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今週のひとこと

方針を部下全員に浸透させよう。

分かりやすく、希望の持てる

メッセージを発信しよう。





◆会社の代表は社長だけ?!

中期ビジョンや中期経営計画、経営方針、人に関する権限である人事権、お金に関する決裁権など、多くの決定権は社長にあります。
しかし、それは会社の代表は社長だけである、ということを意味しているのではありません。


特に、新入社員をはじめとした若いメンバーを率いるリーダーの方々にお伝えしたいのは、お客様と接する全社員が会社の代表である、ということをメンバーに指導・アドバイスしていただきたい、ということです。

私が企業研修の運営をしていて、よく感じるのは、新入社員や若手社員が、会社の代表としてではなく、自分が良いと感じる行動をしているということです。一例を挙げると、研修がはじまる朝、会場に来る際のスーツの着方がだらしない参加者も少なくありませんが、研修中、「皆さんは会社の代表として常にお客様から見られていますよ」とお伝えすると、研究終了後、会場を出る際の身だしなみはきちんとしています。

また、業績の良い企業の新入社員の皆さんと会話をすると、まるで社長と会話をしているのかと感じることがあります。そうした企業は、入社したばかりの若い社員にまで社長の考えや思いが浸透しているのです。

皆さんの会社の新入・若手社員は、「会社の代表は社長だけ」だと思っていませんか?


マネジメントパートナーズ本部
神田 明生





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次代リーダーに求める3つの資質

今、多くの経営者が先行きを見通せず手をこまぬいている。混沌とした時代のリーダーに何が求められるのか。企業の存続発展を委ねる立場だけに求められることは多いが、中でも心掛けていただきたい「次代リーダーに求める3つの資質」は次の通りである。

①統率力:常にあるべき姿を示す

リーダーとは指導者、指し導く人、皆をまとめて教え導いていく人である。そのためには、常に向かうべき先、あるべき姿を示さなければならない。

先の見えない時代だけに、「あちらに向かって行こう」というビジョンは何より重要だ。ビジョンという行き先を定め、全社員で目指すべき将来像に向かってベクトルを合わせれば、組織の一体感が高まり、トップの求心力も高まる。

②意志力:「やる」という意志を持つ

「意思」とは何かをしようと心に思い浮かべること、そして「意志」とは物事を必ずや成し遂げようとする熱い思いである。「やりたい」という希望だけでは進まない。「やる」という意志を持ったとき、初めて歯車が回り出す。

ただやりたいだけでは、逃げ道をつくりがちだ。「やれなかったらどうしよう」と考える前に、やってから考えてはどうだろうか。経営とは、トップがやりたいことを社員の協力を得て実現すること。まずは強い意志を持ち、それを社員に提示しよう。有言実行である。

③先見力:先を見て手を打つ

経営環境を言い訳にしても、何も変わらない。大事なのは先を読み、今なすべきことを整理し、他社に先駆けて手を打つことである。それには先見力が不可欠だ。

多くの経営者には中期、すなわち3~5年先の状況がおおむね見えている。しかし、分かっているのに踏み切れないということも多い。中期も読めないのであれば「先見力なし」。読めているのに手を打たないのは「決断力なし」である。

次代を拓く、頼もしいリーダーに期待したい。


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■筆者プロフィール

タナベ経営
コンサルティング戦略本部 九州本部長
保木本 正典
Masanori Hokimoto
一般企業・銀行・大学などのセミナー講師を経験後、タナベ経営入社。2013年より現職。クライアントの成長パートナーとして経営ビジョンや事業戦略構築を展開。クライアントと一体となった組織営業の仕組みづくりや、国内外工場での生産管理システムの構築などを通じたマネジメント指導に定評があり、クライアントから高い信頼を得ている。





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すぐに答えを求めず、じっくりと考えることができる人材を育成

フジパングループ本社 人事部 統括課長 松原 伸 氏
フジパングループ本社
人事部 統括課長
松原 伸 氏

離職率低下を目指し、若手教育を強化


愛知県名古屋市に本社を構える製パン大手、フジパングループ。「行列の出来るベーカリーに対抗できる商品」をコンセプトとした、モチっとした食感の食パン『本仕込』が人気商品だ。主力である袋詰めのパンを製造する「ホールセール」、スーパーマーケットや百貨店などで焼きたてパンを提供するベーカリー事業の「リテイル」、コンビニエンスストアなどに提供する弁当・おにぎりを製造する「デリカ」、さらに自社商品や大手外食チェーンの資材などを届ける「ロジスティックス」という4つの事業を展開。全国に工場や事業所を配し、従業員数は1万6000名を超える。

同社は労働集約型産業であるため、定着率に課題を抱えていた。パンの製造技術に関する教育は、1982年設立の「フジパン高等職業訓練校」や外部の研修なども取り入れて充実しているものの、社員数の増加や事業の多角化に伴い、育成をさらに強化する機会が必要となっていた。

「もともと人事部門の業務は採用をメーンとしていました。ところが、勤続3~5年で退職してしまう人が多く、改善が必要だと感じて若手社員の育成に取り組み始めたのです」

そう話すのは、人事部統括課長の松原伸氏である。具体的には、入社2年目以降の社員に対して人生観や仕事観を教えるフォロー研修を実施し、離職率の低下を目指した。

「リーマン・ショック後の景気低迷という要因もありましたが、入社3年時での離職率が10%台になるほど大幅に改善されました」(松原氏)

また、大卒者は人事部で採用し、高卒者は各現場で採用するため、本社だけでなく各現場でも人材教育に当たるように仕組みを変えた。「当時は多くの反発がありました。しかし、現場が育成についていろいろ考えることこそが重要と捉え、改革を貫いたのです。結果、業態が異なる分野での専門的な教育も充実するようになりました」と松原氏は語る。

そのほか、内部監査の際に非正規社員などと面談し、現場の声を聞く取り組みをスタートした。目と耳で実態を知り、それを現場にフィードバックしているのである。


中堅リーダーの育成に注力

若手社員の教育を軌道に乗せた後、中核となるリーダーを育てる必要性があるとの考えから、階層別の研修やタナベ経営の「幹部候補生スクール」への派遣を開始した。同スクールへは、統括課長に昇格した10人程度が毎年参加。マネジメントスキルやリーダーとしての資質を磨いている。松原氏も2015年に受講したばかりだ。

「徹底的に考えさせられ、思考力が培われました。『これぐらいでいいや』は通用しないので大変でしたけど(笑)。また、これまで自分が考えていたことを体系的に整理し、確認できたことは大きなメリットでした」

研修だけでなく、他社の幹部候補との交流もよい刺激になったと話す。

外部研修に求めることは、フィードバックがあること。「話を聞いて終わりでは意味がありません」と松原氏は指摘する。研修結果がきちんとフジパングループに報告される点を重視している。

期待する人材像については、「近年の若手社員や学生は、すぐに答えを求めたがります。効率や要領の良さは必要ですが、じっくりと考えることも大事です。研修などでインプットしたものを、自分の中で消化してアウトプットする。そのことの大事さを、幹部候補生スクールで再認識しました。そういう人材を育てていきたいですね」と話す。

女性活用や外国人の活用も喫緊の課題として挙げる。「社会が大きく変わる中で、どう制度設計をして対応するのかが大切。古い体質から抜け出せず、時代に取り残されてしまわないように考えなければなりません」と松原氏は強調する。内部と外部の研修をうまく組み合わせ、より時代に即した人材育成の仕組みづくりが必要なのである。


PROFILE

  • フジパングループ本社株式会社
  • 所在地: 〒467-8651 名古屋市瑞穂区松園町1-50
  • T E L: 052-831-5151(代)
  • 設立: 1922年
  • 資本金: 46億8200万円
  • 売上高: 2606億円(2015年6月期)
  • 従業員数: 約1万6600名
  • http://www.fujipan.co.jp/


タナベ コンサルタントEYE

労働集約型の業界において離職率の高さは大きな課題だが、フジパンは社員教育を実践することで改善を図った。ポイントはフィードバックである。人の性格・考え方はさまざま。そうした十人十色の社員をどのように成長させるかを、各現場が時間をつくって考え、答えを出す体制にすることで、コミュニケーションを増やし、社内の信頼関係を生み出している。良い商品・サービスは、結局、人の考え方から生み出されることを、同社は熟知している。だからこそ、人材を大切に考え、育成に注力しているのだ。

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    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所