進を支えるガバナンスの仕組み
根幹となる中期経営計画策定委員会のメンバーは、階層にこだわっていない。また教職員の陪席も自由である。各委員会は「全員参画意識を持ったチーム」を作り、1年毎のレビュー公表等のように「定期的な意識付け」と「見える化」することで「体質化」している。
③インナーブランディングの重要性
「For all  the students」(すべての学生生徒ののために)を学園共通の価値基準として、幾度も協議を重ねながら、目標に向かって行動していった。教職員の理解を得るのは、小さな事例で成功してそれを水平展開していくことが効果的である。そのうえで、中期経営計画のブック化して浸透させていくことで、"組織一体"となることができている。

重要な研究ポイントインナーブランディングによる
教職協働で経営改革を推進

学生から「選ばれる」ためにどうあるべきかが課題となっており、考え方や体制構築が参考になった。

専門学校 幹部
未来予測からバックキャスティングで計画策定・実行・体制構築におけるインナーブランディングの事例として大変参考になった。

教育事業 経営者
20年という長い年月をかけて「経営先にあり」を念頭に置いて、幹部・教職員全員に経営改革を浸透させた。
行動規範では、「事を成す」行動に出すことが重要である。
日目

12.02 Wed

立花高等学校の考え方
「できないことを嘆くよりできていることを認めていこう」

講義立花高等学校
校長齋藤 眞人 氏
学びのPOINT

①生徒数急増の背景
立花高等学校(全日制単位制普通科)では約7割の生徒が中学校時代に不登校を経験しており、生徒を全面的にサポートするために、70名の教師が在籍している。2007年から生徒数が徐々に増加し、2020年度は567名まで増加している。ポイントは、「生徒を集めるのでなく、選んでもらえる学校」になるため、学園周知活動と学校理念を地道に実践していくことで、学則定員を超える応募が集まる高校へと変身を遂げた。
②定義した立花高等学校の存在意義
地域から「立花高校は良くなった」と言われるが、良くなったのは地域の方々の本校への評価であると、教職員全員の認識が一致する。学園の存在意義は「違いを知るところ」。違う特性がいかに同じ空間を共有するか、それが多様性を認め合う社会につながっていく。教職員へ「全教育活動の基盤は受容と共感的理解」という考え方を齋藤校長がリーダーシップを発揮して、浸透させている。
③これからの教育
創設者の安部清美氏の言葉に「一人の子どもを粗末にするとき教育はその光を失う」とあり、齋藤校長はこれからの教育には「平等よりも公平」が必要であると明言した。生徒にとって、「できて当たり前」なことは何一つない。「当たり前」と無意識に社会・大人が解釈しているのである。「当たり前」を維持することがどれだけ大切か今一度考え直すべきである。このことは学校教育だけはなく、企業にも通じる。

重要な研究ポイント「命の居場所」という理念の
具現化に必要なことは「物事の解釈」にある

学校存在意義の明確化と教職員への浸透等、生徒から選ばれる学校の取組みは企業経営にも活かせると感じた。

教育事業 経営者
子どもたちにとっての「学校の在り方」と教職員の生徒への考え方を改めて振り返る良い機会となった。

学校関係 経営者
発生した物事の原因追及ではなく、そもそも起きていることをどのように捉えるか。
これは「我々の解釈」である。この考え方を教職員全員共有することで学校の風土なる。
日目

12.03 Thu

ICT教育最前線の実現と推進

講義熊本市教育センター
副所長本田 裕紀 氏
学びのPOINT

①100年後に向けた未来投資
熊本地震からの創造的復興に向け、100年後の未来への礎作りをVISIONに掲げた。ICTやAIだけでなく様々な人の力を借りて自己実現が図れる子供を育成する。短期的な対策ではなく、今後の世の中を見据えた未来投資によって環境整備を実現した。
②目的を明確化と共有・発信・浸透
定めたVISONは経営層だけで無く、教職員・保護者・児童生徒まで浸透させる。ICTの導入は目的ではなく手段である。目指す子どもの姿、目指す授業を共有・発信・浸透まで徹底して実行している。
③行政・学校・企業の産学官連携チームの組成
熊本市の整備の中で、学校における情報化推進チーム・教育委員会は各課で連携してVISIONを共有・地元大学、NTTドコモとの産学官連携で包括的に支援を実施。個別学校単位での学内推進チームを組成し、ICT機器の浸透を図っている。

重要な研究ポイントVISIONを明確に
100年後の未来に向けたリーダーシップ

ICTを活用した教育改革は非常に参考になった。
自分が学生の頃に同様の環境があればと感じることが多分にあった。

教育関係機関 役員
いち早く変化に対応している点は感銘を受けた。一方で対応が遅れる学校・自治体によって新たな教育格差が起こる危機を感じた。早期の対応が必須である。

教材会社 経営者
ICTを活用して学校教育を受けた人材が3年後から本格的に社会に参画し始める。
経験していない教育を受けた新入社員を受け入れる準備は企業にとって明確な経営課題となる。
日目

12.03 Thu

タブレットを活用した授業事例と今後の展望

講義熊本市教育センター
指導主事山本 英史 氏
学びのPOINT

①タブレットがもたらす新たな学び
ICTを駆使し、情報を整理して周囲へ展開する。受け身だった学習形態は発信する側に立つことで、主体性を向上させた。活動主体の学習は振り返りを高めることで常に学び続ける社会の変化に対応した学びとなっている。
②教えるから学ぶへの転換
インプット中心からアウトプット中心へ転換し、知識・技能・思考力・判断力・表現力の定着を強化し、学びへ向かう生徒個人の人間性を培うことが出来る。教員もスモールステップでICTに対応しながらスキルアップを図っている。事業支援アプリを活用し教員同士・生徒と繋がり様々な知見を得ながら価値を生み出している。
③PDCAのDOの徹底
「とにかくやってみる」オンライン授業・ネット配信などコロナ禍においても学びを止めなかった要素はDOの徹底である。明確なVISIONの設計と浸透は現場の教職員の動きを止めることはなく、価値判断のズレを抑制しながら学びの提供を実現した。

重要な研究ポイント教えられるから学ぶへ
テクノロジーが提供する主体的学習

お互いが学びあう姿勢が素晴らしい。誰もが、なぜ?という視点から答えを導き出しており、分かった時の満足感を得られる学びの形であった。

教材会社 経営者
自分の受けてきた教育とのギャップに驚きを感じた。タブレットの活用にも悩んできたが、ツールや活用事例も勉強になり、積極的に活用していく。

学校関係 経営者
ICTの整備についてネガティブに捉える先生も実際いるが、使うのは先生だけではなく、これからの時代を築く子供の視点に立った新たな学びと経験を提供している。
NEXT TIME

第3回は、2月25日、2月26日の仙台開催です!!