image1

 

今週のひとこと

社長には2つの義務がある。

会社を発展させることと、

より優れた後継者を育てることである。





◆戦略を実現する組織体制へ

◆業績不振企業の組織、5つの特徴

A社は売上高140億円、社員数200名で、食品流通事業がメーンである。同社の事業は長年にわたり地域の食品流通を支えてきたが、直近期は赤字に陥っており、他の事業収入で全体の黒字を維持している状態であった。

事業戦略上の問題も多かったが、組織構造上の問題も数多くあった。A社は「全社一丸営業」を戦略としていたが、組織は縦割りであり、他事業と相乗効果を発揮できるような構造になっていなかったのだ。

また、総務・経理のほか、広報・経営企画・顧客サポートなどの間接部門が多く、労働分配率も60%と高かった。さらに長い歴史の中で、現場部門に適応できなかった社員が間接部門に処遇されるというケースも定着していた。

組織は戦略を実現するための手段である。しかし、A社のように戦略と組織の乖離(かいり)が目立ち、戦略と組織構造の結び付きが弱まって、労働分配率が高いケースには、次の5つの特徴がある。

  1. 規模に対して人員過剰
    A社の食品流通事業には、約120名の社員が従事している。同規模・同地域のライバル企業であるB社と売上規模はほぼ同じだが、B社は社員約90名で運営していた。B社はアルバイトなどをうまく活用し、労働分配率を43%と低く抑えていたのである。

    B社と比較すると、A社は売上規模に対し、明らかに人員過剰であった。間接部門の業務が部署間で重複しているケースもあったため、現在は間接部門の統合・集約化へ動き始めている。

  2. 直間比率のバランスが崩れている
    直間比率の定義はさまざまあるが、間接部門を営業・配送以外の事務職としてみた場合、A社は直接人員6:間接人員4の比率であった。直間比率の理想のバランスは8:2であり、今後は戦略実行に必要な人員数を明確にした上で、直間比率のバランスを見ながら人員配置を進めていく予定である。

  3. 賃金水準の高いベテラン社員が多い
    A社の正社員の平均年齢は47歳。課長以上の役職者は50名と全社員の4分の1を占めている。同業種・同規模との比較では賃金水準は高い。ただしA社は年功序列型人事制度であり、これを役割・職務に応じた処遇へ転換するため人事制度の見直しを行った。役割・職務に応じた処遇を図ることで組織の新陳代謝を促すことも重要である。

  4. 人件費の変動費化ができていない
    A社はアルバイトを採用していたが、配送作業などで正社員とアルバイトが同じ仕事をしているケースがあった。アルバイトスタッフからは、同一業務で賃金が異なることへの不満が上がっていた。正社員とアルバイトの仕事を明確に分けて、固定費化しやすい正社員の比率を下げ、アルバイトをさらに活用していくための仕組みが求められている。

  5. 赤字部門が放置されている
    A社は食品流通事業の赤字を他事業で補うという状態であったが、本来は事業単独で黒字化し、本社配賦費を差し引いた状態で利益を出す必要がある。そのため、間接人員の削減と人件費の変動費化により、本社配賦費を加えた「実力値」で利益が出る体制へ改革を進めている。

◆戦略を実現できる強い組織へ

以上のように、A社では組織上の問題が目立っていた。長い年月の経過により現在の組織体制へ変遷したものであるが、企業においては入社・退職の新陳代謝が少なからずあるため、気付かぬうちに間接部門の人員が増えて直間比率のバランスが崩れてしまうことも多い。「組織は戦略に従う」ではなく、いわば「組織は歴史に従う」という状態である。

A社は顧客1人当たりの売上高を上げる事業戦略へかじを切り、エリア密着ができる組織体制への移行を進めている。事業ごとの縦割り組織から、エリア単位でのエリア密着型組織への移行を目指しているのだ。

トップのリーダーシップのもと、食品流通事業の赤字脱却、その後の成長発展へと、地域のファーストコールカンパニーを目指し「変化と成長」に正面から挑んでいる。組織の問題点は目に見えないことも多いが、業績不振A社の組織の5つの特徴を参考にしながら、戦略を実現できる強い組織を構築していただきたい。


コンサルティング戦略本部 チーフコンサルタント
竹花 直人





1101_taidan100_banner

ハイトーンボイスと徹底した商品ストーリー提案で顧客満足度を高め、お茶の間の人気を集めているのが、「ジャパネットたかた」創業者の髙田明氏だ。小さなカメラ店を売上高1500億円の通販大手に育て上げた背景には、どのような理念があったのか。経営哲学、会社への思い、次世代への期待などについて話を伺った。



おごらず「誰のために」を問い続ける

若松 先般は、タナベ経営主催のセミナー「社長教室」へのご出講、ありがとうございました。ジャパネットたかたは、売上高が約1540億円(2014年12月期)と、通販業界大手に成長されました。成長過程において、「会社が変わったな」と感じた時期や節目はありましたか。

髙田 家業のカメラ店(佐世保店)を出した30歳当時から、「1000億円を目指す」などの意識はなく、今でも(その規模に)育てた感覚はありません。しかし、企業が大きくなるにつれ、社会の人々から見られていることを感じるようになり、1000億円を超えたとき、それを強く実感しました。 企業が大きくなると、経営者の責任と課題が増えます。社員が増え、養う意識も随分と変わりました。

若松 企業成長には「1・3・5 の壁」があります。年商で100億円、300億円、500億円、1000億円、3000億円......という規模の壁です。ジャパネットたかたが超えたのは、まさに1000 億円の壁だったのかもしれません。 企業経営の原点となる志や夢を、どのように持たれて成長してこられたのですか。

髙田 長寿企業は、一貫して普遍的なものを持っています。普遍的なものとは、消費者の求めに応じること。時代の変化に対応しながら、消費者が求めるものを提供し続ける。おごらず、「誰のために」と自分に問い続けることが重要です。 だからこそ、企業理念は「人の幸せに寄与すること」以外にありません。半面、企業が継続的に発展するためには、利益などの数字も重要です。 私は" 数字人間" で、数字にコミットする経営手法を取っています。「経営者が数字のことを言うのはタブーだ」と言われますが、全ての経営者は数字で動いている。利益を上げねば、世の中のためにならないからです。その数字をつくる過程が理念に基づいているかどうかで企業の価値は変わります。 成長とは、自社をどう高めるかであって、他社との比較ではありません。ライバルを意識し過ぎると、身の丈を超える数字を求めるようになりがちです。背伸びし過ぎれば、社員や取引先にしわ寄せがいってしまいます。

若松 髙田社長が築いてこられたビジネスモデルだからこそ実感できる経営観です。私も企業成長は顧客価値の変化への対応と自己変革の先にあると考えています。そして経営理念は、成果(利益)が挙がらないと信じる価値にはなり得ません。企業規模が大きくなるほどミッション(使命)が必要です。髙田社長はどのような会社を目指してこられたのですか。

髙田 「求められる会社」です。「こういう会社がある」ではなく、お客さまから「こういう会社は必要だよね」と思われる会社になりたいのです。商品を買ってくださる方だけでなく、子どもやお年寄りの方にも、ジャパネットたかたのことを知っていただけている。そうした存在感を質・量ともに持ち続けられる会社であってほしいですね。

若松 これまでに300社以上の企業再建を手掛けてきましたが、会社がつぶれてなくなるのは、社会における存在価値がなくなったからです。「求められる会社」であり続けることは、「100年企業」になる条件であると思います。

株式会社ジャパネットたかた 前代表取締役社長/株式会社A and Live 代表取締役 髙田 明(たかた あきら)氏
株式会社ジャパネットたかた 前代表取締役社長/株式会社A and Live 代表取締役 髙田 明(たかた あきら)氏
1948年長崎県生まれ。大阪経済大学卒業後、機械製造メーカーに就職し通訳として海外駐在を経験。74年に父親が経営するカメラ店へ入社。86 年に「株式会社たかた」として分離独立。99 年に現社名へ変更。90 年にラジオショッピングを手掛けたのを機に全国へネットワークを広げ、その後テレビ、チラシ・カタログなどの紙媒体、インターネットや携帯サイトなどでの通販事業を展開。2012 年には東京へオフィスとテレビスタジオを新たな拠点として開設。2015 年1 月に「株式会社ジャパネットたかた」の代表を退任し、同時に「株式会社A and Live」を設立。

社長業で必要なのは、「愛」です。 人を愛して感じる心がないと、人を動かすことはできないし、人に感動を伝えられません。 髙田 明氏



消費者1人ずつに呼び掛けるつもりで商品を提案

若松 私は髙田社長から、エアコンや高圧洗浄機などいろいろな商品を買いました(笑)。テレビでのプレゼンテーションは、髙田社長が目の前にいる感じ、お茶の間にいる感じがするから不思議です。あの臨場感はどこからくるのでしょう。

髙田 常にお客さまと対話をする気持ちで、カメラに近寄ったりします。社員に対しても同じで、家族のような感覚で接しています。私は道ですれ違う人からも、よく声を掛けられます。そういう距離感を会社全体で出したい。コールセンターでも、お客さまと家族のような会話ができる人を養成したいですね。

若松 顧客に最も受け入れられるのは「あなただけのビジネス」です。一方、商品はたくさん売らねばなりません。多くの消費者に向けて、「あなただけに提案している」というイメージを打ち出す。だから、多くの消費者が心奪われるのでしょうね。

髙田 50万人の視聴者がいれば、その一人一人に呼び掛けるつもりで話しています。最近は、高齢者にタブレット端末をご紹介しています。音声認識機能があり、指で触って体感的に操作するタブレット端末は、シニア世代にこそ適していますから。

若松 IT に苦手意識を持つ人も多い高齢者に、タブレット端末を売るのはすごいですね。商品の提案が全てソリューションになっています。主婦にも高齢者にも家族にも、それぞれの課題を解決する「ソリューション提案」。その切り口が常に新しくて「ハッとする」、「そういう使い方があったのか」と納得する。髙田社長ファンが多くいらっしゃるのも分かります。ところで、通販業界はこれからどのように進化するのでしょうか。

髙田 若い人たちは先端技術を使いこなしていますから、今後はネットスーパーが発展するでしょう。恐らく店舗は" 倉庫" になりますよ。例えば、ネットで注文すれば、最寄りのコンビニエンスストアから商品が届く。これからの10年、20年で相当変わるでしょう。

若松 メディアミックスを進められていますが、ネットやテレビなど媒体別の購入割合はどれくらいでしょうか。

髙田 現在はネットとテレビが同じくらいで、紙媒体がそれより少し多い状況です。メディアミックスの特性で、テレビだけを見て購入するのではなく、テレビで見てからネットで購入する方も増えました。どの媒体から買ってもらってもよいのです。これからは、間違いなくネットが主流になり、テレビ通販も電話で注文を受けることはなくなるでしょう。コールセンターは注文を受けるのではなく、アフターサービスがメーンになります。こればかりは人がやらないと。

覚悟がないとミッションは貫けない

若松 ジャパネットたかたは事業そのものが「ビジネスモデルブランド」でありながら、分割払いの金利負担といった「サービスブランド」も数多く開発されました。さらなるブランド戦略が必要ですね。

髙田 企業の価格競争は、もう限界にきています。「日本一安い」と打ち出せば、必ず他社が同じことをするため、差別化も図れません。企業の評価は、お客さまとどこまで信頼関係をつくれるか。価格とサービスが一気通貫につながらないと評価されない時代が来るでしょう。今後は付加価値が重要になります。

若松 髙田社長が取り組んでこられた「商品に新たなストーリーを創り、語ることで価値を示すこと」は付加価値そのものです。

髙田 企業が選んだモノの価値に、お客さまがお金を払われる。金額に見合った価値を提供できれば、私たちだけの価値ではなく、生産者の価値にもなる。その価値観の共有は重要です。誠実に真実を貫き通し、本当の価値を見抜く力を持たねばなりません。

若松 どんな商品もミッションを持って生まれてきています。ミッションがなくなると商品寿命も尽きます。その大切さを、どのように組織に浸透させているのですか。

髙田 経営者には、覚悟が要りますね。覚悟がないと、ミッションや理念を貫く企業にはなれません。なかなか難しいですが、ブレない心で前進していく気持ちが必要でしょう。 世阿弥の言葉にあるように「自分が見ている目=我見」とは別に、「見られている目=離見」があります。「企業はこうあってほしい」という消費者が求める目を忘れたとき、我見に走る。その瞬間に売れなくなります。「安いです」と言っても、通じなくなる。見られている目を理解し、自分で見ることです。さらに、「見せる目=離見の見」も重要です。どう自分を見せるのか。これはテレビ通販だけでなく、全ての商売の本質だと考えます。

㈱タナベ経営 代表取締役社長 若松 孝彦(わかまつ たかひこ)
株式会社タナベ経営 代表取締役社長 若松 孝彦(わかまつ たかひこ)
タナベ経営のトップとしてその使命を追求しながら、経営コンサルタントとして指導してきた会社は、業種を問わず上場企業から中小企業まで約1000 社に及ぶ。独自の経営理論で全国のファーストコールカンパニーはもちろん金融機関からも多くの支持を得ている。関西学院大学大学院(経営学修士)修了。1989 年タナベ経営入社、2009 年より専務取締役コンサルティング統轄本部長、副社長を経て現職。著書『100 年経営』『戦略をつくる力』『甦る経営』(共にダイヤモンド社)ほか多数。

商品には生まれてきたミッションがある。 新たなストーリーをつくることで新たな価値が生まれる。 それを顧客や組織とどう共有するかが重要です。若松 孝彦



古人の跡を求めず、古人の求めたるところを求める

若松 これまでのお話を具現化したのがジャパネットたかたなのですね。結局、会社は経営者・リーダーの意志によってつくられます。

髙田 社長は目標を掲げて社員に示し、それを遂行する戦略を立てる。しかし、「目標を達成しなさい」ではなく、社員が戦略を実行するよう持っていかねばなりません。だから教育ほど大事なものはないと常に言っています。教育で人は変わりますから。ジャパネットも、もっと学んで成長していけば、さらに素晴らしい会社になると期待しています。

若松 長年やってこられた社長業への思いをお聞かせください。

髙田 社長業で必要なのは、66 歳の私が語るのも気恥ずかしいのですが、「愛」です。人を愛して感じる心がないと、人を動かすことはできないし、人に感動を伝えられません。 企業は世の中に奉仕するためにある。奉仕するために利益を出すよう努力するという理念を、社員と共有することも大切です。ジャパネットたかたを評価できるのは、社員がそうした愛や理念を持つ集団になっているところです。

若松 「ジャパネットを100年企業にする」と宣言されていますが、後継者や次世代に期待することは何ですか。

髙田 私は、2015 年1 月に社長を退任しましたが、あと1年くらいは応援するつもりです。現在はアドバイザーとしてガンガン言いますが、大胆に変えている部分にはタッチしません。普遍的な部分を信じて持ち続けることができれば、他のやり方は変えてもよいと思います。長男の髙田旭人社長の体制下、新たなことに挑戦し、人事制度や労務制度などもより良い方向に変えています。それが世代交代の意義だと考えます。後継者に譲るとは、「任せる」ということです。前社長が「影の社長」になってはいけませんね。

若松 ビジネスモデルをつくり上げ、「お客さまを大事にする」「社員を大事にする」という「愛」を、言葉だけでなく実践されてきた重みを感じます。理念を大切にしながら、何を変えて何を残すか。「古人の跡を求めず、古人の求めたるところを求めよ」(松尾芭蕉)の精神で、次世代の皆さんが今を超えていかなければならないですね。

髙田 私がテレビに出なくても成長するなら最高です。

若松 確かに、そこに事業承継の本質があります。しかし、出演されないとなると、一視聴者としては寂しい限りです。「髙田社長が選んだモノ(物)語」は、私たち消費者に楽しさと安心を与えていますから。

髙田 そう言っていただけて本当にありがたいです。しかし本音は、私が売らなくても成長できる企業になってほしいのです。現社長に引き継いだとき、ホールディングスの社名を「ジャパネット」とし、「たかた」の名前を外したのもそのためです。現在「ジャパネットたかた」の社名は、子会社の各制作部門と商品開発部門が使っているだけで、他は全て「たかた」なしです。

若松 会社にとってオーナーは大切ですが、それ以上に「オーナーシップ」が大事です。「自分の会社」と思える社員をどれだけ育てられるかが、特にオーナー企業にとって大切なことだと思います。 本日はお忙しい中、佐世保のスタジオも拝見させていただき、本当にありがとうございました。ますますのご活躍を祈念しています。





12_sp_top
西東京バスのオリジナルキャラクター「にしちゅん」。「ゆるキャラグランプリ 2014」で3242 票を獲得し、全国バス会社1 位(西東京バス調べ)に 輝いた(全1699 キャラクター中、総合477 位)

東京・多摩西部を中心にバス事業(路線・高速・貸切)を展開する西東京バス。2013年10月、50周年記念プロジェクトで誕生したのが、オリジナルキャラクター「にしちゅん」だ。今ではバスの利用者と同社を結ぶ大切な存在へと成長している。 同社「にしちゅんプロジェクト」事務局の水村明氏、五十嵐幸司氏、小泉今日子氏に、にしちゅん制作の経緯や現在の活躍ぶり、ノベルティーグッズの効果などについて聞いた。

「にしちゅん」で親しみやすさアップを図る

「お客さまにも社員にも愛されるオリジナルキャラクターを制作したい」

西東京バスをより身近に感じ、親しんでもらいたい--。その思いから、西東京バスは創立50周年記念プロジェクトの一環として、社内でキャラクターデザインを募集した。 そして、その原案をもとに、複数の関係先へキャラクターデザインの提案を依頼。集まった案の中から、社内の人気投票で最も得票数が多かったタナベ経営のデザインに決定したという。 キャラクターの名前は公募し、同社のホームページとはがきで応募を受け付けた。全3454 通の中から選ばれたのは、社名である西東京バスの「にし」と、スズメの鳴き声「ちゅん」を合わせた「にしちゅん」。 公募の実施により、早い時期から地元の人たちに同社のキャラクターが誕生することを周知できた。また、「キャラクターのネーミング制作をお客さまと一緒に取り組めたことは、その後のにしちゅんの認知度につながっただけでなく、より身近に感じていただける効果があったのではないか」と同社は分析している。 タナベ経営のデザインを採用した大きな理由は、原案に最も近かったこと。その上で、西東京バスの制服・制帽を忠実に再現し、かつそれらを着こなす、かわいらしいキャラクターであった点も魅力的だったという。 また、企画段階からキャラクター単体ではなく、バスの車体やバス停、降車ボタンなど、同社になじみの深いアイテムと組み合わせたイラスト案が提示されたことで、キャラクターの具体的な活用方法などもイメージしやすく、長い目で見て西東京バスのキャラクターに最もふさわしいデザインであると確信できたことも決め手となった。

「にしちゅん」をより身近に感じてもらえるよう、奮闘している西東京バス(株)の社内プロジェクト「にしちゅんプロジェクト」事務局の小泉氏、水村氏、五十嵐氏(左から)
「にしちゅん」をより身近に感じてもらえるよう、奮闘している西東京バス(株)の社内プロジェクト「にしちゅんプロジェクト」事務局の小泉氏、水村氏、五十嵐氏(左から)

にしちゅんは、さまざまな場面で大活躍

「バスの乗り方教室」に登場、子どもたちにも大人気

にしちゅんの「活動」として、まず挙げられるのが「バスの乗り方教室」への参加だ。バスの乗り方教室は、2013 年から西東京バス沿線の小学生(1 年〜 3年生)を主な対象に実施している取り組み。子どものうちからバスに親しみを持ってもらおうというもので、基本的なバスの乗り方のほか、車内での乗車マナーや、交通安全について楽しく学ぶことができる内容だ。今までに延べ36 校・約2300 名(2015 年8月現在)が参加している。 バスの乗り方教室ににしちゅんが登場すると子どもたちの目の輝きが変わり、バスへの興味も親近感もアップする効果がある。 同教室の最後にはタナベ経営作成の「自由帳」「クリアファイル」「ミニBOX ティッシュ」を子どもたちにプレゼントする。こちらも大変好評で、特に自由帳は1 ページごとに「にしちゅん」の絵が入っていることに感激する子どもたちが多いという。

「定期券ご購入者へにしちゅんグッズプレゼント」キャンペーン、発売枚数前年比31.2%増

2015年4月中に同社バスのIC 定期券を購入すると、もれなく「にしちゅんグッズ」がもらえるキャンペーンを実施。1 カ月定期券購入で「ポストカード」、3カ月定期券購入で「クリアファイル」、6カ月定期券購入で「ストラップ付きぬいぐるみ」と、定期券の期間に応じてグッズを変えたところ、最長の6 カ月定期券の購入促進に結び付き、発売枚数が前年比31.2%増になったという。 ツイッターでも、6カ月定期券を購入した人から「にしちゅんのぬいぐるみをもらった!」との投稿があり、話題になった。にしちゅんの魅力と同時に、自社にオリジナルキャラクターがあるという強みを実感する出来事になった。

にしちゅんLINE スタンプも配信、早くも人気に

2015年9月1日から、LINEクリエイターズマーケットにて、にしちゅんをテーマにしたLINE スタンプ(1セット40種、税込120円)の配信を開始した。ホームページなどでの告知をきっかけに、ツイッターユーザーにも広がり、販売して間もないにもかかわらず大きな反響があった。

利用者へのPR 媒体でも、にしちゅんが大活躍

ホームページや時刻表、案内のチラシ、ポスター、パンフレットなど、利用者へPR する際には必ずにしちゅんを活用しているという。利用者に伝えたい情報を「にしちゅんからの呼びかけ」として発信することで、利用者の目にも心にも自然と留まりやすくなり、伝達力が高まっているという効果も感じられている。

産学連携で制作中の「にしちゅんバス」

2015 年度には「産学連携」の動きもあり、同社沿線にある大学と専門学校に「にしちゅんバス」のデザインを依頼するという全国的にも珍しい取り組みを実施した。学生から寄せられた豊かなアイデアを内装・外装に生かした「にしちゅん尽くし」のバス2 台は、2015 年度中の完成と運行を目指している。

にしちゅんの自由帳、クリアファイル、ミニBOX ティッシュ、 パスケース、ストラップ付きぬいぐるみ、ぬいぐるみ(大)。 自由帳は各ページににしちゅんを配置するなど、 こだわりのある仕上がりが好評だ
にしちゅんの自由帳、クリアファイル、ミニBOX ティッシュ、パスケース、ストラップ付きぬいぐるみ、ぬいぐるみ(大)。 自由帳は各ページににしちゅんを配置するなど、こだわりのある仕上がりが好評だ

今後のPR・プロモーションの予定

今後は、にしちゅんのプロモーションビデオ(動画)を作成し、同社ホームページなどで公開することも検討中だ。にしちゅんの紹介に加え、にしちゅんが「バスの乗り方教室」などさまざまな同社事業の取り組みを利用者に向けて紹介する動画を配信することで、より多くの人々ににしちゅん、そして同社に興味を抱いてもらえることを期待しているという。 にしちゅんの認知度がアップするにつれ、地元のイベントに招待される機会も増えてきた。「にしちゅんがより多くのお客さまと当社を結ぶ橋渡しをしてくれており、あらためて企業にとってのオリジナルキャラクターの存在の大きさを実感しています。同時に、にしちゅんの魅力を引き出し、さらにPR をしていかなければ、という責任も感じています。これからも、お客さまが求めていらっしゃるモノ、喜んでいただけるモノを、にしちゅんのグッズとして生み出していきたいと思いますので、ぜひ、知恵をお貸しいただけると幸いです」(水村氏)

12_sp_members

  • お問合せ・資料請求
  • お電話でのお問合せ・資料請求
    06-7177-4008
    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所